雨が降ると、河川が増水し、排水管に水があふれるという状況が生じ、それを避けるために流量計算・排水計算・雨水計算を行って、河川流量計算から流下能力計算や貯水量やダムの放水量を検討します。
排水の場合は、雨量計算から排水流量を求め、雨水浸透計算や排水管の排水管口径計算や雨水浸透計算などから排水水路の検討を行います。
流量とは
流量とは、単位時間に流れる流体の体積または質量です。
さらに、体積流量と質量流量に分類されます。
液体の流量計算で用いられるのは、一般的に体積流量です。
体積流量とは
体積流量とは、単位時間あたりにある面を通過する流体の体積です。
質量流量とは
質量流量とは、単位時間あたりにある面を通過する流体の質量です。
流量の単位
流量の単位は、m3/s(立法メートル毎秒)です。
m3(立法メートル)をL(リットル)に置き換えたり、s(秒)をm(分)・h(時)に置き換えたりするケースもあります。
流量計算とは
流量計算とは、設計する構造物の大きさ、水路や管路等のサイズで、流下能力が可能か否かを判断するものです。
一般的に流量計算の対象は、道路排水、道路側溝、下水道の雨水計画・汚水計画、上水道の給排水計画、農業用水の水路・圧送管路等、河川等に流れ流水になります。
国土交通省・農林水産省・厚生労働省等、それぞれの設計基準に整合した計算式を用いて計算します。
流量の公式
流量の公式は、Q=A×vです。
Q | 流量 | 単位時間(1秒間)に水路のある断面積Aを通過する水の体積 |
A | 流積 | 水が流れる部分の面積 |
v | 流速 | 水路のある固定点を通る水の速度 |
流速とは
流速とは、水路のある固定点を通る水の速度です。
流速は、距離÷時問で計算されます。
流積とは
流積とは、水路で水が流れる範囲の断面積です。単位はm2、cm2などです。
水路断面とは
水路断面とは、水路内の一つの切口で、水の流れに対して直角の方向となります。
潤辺とは
潤辺とは、流積で水が周囲の壁や底と接している長さSで、単位はm、cmを使います。
流積Aを潤辺Sで割った値が、径深Rあるいは水理学的平均水深Rと言い、R=A/S、で計算されます。
① 幅が広く、水深の浅い河川の場合は、径深Rと水深Hはほぼ同じになります。
② 円形管水路の場合は、R=D/4(Dは管の内径です)、で計算されます。
流速vは、断面内の位置によって異なってくるため、平均流速uが使われます。断面平均流速vは、断面内の各点の水の流速を平均化して、断面全体の流速を表しています。
流量計算のポイント
摩擦損失の違いによる摩擦損失水頭の変化
水に限らず流体というものは必ず粘性があります。これは気体でも液体でも必ず存在します。
もちろん気体の種類や液体の種類によっても粘性が変わってきます。そのため、水路や配管の中に水などの流体が流れるときはその粘性により、水の粒子と流路の間の表面摩擦及び水流体同士の間に内部摩擦が生じます。
これらの摩擦減少により水が流れようとするエネルギーは、一部が熱エネルギーに変換されてしまい、これが摩擦損失抵抗となります。これを特に流体では摩擦損失水頭と呼びます。
例えば配管や水路の内径が変化せずに平行に設置している場合、上流と下流の圧力P、速度v、水頭zの値が全てP1=P2、v1=v2、z1=z2の場合水は流れません。
そのため必ずP1>P2、v1>v2、z1>z2という状態になることが必要です。これら摩擦損失を考慮した流体の式はベルヌーイの定理と呼ばれています。
摩擦損失水頭hというものは、水深の深さに比例する、速度水頭に比例する、配管や水路の直径に比例するという特徴があり、これらの関係を表した摩擦損失水頭の計算式がダルシーワイスバッハの式となります。
この中で難しいのが摩擦損失係数というものです。例えば同じ流体を同じ圧力、速度、高低差で流すとしても流す管路の中の摩擦損失が違えば摩擦損失水頭も変化していきます。
しかし、全ての管路内部の摩擦損失がどの程度かを知るのは非常に困難です。それを表したのがニクラーゼの実験結果です。
層流の範囲ではある一定の直線状に変化して、乱流の範囲では配管の管路の材料などにより変化することがわかります。
このようにベルヌーイの定理の計算やダルシーワイスバッハの式による摩擦損失水頭の計算、流量計算やそれに伴う配管流量計算は非常に難しく手計算で行うのは困難です。
摩擦を考慮した流速の計算
配管や水路の中での流体の流れは最も管壁の摩擦を受ける管壁付近の速度が遅く、中心部になるほど管壁の影響を受けないので早くなります。
これらを表すのが摩擦速度となります。 層流の場合の配管や水路内での流速分布は一定の放物線を描いているように表現することができます。
この流速分布をハーゲンポアジュールの法則と呼びます。流速を計算するには水の粘性係数より計算します。
乱流になるとその名の通り水が管内で激しく渦を巻きながら進んでいます。そのため管壁に非常に近いところを除けば流速の分布は一様になっていると考えます。
そのため、乱流の場合の平均流速の計算は対数や壁面の粗さを考慮することが必要で非常に複雑なものになります。
このように摩擦を考慮した流速の計算は流量計算、排水計算、配管流量計算で非常二重です。しかし同時に非常に複雑になる場合が多いです。
水路の流量計算 その1
河川や人工的に作成した水路の計算で実験から導き出されたのがマニングの式となります。
この式は非常に単純でわかりやすく、河川や水路でも高い精度を有し、乱流や壁面が荒い水路でもよく適合するので幅広く使用されています。
その中でも粗度係数という係数が使用されています。これは簡単に言うと水路の壁面や底の粗さを示す値です。
値が低いほどなめらかで高いほど荒くなります。これらも壁面の種類により規定されているので、簡単に使用することができます。
水理計算とは
水理計算とは、流量計算と異なり、次のように水の特性を把握する計算方法です。
- 静水圧による水圧計算、浮力の計算
- 水の運動エネルギー計算、層流乱流計算・等流・不等流・損失水道計算
- 管水路のサイホン計算・管網計算・ポンプ計算
- 開水路の複断面河川の流量、水路断面の計算
- オリフィス・せき・ゲート等の計算
水路とは
水路とは、水が継続的に流れているときの道筋です。水路の流れは、大気圧と接触している自由水面がある開水路と、自由水面がない管水路分けられます。
管水路の特徴
管水路の特徴は、① 周囲が壁で囲まれ、断面が閉じている、② 管の中に水が充満して流れていることです。管水路の流れは、管の内壁に大気圧以上の水圧が作用し、その圧力差で水が管内を流れます。水路の形状が途中で変わると、管の壁面の圧力が変化するため、圧力が減少すると、流れが速くなります。
開水路の特徴
開水路の特徴は、① 水面が大気圧に接している、② 水面は、流量や水路断面が変化すると上下することです。開水路の水面を自由水面と言い、開水路では、自由水面があるため、常流や射流のような流れが起こります。流れの方向は、水に作用する重力に左右され、高い所から低い所へと流れます。もし壁面が管の形をしていても、下水道管のように自由水面があれば、それは開水路です。
閉水路の流量計算
閉水路では横断面や鉛直方向で速度分布を考慮することが必要です。
一般的な長方形断面の閉水路では最大流速が発生するのは、水平方向では中央、鉛直方向では水面のやや下と言われています。
なぜかというと水面や壁面に近づくに従い水の表面張力により、速度が低下していくからです。
水路における水の接する壁・底の長さの合計を潤辺と呼びますが、ここの摩擦力が水路の速度に大きく影響します。
この場合水路の角度や表面摩擦力から計算する必要があります。
同様に水路の鉛直方向の速度分布では層流か乱流により速度分布が大きく異なります。
層流の場合は比較的単純な式となりますが、乱流の場合はハーゲン・ポアジュールの式と同様に対数を使用する必要があるので、手計算では非常に難しくなります。
このような水路に関する計算を行うことで雨水排水計算や雨水流量計算を行うことができるため、水路流量計算は非常に幅広い範囲で応用できます。
平均速度公式と摩擦抵抗則の使い方
水路の中に水が流れると考えるとその中の流速分布もしくは平均流速は、勾配による流れの力と壁面の摩擦損失により釣り合った状態となります。
しかし、実用上は平均流速公式を用いることが非常に多いです。昔からこれらは実験によって導き出されてきました。よく使用されるのがジェシーの公式とヘーゼン・ウィリアムスの公式となります。
下水道の計算に使用されるのがジェシーの公式となります。非常に多く使用される式です。基本的に勾配と深さから流量係数をもとに計算していきます。
その場合は水路の性質により係数が固定されているので比較的簡単に計算することができます。 アメリカで実験結果をもとに導かれたのがヘーゼン・ウィリアムスの公式です。逆排水管の設計で非常に多く使用される式です。こちらはジェシーの四季より若干複雑となっています。
また、平均流速が1.5m/s未満の場合は適用外なので注意が必要です。 このような水路の排水計算や排水勾配の計算は水路を設計する上で書かせません。これにより排水勾配計算なども行うことができるからです。
水路の流量計算 その2
短い時間に作用する水の力
ノズルから激しく噴出する水は非常に大きな力を持っており、配管の中を流れる水は曲がりがあればその管壁に影響を及ぼしながら流れていきます。
このような流体の運動の中でも極めて短い時間に働く場合は運動量の方程式を使用します。 この場合の運動量というのは速度と質量をかけ合わせたものを表します。
特にある秒数の中で速度が変化した場合は力とその時間をかけたものに等しくなります。 またこのような場合は必ず反力が働きますこの場合の反力も計算で求めることができます。
波圧の計算
海などで水面が上下に動きながら伝達していく減少を波といいます。
波が防波堤などに衝突して水しぶきになることを見たことがあると思いますが、この波が及ぼす力を波力といいます。
波にも種類があり重複波と砕波の二種類に別れます。しかし、実際の波は複雑でこれらの2つに完全に分けることは不可能です。 波圧の計算としては合田式が代表的な計算方法です。
この式は重複波と砕波の区別をせずに計算することができます。幅広く使用される式です。 波圧の計算は非常に複雑で計算するのは大変です。このような式はネット上のアップロードされているソフトウェアを使用するのがおすすめです。人気のソフトを調べるのは比較サイトなどを使用して調べるのがおすすめです。