有機溶剤作業主任者は、有機溶剤を用いた現場の作業方法の決定や作業の指示、定期的な換気装置の点検、保護具の管理、有機溶剤中毒防止措置の確認などを行う責任者を認定する資格です。労働安全衛生法において定められている国家資格で、有機溶剤を使用する現場では必須の資格となっています。
有機溶剤作業主任者の資格を得るには、有機溶剤作業主任者技能講習を受講し、試験に合格する必要があります。有機溶剤作業主任者技能講習会は全国各地で月1回から2回行われており、18歳以上なら誰でも受講できます。講習の最終日に実施される有機溶剤作業主任者試験の難易度はそれほど高くなく、真面目に講習を聞いていれば合格できる程度です。
この記事では、有機溶剤作業主任者とはどのような資格なのか、有機溶剤作業主任者になるにはどうすれば良いのか、講習会・試験の費用や日程、難易度、合格率について解説します。
有機溶剤作業主任者試験の過去問と重要事項
内装工事における有機溶剤の引火性の事故
・内装用の断熱材を貼り付ける作業において、接着剤に含まれるノルマルヘキサンの蒸気が引火し、火災事故となりました。
・作業現場は換気の悪い倉庫内で、塗布・乾燥・接着を連続して行ったため、溶剤の蒸気濃度が高まっていました。
・さらに、防爆構造ではない投光器を使用し、そのコードに損傷があったことも着火の大きな要因となっています。
・接着剤自体が危険物に該当していたにもかかわらず、適切な管理が行われず、有機溶剤作業主任者や危険物取扱作業指揮者が選任されていなかったことが事故拡大につながりました。
・また、有機溶剤の有害性や危険性に関する教育、作業マニュアルの整備がなされていなかったため、作業者がリスクを十分に認識しないまま作業を継続していた点も問題です。
・これらの要因を踏まえ、有機溶剤作業主任者試験では、火災予防や溶剤管理の適正化について学ぶことが重視されます。
①災害の発生状況
内装用の断熱材に使用する接着剤に含まれるノルマルヘキサンの蒸気が引火して火災が発生。
②災害の発生原因
1.通気の悪い倉庫内で、換気を行わずに接着剤を使用したこと。
2.塗布・乾燥・接着を連続して行い、溶剤蒸気の濃度が上昇したこと。
3.防爆構造ではない投光器を使用したこと。
4.投光器のコードが損傷していたこと。
5.危険物に該当する接着剤を適切に管理していなかったこと。
6.有機溶剤作業主任者や危険物取扱作業指揮者を選任せずに作業を行ったこと。
7.作業者への有機溶剤の危険性や有害性に関する教育を実施しなかったこと。
8.作業マニュアルが整備されず、リスク周知が行われなかったこと。
③災害の防止対策
1.有機溶剤を含む接着剤の塗布や乾燥はできるだけ屋外で実施する。
2.屋内で作業する場合は、換気を十分に行い、連続作業を避ける。
3.有機溶剤の蒸気が高濃度にならないよう気を配り、ガス濃度検知警報器を設置する。
4.使用する電気器具は防爆構造のものとし、作業前にコード類の点検を行う。
5.危険物取扱作業指揮者と有機溶剤作業主任者を選任し、作業指揮を徹底する。
6.作業者に対し、有機溶剤の有害性・危険性に関する教育を行う。
7.有機ガス用防毒マスクなどの保護具を着用させる。
④有機溶剤作業主任者の役割
・多くの有機溶剤は引火性・可燃性を有し、火災や爆発のリスクが高いです。
・そのため、有機溶剤作業主任者には、作業者の健康障害の防止だけでなく、火災や爆発防止策にも留意する責任があります。
・有機溶剤作業主任者試験では、溶剤管理や火災予防、危険物の取扱基準に関する内容が出題されるため、選任された主任者は法令に基づいて安全管理を指揮し、作業者への教育や設備の確認を徹底しなければなりません。
ワンポイント解説
内装工事における有機溶剤の引火性の事故
・有機溶剤は人体への健康障害だけでなく、引火・爆発の危険性がある点も大きな特徴です。
・有機溶剤作業主任者は、これらのリスクを総合的に管理する立場にあります。
・特に、通気不良の空間で可燃性溶剤を連続使用する作業は火災事故につながりやすいため、防爆機器の使用や換気対策、作業者への教育を欠かしてはなりません。
・有機溶剤作業主任者試験では、こうした実務上の安全対策や危険物管理の要点が問われるため、試験勉強と実践的な知識の両面で、事故防止に向けた対応策を習得することが重要です。
木造住宅工事における塗装中の有機溶剤の中毒
・個人住宅の改修工事において、室内の塗装作業中に有機溶剤中毒が発生しました。
・密閉された空間で長時間にわたり多量の有機溶剤を使用したうえ、有機ガス用防毒マスクなどの保護具を着用せず、十分な換気措置も行われなかったことが主な原因です。
・加えて、適切な作業計画が策定されず、納期が迫っていたため作業を急いだことがリスクをさらに高めました。
・本来、有機溶剤作業主任者が災害防止の指揮を行うはずですが、その体制が十分に機能していなかったため、作業者への教育や管理が徹底されなかったのです。
①災害の発生状況
・個人住宅の塗装時に、有機溶剤中毒の災害が起こった。
②災害の発生原因
1.密閉された空間で、多量の溶剤を長時間使用したこと。
2.有機ガス用防毒マスクを着用せず作業を行ったこと。
3.作業中に換気をせず、空気の入れ替えを行わなかったこと。
4.作業計画が適切に策定されていなかったこと。
5.納期の都合で無理な作業スケジュールを強行したこと。
6.有機溶剤作業主任者が災害防止の指揮を十分に行わなかったこと。
・こうした状況から、屋内に溶剤の蒸気が滞留しやすくなり、中毒リスクが高まったのです。
・有機溶剤作業主任者試験では、換気や保護具の重要性が特に強調されており、それらを怠ったことが本事案の大きな問題といえます。
③災害の防止対策
1.十分な換気を実施するため、窓や扉を開放し、可能であれば局所排気装置を用いること。
2.作業時には、有機ガス用防毒マスクなどの保護具を着用する。
3.溶剤の発散を抑える対策を取り、作業工程を適切に設定する。
4.作業環境に合った計画を事前に策定し、無理なスケジュールを避ける。
5.有機溶剤作業主任者は、作業者に対し安全衛生教育を行い、保護具使用や手順を管理・指示する。
6.元方事業者は、有機溶剤の危険性を踏まえた指導と監督を実施する。
④有機溶剤作業主任者の役割
・室内で使用する有機溶剤は、中毒や二次災害を引き起こしやすい危険性を伴います。
・有機溶剤作業主任者は、溶剤特性や作業環境に応じた安全管理を徹底し、換気や保護具の使用を監督しなければなりません。
・有機溶剤作業主任者試験では、こうした施工現場におけるリスク低減の具体策や作業者教育の方法など、実務に直結する知識が出題されます。
ワンポイント解説
・密閉された室内で有機溶剤を多量に使用すると、短時間でも蒸気が高濃度に蓄積し、中毒や火災を引き起こす危険があります。
・換気不足や保護具の未着用、そして作業計画の不備が重なると、リスクはさらに拡大します。
・有機溶剤作業主任者は、溶剤の危険性と作業環境の特性を踏まえ、適切な換気対策や保護具の選定、作業手順の管理を指揮する立場にあります。
・有機溶剤作業主任者試験では、法令に基づく作業基準や安全衛生教育のポイントなど、現場を安全に維持するための総合的な知識が問われます。
試作研究中における慢性有機溶剤中毒
・試作工程で使用していた有機溶剤の蒸気がクリーンルーム内に漏れ、長期間にわたり作業者が吸入した結果、慢性有機溶剤中毒が発生しました。
・本来、クリーンルームは粉じんや微粒子の制御に特化した設備であり、有機溶剤への対応が十分ではありませんでした。
・さらに、局所排気装置が法的基準を満たさず、定期点検が怠られていたほか、作業環境測定やその評価も不適切でした。
・加えて、有機溶剤作業主任者を選定せず、安全衛生教育も行われていなかったため、作業者が溶剤の危険性を十分に認識しないまま作業を続けたのです。
・所轄労働基準監督署への計画届が未提出であった点も含め、管理体制の不備が複合的に影響し、慢性的な中毒事故へとつながりました。
・有機溶剤作業主任者試験では、こうした研究や試作段階での溶剤管理と対策が重点的に問われ、局所排気装置の機能や作業環境測定の適正化、さらに作業者の教育・指導が事故防止の鍵とされます。
①災害の発生状況
・試作中の有機溶剤がクリーンルーム内に漏れ、慢性的な吸入によって有機溶剤中毒を発症。
②災害の発生原因
1.局所排気装置が法的基準を満たさず、点検も行われていなかった。
2.作業環境測定が不適切で、評価も的確に行われなかった。
3.有機溶剤作業主任者を選定せず、管理体制が不備であった。
4.作業者への安全衛生教育が十分に行われなかった。
5.所轄労働基準監督署への計画届を提出していなかった。
③災害の防止対策
1.局所排気装置を法的基準に合わせて改善し、定期点検を実施する。
2.作業環境測定を適切な手法で行い、結果を正しく評価する。
3.有機溶剤作業主任者を選定し、管理体制を確立する。
4.安全衛生教育を確実に実施し、作業者に有機溶剤の危険性を周知する。
5.計画届を作成し、所轄労働基準監督署へ適切に届け出る。
④有機溶剤作業主任者の役割
・試作研究で取り扱う化学物質は、その成分や有害性をあらかじめ確認し、適切な作業方法や安全衛生教育を行う必要があります。
・特に、クリーンルームは粉じんや微粒子には対応できても、有機溶剤に対しては不十分な場合があるため、事前の確認が欠かせません。
・有機溶剤作業主任者はこうした見落としを防ぎ、作業環境全体を点検・改善することで、作業員の安全を確保します。
ワンポイント解説
・試作研究では、新たな化学物質や不慣れな溶剤を扱う機会が多く、局所排気装置や作業環境測定を正しく行わないと、有機溶剤の蒸気が予想以上に蓄積する恐れがあります。
・有機溶剤作業主任者試験では、装置が法的基準を満たしているか、点検や安全衛生教育が十分かなど、管理体制の整備が問われます。
・クリーンルームといっても有機溶剤の除去機能がない場合があるため、溶剤の特性や使用方法の見極めが必須です。
・有機溶剤作業主任者がリスクを的確に把握し、作業者に防護策を徹底することが事故防止の要となります。
自動洗浄装置内の修理作業中の特別有機溶剤中毒
・自動洗浄装置内で修理作業を行っていた際、蒸気槽に残留していたジクロロメタンを吸引したことにより、特別有機溶剤中毒が発生しました。
・被災者Aが意識を失って倒れた後、救助に入った別の作業者も同様の症状を呈したため、結果として二次被災が起きたのです。
・この事故の背景には、事前の換気や有機溶剤の除去措置を十分に取らなかったこと、作業中にも換気を行わなかったことなどが挙げられます。
・さらに、本来は有機溶剤作業主任者が対処すべき措置を怠り、現場に保護具を備えていなかったことが大きな要因となりました。
・特別有機溶剤は、強い麻酔作用や酸素欠乏を引き起こす可能性が高いため、関係作業員だけでなく、作業主任者自身も危険性を十分に認識し、事故防止に取り組む必要があります。
・有機溶剤作業主任者試験では、こうした事例を通じて、緊急時も含めた作業手順の策定や適切な保護具の準備など、安全管理の徹底が求められます。
①災害の発生状況
・自動洗浄装置内での修理中、ジクロロメタンを吸引して特別有機溶剤中毒を発症。
・倒れた被災者を救助しようとした作業者も二次被災。
②災害の発生原因
1.事前に換気などでジクロロメタンを除去しなかったこと。
2.作業中にも換気を行わず、蒸気が装置内に滞留したこと。
3.有機溶剤作業主任者が必要な措置を取らなかったこと。
4.緊急時に対応するための保護具を備えていなかったこと。
③災害の防止対策
1.緊急時を含めた作業手順を設定し、作業者に教育する。
2.事前に作業環境の溶剤濃度を測定して安全を確認する。
3.作業中は常に換気を行い、特別有機溶剤の蒸発を抑制する。
4.有機溶剤の有害性や取扱い上の注意を作業者に周知する。
5.作業主任者が自ら被災しないよう、保護具を用意し活用する。
6.元方事業者も適切な指導を行い、管理を徹底する。
④有機溶剤作業主任者の役割
・特別有機溶剤は、麻酔作用や酸素欠乏を招くリスクが高く、作業主任者でさえ被災する事例が見受けられます。
・作業員はもとより、主任者自身も危険性を十分理解し、対策を講じることが不可欠です。
・有機溶剤作業主任者試験においては、緊急時の体制づくりや保護具の選定、発散防止策など、実務に直結する知識が重要視されます。
ワンポイント解説
・特別有機溶剤中毒は、蒸発した溶剤の高濃度環境で作業を続けると短時間で発症する恐れがあります。
・救助作業者まで二次被災するのは、保護具が備えられていない、あるいは作業手順の事前確認が不足していることが原因です。
・有機溶剤作業主任者は、換気や発散抑制策を徹底し、緊急時に備えた保護具の配備と使用指導を怠ってはなりません。
・有機溶剤作業主任者試験では、装置内の蒸気濃度管理や作業手順書の作成など、法令に基づいた管理体制と教育方法を把握しているかが問われます。
有機溶剤急性中毒の防止対策
・有機溶剤は大気中に蒸発しやすく、かつ拡散しにくい性質を持ち、比重が空気より大きいため、高濃度で床付近に滞留しやすい特徴があります。
・このような環境で、通気が不十分な場所に有機溶剤が発生すると、重症や死亡事故を引き起こす恐れが高まります。
・また、有機溶剤の臭気は必ずしも不快なものとは限らず、気づいたときにはすでに身体が麻痺して逃げられない状態に陥りやすいです。
・その結果、床に倒れたまま高濃度の蒸気を吸引し、症状が重篤化する事例が多く報告されています。
・有機溶剤作業主任者試験では、こうした事故を防止するための対策を体系的に学ぶ必要があります。
・実際に有機溶剤作業を行う際には、以下のような方法を講じることが推奨されます。
1.作業中は十分な換気を行う。
2.ガス濃度検知器を用いて作業環境の安全性を確認する。
3.保護具を正しく使用する。
4.関係作業者に十分な労働安全衛生教育を実施する。
・さらに、防毒マスクを使用する場合は、作業開始前に吸収缶の破過時間を推定有機溶剤濃度から算定し、作業中に気中濃度を随時測定して交換時期を管理する必要があります。
・過去の有機溶剤中毒事例では、有機溶剤作業主任者が適切に選定されていなかったり、作業主任者による管理が不十分であったケースが多くみられます。
・換気装置の故障や未設置、あるいは労働安全衛生教育の欠如などの要因も重なり、被害が拡大する傾向にあります。
・したがって、有機溶剤作業主任者は、作業者を守るために自らの職務を十分に果たし、作業現場の安全性を確保しなければなりません。
ワンポイント解説
・有機溶剤は高濃度状態になると、使用者が気づいたときには身体が麻痺し、逃げられないほど危険な性質を持ちます。
・有機溶剤作業主任者試験では、有機溶剤作業主任者が実際の現場で行うべき対策を理解することが求められます。
・具体的には、換気の確保、ガス濃度検知器の使用、保護具の正しい着用、そして作業員への教育が事故を防ぐ基本です。
・防毒マスクの破過時間管理や適切な吸収缶交換も欠かせません。
・作業主任者の的確な指揮が労働者の安全衛生を維持し、有機溶剤急性中毒の悲劇を未然に防止する鍵となります。
有機溶剤作業主任者試験の科目ごとの勉強法
「有機溶剤に関する知識」の勉強法
この科目では、有機溶剤作業主任者試験において基礎となる知識が問われます。有機溶剤の特性や使用方法、人体への影響に関する幅広い内容が出題されるため、重点的に学習する必要があります。
出題内容の分析
本科目の出題範囲は以下の通りです。
1.有機溶剤の種類と特性
・トルエン、キシレン、アセトン、ベンゼンなどの化学的性質
・引火性、蒸気圧、沸点、比重などの特徴的な物理化学的性質
2.有機溶剤の使用例
・塗料、洗浄剤、接着剤など、具体的な用途に基づく知識
3.人体への影響
・吸入、皮膚接触、経口摂取による急性中毒症状
・長期的な健康影響（肝臓障害、神経障害など）
この科目では、理論的な知識だけでなく、実務に基づく具体的な事例や安全管理の視点も重視されます。
初心者必見！参考書で基礎を築く方法
1.有機溶剤の特性を理解する
まずは、市販の有機溶剤作業主任者試験用参考書を使用して、有機溶剤の種類や物理化学的性質を学びます。
各溶剤の「特徴」「用途」「危険性」を一覧表にまとめておくと効率的です。
2.人体への影響を学ぶ
人体への影響について、短期的な症状と長期的なリスクを分けて整理します。具体例を交えた説明が含まれる教材を選び、理解を深めます。
3.図表やイラストを活用する
蒸気圧や引火性に関する内容は難解になりがちです。図解が豊富な資料を活用することで、視覚的に理解を助けます。
応用問題の解き方を学ぶ試験問題集活用術
1.基礎問題を解く
参考書に付属している基礎問題集を利用し、各テーマごとに理解を深めます。
特に頻出項目（例：引火性や蒸気圧の特徴）は重点的に繰り返し解きます。
2.応用問題や過去問に挑戦する
実際の試験で出題される過去問や応用問題に取り組み、試験の出題傾向を把握します。
間違えた問題は解説を読み込み、知識の定着を図ります。
3.模擬試験形式での総仕上げ
一通り学習が進んだら、模擬試験形式で時間を計りながら解答する練習をします。これにより、実践的な応用力が身につきます。
暗記で差がつく試験の得点アップポイント
・各有機溶剤の引火点、蒸気圧、沸点、比重などの数値や特徴
・トルエン、キシレン、アセトン、ベンゼンなど主要な溶剤の具体的な用途と危険性
・中毒症状の種類（急性・慢性）とそれに対応する予防策
・有機溶剤の保管・取扱方法および関連法令の概要
試験準備で最初に重要なポイントを把握
・有機溶剤の種類と特性を網羅的に学ぶことが最優先です。
・次に、人体への影響と中毒症状のメカニズムを学び、実務に即した知識を習得します。
・参考書の基本問題を解きながら、理解不足の箇所を補完していきます。
時間不足でも試験に対応できる勉強法
1.頻出項目に集中する
過去問や模擬問題集を活用し、頻出項目に絞って学習します。特に、有機溶剤の特性や人体への影響に関する問題に注力しましょう。
2.短時間学習を繰り返す
1日10～15分程度、図表を使って暗記を進めます。例えば、溶剤の特性をフラッシュカードにまとめ、移動時間に確認します。
3.要点をまとめた資料を活用する
要点だけをコンパクトにまとめた学習資料や動画解説を活用し、短期間での理解を目指します。
以上のように、「有機溶剤に関する知識」の勉強法を実践することで、試験合格に向けた効果的な学習が可能になります。有機溶剤作業主任者試験では、基礎的な知識と実務への応用力が求められるため、ポイントを押さえて計画的に学習を進めていきましょう。
「作業環境の管理」の勉強法
「作業環境の管理」は、有機溶剤作業主任者試験の中でも特に重要な科目です。この科目では、作業環境の安全を確保するための管理方法や設備に関する知識が問われます。
具体的には、作業環境測定や換気設備の設計、保護具の選定・使用、作業場の安全対策について幅広く出題されるため、理論的な理解と実務に基づく知識の両方が求められます。
出題内容の分析
この科目の主な出題範囲は以下の通りです。
1.作業環境測定
・蒸気濃度の測定方法（直接測定と間接測定の違い、測定器具の取り扱い）
・換気量の計算方法（基本的な公式や計算問題）
2.換気設備
・局所排気装置の構造と機能（ダクト、フード、ファンの役割）
・換気不良時のリスク（蒸気濃度の上昇、火災や中毒の危険性）とその対策
3.保護具の使用
・防毒マスクや保護手袋の種類、選定基準、正しい使用方法
・保護具の限界とその補完的な管理策
4.作業場の安全対策
・有機溶剤の貯蔵および管理方法（適切な容器、温度管理）
・火気使用禁止や適切な標識設置の徹底
試験の基本を徹底理解する参考書術
1.基礎知識を徹底的に学ぶ
市販の有機溶剤作業主任者試験用の参考書を活用し、まずは「作業環境の管理」に関する全体像を理解します。
作業環境測定や換気設備については、図解が多い教材を選ぶことでイメージしやすくなります。
2.具体例を把握する
有機溶剤の取り扱い現場での実例が記載された資料を参考に、実務に即した知識を身につけます。
特に、換気設備の種類やその効果についての実例は重要です。
3.法令や規定を確認する
作業環境の管理に関連する法令（労働安全衛生法や有機溶剤中毒予防規則）について、基本的な内容を理解します。
実践力を高めるための問題集活用の秘訣
1.基礎問題を徹底的に解く
基礎的な計算問題（換気量の計算など）を繰り返し解いて、公式の使い方を正確に覚えます。
蒸気濃度の測定方法や装置の特徴に関する問題も重点的に解きましょう。
2.応用問題に挑戦する
過去問や応用問題を通じて、複数の知識を組み合わせた問題への対応力を養います。
実務に近い状況設定がなされた問題に取り組むことで、実践力を高めます。
3.間違えた問題を徹底復習する
解答解説を確認し、どのポイントが不足しているのかを分析します。
間違いが多い分野は再度参考書に戻って基礎を復習します。
試験合格のカギとなる暗記箇所の把握
・換気量の計算公式とその適用例
・各種保護具（防毒マスク、手袋）の種類と使用条件
・局所排気装置の基本構造（フード、ダクト、ファンなど）とその役割
・作業場での有機溶剤の適切な保管方法と関連規則
初期段階から差をつける試験の学習法
1.作業環境測定の基礎
蒸気濃度の測定方法や換気量の計算を優先的に学びます。これらは試験での頻出項目です。
2.換気設備の基礎構造
局所排気装置の構造と機能について理解を深めます。
3.保護具の知識
防毒マスクの種類と適切な使用方法を学びます。これも試験で頻繁に出題されます。
忙しい方必見！効率重視の試験学習法
1.要点を絞る
蒸気濃度測定と換気量計算の基本的な公式を優先的に暗記します。
保護具の種類と特徴をフラッシュカードにして短時間で繰り返し確認します。
2.過去問を中心に学習
過去問を解き、頻出分野だけを集中的に学びます。特に計算問題や安全対策に関する問題に時間を割きます。
3.短時間での暗記を活用
図解や表を活用して、換気設備や保護具に関する内容を効率よく覚えます。
「作業環境の管理」は、有機溶剤作業主任者試験の中でも重要な科目の一つです。基礎知識を確実に習得し、応用問題に対応できる力をつけることが合格への鍵です。効率的な学習計画を立て、継続的に学ぶことで試験に自信を持って臨みましょう。
「関係法令」の勉強法
「関係法令」は、有機溶剤作業主任者試験において法規制やルールに関する知識を問う重要な科目です。
労働者の健康と安全を守るための法律や規制に関する理解を深める必要があります。この科目では、関連法令を的確に理解し、条文を実務に適用する能力が求められます。
出題内容の分析
この科目の主な出題範囲は以下の通りです。
1.労働安全衛生法
・有機溶剤取り扱い時の労働者の安全を守るための基本的な法律
・作業主任者の職務としての作業環境管理や労働者教育の重要性
2.有機溶剤中毒予防規則
・有機溶剤の使用制限や管理基準
・健康診断の実施義務やその内容
3.特定有機化合物障害予防規則
・特定有機溶剤に関する取り扱い制限や使用環境の基準
4.消防法
・危険物に該当する有機溶剤の貯蔵や運搬に関する規定
・火気使用時の注意点や防災対策の法的義務
これらの法令は試験の中心的なテーマであり、条文そのものだけでなく、その意図や実務における適用方法も理解する必要があります。
参考書を活かして試験の基礎を攻略
1.法令の体系を把握する
労働安全衛生法や有機溶剤中毒予防規則の基本的な構造を理解します。条文を読むだけでなく、それがどのような意図で制定されたかを学びましょう。
2.実例を参考に学ぶ
有機溶剤に関連する具体的な事故例や法的対応例を記載した参考書を使用することで、法律の実際の運用をイメージしやすくなります。
3.重要な条文を重点的に学ぶ
すべての法令を網羅的に学ぶのではなく、試験頻出の項目（作業主任者の職務や有機溶剤の使用制限など）に注力します。
試験対策問題集で応用力を鍛えるコツ
1.基礎問題を反復する
労働安全衛生法や有機溶剤中毒予防規則に関する基本的な設問を繰り返し解くことで、法令知識を定着させます。
2.過去問を活用する
試験の傾向をつかむため、過去問を重点的に解きます。特に選択肢問題では、似たような条文の細かい違いを見極める力を養います。
3.関連知識を広げる
基礎問題で物足りなくなったら、応用問題や条文の解釈を問う問題に挑戦し、知識を深めます。
暗記が重要な試験対策ポイントの一覧
・労働安全衛生法に基づく作業主任者の具体的な職務内容
・有機溶剤中毒予防規則で規定される使用制限や管理基準
・特定有機化合物障害予防規則で対象となる物質のリストと取り扱い制限
・消防法で定められる有機溶剤の貯蔵・運搬の基準や火災防止策
暗記はただの暗記ではなく、出題される可能性の高い部分を優先的に覚えることが重要です。
試験における最初のステップを明確にする
1.基本法令の理解
労働安全衛生法や有機溶剤中毒予防規則の概要を押さえます。全体像を理解することで、詳細な条文を学ぶ際の指針となります。
2.頻出項目の重点学習
作業主任者の職務や健康診断の実施義務など、試験で問われやすい部分を優先的に学習します。
3.法令の背景にある目的を学ぶ
法律が制定された背景や目的を理解することで、覚えやすくなり、応用問題にも対応しやすくなります。
限られた時間で仕上げる試験対策方法
1.重要ポイントに集中する
法令の全体を勉強する時間がない場合は、試験頻出の条文や規則に絞って学びます。参考書の「重要事項」や「要点整理」を活用すると良いでしょう。
2.過去問を優先する
時間がない場合でも、過去問を繰り返し解くことで出題傾向を把握し、効率的に対策できます。
3.移動時間などを活用する
条文や重要ポイントをリスト化して、スキマ時間に確認します。モバイルアプリやフラッシュカードを使うのも有効です。
4.要点を音声で学ぶ
条文や重要事項を音声で録音し、移動中に聞くことで知識を効率よく吸収します。
「関係法令」は覚える内容が多く、最初は負担に感じるかもしれません。
しかし、要点を絞った学習と反復練習を行うことで効率よく学ぶことができます。出題傾向を把握し、計画的に学習を進めることで、有機溶剤作業主任者試験の合格を目指しましょう。
有機溶剤作業主任者とは
有機溶剤作業主任者とは、有機溶剤を用いた現場の作業方法の決定や作業の指示、定期的な換気装置の点検、保護具の管理、有機溶剤中毒防止措置の確認などを行う責任者です。
有機溶剤作業主任者の資格は労働安全衛生法において定められている国家資格であり、有機溶剤を使用する現場では、有機溶剤作業主任者の資格取得者が必要になります。
労働安全衛生法では、有機溶剤を取り扱う事業者は、溶剤作業主任者技能講習が終わった後で行う、有機溶剤作業主任者技能試験に合格した者を、作業主任者として選任し、作業を行う作業員の指揮、監督をさせることが労働安全衛生法で決められています。
有機溶剤とは
有機溶剤とは、アセトンや石油エーテルのように、人が蒸気を吸込んだり、触れると重大な健康被害を及ぼす物質です。有機溶剤には、エチルベンゼン、四塩化炭素、クロロホルムといったさまざまな種類があります。自動車や家の塗装を行う企業で利用する機械の洗浄や印刷業におけるインクの拭き取りなどで有機溶剤が使用されます。
有機溶剤には常温では蒸発するという特徴があるため、蒸発した有機溶剤を口から吸いこんでしまったり、皮膚から吸収されたりすれば、体調が悪化する恐れがあります。有機溶剤に関する正しい知識を持ち、適切な管理を行うために、有機溶剤作業主任者の資格取得者が現場で必要とされています。
有機溶剤作業主任者の仕事
有機溶剤作業主任者の仕事は、有機溶剤の汚染や溶剤を吸入しない作業方法を指揮すること、局所排気装置や換気装置を毎月点検すること、保護具が正しく使われていることの確認、タンク内部作業での有機溶剤による中毒防止措置が取られていることを確認することです。
下記のような仕事で、有機溶剤作業主任者の資格が活用されています。
- 自動車整備士
- 塗装工
- 化学工場
- 印刷会社
- クリーニング店
- 医薬品・香料の製造
有機溶剤作業主任者の資格を取得するには
有機溶剤作業主任者の資格は、有機溶剤作業主任者技能講習を受講し、試験に合格することで取得できます。
労働安全衛生法第１４条、労働安全衛生施工法令第６条-２２の規定に基づき、有機溶剤を取り扱う作業に労働者を従事させる場合、有機溶剤作業主任者技能講習を修了した者のうちから有機溶剤作業主任者を選任して作業の指揮やその他規則で定められた職務を行わせなければならないとされています。
試験は講習で習った内容が多肢選択式で出題されるため、講習中は内容を聞き逃さないようにしよく理解するように努めましょう。講習では試験対策の内容以外に、資格取得後に業務で必要となる知識や技能についても講義してもらえるので意欲的に学ぶようにしましょう。
有機溶剤作業主任者技能講習会
有機溶剤作業主任者技能講習会は、全国各地で月1回から2回行われています。万一、失敗してもすぐ次の講習会に参加が可能です。講習会の受講は制限なく、誰でも受講することができます。講習会は2日間行われ、講習が終了した後に、修了試験(有機溶剤作業主任者試験)が行われ、合格・不合格が決まります。
講習会の内容
有機溶剤作業主任者技能講習会の内容は、健康障害及びその予防措置に関する知識に4時間、保護具に関する知識に2時間、作業環境の改善方法に関する知識に4時間、関係法令に2時間、これらを2日間の講義で覚えることになります。これらの12時間の講義が終了した後に、修了試験(有機溶剤作業主任者試験)が行われます。
日程・申し込み方法
有機溶剤作業主任者技能講習は、全国各地で月1回から2回行われています。日程は、講習会を開催する地域によって異なります。講習会は連続した2日間行われ、平日に実施されることが多いです。
有機溶剤作業主任者技能講習は、それぞれの地域にある労働基準協会連合会や一般社団法人労働技能講習協会で申し込むことができます。
例えば、公益社団法人東京労働基準協会連合会における2022年の日程は以下の通りです。
- 1/13(木)～1/14(金)
- 1/27(木)～1/28(金)
- 2/16(水)～2/17(木)
- 2/28(月)～3/1(火)
- 3/7(月)～3/8(火)
- 3/24(木)～3/25(金)
- 4/18(月)～4/19(火)
- 4/27(水)～4/28(木)
公益社団法人東京労働基準協会連合会のホームページで受付状況が確認できます。申し込みが多ければ締め切りになるため、早めに予約するようにしましょう。
料金・支払い方法
有機溶剤作業主任者技能講習の受講料は、約10,000～14,000円程度です。開催されている地域によって異なります。
公益社団法人東京労働基準協会連合会の場合は、受講料が12,600円（税込）、テキスト代が1,980円（税込）です。
一般社団法人労働技能講習協会の場合は、受講料が11,510円（税込）、テキスト代が1,980円（税込）になります。
支払い方法は、インターネットによる申込みの場合は銀行振り込みです。申込書利用による申込みの場合は、銀行振込・現金書留か、来所して支払うことができます。
受講料や支払い方法は講習会を開催する地域によって異なるため、実際に受講する地域の労働基準協会連合会ホームページで確認しておきましょう。
受講資格
有機溶剤作業主任者技能講習会は、18歳以上なら誰でも受講できます。
有機溶剤作業主任者試験
有機溶剤作業主任者試験は、有機溶剤作業主任者技能講習後に実施されます。技能講習を受講し、講習の最後の修了試験に合格することで、資格を取得できます。
試験内容
試験内容は、講習会で実施される下記の4科目です。
- 有機溶剤による健康障害及び予防措置の知識
- 作業環境改善方法の知識
- 保護具の知識
- 関係法令
試験形式
試験の形態は、全てマークシート方式で、解答時間は1時間です。試験問題には、いくつかの方式があります。1つは、四肢択一問題で、正しいものを選ぶ場合と、適当でないものを選ぶ場合がありますので、問題文は注意して見ておくべきです。もう1つは、4つの作業の文章から、例えば優先度の高いものから順に並べるという問題があります。重要度を考えればすぐに分かる問題です。もう1つは、4つの文章があってそれぞれ下線が引いて、下線部が誤っている、又は正しいものを選ぶ問題もあります。注意したいのは、数字の正誤を選ぶような場合で、これは覚えているかどうかの問題です。
合格基準
有機溶剤作業主任者試験は筆記試験のみで、4科目のうちどれもが40％以上必要で、総合得点が60％以上で合格です。
合格率・難易度
有機溶剤作業主任者試験は、2日間の講習会を真剣に受講すれば試験に合格できる程度の、難易度が非常に低い試験です。合格率は90％以上と言われています。試験に合格するために、事前に勉強する必要は特にありません。
ただし、学校を卒業した常識的な知識だけでは、合格することは難しいです。講習の座学に飽きて居眠りなどをする人にとっては、難易度は非常に高い試験と言えるでしょう。
有機溶剤作業主任者試験に落ちる人とは
有機溶剤作業主任者試験の勉強方法は、講義をしっかり聴くことです。テキストが講習会数日前に配布されますが、ざっと見程度で詳しく見る必要はありません。
講義では、講師の方が重要なポイント、覚えるべきところや語句などを指摘してくれますので、それらはテキストにマークを入れるなり、ノートに記録などして覚えるようにします。講師の方が指摘することのいくつかは、ほぼ終了試験に出ると考えて良いでしょう。
1日目の講習会が終了してから、自由な時間が持てますので、その日にやった事を、マークやノートへの記述をもとに整理し、覚えるようにします。
講習会形式で講義の後で修了試験を行う資格は、数多くあります。そのような資格は、落ちる人が少ないのが一般的です。講師の方から、「真面目に話を聞いていれば落ちることはない」と言われることもあります。
それでも落ちる人がいる理由は、講師の指摘ポイントを聞き逃したためで、その中で多いのが、居眠りです。就職後に、2日間の座学を経験することはまれで、うっかり睡魔に襲われる場合もあります。そこをどう乗り切るかで、資格を得るかどうかが決まってしまいます。
テキストは購入すべき？
有機溶剤作業主任者試験のテキストは、有機溶剤作業主任者技能講習でもらえます。講習で使用するテキストだけで十分合格できるため、あえて市販のテキストを購入する必要はありません。
市販されているテキスト・問題集については、下記ページで紹介しています。
試験に合格するためのポイント
試験に合格するためのポイントは以下の通りです。
- 講師の話を真剣に聞き、ポイントをメモする
- 講習中に居眠りしない
- マークシートの記入ミスに注意
当たり前のことばかりですが、合格するためには必要なことです。合格率が高い試験ですが、手を抜かず真剣に取り組みましょう。