安全書類(グリーンファイル)とは?全建統一様式の施工体制台帳などの解説

安全書類(グリーンファイル)は、建設業法、労働安全衛生法、建設業雇用改善法に規定されている安全に関し、定められている要求事項がすべて記載された書類です。

安全書類の様式に沿った無料のフリーソフトやアプリは、エクセル(excel)に安全様式ごとにテンプレートを備え、入力ツールや選択ツールで必要事項を入力すれば、安全書類が作成できます。

人気のもの、ランキング上位のものなどダウンロードして使ってみる際に、いくつかを比較することで、工事に合った様式を作りやすいソフトが選べ、おすすめです。

安全書類全体を体系化した、システム化ソフトウェアも多くの会社から出され、改訂最新版の様式になるように常に更新されていて安全に使うことができ、ダウンロードしての試用もおすすめです。

【全建統一様式】安全書類作成フリーソフト
全建統一様式で安全書類を作成できるソフトを導入するときは、比較検討を建設業で必要となる、全建統一様式にて安全書類(グリーンファイル)を作成できるソフトウェア(アプリ)を導入しておけば、書類作成にかかる時間を短縮することが可能なのでおすすめで

安全書類(グリーンファイル)とは

安全書類(グリーンファイル)は、下請会社から建設業元請会社(ゼネコン)に提出される安全に関する書類群です。

書式はゼネコン各社ごとに少しずつ異なっていますが、記載事項はほぼ同じで、共通化した全建統一様式と内容は同じです。

全建統一様式は、全国建設業協会が作成した安全書類(グリーンファイル)の様式で、建設業法に定められている要求事項を満たした内容です。

全建統一様式は、平成7年に初版が出され、改訂最新版は令和2年に発行されています。

全建統一様式の改訂最新版の中で、労働安全衛生法に基づいた書類は、次のような内容です。

①作業員名簿は、特定元方事業者の講ずべき措置、安全衛生責任者、作業主任者、作業主任者を選任すべき作業などの法令に基づいた内容になっています。

②免許・資格証は、職長等の教育、作業主任者、就業制限、技能講習、作業主任者の選任、技能講習、安全衛生教育などの法令に基づく内容です。

③移動式クレーン、車両系建設機械等の持込機械等使用届は、移動式クレーンなどの機械を持ち込む際の法令規則に基づきます。

④電動工具、電気溶接機等の持込機械等使用届は、漏電による感電の防止、溶接棒等のホルダー、ワイヤーロープ、不適各なワイヤーロープの使用禁止などの法令の規制内容です。

⑤危険物・有害物持込使用届は、危険物取扱者、技能講習、危険物の製造時の措置、作業主任者の選任、有機溶剤作業主任者の選任、有機ガス用防毒マスクの使用、特定化学物質等作業主任者の選任などの法令の遵守事項です。

⑥火気使用願は、ガス等の容器の取扱い、油類等の存在する配管又は容器の溶接等、通風等の不十分な場所での溶接等、静電気の除去、立入禁止等、消化設備、防火措置などの法令に基づく届け出です。

安全書類(グリーンファイル)の提出方式

建設業ゼネコンから発注された協力会社は安全書類を作成し、ゼネコンに提出します。

ゼネコンは、それらの安全書類(グリーンファイル)を現場で保管し、それをもって現場の安全を管理します。

例えば、三次下請けは二次下請けに安全書類(グリーンファイル)を提出し、二次下請けは、三次下請け全社からそれを受け取り整理し、一次下請けに提出します。

一次下請けは、それらをまとめて建設業ゼネコン(元請会社)に整理し提出します。

全建統一様式の施工体制台帳関係書類

全建統一様式は、安全書類(グリーンファイル)を作成するために、全国建設業界が作成した共通様式で、建設業を中心に土木業、設備関係会社、電気設備業界などの会社が使っています。

年々改訂を重ね、改訂最新版を使って安全書類を作るようにしています。

全建統一様式にある帳票は、次のような体系様式で出来上がっています。様式フリーといった自由に安全について書く様式はありません。

第1号甲は、再下請負通知書(変更届)で、自社の情報と下請業者の情報を記入する様式です。

元請名称、工事名称、工事内容、工期、注文者との契約日、建設業の許可、健康保険等の加入状況、現場代理人名、主任技術者名、安全衛生責任者名、安全衛生推進者名、雇用管理責任者名、専門技術者名を記載します。

第1号乙は、下請負業者編成表で、担当工事内容、会社名、安全衛生責任者、主任技術者、専門技術者、工期などを記載します。

第2号は、施工体制台帳作成建設工事の通知で、元請が発注者から受注した工事内容を、下請業者への通知内容です。

第3号は、施工体制台帳です。

建設業法では、直接建設工事を請けた場合、ある金額以上では、施工体制台帳と施工体系図を作成する必要があります。

施工体制台帳を作成するのは、一次下請だけで、二次下請け以降の作成は必要ありません。工事情報、建設業許可の情報、社会保険の情報、各担当者情報などを記載します。

第4号は、工事作業所災害防止協議会兼施工体系図で、一般的には施工体系図と言います。

施工体系図は、全ての工事関係者の施工体制を把握し、施工の責任と工事現場の役割区分を示し、主任技術者や専門技術者を確認することが目的で作成されます。

第5号は、作業員名簿で、作業員の情報として、氏名・職種・属性・経験年数が書かれます。

作業員名簿には、作業員の具体的な情報として、年齢・連絡先・電話番号、健康診断日、社会保険、特別教育、技能講習、免許などの記載が必要で、作業員名簿が完成します。

第6号は、工事安全衛生計画書です。工事安全衛生計画書は、現場工事を進めるに当たって、どのようにして安全に工事を行うか、安全の方針や目標、行動計画などを決め、作業員全員が同じ安全意識を持って工事に当たることを決意するものです。

安全方針や安全目標は、工事安全衛生方針、日常を含む安全衛生活動、資機材・保護具・資格の区分・種類などが決められます。

第7号は、新規入場時等教育実施報告書で、現場で働く人が、安全衛生教育を受講したことを証明する報告書です。事業所の名前、所長名、会社名と現場代理人、教育の種類、実施日時、実施場所、教育内容、講師、受講者氏名、講習で使用した資料などが記録されます。

第8号は、安全ミーティング報告書で、安全ミーティングやKYK活動など安全行動の記録を記した安全書類です。書類には、出席者全員の自筆の署名を入れて、いわば安全活動を行ったという証拠とするものです。

第9号は、移動式クレーンや車両系建設機械などの使用届です。

機械の情報、自主・性能検査の情報と検査証の有効期限、接触防止措置など、移動式クレーンの持込時の点検表と点検結果、点検者などからなっていて、移動式クレーンなどの機械が安全に現場に搬入された証明書ともいえる書類です。

作業員名簿を作成する際に、困ることは、事業規模や工事規模が大きくなり、作業員が大幅に増えたときの対応です。

安全施工サイクルを意識付ける工夫とは

作業現場の安全衛生管理活動は、工事期間中の全工程にわたって、毎日・毎週・毎月、計画を立て実施しなければなりません。

安全施工サイクルは、毎日の安全活動を基本的に定型化して、実施内容改善と充実を継続的に全作業員が行っていく活動です。

安全施工サイクルは、現場に施工管理と安全衛生管理を常に行うことで、施工と安全衛生の一体化を推進することを目的とし、無事故・無災害で工事を完了させることを意識しています。

具体的な活動としては、朝の体操と朝礼、作業前の安全ミーティングとKYK、作業開始前の機工具の点検、作業中の安全パトロール、毎日の工程会議、作業終了後の後片付けなどを行います。

工事現場における安全書類の作成義務

安全書類いわゆるグリーンファイルを作成することは、工事現場では義務とされています。

これは、施工体制台帳と同様に、工事現場ではさまざまな情報を共有化し、安全にそして安心して完了まで工事を進めていくためです。

施工体制台帳には作業員名簿などの、工事に関わる建設業者および作業員の名簿が添付されます。この作業員名簿は施工体制台帳の中でも、グリーンファイルとなる安全書類に分類される書類です。

施工体制台帳に含まれ得る作業員名簿は、工事に関わる作業員の氏名やどの建設業者に所属しているのかを把握するだけの書類ではありません。

作業員名簿は、作業員が現場にいつ入場したか、そしていつ退場したかを把握するためにも大切な安全書類(グリーンファイル)となるのです。

そのため、施工体制台帳の中でも安全書類いわゆるグリーンファイルとしての取り扱いとなっているのです。

実際の安全確保におすすめの安全施工サイクル

安全書類の作成は作業を潤滑に執り行うために非常に大切なものです。

しかしより重要なことは、実際にどのように安全を確保するかというところです。

おすすめしたいのが「安全施工サイクル」です。安全施工サイクルは、毎日、毎週、毎月と安全と施工を一体化して日常的に安全を習慣化させる方法です。

毎日の安全施工サイクルでは、安全朝礼を全員で行います。

そして前日のヒヤリハットの確認や現場のルール確認、体調管理の確認などを行います。

また、安全ミーティングと呼ばれる作業班ごとに分かれてのKY活動についても、安全施工サイクルで行います。

加えて作業開始前に使用する設備や工具などの点検や、作業箇所の足場といった場所を点検するのも大切です。安全パトロールによる作業中の指導・監督も取り入れ、安全工程の打合わせや作業終了時における後片付けの時に安全確認を行いましょう。

週間の安全施工サイクルとしては、曜日を決めるなどして安全施工サイクルを行い、前の週と比較してどの部分に危険が潜んでいたかなどのチェックや周知を行います。

また、月間安全施工サイクルも同様に、前の月との比較を行うとともに、安全強化月間などを儲けるなどして、安全に対する啓発を行うことが大切です。

こうした、安全に対して常に気を配りそしてそれを循環させていくことで、安全が習慣化し安全を常に意識した現場を作り上げることができます。

書類やポスターだけではなく、日々の業務や週毎のミーティング、月ごとの報告会などでも安全について必ず取り上げるようにしましょう。

安全に勝る行動はありません。どんな事柄よりも安全が第一に優先されるということを肝に銘じて、安全意識を常に心がけるようにしましょう。

安全書類作成は全建統一様式で統一された様式に

施工体制台帳は様式フリーです。

もちろん、安全書類といわれるグリーンファイルも様式フリーですし、作業員名簿も様式フリーです。

しかし、それぞれの書類が様式フリーで形態がバラバラだったり、様式フリーだからと建設業者ごとにバラバラだと、建設業者間だけではなく第三者が書類を確認した時に、見方がわからなくなってしまいます。

そこでよく使用されるのが、全国建設業協会が提供している施工体制台帳および安全書類(グリーンファイル)である「全建統一様式」です。

様式フリーとして書類を作成している場合は、システム導入を検討するのがおすすめです。

特に公共工事においては、全建統一様式を使用することがおすすめだと言えます。

それは、全国建設業協会に所属している建設業者の多くは、公共工事への入札参加資格申請を提出している建設業者だからです。

この全建統一様式を使用することで、例えば作業員名簿(第5号)や社会保険加入状(第5号別紙)、移動式クレーン/車両系建設機械等使用届(第9号)といった書類を、統一のテンプレートで作成することができるのです。

ちなみに第5号や第9号は、全建統一様式テンプレートで提供されている号数です。

第9号「移動式クレーン/車両系建設機械等使用届」のように名称が長い書類もあるので、第5号や第9号という号数で覚えておくのもおすすめです。