バックホウとは?ユンボとの違いや種類、操作に必要な資格、運転免許を解説!

建設機械と免許資格

バックホウが誕生する以前は土砂などを機械式で運ぶショベルという機械が広く使われていましたが、より操作が単純で掘削の正確性が高い油圧式が登場すると、そちらに主流が変わりました。

その油圧式ショベルが、現在も活躍するバックホウです。

大型のバックホウなら一度で3トン以上の土を掬うことができます。一方、同じ量を人力で行おうとすると、一人なら500回は掘る・運ぶ・積み込むという動作が必要です。

小型バックホウやミニバックホウはそこまで大量にものを運ぶことはできませんが、小回りが利くので広さが確保できない工事現場などには必須の機械です。

油圧ショベルやバックホウのCADデータ・平面図ダウンロード
バックホウ・油圧ショベル、2D・3Dcadデータのダウンロードサイトを紹介しています。CADデータで多いのは、DWGやDXFファイルです。CADデータを了する場合は、相手先のソフトウェアが、CADファイルを開くことができるソフトウェアか確かめる。どのバージョンまで開くことができるか確認する。

バックホウとは

バックホウとは、先端に土などを掘削するバケットが付いた重機です。走行機能があり、油圧シリンダーで作動するアーム部分があります。

工事現場などでよく見かける建機でもあり重機といえば、一番に思い浮かべるのがバックホウだと思います。バックホウは、バケットがオペレーター側に取り付けられている特徴があります。

引き寄せるように操作することから、土の中など低い場所での作業に向いています。ちなみにバックホウの名前は「back(後ろ)」と「hoe(鍬)」をもとに作られた造語になります。

バックホウには、さまざまな呼び名があります。

行政などは「バックホウ」および「バックホー」、コマツが「パワーショベル」、国交省は「ドラグショベル」などです。

バックホウのサイズによっても呼び方が変わり、ミニバックホウや小型バックホウと呼ばれることもあります。

ユンボとの違い

ユンボは、建機レンタル企業のニッケンの登録商標になります。

現在はニッケンの登録商標ですが、元々は1954年ごろに日本に入ってきたフランス製のバックホウの商品名「ユンボ」が由来のものです。当時ほかのバックホウと比べてユンボの性能があまりに良かったため、バックホウといえばユンボという常識が広まっていったのでした。

油圧ショベルとの違い

油圧ショベルは、建設業界での呼び名になります。そのため他の業界の人には油圧ショベルといっても通じないことも少なくありません

バックホウの構造 その1

バックホウは、掘削と積込みを兼ね揃えた形の重機です。

車体は、上部旋回体と下部走行体、そしてフロントアタッチメント部分の3つの構成で分かれています。

さらには、フロントアタッチメントは、アームとブーム、そしてバケットに区分されます。

車体が上部と下部に分かれていることにより、Uターンなどを必要とせずに旋回することが可能になっているのです。

狭い場所から広い場所まで作業場所を選ばず、また、軟弱な土壌であったり水中の掘削なども得意です。

動力方式

アームやタイヤなどにエンジンからの動力を伝える方法には、「油圧式」と「機械式」が存在します。機械式は、超大型のバックホウ・ユンボに用いられることが多く、アームやブーム、バケット、走行装置、旋回装置などをワイヤやチェーンの動力で動かします。

「油圧シャベル」という名前が一般的になっているのは、油圧式が圧倒的に多いからです。クボタやコベルコ、ヤンマー、コマツといった機械メーカーなどでも、油圧式の油圧シャベルを多く取り扱っているのがわかるはずです。

それもそのはずです。世界中での油圧式シャベルのシェアは90%となっているからです。また、油圧式シャベルという名称は、バックホウ・ユンボの油圧式のシャベルの通称として日本建設機械工業会が統一をしています。

アタッチメント

バックホウはアタッチメントを利用することで、より役割が多様化します。

例えば、山間などの作業現場で、建機が降りることができない狭隘な場所を作業対象としている場合に、より長いアームとなる「ロングアーム」を使うことで、対象箇所までバケットを届かせることができます。

また、このロングアームを使用すれば、本来の掘削可能な能力の深さ以上の深さまで掘り起こしができたり、ロングアームにより旋回経が増えたことにより作業半径を伸ばしたりすることもできます。

また、「ブレーカー」と言われるアタッチメントをバケットの代わりに取り付けることで、岩盤などを掘削することが可能になります。

先に紹介したロングアームとブレーカーを併用すれば、より遠くの岩盤などを砕くことも可能となるのです。

ただし、ブレーカーなどのパワーはバックホウのパワーが反映されます。そのため、ブレーカーを使用する時にはバックホウの馬力タイプなどにも気を使う必要があるでしょう。

バケット

先端についている、穴を掘ったり土砂をすくい上げたりする箱型の部分。バケットの爪は掘削しやすいように鋭い爪が装着されていますが、使用目的に合わせて取り外し、別のアタッチメントに取り換えることもできます。

例えば硬いコンクリート構造物や大きな岩を排除したいときは、油圧ブレーカーというアタッチメントにすれば、タガネを高速で打撃することにより簡単に破壊することができます。それゆえブレーカーは道路工事の岩盤破砕やトンネル工事などでよく使用されます。

ただし、油圧ブレーカーを使用するときは、ブレーカーの連続打撃は30秒を目安に停止すること、ブレーカーの空打ちはしないこと、ブレーカーが斜めに打っていないか確認すること、などが重要になります。

バックホウの構造 その2

アーム

バケットから延びる腕のような部分のこと。

ブーム

アームから運転席までを繋げている部分。アームとバケットを支えています。

油圧シリンダー

アームとブームの外側に装着されています。筒状の管のようなもので、中に入っている油に圧力をかけることにより、アームとブームを動かす役目があります。

クローラ

車でいえばタイヤの部分に当てはまる走行するための部品です。棒状に長くいベルトを回転させることによりバックホウを走行させます。

タイヤよりも悪条件の地面に強く、建設現場や山の中ではとても役に立ちます。ちなみに、キャタピラとの違いはありませんが、キャタピラはキャタピラ社の登録商標なので、一般的にはクローラというのが正当です。

運転席

作業する人が乗ってバックホウを動かす場所です。前方・側面が全面窓になっていて、視野を広く保てるようになっています。自動車のような円形のハンドルはなく、代わりに3つのレバーが運転席の前と左右に配置されています。車体の走行、ブームやバケットの操作はすべてレバーやペダルで行います。

スプロケット

運転席の後方にある、クローラを動かすための歯車のことです。

バックホウの種類

ホイール式油圧ショベル

ホイールとは、自動車や自転車などでよく耳にしますが、タイヤをはめている中核のことをいいます。つまり、ホイール式シャベルとは、タイヤのついたバックホウです。

一般的にバックホウに使用されているクローラとの違いは走行速度で、時速約50キロで走行することも可能です。これなら自動車とほぼ同じ速度ですので、建設現場を離れて道路で移動することも可能になり、利便性が高いバックホウといえます。

ミニバックホウ・小型バックホウ

どちらも、小型のバックホウのことを指します。ミニバックホウ・小型バックホウは一度に運べる量は少ないですが、小回りが利くので狭い場所であることの多い道路工事や配管工事などでよく使われています。

大型バックホウ

全高5メートルほどにもなる大型のバックホウは、街中よりも広い建設工事や山での開拓工事などで重宝します。どんな悪路でも進むことができるクローラで、安定した作業が可能になっています。

ローディング油圧ショベル

高さがビルの3階ほどまで達する超大型のバックホウで、下からすくい上げるローディングという方法で掘削することからローディング油圧ショベルと呼ばれています。大量の土砂を運ぶ必要がある採石場や、鉱山などで見ることができます。

ロングアーム油圧ショベル

コマツではテレスコピックアーム、コベルコではロングレンジ仕様、ヤンマーではアタッチメント式のロングアームで知られていますが、一般的なバックホウよりも長いアームが特徴です。

そのロングアームで河川の改修や砂利採取など広い作業範囲を獲得した便利なバックホウです。

ロングアームの中でも長さによって種類が分かれていますので、使用目的に合ったロングアームを選択することができます。ヤンマーのロングアームはエクステンションアームといって装着するタイプのものなので、便利に取り入れることができるでしょう。

ペインティングバックホウ

キリンやシマウマや恐竜など、一度はそんな生き物に扮装したバックホウを目にしたことがあるのではないでしょうか。一般的なフル塗装で20万円ほどするのでそれ以上の値段にはなるでしょうが、大きなバックホウがキリンになって働いている姿は、子どもも大人も素敵に感じます。

バックホウの運転・操作方法

操作レバーに関しては、メーカーによって操作方法が異なります。初めてバックホウを運転するときには、小型バックホウやミニバックホウから乗った方が上達しやすいでしょう。

ロングアームの操作方法は左手操作のレバーになり、前方に動かすとロングアームを伸ばし、手前にするとロングアームを引きます。ロングアームを内側にしたいときは右旋回し、外側にするときは左旋回にします。

ロングアームを操作するのは簡単に見えるかもしれませんが、経験を積んだ作業員でないと難しく誰でもできるものではありません。アームを手前に引きながら土をたぐりよせてバケットを内側に返すようにしてすくいます。

バックホウにおいても重要視されているのは「削りすぎ」にならないことです。機械の運転がいくら上達したとしても、これだけは注意しなくてはいけないといわれています。もしやりすぎが生じてしまった場合は、部分的な補強だと不具合が出てしまうこともあります。

そのため均一性を重視するためにも徐々に作業を行いながら過剰な動作にならないように注意しています。安全性を重視するのはもちろんですが、あまり肩に力を入れすぎずに運転していくことも求められています。

作業レバー左

上に倒すとアームが伸び、下に倒すとアームをかきこみます。左右で車体が旋回します。

作業レバー右

上下でブームを上げたり下げたりでき、左に倒すとバケットが土をかきこみます。右に倒せばバケットが開きます。

走行レバー

前が前進、後ろが後進です。

バックホウのメーカー

バックホウはさまざまなメーカーから出しています。なかでも有名なのがクボタ・コベルコ・ヤンマー・コマツの4社です。ブレーカーの改良もしつつミニバックホウや小型バックホウなども展開しています。

クボタ

優れた完成度と圧倒的な信頼のあるクボタは、排気ガス規制に対応したエンジンのバックホウを展開しています。

クボタが取り扱うバックホウは、ミニバックホウおよび小型バックホウがメインです。クボタではミニバックホウ・小型バックホウを、「ミニバックホー」と呼んでおり、後方小旋回タイプの「U series」、超小旋回タイプの「RX series」、標準機となる「K series」などを取り揃えています。

作業性の高さはもちろん、ブレーカーや低燃費や低振動、また低騒音などクボタならではのこだわりがあります。クボタは最先端の技術や安全性にも定評があり、ブレーカーにもこだわったプレミアムクラスなども用意されています。0.25m3・0.45m3・0.7m3・0.8m3のバックホウと油圧シャベルやユンボなどもあります。

農業機械で有名なクボタがバックホウの設計を始めたのは1953年、戦後復興間もない頃でした。鉱山用巻上機の技術経験を活かし設計・販売を進め、モビルクレーンの需要が高まると一気に市場を掴み、運輸省の補助金を受けて他社に先駆けて8トン吊り大型モビルクレーンを完成させたのはクボタの大きな功績といえるでしょう。そうして土木作業分野への進出を果たしていきました。

コベルコ

コベルコでもバックホウを取り扱っています。

コベルコでは配管や宅内、舗装、解体工事に対応するバックホウとして、ミニバックホウ・小型バックホウを取り揃えています。現場を超えるテーマに次世代のバックホウを作り出しています。コベルコでは油圧ショベルの展開も多く、低燃費としても定評があります。

コベルコで取り扱うミニバックホウ・小型バックホウは、「ミニショベル」、「後方超小旋回ミニショベル」、「アセラ・ジオスペック」、「超小旋回ミニショベル」などです。また、コベルコでは2.8t以上のミニショベルについて、防音・防じんテクノロジーiNDrを搭載しています。

さらにコベルコでは、作業範囲をより広げられる「ロングアーム」タイプのバックホウを取り扱っています。ロングアームとは、ブームやアームが長いため、通常のバックホウでは作業が行いにくい河川改修や整地などを行える特徴があります。

ロングアームタイプの建機型式は「SK135SRLC-5」や「SK210LC-10」といったものがあります。なお、ロングアームタイプはコベルコだけで扱っている商品ではありません。メーカーによってはアタッチメントとしてロングアームを取り扱っている場合もあります。

コベルコのバックホウをみると、ブレーカーやハイブリッドショベル、低炭素社会の実現にも力を入れています。コベルコは防塵テクノロジーや防音にも力を入れています。コベルコにも0.25m3・0.45m3・0.7m3・0.8m3のバックホウと油圧シャベルやユンボもあります。

1911年に設立された神戸製鋼所(コベルコ)は、鋳鍛鋼事業をメインに、溶接や鉄鋼アルミ、機械、エンジニアリングなど幅広い事業分野で課題解決を担ってきた会社です。1930年に国産第一号となる電気ショベルを完成させたのは、ほかならぬコベルコ。建設機械事業を華々しくスタートさせました。

ヤンマー

農機具メーカーとして有名なヤンマーですが、ヤンマーでもバックホウを取り扱っています。

ヤンマーで取り扱っているミニバックホウ・小型バックホウは「ミニショベル」として展開しています。ヤンマーのバックホウは、効率性・安全性・耐久性・作業性・環境性のすべてに配慮しています。ヤンマーならではのこだわりはもちろん、小回りもきいて使いやすい特徴があります。

ヤンマーの特徴としてブレーカーやラインナップの充実度の高さも定評があります。0.25m3・0.45m3・0.7m3・0.8m3のバックホウと油圧シャベルやユンボなども。選択肢の多さもヤンマーならではといえるのではないでしょうか。

1912年に大阪で創業した山岡発動機工作所は、ガス発動機の修理・販売の事業でスタートしました。後に石油発動機メーカーとして始動し、ヤンマー商品が誕生します。日本初の動力籾すり機を販売、揚水ポンプの爆発的ヒット、ディーゼルエンジンの開発に取り組み、以来農作業の動力化に精力してきました。

コマツ

建機メーカーとして国内でもシェアを誇るのがコマツです。コマツではミニバックホウ・小型バックホウそして中型バックホウ・大型バックホウを取り扱っています。

コマツの場合、ミニバックホウは「ミニショベル」という取り扱いで、機械質量6000kg未満かつ標準バケット山積容量0.25m3未満の油圧ショベルと定義しています。また、コマツでは中小型を、機械質量が30トン未満としています。このコマツの中小型バックホウであれば、掘削や積み込みのほか整地や解体作業を可能としており、アームクレーン仕様に変更することでつり作業もOKです。
加えて、コマツの大型油圧ショベルは機械質量が30トン以上となっています。コマツの大型油圧ショベルであれば、鉱山・採石向けの強化された仕様も存在しています。

またコマツならではのこだわりとしてブレーカーや運転経費の削減にも力を入れています。コマツならではの充実の装備を実感してみてくださいね。コマツにも0.25m3・0.45m3・0.7m3・0.8m3のバックホウと油圧シャベルやユンボもあります。

1921年、石川県で誕生したコマツ(小松製作所)は、日本で初めてブルドーザーを作った会社です。第2次世界大戦中、航空基地建設に使用するため、当時農林省からの要請で開発したトラクターをベースに、「小松1型均土機」を開発したのでした。以降「ブルドーザーのコマツ」の地位を確立し、国内の高度成長期の波に乗り建設機械メーカーへと羽ばたいていったのでした。

バックホウを公道で運転するために必要な免許

バックホウを公道で運転するためには、車両総重量・最大積載量に応じた運転免許が必要です。

運転免許 最大積載量 車両総重量
普通自動車免許 3t未満 5t未満
中型自動車免許 6.5t未満 5t以上11t未満
大型自動車免許 6.5t以上 11t以上

ただし、公道を運転しない場合には、上記の免許は必要ありません。

また、バックホウの操縦は、上記の免許で行うことはできません。

バックホウの操作に必要な資格

バックホウを操縦するためには、講習の受講もしくは資格が必要です。必要な資格は操作するバックホウの重量によって異なります。

ただし、自宅の庭や農地などの敷地内で個人的にバックホウを操作する場合には、上記の資格や運転免許は必要ありません。

小型車両系建設機械の運転の業務に係る特別教育

「小型車両系建設機械の運転の業務に係る特別教育」を受講すると、重量が3トン未満のバックホウの操作ができます。

受講するための費用は約2万円です。学科7時間と実技6時間で2日間実施されます。

車両系建設機械運転技能講習

3トン以上のバックホウを操作するには「車両系建設機械運転技能者」が必要です。

車両系建設機械運転技能講習を受講し、学科終了試験と実技終了試験に合格する必要があります。

車両系建設機械運転技能者とは、労働安全衛生法で定められている、3トン以上の車両系建設機械(整地・運搬・積込み用及び掘削用)の運転・操作が認められた作業者に与えられる国家資格です。

労働安全衛生法では、3トン以上の車両系建設機械(整地・運搬・積込み用及び掘削用)の運転は、運転技能講習を修了した者でないと、業務に就かせてはならないと規定されています。

車両系建設機械運転技能者とは?試験の難易度・合格率・勉強法・過去問・解答速報をご紹介!
車両系建設機械とは、建設現場で整地・運搬・積み込み・掘削などを行う建設機械です。整地・運搬・積み込みを行う機械には、ブルドーザー、トラクターショベル、モーターグレーダーなどがあり、掘削用機械には、パワーショベル、バックホウ、ドラグライン、バ