浄化槽設備士は、 浄化槽の施工図を作成したり、浄化槽の施工を管理監督する専門家として、マンションや住宅の建設工事や リフォーム工事などにおいて、浄化槽の施工を行う現場で管理監督をしなければなりません。 やりがいもありますが、個人の責任感が非常に重要視される大事な仕事になります。 浄化槽を工事する業者は、浄化槽設備士を置かなければいけないので、浄化槽設備士は、設備会社ごとに必要となり、活躍することになります。
浄化槽設備士とは
浄化槽設備士は、浄化槽の設置、監督をおこなうことができる、浄化槽法第43条に基づく国家資格です。 浄化槽工事事業者は、営業所ごとに配置しておく義務があるため、ニーズも多くなります。 浄化槽設備士の仕事は、浄化槽を設置する工事で、実地の監督を行う事ができる、浄化槽法で定められた国家資格となっています。
浄化槽設備士資格は、浄化槽設備士試験に合格するか、浄化槽設備士講習の課程を修了するかのいずれかの方法で取得できます。免状交付申請の手続を行うことによって、国土交通大臣から「浄化槽設備士免状」が交付されます。
仕事内容
浄化槽設備士の仕事内容は、マンションの建設工事やリフォーム工事における、浄化槽の施工、 施工図作成、施工管理・監督です。高度な知識や技術が必要になります。 浄化槽設備士は、主に浄化槽設備会社で働くことが多く、優遇されていて資格手当などもつくことがあります。
関連する資格
1級または2級管工事施工管理技術検定に合格していると、浄化槽設備士試験の受験資格が得られます。また、1級または2級管工事施工管理技士の資格を取得していると、浄化槽設備士講習の受講資格が得られます。浄化槽管理士の資格を取得している場合は、「浄化槽概論」「浄化槽の保守点検および清掃概論」科目の講義が免除されます。
管工事施工管理技士・浄化槽管理士については、下記の記事で詳しく解説しています。
浄化槽設備士講習
浄化槽設備士講習は、浄化槽設備士に係る講習等に関する省令第14条に基づき、、公益財団法人日本環境整備教育センターが実施しています。
5日間の計37時間の講習が行われ、最終日に全教科目にわたった効果評定(試験)が行われ、合格することで資格を取得できます。浄化槽管理士の資格を取得している場合は、「浄化槽概論」「浄化槽の保守点検および清掃概論」科目の講義が免除されます。
受講資格 | 1級又は2級管工事施工管理技術検定に合格した者 |
受講料 | 86,700円(講習教科目一部免除は81,700円) |
講習科目 | ①浄化槽概論(8時間)、②法規(3時間)、③浄化槽の構造及び機能(15時間)、 ④浄化槽施工管理法(8時間)、⑤浄化槽の保守点検及び清掃概論(3時間) |
効果評定 | 講習科目①~⑤全教科目の効果評定試験(2時間) |
浄化槽設備士試験
浄化槽設備士試験は、浄化槽法(昭和58年5月18日法律第43号)第43条第4項の規定に基づき、公益財団法人日本環境整備教育センターが実施しています。
受験資格
次のA・B・Cのいずれかに該当するもの
・A:学歴ごとに規定する実務経験年数を有する者
・B:1級又は2級管工事施工管理技術検定に合格した者
・C:職業能力開発促進法(旧職業訓練法)による技能検定のうち検定職種を
1級または2級配管(建築配管作業)とするものに合格した者
ただし、平成16年度以降に2級配管(建築配管作業)に合格した者にあっては、同種目に関し4年以上の実務経験を有する者
日程
浄化槽設備士試験は、年に1回、7月に実施されます。
例えば、2021年の日程は7月4日(日)でした。
試験地
宮城県、東京都、愛知県、大阪府、福岡県
受験料
22,500円(非課税)
試験内容
浄化槽設備士試験では、浄化槽工事に関して必要な知識及び技能が十分に備わっているかが問われます。
学科試験
出題形式:多岐選択式
試験時間:3時間
試験科目:
・機械工学・衛生工学等
・汚水処理法等
・施工管理法
・法規
実地試験(記述式)
出題形式:記述式
試験時間:1時間
・施工管理法
合格基準
学科及び実地試験の点数がともに、100点満点中60点以上の者
合格率・難易度
2019年から2021年に実施された浄化槽設備士試験の平均合格率は、36.1%です。浄化槽設備士試験と同じくらいの合格率になっています。
年度 | 受験者数 | 合格者数 | 合格率 |
2021年 | 706 | 320 | 45.3 |
2020年 | 574 | 215 | 37.5 |
2019年 | 815 | 221 | 27.1 |
計 | 2,095 | 756 | 36.1% |
参考資料:
浄化槽設備士試験の勉強方法
浄化槽設備士試験の勉強方法は、試験のみを受験するか、講習を受講するかで大きく異なります。
試験を受験する場合の合格率は30~40%程度、講習を受講する場合は80~90%程度と言われており、難易度に大きな差があります。1級又は2級管工事施工管理技術検定に合格していれば、浄化槽設備士講習の受講が可能です。すでに合格している場合には、講習の受講も検討してみましょう。
ただし、試験のみを受験する場合の費用は22,500円、講習を受講する場合は86,700円と、3倍以上の費用がかかる点に注意が必要です。試験のみを受験する場合はテキスト・過去問を自身で入手する必要があり、独学で勉強する必要があります。一方、講習を受講する場合は、費用はかかるものの、5日間で合格できます。
費用だけでなく勉強時間にも大きな差が出るため、どちらの方法で資格の取得を目指すのかをしっかり検討しておきましょう。
過去問を繰り返し解く
講習を受講せずに試験のみを受験する場合は、テキストを読み込み、過去問を繰り返し解くことが重要です。浄化槽設備士試験は、過去に出題された内容と似た問題が出題される傾向があります。そのため、過去問を繰り返し解くことで傾向を掴みやすくなります。
テキストや問題集は公益財団法人日本環境整備教育センターのホームページで販売されています。
過去問は、公益財団法人日本環境整備教育センターのホームページで公開されています。
市販されているテキスト・問題集については、下記ページで紹介しています。
アプリを活用する
浄化槽設備士試験の勉強用の「浄化槽設備士」というアプリがあります。(Android版のみ、700円)
2011年から2021年まで(2022年2月時点)の過去問が収録されているため、隙間時間を活用した勉強に最適です。
講習を受講する
浄化槽設備士試験と講習後に行われる考査の試験範囲は同じです。講習では講師が考査で出題する箇所を重点的に教えてくれるため、しっかりメモを取っておきましょう。
講習を受講する場合の合格率が80~90%程度であることから考えると、講師の言うことをしっかり聞いていれば、合格できる可能性は高いです。講習中の態度もチェックされているようなので、居眠りしないように対策・準備しておきましょう。