コンクリートポンプ車とは?種類や操作に必要な資格、運転免許を解説!

建設機械と免許資格

コンクリートポンプ車は、生コンクリートをブームとパイプやホースを通じて、土木・建築現場の型枠等へ、圧力をかけて送るポンプを装備した作業車です。コンクリートミキサー車と連携して作業する事が多く、ミキサー車で運ばれた生コンクリートを、コンクリートポンプ車がポンプで圧送します。

コンクリートポンプ車とは

コンクリートポンプ車は、生コンクリートを圧送する建設機械です。
主なメーカーは極東とプツマイスターです。

生コンクリートはミキサー車が運搬してきますが、ミキサー車には輸送管はないので、細かい部分や離れた部分に生コンクリートを流すことはできません。
ミキサー車から流れてくる生コンクリートをコンクリートポンプ車の中に1度入れて、輸送管を介して生コンクリートを流したい部分に流し入れます。

コンクリートポンプ車には、大きく分けて2つの種類があります。
大きさの違いであり、ミニポンプ車と普通のポンプ車の2つがあります。

ミニポンプ車は2t~4程度であり、普通のポンプ車は8t~25tまであります。
ミニポンプは、住宅などの比較的小さなコンクリート工事に使います。

普通のポンプ車は、大型建築物や橋、トンネルなどの大規模のコンクリート工事に使います。

コンクリートポンプ車の得意な作業は、離れたところへの生コンクリートの圧送です。
コンクリートポンプ車の折りたたみ式のブームにより、離れたところや高所に生コンクリートの圧送を行うことができます。

現場での使用頻度が高く凡庸性に優れている

コンクリートポンプ車は「大は小を兼ねる」の言葉通り、大型車輌でも生コンの使用の少ない現場で活用できます。小型に拘る必要はありません。

また、生コンを送る為に荷台にブームを搭載しているので、高所への生コンの打設や、コンクリートポンプ車を設置した場所から、多少離れた場所への生コンの供給を可能にしてくれます。

多くの建設現場で活躍する

コンクリートポンプ車は建築の多くの場面で使用される建機です。特に戸建住宅の基礎や壁打ちなどでは、必ず搬入される建機だとも言えます。

また、4tポンプ車や8tポンプ車といったよく使われるコンクリートポンプ車は、リニューアルや新車種などもリリースされる事が少なくありません。もちろん、4tポンプ車や8tポンプ車以外にもさまざまなポンプ車が日々活躍を見せています。

コンクリートの打設・圧送が主な役割

コンクリートポンプ車の4tポンプ車や8tポンプ車具体的にどんな仕事をしているのでしょうか。建設現場などでよく見かけますが、主にビルの基盤工事のコンクリート詰めに使い、道路の崖崩れの防止工事などに使われます。

ブームは縦だけでなく横にも大きく伸ばせるので広い範囲をカバーできます。長いブームとホースを使いながら狙っている場所にコンクリートをしっかりと流し込んでいきます。ホースの先端は職人さんが手動でコントロールするため、熟練の技が必要になります。

コンクリートポンプ車のなかにあるコンクリートは、トラックのミキサー車から挿入されたものを使います。車体の後ろにあるホッパを開閉してコンクリートを流しこみ使います。ミキサー車は一緒に使われる機会が多く、セットのようなものです。

使われるコンクリートは、主に「フレッシュコンクリート」もしくは「生コン」と呼ばれるものになり、PTOポンプで発生させた油圧力を使い、ドロドロとした形状のものを固まらないように混ぜながら運んでいきます。

災害支援で活躍した例も

機能を生かして過去に災害支援を行った事例もあります。

ナホトカ号重油流出事故が起きた際に、重油を取り除く作業としてスクイーズ式のポンプを使い逆転させ回収しています。

福島で燃料棒冷却の放水にも役立つなど、柔軟に対応できる機能もありさまざまな場所で活躍しています。

コンクリートポンプ車の仕組み

ブームを使ってコンクリートを送り出す

コンクリートポンプ車は別名「コンクリート作業車」と呼ばれることもあります。同じコンクリートポンプ車と言ってもブームがついているタイプもあれば、ついていないものもあります。

コンクリートポンプ車は後方についている、40mもの長いブームを使います。ポンプを使って作業を行うことからこの名前で呼ばれています。離れた場所や高い場所にコンクリートを送り出す役割を担っています。

コンクリートポンプ車が打設箇所に近寄れない場合でも、問題なく作業を進められます。40m以上の高さになるとコンクリートポンプ車だけでは対応できなくなるので、手動で配管を引いてポンプのみを設置して使うこともあります。

コンクリートポンプ車の大きさによっても対応できる作業範囲や圧送能力が変わります。例えば一番小柄な2tは11m程度、4tポンプ車になると16m~18m、8tポンプ車になると21m~26mまでブームを伸ばせます。

コンクリートポンプ車には種類がたくさんあり、世界には最大60m以上の範囲をカバーできるものもあります。他にもミキサー車の役割を担っているコンクリートポンプ車もあります。幅広い機能を搭載するなど、常に進化し続けています。

また、ブームのついていないタイプは、配管車と呼ばれておりポンプから配管を直接敷設して圧送しコンクリートを送ります。アウトリガーもないので、作業スペースをほとんど取ることもありません。

作業スペースも通常のトラックとも変わりません。高さ制限のある場所だったりするなど、超高層ビルなどの作業にも使われています。圧送能力など機能性の高い超高圧仕様の配管車もあるなど、使う場所によってさまざまな形があるのも特徴です。

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基本構造

コンクリートポンプ車の基本構造は「運転席」「ブーム」「アウトリガー」「操作パネル」「ホッパ」になります。運転席は主に運転のみを行う場所になり、ブームの操作は行いません。

ほとんどトラックと同じ形になるので、トラックの運転に慣れている人には問題ありません。4tポンプ車や8tポンプ車でもこのあたりについては違いはなく、基本的にブームを移動するなど動かすのは後方にある「操作パネル」です。

ブームには4tポンプ車や8tポンプ車などの種類によっても違いますが、現在の主流は4つ折にたためるものになり、コンパクトな外見をしています。それなのに40mもの長い範囲までコンクリートを運べるので、驚く人もいるのではないでしょうか。

アウトリガーは、ブームを使用するときに車が傾かないように安定させる役割があります。張り出し脚のような役割をしているため、設置する際に大きな幅がないと対応できないこともあります。

コンクリートポンプ車は取り扱いが難しい部分もあり、風の影響を受けやすいこと操作方法も簡単とはいえません。ブームによって軽量化されているものもあり、他の車体を運転したことがある人でも難しく感じることもあります。

それぞれの構造に役割があるので、一つとして欠けてしまうと、コンクリートポンプ車として機能しなくなってしまいます。

コンクリートポンプ車の種類

コンクリートポンプ車には、ブームがあるかないかの2種類のタイプがあります。

実際に多くの現場で使用されるのはブーム車がほとんどです。それは、現場での活用幅の広さや高所へのアプローチなどが要因のようです。

ブーム(アームのような棒)で、運ぶのが難しい場所に、生コンクリートを送り込むことができるポンプ車です。

大きな物では、ブームの最大作業高さは40m弱まであります。
したがって、マンション建設等の、高所の難しい場所へのコンクリートの運搬が、比較的容易となります。

ただし、高い場所に重い物を運ぶので、車体が倒れないよう安定性を保つ必要があり、アウトリガーを張り出すことになります。

ブーム車

生コンクリートを圧送するために、折りたたまれたブームを備えているコンクリートポンプ車です。

ブームの長さは、輸送できる架装シャシの重量で変わります。

一般的には、2tポンプ車で11メートル、4tポンプ車で16から18メートル、8tポンプ車で21~26メートルなどとなっています。

ブーム車は高所の生コン圧送にも適している構造となっています。そのため、高所の作業をより安定されるため、アウトリガーが備わっている場合がほとんどです。また、ブームの折りたたみは4段が主流です。

配管車

ブームを備えておらず、ポンプから生コンクリートを直接配管して圧送するタイプのコンクリートポンプ車を、「配管車」と名付けて区分けしています。ブーム車とは違いアウトリガーもありません。

配管車はブームを保持していないため、高所障害物への制限がなく山間部や鉄塔の基礎工事などの現場で使用される事があります。

コンクリートポンプ車の打設・圧送

コンクリートミキサー車と連携して作業する事が多く、ミキサー車で運ばれた生コンクリートを、コンクリートポンプ車がポンプで圧送します。圧送とは、ポンプで圧力をかけて吸い上げることです。

圧送方法は「ピストン式(押し出し式)」と「スクイーズ式(絞り出し式)に分類されます。

ピストン式

ピストン式は、コンクリートピストンが後退するときに、ホッパ内にある生のコンクリートをシリンダの中に吸い込ませます。前に進むときに押し出し圧送する仕組みになります。

コンクリートピストンと呼ばれる部分が後ろへ下がる時に、ホッパ内部にある生コンクリートをシリンダ内に吸入し、ピストンが前へ進む時に吐き出して圧送するコンクリートポンプ車です。

筒型の水鉄砲で水を吸い込み吐き出すといった動作を連続的に行う事で、コンクリートを押し出します。特徴としては、圧送する能力に長けており、より粘度の高い生コンクリートを輸送する事が可能です。

4tポンプ車や8tポンプ車はもとより、GVW25tポンプ車といった大型な車輌にも活用されている方法です。

スクイーズ式

スクイーズ式は円筒ドラムの内側にセットしたチューブを歯磨きのように、ローラで絞り出しながら圧送します。それぞれにコンクリートを無駄なく排出してくれる優れた方法といえます。

ポンピングチューブと呼ばれ円形の筒を円形のドラムの内側にセットし、回転式のローラーで絞り出す方法です。

チューブタイプの歯磨き粉や調味料から、中身を押し出す姿を想像すると理解しやすいはずです。スクイーズ式は、生コンクリートを充填する時などに、余分なコンクリートを比較的排出しないため、資材の無駄を省けるというメリットがあります。

圧送能力はあまり高くないので、主に建築現場などで活躍を見せています。そのため、住宅や小型の店舗といった場合は、スクイーズ式のコンクリートポンプ車を使う場合が多いようです。

コンクリートポンプ車のタイプとしては2tポンプ車、4tポンプ車、6tポンプ車、8tポンプ車など、大型ではない車輌に装備されています。

また、アメリカのチャレンジクックブラザーズ社が国際化に対して技術を提携したという事から、一部では「チャレンジ式」とも言われれているようです。

コンクリートポンプ車の免許・資格

コンクリートポンプ車で作業する上で必要な免許・資格は以下の3つです。

  • コンクリートポンプ車特別教育
  • コンクリート圧送施工技能士
  • 特殊自動車免許

また、コンクリートに関する資格として以下の2つがあります。

  • コンクリート診断士
  • コンクリート技士・主任技士

コンクリートポンプ車特別教育

コンクリートポンプ車は、高い技術を必要とします。また、労働安全衛生法によって厚生労働省が定めた法律があり、危険性がある有害な業務に労働者を働かせるときは、その業務に関する、安全または衛生のための特別な教育を行わなくてはいけないとしています。建設機械のなかには22種類が該当しますが、そのなかの一つにコンクリートポンプ車も含まれます。

そのため、車両系建設機械の作業装置に関わる特別教育を修了していることが条件として定められています。この資格は小型、2t ポンプ車、4tポンプ車や8tポンプ車どれも関係なく“重量無制限”になり、どんなポンプ車の操作にも対応できます。もちろん、この資格とは別に車の免許を持っていることも運転するうえでは必須になります。

コンクリートポンプ車特別教育は、一般社団法人全国コンクリート圧送事業団体連合会が実施しています。

コンクリートポンプ車特別教育|一般社団法人全国コンクリート圧送事業団体連合会(公式ホームページ)
一般社団法人全国コンクリート圧送事業団体連合会のコンクリートポンプ車特別教育です

コンクリート圧送施工技能士

コンクリート圧送施工技能士は、コンクリート圧送作業に必要な技能を認定する国家資格です。

資格は1級と2級に分かれており、実技試験と学科試験によって検定が行われます。受験には2年以上の実務経験が必要です。

コンクリート圧送施工技能士は、一般社団法人全国コンクリート圧送事業団体連合会が実施しています。

コンクリート圧送施工技能士|一般社団法人全国コンクリート圧送事業団体連合会(公式ホームページ)
一般社団法人全国コンクリート圧送事業団体連合会のコンクリート圧送施工技能士です

特殊自動車免許

コンクリートポンプ車の運転には、特殊自動車免許が必要です。

特殊自動車免許には、大型と中型があります。

コンクリート診断士

コンクリート診断士とは、コンクリート構造物の調査・診断・維持管理に関する幅広い知識を持った技術者を認定する資格です。公益社団法人 日本コンクリート工学会が資格を管轄する、民間資格となっています。

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コンクリート技士・主任技士

コンクリート技士とは、コンクリートの製造、施工、配合調合設計、試験、検査、管理および設計など、日常の技術的業務を実施する能力のある技術者です。

コンクリート主任技士とは、コンクリート技士の能力に加え、研究および指導などを実施する能力のある高度の技術を持った技術者です。コンクリート技士の上位資格になります。

コンクリート技士、コンクリート主任技士は、国土交通省:土木工事共通仕様書等において「コンクリートの製造、施工、試験、検査及び管理などの技術的業務を実施する能力のある技術者」と規定されています。
また、土木学会「コンクリート標準示方書」、日本建築学会「建築工事標準仕様書 JASS 5 鉄筋コンクリート工事」において、「コンクリート構造物の施工に関して十分な知識および経験を有する専門技術者」と位置づけられています。

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まとめ

コンクリートポンプ車は建設現場に関わらず、さまざまなところで活躍しています。所定の資格が必要なものにはなりますが、災害時にも活躍できる優秀な車といえるのではないでしょうか。

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