電圧降下とは?電圧降下計算によるケーブルサイズの選定方法を解説!

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電圧降下とは、電線に電流が流れるとき、電線の電気的抵抗により熱が発生し、電圧が低下する現象のことです。電線が細い、電線の敷設距離が長い、電線を通る電流が多いほど、電圧降下が大きくなります。電線が太いほど、電気抵抗値が小さくなるため、電圧降下は少なく、多くの電流が流れますが、ポンプなど機械には許容電流計算によって多くの電流が流れると、機械を焼損させる問題が生じます。

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電圧とは

電圧は、電流の流しやすさ、または電流の流しにくさを表します。高い電圧は、強い力で電流を流します。電圧は、電流が流れるかどうかや電流の量の多さをコントロールしていると言っても良いでしょう。
電池の+と-極の間に電圧計を並列につなぎ、電池の電圧を測るときに、電圧は+と-の電位の差、電位差を測っているいることになり、「位」という言葉が電圧の意味です。

電位とは

電位とは電気的には、位置エネルギーで、その位置エネルギーの差が、電圧を生じさせていると言って良く、2つの位置エネルギーの間に、道のようなものがあれば、マイナスの電子が移動することになり、それが電流です。

電位差とは

電位は電荷がある点の位置エネルギーのことですが、この点の電位と、基準点の電位との差を、電位差と言います。

電圧は0〔V〕の点を基準に取り、この点との電位差が、E〔V〕のように表され、E〔V〕の点と0〔V〕の点を導体で接続すると、回路に電流が流れます。

導体に電流が流れると、導体の抵抗でジュール熱としてエネルギーが消費されるため、安定した一定電圧を維持するには、電源の供給源を常に印加する必要があります。

電流とは

電流1[A]とは、1秒間に1クーロンの電子が通過した値です。定義はもっと難しいのですが、要は、1 Ωの抵抗に1 Vの電圧の電源をつないだ時、そこに流れる電流が1Aということです。

電池につないだ電球が、明るく光っている状態から暗くなっていくのは、電圧が下がるとともに電流も少なくなったからで、電圧とは電流を流す必要条件なのです。

ということは、電圧が上がると電流も増え、逆に、電圧が下がると電流も減少するということです。

許容電流とは

電線ケーブルには電流が流れますが、常に流すことができる最大電流が許容電流です。

許容電流計算は、電線に電流を流し続けたときに温度が上がる限界と、周囲の温度、ケーブル配線の環境から、許容電流計算ができます。

電線材料にはPFAやPVCやポリエチレンのように多くの材料があり、それぞれ最高の使用温度が違います。また、電線の太さが大きくなると許容電流も大きくなります。

さらに、電線管に入れると周囲温度が違ってきますので、電線管内のケーブル占有率も影響されます。

そのため、許容電流計算は、ケーブルサイズ選定を行い、電線配管サイズ計算から電線管サイズ選定を行い、許容電流計算に必要なデータを求め、それをもとに許容電流値を求めます。

電力とは

新しい電池2つに対し、それぞれの電池に別々の電球をつないだ時、一方の電球は明るく光り、もう一方の電球は暗く光るとしたとき、長い時間、光っていられるのはどちらかについて考えてみます。

2つの電池が持つエネルギーは同じだとして、明るい電球の方の電池はエネルギーを短時間で使い切り、電圧がなくなるので暗い方より先に切れます。同時に、明るい電球の方に流れる電流は、暗い電球より多くの電流が流れます。電球が消費したエネルギーを、電力(単位はワット)と言い、電力=電圧×電流、で表されます。

電圧を上げて多くの電流を流すことは、多くの電力が利用できますが、電力を多く使ってしまうとも言えます。電力=電圧×電流の関係から、電力である電気エネルギーを高くするには、電圧と電流の両方を増やせば効果的に電気エネルギーが上がります。

電源から屋外にケーブルで繋いだ電動機器は、電動機器を使っている間、電流が流れ、電圧が低下しますが、電源は常に電源が供給されるため、電圧を維持することができます。

しかし、電気エネルギーを使うのは電動機だけでなく、電源と電動機をつないだケーブル間の抵抗でも消費されます。それによって電圧降下計算に従った電圧が低下するため、電動機器への電圧が低下し、電動機器が動かなくなる場合があります。

電圧降下とは

電圧降下は、電線内を流れる電流が、電線内の抵抗で発熱しエネルギーが失われることで、電圧が低下する現象です。

電圧降下の計算では、電線長さと電流に比例し、電線断面積に反比例します。すなわち、電線の径が大きいほど電圧低下は小さく、遠くのところまでケーブルを引くと大きい電圧降下が起こります。

電圧降下は電気の種類により少し異なり、単相2線式、三相3線式、単相3線式ごとに計算式があります。しかし、係数が異なるだけで、電線長さ比例するなどの条件は同じです。電圧降下量をどれほどにするかは、電気規定によって許容値が示されています。

電圧降下は、抵抗部分で電圧が低下する現象で、電源電圧E〔V〕と大きさが等しい方向が逆の電圧から、逆起電力と言います。

電源や測定器には内部抵抗という抵抗が最初から挿入されていて、この抵抗による電圧降下計算した値が内部抵抗電圧降下です。回路に接続する抵抗は、負荷抵抗といいます。

電圧降下計算に当たっては、交流の場合は、負荷の電力・力率・線路の交流抵抗・インダクタンスを考慮した電圧降下計算が必要です。

ケーブルの抵抗による電圧降下

電源と電気機械間は、ケーブルで繋いで電流を流し、電気機械を動かします。しかし、ケーブルには抵抗があって、長さとサイズに比例して増えていきます。

そのため、電源と機器の間が遠いとそれだけケーブルの抵抗が増えます。したがって、電源電圧は電気機械のところでは、ケーブルの抵抗によって電圧降下が起きて、その値は電圧降下計算で得られます。

電気機械には許容電流値があってそれ以上の電流を流すと、機械が焼損するため、許容電流計算による電流値を保つ必要があり、適切な電圧が必要です。

そこで、電源と機械の間で、電流が許容以内に流れるような電圧降下となるように、電圧降下計算が必要で、適切なケーブルサイズ選定が必要になります。

ケーブルには、種類が多いことと、ケーブル径も色々あり、ケーブルサイズ選定はケーブル仕様と比較を行って、適切なケーブル選定が必要です。

電圧降下計算に必要な抵抗とは

物質には導体と絶縁体があり、導体は金属のように電気を通しやすく、絶縁体はゴムやガラスのように電気を通しにくい性質があります。

電気回路は、導体による電線(導線)で、回路要素をつなぎ回路を作ります。電気抵抗(抵抗)は、電気の通りにくさを表す量で、単位に[Ω]を使います。

導線の断面積が大きいと電気が流れやすいため、抵抗は導線の断面の大きさに反比例して小さくなります。電気は導線の断面を流れる距離が長いほど、導線の長さに比例して抵抗が大きくなります。

導線の抵抗は、
抵抗値=抵抗率×導線の長さ÷導線の断面積
で計算できます。

抵抗率は、導線の種類によって決まる値です。

オー厶の法則

導体の間に電圧を加えると電流が流れます。電流は高い電圧から低い電圧に向かって流れます。

電圧の高い方から低い方への向きを正、逆を負と決められています。

印加とは電圧を加えることで、印加電圧が大きいほど、電流が多く流れ、電流値が大きくなると言います。

導体の間に抵抗を入れると、電流の流れる大きさが変わり、抵抗値が大きいほど電流値は小さく、抵抗値が小さいほど電流値は大きくなります。

電流と電圧の関係は、
電流=電圧÷抵抗
と表され、これがオームの法則です。

オームの法則は、抵抗値が温度変化に関係なく一定なら、電流は電圧に比例し、比例定数が抵抗の逆数になります。

仕事とエネルギー

物体にある力を加えてある距離に渡って動かすと、その力は物体に対し、仕事をしたと言い、仕事は力の大きさ(単位はニュートン)と、その力の方向に物体が動いた距離との積で、
仕事=力×距離
と定義され、単位はジュールです。

1ニュートンとは、力が1kgの質量の物体に、加速度1を与えるような、力の大きさです。

単位時間にする仕事を仕事率と言い、1秒間で行った仕事の仕事率の単位は、J/s=Wとなり、ワットで表します。

仕事をするために必要なものがエネルギーで、高い所にある物体には、位置エネルギー、運動している物体には運動エネルギーがあります。

位置エネルギーと運動エネルギーの和を、力学的エネルギーといいます。

分子や原子の運動は物質の温度を上げると、分子や原子の運動が活発となり、このときのエネルギーを熱エネルギーと言います。

2つの異なる物質間の熱移動エネルギー量を熱量といい、1 calの熱量は約4.2 Jの仕事に相当し、仕事と熱量Qの間には、
仕事=J×熱量
で表され、Jは約4.2 J/calの比例定数です。

電圧降下計算によるケーブルサイズの選定

機械に接続する電線・ケーブルサイズ選定には、電圧降下計算、許容電流計算、幹線計算を行って、安全なケーブルサイズ選定の必要があります。

電線とケーブル、電線管の違い

電力システ厶で、電線は重要な役割をはたします。

電線は、当初は、鉄製の単線から始まり、2本の銅線のねじり編み、中心部を鋼とした複線が作られました。

それから、2層集合線はアルミニウ厶の複線を周辺部に配した電線です。

多層集合線は、耐熱材料を異種金属の複線間に挟み込んだ電線です。電線を何本かにまとめて、ビニール被覆やゴ厶被覆で絶縁したケーブル、これらの電線が開発されてきました。

電線管は、ケープルを傷から保護し、外観を良くするために使用されます。

電線を使って送電すると、電線自体の持つ電気抵抗で発熱して電力が消費し、電力を送電する量に損失が出ます。損失は電圧降下計算と許容電流計算で算出します。

電線管の種類

ケーブル布設に当たっては、メインのケーブルダクトから外れた場所へは、電線管を通して敷設されます。

電線管の種類には、高圧や特別高圧のような高い電線路で使用する厚鋼電線管、屋内で使用する薄鋼電線管、ねじなし電線管などの種類があります。

電線管内に多数の電線を入れると、異常発熱する恐れがあるため、ケーブルの占有率が重要な管理項目です。

規格では電線管内の占有率を32%以下に抑えることを原則としていますが、条件次第で48%まで許容されます。

電圧降下や電線管サイズを計算するときに、電線種類・ケーブルサイズ・電線芯数から断面積を求め計算を行いますが、電線種類が多くあるため、電線ごとに調べて計算式に入力する必要があります。

ケーブルサイズ選定

機械に接続する電線・ケーブルサイズ選定には、電圧降下計算、許容電流計算、幹線計算を行い、適切なケーブルサイズ選定が重要です。

電圧降下とは、ケーブルに電流が流れると、電線の電気的抵抗で熱が発生し、エネルギーが失われることで、電圧が低下することです。

ケーブルが細い、ケーブルを敷く距離が長い、ケーブルを流れる電流が多い、このような状況があると大きな電圧降下が現れます。

電線が太いほど、電気抵抗値が小さくなるため、電圧降下は少なく、多くの電流が流れますが、許容電流計算によって多くの電流が流れると、機械を焼損させる可能性があります。

電線管のサイズ選定

ケーブルサイズ選定が終わったら、次に行うことは電線管サイズ選定です。

使用するケーブルサイズから、電線配管サイズ計算を行い、また周辺の腐食性があるなどの使用環境から、長期間使用できる種類の電線管サイズ選定を行います。

電源と電気機器間をケーブルで接続しますが、機械は外に設置されていることが多く、環境が良くありません。

そのため、ケーブルを裸で電源から機械まで直接引くと、ケーブルに傷が入ると使えなくなります。そのためにケーブルは電線管の中に入れて、保護する必要があります。

電線管の太さや長さは、ケーブルのサイズによって決まるため、電線管サイズ選定には、ケーブルサイズ選定とともに行います。

電線管サイズ選定に当たっては、電線管内部のケーブルの占有率が決まっているため、規定に従った電線管サイズ選定が必要で、電線配管サイズ計算に従って決めます。

 

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