このページでは、下水道の縦断図・縦断計算・構造計算・流量計算で活用できるフリーソフト・エクセルについて紹介しています。
・下水道の構造計算のフリーソフト・エクセルの紹介
・下水道の縦断計算のフリーソフト・エクセルを紹介
・下水道の流量計算のフリーソフト・エクセルついて紹介
また、下水道に関連した知っておくと役立つ情報などを掲載しています。
・下水道の縦断計画、推進工の構造計算について解説
・下水道工事の小口径管きょ推進工法についての検討
・下水道管の種類と基礎工、軟弱地盤に採用するはしご胴木の下水道管基礎について
下水道の構造計算のフリーソフト・エクセル
下水道の構造計算のフリーソフトです。下水道工事の管渠構造計算はマーストン公式・直土圧式・下水道協会式・道路土工に対応、下水推進工の設計、推進工支圧壁の計算、下水道管の耐荷力のチェック・推進力・推進延長の計算、円形・小判形・矩形のライナープレート立坑の計算、矩形ライナープレート、補強リング、継手ボルトの計算、継手版の検討、管渠基礎選定一覧表・任意土被りの構造計算、突出型・溝型の計算などのフリーソフトが、ダウンロードできます。
EXCEL 下水道工事 管渠構造計算
EXCEL 下水道工事 管渠構造計算
下水道工事の埋設管(外圧管、推進管、陶管・塩化ビニル管・強化プラスチック複合管)の構造計算プログラムです。計算式はマーストン公式・直土圧式、下水道協会式(改訂式)、道路土工に対応しています。
EXCEL 推進工の設計
EXCEL 推進工の設計
鉛直方向の管の耐荷力のチェック及び推進力・推進延長の計算(元押し・中押し推力、段数の検討)を行います。計算式は下水道協会式(刃口)、修正式1(泥水・土圧)、参考式I(泥濃)、参考式IIについて対応しています。
EXCEL 推進工支圧壁の計算
EXCEL 推進工支圧壁の計算
推進工における支圧壁の応力計算(無筋・鉄筋コンクリート)を行います。
円形立坑の三日月形支圧壁から矩形支圧壁へ自動的に変換して計算できます。
プログラムは随時改良・修正を行っております。
EXCEL ライナープレート立坑の計算 (円形・小判形)
EXCEL ライナープレート立坑の計算 (円形・小判形)
下水道推進工の発信・到達に用いられるライナープレートによる仮設土留めの構造計算プログラムです。円形、円形補強リングタイプ、小判形、小判形補強リングタイプについて計算します。
EXCEL ライナープレート立坑の計算 (矩形)
EXCEL ライナープレート立坑の計算 (矩形)
ライナープレート(矩形)による仮設土留めの構造計算プログラムです。
矩形ライナープレート、補強リング、継手ボルトの計算、継手版の検討を行います。
Civil Man 推進工事管理システム
Civil Man 推進工事管理システム
推進工事の変位量を一発解答するソフトです。
線形要素を入力し、観測データを入力するとシールドマシンの変位量がわかります。カーブ推進は5カ所まで対応します。
EXCEL 薬液注入改良 断面計算
EXCEL 薬液注入改良 断面計算
下水道工事の地盤改良を行う、埋設管(外圧管、推進管、陶管・塩化ビニル管)の構造計算プログラムです。計算式はマーストン公式・直土圧式、下水道協会式(改訂式)、道路土工に対応します。操作が簡単です。
下水道管理書類
下水道管理書類
エクセルで下水関係の管理書類を作成するソフトです。
エクセルで作成した下水道、開削工関係の出来形管理図等、管理書類があります。
下水道の縦断計算のフリーソフト・エクセル
下水道縦断作成ソフト GJ
下水道縦断作成ソフト GJ
Windows環境で使える下水道縦断図作成ソフト(DXF出力可)です。
付属する定義済みの管データにより簡単に作図します。旗揚げ記入可能です。
既設管、新設管、将来管、枝線、幹線の指定が可能です。
下水道縦断作成ソフト GJ+
下水道縦断作成ソフト GJ+
縦断図の描画や埋設物との衝突判定などを行い、管底高を演算します。
下水道縦断作成ソフトGJに「自動演算機能」を付加したものです。計算過程はブラウザに表示できます。他企業埋設物などの表示が可能です。
下水道エース Jw Light
下水道エース Jw Light
実測値の距離入力で、6系統の縦断面図と平面図の座標ファイルデータを作成します。管底高、管種設定が自由自在です。完成率100%の縦断図5マスをJw_cadで自動製図します。
下水道縦断計画支援ソフト (FMG)
下水道縦断計画支援ソフト (FMG)
縦断計画のシミュレーションとJwwの座標ファイルデータ、Auto Cad LTによる縦断図の作図を支援します。データーの入力は、入力画面又はエクセルのシートからもできます。
排水設備申請図 (縦断自動作図) for Excel
排水設備申請図 (縦断自動作図) for Excel
宅内屋外排水設備の縦断を作図するソフトです。
データを入力すれば縦断図は自動で作図します。
試用版のため制限があります。
宅地内屋外排水設備設計システム V7
宅地内屋外排水設備設計システム V7
基準高変更可能な宅地内屋外排水設備設計書を作成します。
管・マスを選択し、数値(公共マスの深さ・地盤高・単距離)を入力すると、縦断面図が作成できます。平面図作成は管・マスの名称を画面より選択入力できます。
下水道の流量計算のフリーソフト・エクセル
円形管の実流速計算
円形管の実流速計算
円形管における実流速の計算を行います。
水深を動定し、流速を収束計算により算出しています。出力は最大排水能力、満管時排水能力と実流速計算結果として、径深、実水深等を計算します。
流量計算 (汚水編)
流量計算 (汚水編)
汚水施設の種類と大きさを、計画汚水量と施設の流量を比較し決定するソフトです。
施設の負担できる最大計画人口も計算します。
流速の計算はマニング公式又は、クッター公式によります。
21世紀 汚水流量計算システム 「1秒算汚水」
21世紀 汚水流量計算システム 「1秒算汚水」
汚水の流量計算表のプログラムです。エクセルを使用し、表形式流量計算書報告書にもそのまま添付可能です。各自治体の様式に合わせられます。面積の逓加を自動算出し、延長の最長を自動判別加算します。
流量計算 (合流編)
流量計算 (合流編)
下水(雨水汚水)排水施設(合流式)の種類と大きさを、計画下水量と施設の流量を比較し決定するソフトです。流速の計算は、マニング公式又はクッター公式によります。
流量計算 (雨水編)
流量計算 (雨水編)
雨水施設の種類と大きさを、計画雨水量と施設の流量を比較し決定するソフトです。
施設の負担できる最大流域面積も計算します。計算のチェックが容易にでき、各申請書に添付できます。
21世紀 雨水流量計算システム 「1秒算雨水」
21世紀 雨水流量計算システム 「1秒算雨水」
パワーアップバージョンした流量計算表のプログラムです。
エクセルを使用し、表形式流量計算書報告書にもそのまま添付可能です。面積の逓加を算出し、延長の最長を自動判別加算します。認可外からの流入にも対応します。
下水道の縦断計画、推進工の構造計算
下水道工事の小口径管きょ推進工法について検討します
下水道工事の小口径管きょ推進工法について検討します。低耐荷力方式は、先導体の推進に必要な推進力の先端抵抗を推進力伝達ロッドに作用させて、管に周面抵抗力だけを負担させる方式です。オーガーヘッドで掘削した土砂は、推進管内に設置したスクリューコンベヤー、ケーシングで排土します。
泥土圧方式は、推進管の先端に、隔壁を設けて水密構造となっている泥土圧式先導体を取付け、添加材を注入して切羽の安定を確保しながらカッターにより掘削する方式です。
遠隔方向制御装置により方向修正ができます。高耐荷力方式は、鉄筋コンクリート管、ダクタイル鋳鉄管、陶管等の高耐荷力管を使用して、直接的に管に推進力をかけて推進する方式です。
下水道管の種類と基礎工について検討します
硬質塩化ビニル管などの可とう性管の基礎に使うと、管底部が波打つことがあるため、下水道管の種類と基礎工について検討します。まくら木の下部に、管きょと平行に縦木を、はしご状に設置します。
点支承となり管きょの状態を悪化させるため、埋戻し工を確実に施工します。砂・砂利・砕石などの基礎を併用することが多いいです。まくら木の下水道管基礎は、地盤が良好なケースでは管きょの勾配を確保して、施工性を向上するために用います。
下水道管の布基礎には、極軟弱地盤で支持層が深く、杭の打込みが経済的にできない場合に採用します。
鉄筋コンクリート管等の剛性管きょには、現地状況により、まくら木、砂、砂利、砕石、はしご胴木コンクリートなどの下水道管の基礎を設けます。
下水道工事の推進工法について
下水道の本管を道路に埋設する布設工事には、開削工法や推進工法があります。推進工法は、道路や河川を横断するときや下水道管埋設の深さが非常に深い場合などに用います。下水道管を布設する前に、道路に埋設されている水道管・ガス管等が支障になる場合、それらの移設工事が準備工事として行われます。下水道工事の推進工法において、留意すべき事項は、次のようなものです。
推進工法については、余掘りは、カッターヘッドにより掘進機の外径よりも大きな径で同心円に切削するオーバーカッターによる方法が用いられています。推進途中で修正できないので、適正なオーバーカット量を設定する必要があります。
推進機を用いない刃口推進においても、曲進する場合は、余掘りを併用しながら推進作業を行います。推進中の施工精度を高めるため、支圧壁の壁面は管軸に直角で、かつ、凹凸のない平面でなければならなりません。
支圧壁の耐力は、壁自体のほか土留め矢板や矢板背面の地山の耐力によっても左右されるので、地山にゆるみ等が生じないよう、常に注意する必要があります。
押輪は、ジャッキの推進力を管の全断面に均等に加圧するための装置であり、剛性が高いほど推進力を管断面に均等に伝達することができるので、管の軸方向の耐荷力が大きくなり、管の損傷を防ぐことができます。
木杭やコンクリートなどの障害物の切削にも対応できます
方向修正は簡単にはできませんが、土質の適用範囲は広く、木杭やコンクリートなどの障害物の切削にも対応できます。鋼製さや管方式のボーリング方式には、一重ケーシング式と二重ケーシング式とがあります。
工法選定、軽量鋼矢板、下水管流量表、上下水道、水道口径、水道水理計算、ケーシング立坑など、下水道のフリーソフトのリンク集です。オーガー方式は、先導体内にオーガーヘッド、スクリューコンベヤーを装着し、回転により掘削排土しながら推進管を推進する方式です。
掘削したものを排土することで、土圧と水圧とのバランスをとるため、地下水位以下でも補助工法は不要になります。鋼製さや管方式のボーリング方式は、先端に切削ビットを取付けた鋼製管の本体、鋼製管内のスクリュー付き内管を回転・掘削しながら推進管を推進する工法です。
はしご胴木の下水道管基礎は、軟弱地盤などの場合に採用します
はしご胴木の下水道管基礎は、軟弱地盤のケース、地質や上載荷重が不均質な場合に採用します。必要なケースでは、鉄筋コンクリート基礎、杭基礎、これらを組合せ基礎を施工します。
鳥居基礎、杭打ち基礎は、極軟弱地盤で地耐力のないケースに用いられ、はしご胴木の下を杭で支える施工になります。砂、砂利、枠石基礎は、軟弱地盤、管きょにかかる外圧が大きい場合に採用します。
管きょの据付け層が岩盤のケースでは、まくら木の下水道管基礎にします。
地盤が良好なケースには、基礎を省略することができます。掘削した溝底にコンクリート床板を打設して、上部荷重の基底へ分散させて据付けることで、地盤の沈下を防止する工法になります。コンクリート、鉄筋コンクリート基礎は、軟弱地盤のケース、管きょにかかる外圧が大きい場合に採用します。
下水道の構造計算の基準書
下水道の設計と建設において、構造計算は安全性と信頼性を確保するために極めて重要です。この分野で使用される基準書は、多様な材料と施工方法に応じた詳細な指針を提供し、設計者や施工業者が正確かつ効率的にプロジェクトを進行できるようにサポートします。ここでは、特に日本における主要な基準書とその概要について詳述します。
多岐にわたる基準書と指針が下水道の構造計算において重要な役割を果たしています。それぞれの基準書は特定の材料や施工方法、または特定の環境条件に適応しており、設計者や施工業者はこれらを十分に理解し、適用することで、安全で耐久性のある下水道システムを構築することができます。
日本下水道協会規格(JSWAS) 社団法人日本下水道協会
「日本下水道協会規格(JSWAS)」は、社団法人日本下水道協会によって発行されるもので、コンクリート管・塩化ビニル管などの主要な材料に関する安全性の基準を集約しています。これにより、下水道システムの設計が信頼性と耐久性を持つようにサポートされています。
下水道推進工法の指針と解説2010年版/2003年版/2000年版 社団法人日本下水道協会
「下水道推進工法の指針と解説」も非常に重要な役割を果たします。この指針は2010年版、2003年版、2000年版という異なるバージョンがあり、時代によって進化する技術と知識を反映しています。これに基づいて、推進工法の計画と実施が行われます。
下水道用管(剛性管)に係る土圧報告書 昭和63年7月 社団法人日本下水道協会
「下水道用管(剛性管)に係る土圧報告書」は、昭和63年7月に社団法人日本下水道協会によって発行されたもので、剛性管に対する土圧に関する詳細なデータと分析を提供しています。これにより、土圧による影響を正確に予測し、適切な設計を行うことが可能となります。
道路土工カルバート工指針平成21年度版/平成11年3月 社団法人日本道路協会
「道路土工カルバート工指針」も下水道の構造計算において重要です。平成21年度版および平成11年3月版が存在し、道路の下に設置されるカルバート工の設計と施工に関する詳細なガイドラインを提供しています。
推進工法体系Ⅲ関連法令・計算事例編 2010年版 社団法人日本下水道管渠推進技術協会
「推進工法体系Ⅲ関連法令・計算事例編」も技術者にとって必携の資料です。2010年版で提供されるこの資料は、関連する法律や具体的な計算事例を網羅しており、法令遵守と実践的な設計を同時にサポートします。
農業集落排水施設設計指針 本編 平成19年改訂版 農業集落排水事業諸基準等作成全国検討委員会
農業排水分野においては、「農業集落排水施設設計指針 本編 平成19年改訂版」が参考になります。これは農業集落排水事業諸基準等作成全国検討委員会によって発行され、多様な農業排水システムの設計に役立ちます。
技術資料ヒューム管設計施工要覧 全国ヒューム管協会
「技術資料ヒューム管設計施工要覧」は、全国ヒューム管協会によって提供され、ヒューム管の設計と施工に関する詳細なガイドラインを示しています。
管きょ更生工法における設計・施工管理の手引き(案) 平成20年9月 社団法人日本下水道協会
管更生の手引き(案) 平成13年6月 社団法人日本下水道協会
管きょ更生工法(二層構造管)技術資料 2006年3月 財団法人下水道新技術推進機構
これらの基準書も下水道の維持管理において役立つ資料です。これらは、既存の下水道管の再生工事において重要な情報を提供し、効率的かつ安全な工事を支援します。
下水管路の損失水頭や摩擦係数への影響要素
下水管路の設計と運用において、損失水頭や摩擦係数は非常に重要な要素です。ただし、理想的な状態でこれらの値を維持することは稀であり、実際の現場ではさまざまな要因がこれらに影響を与えます。特に、下水には土砂や固形物が含まれることが多く、それが管路のパフォーマンスに直接的な影響を及ぼします。ここでは、下水管路の損失水頭や摩擦係数に影響を与える主な要素について詳しく考察します。
以下のように、下水管路において損失水頭や摩擦係数に影響を与える要素は多岐にわたります。これらの要素を理解し、適切な管理とメンテナンスを行うことで、下水道システムの効率を最大限に引き出すことが可能となります。長期的な視点での運用計画が重要であり、技術者はこれらの要因を十分に考慮したうえで対策を講じる必要があります。
下水管路の損失水頭や摩擦係数への影響要素について深く理解することは非常に重要です。
沈下や地盤の移動によるこう配の変化と断面の変形
下水管路は、地震や地盤沈下などの影響を受けて変形することがあります。こう配の変化や断面の変形は、流量や流速に直接影響を与え、損失水頭や摩擦係数を変動させます。これにより、予想されていた流体の挙動が変化し、管理が難しくなる場合があります。
固形物の沈積
下水道内には、土砂やゴミなどさまざまな固形物が流れ込むことがあります。これらの固形物が管内に沈積すると、断面積が狭くなり、摩擦が増加します。結果として、損失水頭も増加し、管路の効率が低下します。定期的な清掃やメンテナンスが欠かせない部分です。
油脂などの付着
家庭や飲食店から流れ出る油脂が管の内壁に付着すると、表面が滑らかでなくなり、流体抵抗が増加します。これも損失水頭や摩擦係数に直接影響を及ぼし、流速の低下や詰まりの原因となります。油脂の付着を防ぐための対策も必要です。
マンホールや合流部での渦流と沈積
マンホールや合流部では、流れが急激に変化するために渦流が発生しやすくなります。これにより、土砂やゴミが沈積しやすくなり、流れの効率が低下します。これらの場所では特に注意深く管理する必要があります。
取付管からの流入
取付管からの流入は、主流の流れを乱す要因となり得ます。流入点での流速と流量の差が大きい場合、摩擦係数や損失水頭に影響を与えることがあります。これを最小限に抑えるために、流入点の設計や配置が重要です。
経年変化による管内状態の変質
下水管路が経年使用されると、内面にさまざまな物質が沈着・付着し、管の材質に関わらずほぼ同じような劣化が進行します。これにより、初期設計時の性能を維持することが難しくなります。長期間にわたって下水管路の効率を保つためには、定期的な調査とメンテナンスが不可欠です。
下水道の流量計算
下水道の流量計算については、通常の水と同様に考えることが一般的ですが、実際の下水には多くの浮遊物質が含まれています。この浮遊物質は、下水の水理計算においてわずかな影響を及ぼすものの、計算自体に重大な支障をきたすほどではありません。したがって、下水道の流量計算も通常の水と同じ手法で行うことが合理的です。
下水道の流量を計算する際には、いくつかの方法が広く用いられています。例えば、自然流下の条件での流量計算にはマニング式やクッター式が一般的に採用されます。マニング式は、流路の粗さ係数と斜度に基づいて流量を算出する手法で、特に開水路や自由表面流の条件下で有効です。一方、クッター式はマニング式と類似するものの、特にパイプやトンネルなど比較的閉鎖された空間での流量計算に適しています。
さらに、圧送方式を用いた下水道の流量計算では、ヘーゼン・ウイリアム式が通常利用されます。この式は、管内を流れる流体の摩擦損失を考慮し、主にポンプを使って下水を移動させる際に用いられます。ヘーゼン・ウイリアム式は、圧送方式の特性に適合するため、効率的かつ正確な流量計算が可能です。
このように、下水道の流量計算には具体的な方法や式が複数存在し、状況に応じて適切な手法を選択することが求められます。これにより、下水道システム全体の設計や運用がより効果的かつ効率的に行われるのです。高精度な流量計算は、下水道管理の基盤を支える重要な要素であり、安全で環境に配慮した水処理システムの確立に寄与しています。
ここで、下水道の流量計算をより深く理解するためには、多くの要素を考慮する必要があります。例えば、管きょの形状や配置、流量の変動、さらには管内の沈殿物や有機物の影響も無視できません。これらの要素は下水道の効率や寿命に直接影響を与えるため、計算の際には総合的な視点で評価することが求められます。
さらに、下水道の流量計算には気候や地形の影響も考慮されるべきです。特に降雨量や降雪量、地盤の透水性などが関わります。これらの環境要因により、下水道に流入する水の量や速度が変わるため、計算精度を向上させるためにはこれらのデータを正確に取り入れる必要があります。
これらの要素を総合的に踏まえ、適切な計算手法を選択し、精度の高い設計を行うことが、下水道の効率的な運用と長寿命化に繋がります。したがって、下水道の流量計算は単に公式に頼るだけでなく、多角的な視点と詳細なデータ収集・分析が不可欠です。
下水道の管渠断面の設計
下水道の設計において、管渠の断面サイズは非常に重要な要素であり、計画汚水量と計画雨水量の算出結果に基づいて決定されます。以下では、下水道管渠断面ならびにこう配の決定に際して考慮すべきポイントについて、関連する知識を詳述します。
下水道の管渠断面の決定には、多岐にわたる要素が関与し、特に流速設定やこう配調整、管径選択に際しては、将来的な変動や維持管理のし易さまでを視野に入れた包括的な設計が求められます。これに基づいて構築された下水道システムは、長期にわたり効率的に機能しつづけることが期待されます。
流速の増加とこう配の調整
下水道における流速の設定については、下流に向けて流速を徐々に増加させることが基本です。特に汚水管渠では、少量の流量でも汚物が沈殿しないよう、適切な流速とこう配を設定する必要があります。流速が低すぎると沈殿物が溜まり、管渠の底部が汚染される恐れがあります。一方、急こう配にして流速を大きくすれば管の断面は小さく済みますが、下流での埋設深さが増し、過度の流速が管壁摩耗を引き起こすリスクもあります。
こう配の漸減と流量増加
下流ほどこう配を緩やかにします。下流に進むにつれて流量が増加し、管渠が大きくなるため、こう配は緩やかでも流速を保持できます。このため、下流ほどこう配は緩やかに設定します。こうした設計によって、流量の増加に応じた効率的な流動が保たれます。
以下は、「下水道施設計画・設計指針と解説」に基づく流速の標準値です:
・汚水管渠は、最小流速:0.6m/sec、最大流速:3.0m/sec
・雨水管渠・合流管渠は、最小流速:0.8m/sec、最大流速:3.0m/sec
汚泥や固形物が流入しやすい雨水管渠・合流管渠では、より大きな最小流速が求められます。理想的な流速はおおよそ1.0~1.8m/secとされており、この範囲内での流速設定が望ましいです。
管渠のサイズと維持管理
管径の選択基準については、実際の設計において、管渠の内径は200mmまたは250mm以上とすることが推奨されます。たとえ計算上でそれ以下の径で充分であっても、維持管理や将来の状況変化を考慮してこのサイズが選ばれます。特に局所的な下水量増加が将来にわたって予見されない場合には、150mmとし、さらに以下の要件を満たす場合には100mmとすることも可能です。
追加接続の見込みがないこと
将来的に新たな取付け管の接続が予見されない場合。
掃流作用による固形物の流下
瞬間最大下水量において、汚水中の固形物が100mm以上150mm未満の管渠からスムーズに150mm以上の管渠まで流れることができること。
なお、管径100mm~150mmの設定については、将来的に工場や集合住宅の立地など土地利用の変更が予見されない地域に限る慎重な検討が必要です。下水道の運用における効率性や将来の維持管理を考慮した上で、適切な管径を選定することが重要です。
下水道の推進工の設計
下水道の推進工法は、都市のインフラ整備において欠かせない技術です。特に、推進管の設計においては多岐にわたる要因を考慮しなければなりません。推進管が耐えるべき荷重は、鉛直荷重、推進力、そして曲線布設時の外圧荷重といった複合的な要素が含まれます。これらの要因を適切に検討することで、耐久性と安全性を確保することが求められます。
下水道推進工の設計は多様な要因を適切に評価し、それぞれの条件に対する最適な対策を講じることが求められます。鉛直荷重や外圧荷重に対する対策、目地の耐久性、そして推進力に対する確認は、いずれも下水道の長寿命化と安全性確保に必須の検討事項です。適切な設計によってのみ、都市のインフラとしての下水道推進工がその役割を果たします。
設計条件の詳細
推進工法の設計条件は以下の通りです。これらの条件を踏まえた設計が行われることで、下水道の推進工は成功を収めることができます。
1. 管の内径
内径は流量計算や管の強度に直結するため、適切なサイズの選定が必要です。
2. 土質
それぞれのパラメーターは土壌の特性を表し、このデータが推進工の安全設計に重要な役割を果たします。
3. 土かぶり
管の上にかかる土の厚みは、鉛直荷重や外圧荷重に大きく影響します。
4. 推進延長
推進工の距離によって必要な装置や技術が変わります。
5. 推進線形
曲線や直線といった推進管の配置に応じて適切な設計が行われます。
6. 外水圧
地下水位や地形によって変わる外水圧に対する考慮が必要です。
7. 推進工法の種類
機械化推進か手掘推進かなど、選択する工法によって設計のアプローチが異なります。
耐荷力の詳細な検討項目
1. 鉛直方向の耐荷力の照査
鉛直荷重に対する耐久性は、管が土壌や上部構造に対して持つべき重要な強度要素です。適切な設計がされていない場合、破損や沈下のリスクが高まります。
2. 目地開口長の照査
推進管の接合部(目地)の設計は特に重要です。目地開口の長さは管の安定性と耐久性に深く関わり、過度な開口長は漏水や支障の原因となります。
3. 推進力に対する耐荷力の照査
推進力は管を前進させるための力であり、この力が適切に計算・配分されていないと管の破損や推進不足の問題が発生します。