アースオーガーとは、地盤を掘削し、杭打ちや支柱設置のための穴を効率的に掘る建設機械です。地盤の硬さや土質に応じてヘッドの交換が可能で、施工環境に柔軟に対応できます。アースドリルとの違いを理解することで、より正確な工法選定やCAD図面の作成にも役立ちます。掘削作業の効率化と安全性の確保に貢献する重機であり、建設現場での信頼性も高いです。
このページでは、アースオーガーの機能と活用方法について解説しています。

アースオーガーとは
アースオーガーとは、オーガーヘッドを有し、スクリューの回転により、ねじるようにして地中に孔をあける機械です。
1人で作業ができる小型のものから、大型クレーンで吊り下げて掘っていくものまで、様々な種類があります。
大型工事で用いる際には、3点式杭打ち機に接続するものが主流であり、基礎工事に必要な大口径で、深い穴を掘ることができます。
建設現場の大型杭打、土留・擁壁の造成などの前段階の工事に用いられます。
アースドリル機の先端に、拡底バケットを装着して、直杭の着底部を拡大した拡底杭施工にも対応できます。
動力は、手動エンジン、もしくは電動モーター、油圧式に分かれます。
エンジン式や油圧式は、無騒音(低騒音)、無振動という特徴があり、周辺環境への配慮が必要な、都市部でよく用いられます。
また、1人で作業できる小型のものや、最小回転半径が5m程度のものなど、機動性にも富んでいるため、狭隘な現場での施工実績も多くなってきています。
地盤を把握して杭打ちできる
アースオーガは、杭打ちするための機械です。
機械に取り付けられた杭を、地面に垂直に立てるのは、長年の経験が必要です。
機械の重さを、経験で培った感覚を頼りに、モーター部分から杭を回転させていきます。
しかし、どんなに経験を積んでも、現場の地盤はそれぞれ違うので、経験があるからと言って、杭を回転させてしまうと失敗することもしばしばです。
また、地盤が固くて杭がしっかり回転せず、空回り状態になっていることに気付かない作業員もいたりします。
経験者だからと言って、アースオーガの扱いが上手いと言うわけではなく、しっかり下調べしている、経験の浅い作業員の方が優れていることもあります。
回転注入で、設計深度まで杭を到達させるとき、入り過ぎてしまったり、また、しっかり設計値まで達していなかったりもします。
その時の、地盤等を把握して、いかに正確に一発で杭打ちができるか、という感動を、何度でも味わえる唯一の機械だと思っています。
掘削し地面に穴を掘るのが役割
掘削工事の際に用いられ建機の一つに、「アースオーガー」というものが存在します。
「アース」は地球、「オーガー」はらせん状の刃先という意味からも分かるように、アースオーガーは掘削し地面に穴を掘るのが役割で、既製杭を取り扱う工法の中でも、埋め込み杭に対する工法で使用される削孔機となります。埋め込み杭工法とは、地面に穴を事前に開けておき、そこに杭を挿入させる方法です。また、アースオーガーにより掘削が終了した後に、モルタルをオーガーの先端から圧入して杭をその場で作る、「場所杭工法」でも利用されることもあります。
アースオーガーは電柱の埋設時にも利用されることがあります。こうした場合のアースオーガーの種類は、「建柱用アースオーガー」と区別して呼ばれることもあります。
アースオーガーの掘削は、深さ数10メートルまで掘ることができる一方で、掘削経は約1メートルというものがほとんどです。小型の場合は、油圧ショベルの付属品として使用されることが多く、大型のものはパイルドライバーや移動式クレーンなどで使用されます。そのため、アースオーガーを用いた作業現場などの図面には、アースオーガーのcadデータと合わせてそれを付属させる建機のcadデータが必要となります。アースオーガーのcad図面をフリーダウンロードなどで無料入手し、もう一方の建機のcad図面も無料cadデータをフリーダウンロードすることで、双方を組み合わせたcadデータおよびcad図面が作成できます。
地盤の硬さや質によってアースオーガーのヘッドを交換
アースオーガーは、らせん状の「オーガスクリュー」と「オーガヘッド」で構成されています。穴を掘る時に大きな力を発揮する部分がヘッドです。ヘッドの力の差により掘削能力が変わってしまうといってもよいほどです。対象となる地盤の硬さや質に対応してヘッドの歯先は交換することが可能です。また、らせん状の形状であるスクリュー部分が、掘削時に掘り起こした土砂などを排出する役割を担っています。
動力の部分に着目すると、「手動式」、「電動機式」、「油圧式」に分けることができます。
基礎工事などにおける大型アースオーガーは電動機式アースオーガーが用いられることが多いとされています。パイルドライバーなどで行われる中型および小型の場合は、油圧式アースオーガーが用いられることが一般です。また、電柱など柱を建てるためのアースオーガーも油圧式アースオーガーがほとんどです。
電気式アースオーガーを使用する場合は電源が必要となる一方で、油圧式アースオーガーの場合はパイルドライバーなどから油圧を供給してもらう必要があります。そのため油圧式アースオーガーは別途動力を確保する必要がありません。なお、電動機式および油圧式アースオーガーは低騒音で無振動という特徴がらいます。
中小型のアースオーガーはほぼ油圧式アースオーガーと見てもよいため、cadで図面を作成する時には、対象となる建機のcadデータは必ず油圧式でなければなりません。無料のcadデータなどをフリーダウンロードする前に、建機が油圧式なのか図面などを参考にして確認しましょう。もちろん、油圧式アースオーガーではない電動機式アースオーガーの場合も、電源装置が備わっているかなどを、作業図面などで確認して、発動機といった必要な機材の無料やフリーのcadデータをダウンロードして図面に反映せるようにしましょう。
また、作業場所や環境によっては複数のアースオーガーを使用する「多軸オーガー」という方法も存在します。こうした場合も、双方のオーガーに対するcadをダウンロードなどして入手するようにしましょう。もちろん、オーガーの種類によっては、無料素材やフリーのcadが存在しない場合があります。こうした無料やフリーのcadが存在しない場合は、ダウンロードにこだわらずに、カタログや図面を参考にして自作するようにしましょう。
なお、手動式のオーガーは園芸用など簡易的な穴掘りに利用されるものです。現場でも用いられることもありますが、その場合は杭打ちというよりも、穴を開けて植栽を植え込むなどといった、容易かつ簡易的な作業がほとんどだと言えます。
アースオーガー以外の掘削建機の工法と特徴
アースオーガーの他にも、地面を掘る建機は複数存在します。
そのうちの一つに「アースドリル」というものがあります。アースドリルは、場所打杭工法のための大口径削孔機に対する工法です。なお、場所打杭工法は、既に築造されている杭を穴に打ち込むのではなく、穴を開けた地面にコンクリートを流し込んで杭を作成する工法です。
アースドリル工法は、クローラークレーンの付属として使用されるか、クローラー式のクレーンを基にして作り出された専用機があります。クローラークレーンの付属としてアースドリルを使用する時は、油圧を供給するためのロントアタッチメントが装着されるのが一般的です。
アースドリル工法を扱う時の一例としては、クローラクレーンの主要となるブームの先端から、軸となる「ケリーバー」を吊るします。このケリーバーの先端に、特殊な回転を実行する「ドリリングバケット」が装着されます。油圧モーターによりケリーバーが回され、その推力がドリリングバケットに伝わります。油圧モーターを動かすための油圧については、機体からホースによって送り込まれます。なお、この油圧モーターを動作させるために、アームが主ブームとは別に備えられています。
また、「オールケーシング機」という、場所打杭工法に用いられる大口径削孔機が存在します。こちらは「オールケーシング工法」または「ベノト工法」と呼ばれる方法です。
掘削して穴を掘り起こす際に崩壊するのを防止するため、ケーシングチューブと呼ばれれる構成のチューブを振動または回転させながら挿入します。掘削した土砂は、「ハンマーグラブ」で排出します。そして、掘削した穴に鉄筋カゴを打ち立ててさらにコンクリートを打設しながらケーシングチューブを引き抜きます。
この方法であれば、掘削時に支持地盤までケーシングチューブを伸ばしているため、地下水の存在に左右されることないため、土砂などによる崩壊が発生することはありません。また、汚水やペンナイトは必要ないため、土砂の処理も比較的容易です。
アースオーガーとアースドリルの違いを把握しcadを作成しよう
アースオーガーとアースドリル、オールケーシングを「掘削機」として勘違いして把握している人も少なくありません。
しかし、このように一つ一つの機能を見ていくと、アースオーガーとアースドリル、オールケーシングは、根本的に違うというのがわかります。
簡単に言うと、アースオーガーとオールケーシングは建機やアタッチメントなど道具に対する名称です。一方で、アースドリルは穴を堀り杭を打つための工法となります。
この部分を勘違いしていると、アースドリルを取り扱った現場のcad図面を担当した時に、アースドリルという建機のcad図を探してしまうという勘違いが発生してしまします。
繰り返しになりますが、アースドリルはその方法や手段を表していますから、もし現場でアースドリルのcad図面が必要になった時は、アースドリル工法を行うことができる建機やアタッチメントを探し出し、アースドリル工法を可能とする建機のcad図面を作成する必要があるのです。
アースオーガーなどの知識はもちろんのこと、硬質地盤クリア工法などその他の類似した建機や工法などの違いや方法を知っておくことで、多様なcad図面に対応できるだけではなく、それぞれのメリットやデメリットも理解できるはずです。そして、これらが複合的に経験や知識となることで、より信頼度があるそして安定的なcad図面を作成できるようになるのです。