建築パースとは?メリットと透視図・CAD作成方法徹底解説大全

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建築パースは建物の完成イメージを立体的に示し、施主や設計者間のコミュニケーションを円滑にする視覚資料です。メリットを理解し、一点透視図でアングルを決めてスケッチを描き、CADソフトで仕上げる流れを押さえれば、説得力ある内観や外観を効率良く作成できます。
さらに、多点透視やVR連携を活用すれば、プレゼン品質も大幅に向上します。魅力拡大。

このページでは、建築パースの基礎と作成方法について解説しています。

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建築パースのメリットと作成方法、パース(透視図法)の仕組み

建物の内観(室内)や外観を立体的に描いた図を「建築パース(透視図)」といいます。
建築パースには建築物の外観を描く外観パース、内部を描く内観パースがあります。

建築パースのメリット

建築パースのメリットとして、以下のようなものがあります。

・お客さまに完成した姿をイメージしてもらいやすくなる
・お客さまの要望に応じて内観パースや外観パースを修正することで、共通認識を形成でき、建物ができあがったときの満足度が高い
・完成度の高い建築パースはプレゼンなどの際の武器になる

建築パースの作成方法

建築パースは手描きで作成するケースやCADを補助的に使うケース、さらにはCADやCGソフトを使って作成するケースがあります。

建築パースは「透視図法」という方法で描きます。
透視図法とは、近くのものほど大きく、遠くのものほど小さく描く図法です。
透視図法は、人間の目線である「消失点」の数の違いによって次の3つに分かれます。

・一点透視図
消失点は1つです。
対象を正面から見るように描くので、室内の奥行きを表現するのに向いています。

・二点透視図
消失点は2つです。
対象を斜めから見るように描くので、室内を見回すようなアングルを表現するのに向いています。
一点透視図よりも作図は複雑なので、CADを利用することが多いです。

・三点透視図
消失点は3つです。
二点透視図に上方向の遠近感を加えた図法で、吹き抜けの空間や、高層ビルの外観などに向いています。
住宅パースや内観パースにはあまり使われません。
三点透視図もCADを利用することが多いです。

パース(透視図法)の仕組み

パースは「透視図法」ともよばれています。
透視図法の仕組みを理解するには、先ほど述べた「消失点」(VP)と「水平線」(HL)がポイントです。

天井と床、左右の側面壁、正面の壁で構成された直方体の部屋に人が立ったとき、目の位置はVPにあります。
一点透視図法では、部屋を構成する天井と床、壁が接してできる入隅は1点のVPに集まります。

また、HLはつねにVPを通っています。VPの高さが変わると、HLもともに変化します。

一点透視図で内観パースを描く方法、アングルを決めてスケッチを描く

一点透視図で内観パースを描く方法

一点透視図を使うと、落ち着いた雰囲気の内観パースを作成できます。
手描きで描くことが多く、CADは使いません。

描くアングルを決めてスケッチ(元図)を描く
平面図や立面図を見ながら、描くアングルを決めます。
アングルを決定する際は、クライアントなどパースを見る人に訴求したい部分を描きましょう。
アングルが決まったら、A4サイズ程度の紙にパースを手描きで起こしてみます。
この段階で出来上がったスケッチを「元図」とよびます。

A4サイズの紙に書くと画面全体を見渡しやすくなり、一点透視図法のルールに則ってスケッチができているか確認できます。
一点透視図法でチェックすべきポイント以下のとおりです。

・一点のVPに奥行き方向の平行線が集まっている
・奥行き方向の距離が正しい
・見せたいものを見せる適切なアングル
・アングルに不自然なゆがみがない

元図を補正し、原図を完成させる
次の手順で元図を補正し、原図を描きます。

①元図をA3サイズで拡大コピーを取り、一点透視図法のルールに沿っているかチェックします。アングルのゆがみや奥行き方向の距離にズレがあるなど、調整が必要な場合は色鉛筆で補正したり、トリミングを行なったりします。

②元図の上に薄手のトレーシングぺーパーを載せ、元図をトレースします。

③②のコピーを取り、細部を描き込みます。これで最終的な元図が完成しました。

④ダブルトレーシングペーパーを元図に載せ、ペンでトレースします。

CADを使って二点透視図で内観パースを描く方法

二点透視図は作図が複雑になるため、CADを利用します。
建物や家具などのデータを入力すれば、すぐに作図できるのがCADの長所です。

①平面図や立面図を見ながら、どの位置から見たパースを描くか決める
②CADソフトを立ち上げ、建物や家具、小物類のデータを入力する
③CADソフトを3Dビューに切り替えて、元図に使うアングルを探す
④元図をプリントアウトする
⑤④の上にトレーシングペーパーを載せ、トレースする。建物の躯体、家具・小物の順番でトレースを進める。
⑥調度品や④で描き込まなかった家具・小物類は別に用意し、トレーシングペーパーにコピーして切り抜く。人物を入れたい場合も、別に用意しておく。
⑦⑥を⑤の上に配置する。配置が決まったら、テープで仮止めしてコピーを取る。
⑧元図(⑦)にダブルトレーシングペーパーを載せ、ペンでトレースする。

外観パースの用途と制作方法

建物が未完成の状態で顧客などと話を進める場合、外観パースは重要な役割を果たします。
用途や制作方法について見てみましょう。

外観パースの用途

外観パースは建物の外観を立体的に描いたパース図です。
外観パースは次のような用途に使われます。

・完成前のマンションや住宅の外観をパースで描くことで、顧客などにイメージしやすくする。広告などにも使われる

・CADを使った建築設計の過程で外観パースを作成し、建物が落とす影や建物の見え方などが把握しやすくなる

・プレゼン資料でインパクトを与えることができる

外観パースの制作方法
外観パースは以下の要領で作成します。

①描く視点を設定する
視点の設定とは「どこから見た図を描くのか」決めることです。
水平方向と垂直方向の視点を定めます。
水平方向では、建物を正面から水平方向に左または右に60度傾けた図を描くのが基本です。
また、垂直方向では上から見下ろした視点か、下から見上げる視点かを決めます。
外観でアピールしたい点に応じて、水平・垂直方向の角度をそれぞれ決めましょう。

②光の当たり方を決める
外観パースに光を当てると、リアリティが増します。
外観パースのイメージをよりよく見せるような時間帯を決め、昼間の様子なら太陽光、夜間なら玄関の照明を入れるとよいでしょう。

③庭木や自動車などで演出する
建物の種類に応じて、背景を入れたり庭木や自動車などを配置したりすると、リアリティが高まります。
住宅パースならカーポートに乗用車を置く、高層ビルなら周囲に行きかうビジネスマンを配置するなど工夫しましょう。

建築パースの作成によく用いられるcadソフト

住宅パースをはじめとする、建築物の内観パース・外観パースの多くはcadソフトを使って作成されます。
cadソフトには特定の業界に特化した機能を備えた「専用cad」と、業界を限らず使える「汎用cad」があります。

汎用cadの基本的な機能が作図や設計機能のみであるのに対し、建築系専用のcadには窓や階段などをすばやく表示できる機能などが備わっています。

ここでは、建築系によく使われる汎用cadと建築系専用cadを見てみましょう。

2次元cadと3次元cadの違い

まずは2次元cadと3次元cadの違いを簡単に押さえておきましょう。

【2次元cad】
2次元cadは平面上に図面を描きます。1つの立体物を平面で表現するには、以下のような図面が必要です。
・正面図…正面から見た図
・平面図…ある一定の視点で水平方向に割った図
・立面図…ある一定の視点で垂直方向に割った図

2次元cadでは、直線や円弧を描くツールを使い、これらの図面を作ります。
3次元cadに比べると作業は簡単ですが、図面製作者・図面を見る者の双方に「図面を読み方に関する知識」が求められます。

【3次元cad】
3次元cadは縦・横・高さを持った立体物のモデルをパソコンの画面上で作成するcadです。
モデルの作り方には次の2種類があります。

・ダイレクトモデリング…cadに登録されている形状をベースに足したり引いたりしてモデルをつくる方法
・パラメトリックモデリング…パラメータ(数値)を指定しながら形を作っていく方法

どちらの方法も2次元cadに比べると、制作するための操作は複雑になります。
2次元cadで作った図面を見る場合、見る人は「図面の見方」をある程度知っておく必要があります。
3次元cadで作ったモデルは直感的にかたちが把握できるため、見る人にとってはメリットが大きいです。

建築士が開発した無料ソフト「jw_cad」

無料で使えるWindows用2次元汎用cadです。
建築分野をはじめとするさまざまな業界で使われており、設計事務所に勤めるならjw_cadのスキルは必須といわれています。
建築士によって開発されたこともあり、図面を手描きする感覚に近いことが、建築業界で広く使われている理由です。

jw_cadで作成した図面を3次元cadで開いて3D設計を行いたいときは、ファイルを変換する必要があります。
jw_cadのファイル形式である「.jww」は、多くの3次元cadと互換性のある「.dxf」形式に変換ができるので、jw_cadで作ったファイルを簡単に3次元cadで使えます。

2・3次元両方の作図ができる「AutoCAD」

AutoCADはアメリカのオートデスク社が開発した、2次元・3次元の両方で使えるWindows用の汎用cadです。
日本でもあらゆる業界で使われており、建築業界では大手ゼネコンや一級建築士事務所で採用されています。

実は、AutoCADには2次元作図や3Dモデリングなどの機能を備えた汎用ソフトに加え、汎用ソフトの機能に業界に特化した機能を加えた「AutoCAD Plus」という製品があります。

建築設計向けのツールを備えた「Architectureツールセット」には、壁やドア、窓、階段などの建築オブジェクトがセットになっています。
建築オブジェクトは内観パースを作図する際に活躍します。内観パース、外観パースの作成に大いに役立ってくれるでしょう。

Mac向けcadソフトのさきがけ「Vectorworks」

cadソフトの多くは当初、Windowsパソコン向けに開発されたものがほとんどでした。
そのような中、MacOS搭載のApple社製PC向け汎用cadソフトとして初めて開発されたのがVectorworksです(現在はWindows向けも販売)。
2次元・3次元の作図ができ、プロ向けcadの中でも感覚的に操作できる点が特徴です。

建築設計や舞台装置、インテリアデザインなどの分野で多く使われており、特に店舗設計やインテリアデザインの現場で導入されています。

2次元・3次元を自在に編集できる「ArchiCAD」

Windows/Macの両方に対応している2次元・3次元対応の建築cadソフトです。
3Dのモデルを制作すると、そこから平面図や画像などを自動的に起こすことができます。
ただし、ファイルサイズが大きいため、スペックの高いパソコンが必要になります。

豊富なオブジェクトが揃う「3Dアーキデザイナー」

直感的な操作性が魅力のWindows用建築系2次元・3次元cadソフト。パーツをパズル感覚で並べるだけで、平面図が簡単に作成できます。
さらに、各パーツには数値や素材データが登録されているので、平面図から3Dモデルを簡単に起こせます。

建築パースの作成に欠かせない3D素材は、壁や床、家具、観葉植物、乗り物など実に5万点以上が収録されています。