非破壊試験技術者とは?試験の難易度・合格率・勉強法・過去問・解答速報をご紹介!

2332dca28148b033f1ca480315a00d9c - 非破壊試験技術者とは?試験の難易度・合格率・勉強法・過去問・解答速報をご紹介! 建設関連の資格試験

非破壊試験技術者とは、非破壊試験をおこなう技術者の技術レベルを認定する資格です。
非破壊試験技術者資格試験は、一般社団法人日本非破壊検査協会が実施する民間試験で、技術者の技量認定試験です。非破壊試験技術者資格試験は、JIS規格 JIS Z 2305 に基づいて実施されます。

非破壊検査技術者試験の過去問と重要事項

放射線透過試験(RT)レベル1(放射線・X線の性質)

1. 放射線の電荷
放射線は、その種類によって電荷を持つものと持たないものがあります。それぞれの電荷の特性を理解することが、放射線透過試験の基礎となります。
・電荷を持たない放射線(中性) … X線
・正の電荷を持つ放射線 … α線(アルファ線)、重陽子線
・負の電荷を持つ放射線 … β線(ベータ線)
X線は透過力が高く、非破壊検査に適しています。一方、α線やβ線は物質との相互作用が強く、透過試験にはほとんど使用されません。

2.放射線透過試験で使用する放射性同位体(核種)の半減期
放射線透過試験では、使用する放射性同位体(核種)の半減期を把握しておくことが重要です。半減期が短いほど強い放射線を発しますが、時間の経過とともに減衰が早いため、頻繁な交換が必要になります。
・60Co(コバルト60) … 半減期 5.3 年
・169Yb(イッテルビウム169) … 半減期 32 日
・192Ir(イリジウム192) … 半減期 74 日
放射性同位体の選択は、試験対象の材質や厚さ、必要な透過力を考慮して決定されます。

3.白色X線とは
白色X線は、X線透過試験で使用される放射線の一種です。
・白色X線は、異なるエネルギーを持つX線が混在している。
・白色X線の実効エネルギーは、同一の半価層を持つ単色X線のエネルギーと同じ値を示す。
・試験の目的に応じて、フィルターを使用し不要なX線を除去することが重要。

4.X線の性質と画像品質
X線を利用した透過試験では、線質や散乱線が透過写真の品質に大きく影響します。
・X線透過写真の像質(画像の鮮明さ)に影響を与える要素 … 線質と散乱線
・線質の定量的な指標 … 半価層と実効エネルギー
・半価層が大きいほど、X線のエネルギーが高くなり、透過能力が向上する。
適切なX線の選択と散乱線の低減が、鮮明な透過画像を得るために重要となります。

5.放射線の照射方向と試験体
放射線透過試験では、放射線の照射方向を適切に決めることで、欠陥を正確に検出することができます。
・放射線の照射方向は、欠陥による放射線の減弱差が最も大きくなる方向を選ぶ。
・溶接部の試験では、試験体を透過する厚さが最小になる肉厚方向に照射することが望ましい。
・適切な照射角度を選定することで、画像のコントラストが向上し、欠陥の検出精度が上がる。

放射線透過試験(RT)レベル1(放射線透過試験)

6.透過写真の濃度と特性曲線
X線透過試験では、透過写真の濃度を測定し、試験結果を評価します。
・写真濃度 D … 透過写真の黒さの程度を表す。
・濃度の計算式 … D = log10(L0/L)(L0:入射光の強さ、L:透過光の強さ)
・X線フィルムの特性曲線 … 縦軸にフィルム濃度、横軸に露出量をとったグラフで表される。
特性曲線を正しく理解し、適切な濃度範囲を維持することが、高品質な透過写真の取得に不可欠です。

7.放射線透過試験におけるNDT指示書の役割
NDT指示書は、非破壊検査技術者が現場で作業を行う際に使用する重要な文書です。次の記述は誤りのため注意が必要です。
・NDT指示書は、NDT仕様書の一部として記載される。
・NDT指示書は、NDT手順書に組み込まれる。
・NDT指示書は、溶接継手の種類が多くても一度作成すれば再利用できる。
NDT指示書は、検査対象や条件に応じて適切に作成し、正確な試験を実施するための指針となる文書です。

8.被ばく線量測定用の測定器
放射線作業に従事する非破壊検査技術者は、個人の被ばく線量を管理するため、適切な測定器を使用します。
・フィルムバッジ … 長時間の積算線量測定が可能だが、温度や湿度の影響を受けやすい。
・蛍光ガラス線量計 … 近年、より精度の高い測定が可能なため使用が増加している。
・以下の記述は誤り。
・個人の被ばく線量測定には、直読可能なガラス線量計が主に使われる。
・ポケット線量計は、衝撃に強く、湿度や温度の影響を受けないため広く利用されている。
・熱ルミネッセンス線量計は、放射線を受けると安定した蛍光中心を形成し、紫外線を当てると橙色の蛍光を発する。
放射線作業では、安全管理の一環として適切な線量測定を行い、必要な対策を講じることが求められます。

ワンポイント解説

放射線透過試験は、非破壊検査技術者試験の中でも特に重要な分野の一つです。試験では、放射線の種類や特性、半減期、透過写真の評価方法などの基礎知識が問われます。また、NDT指示書や被ばく管理に関する問題も頻出するため、現場での実務に即した知識が必要です。特に、放射線の透過特性や試験条件の設定方法を正しく理解することで、より精度の高い検査が可能になります。試験対策として、基本概念をしっかり押さえ、過去問を繰り返し解くことが合格への近道となるでしょう。

放射線透過試験(RT)レベル2

1.放射線透過試験に関するJIS規格
放射線透過試験は、JIS規格に基づいて実施されます。主な規格は以下のとおりです。
・階調計10形 … JIS Z 3105:2003(透過試験用の階調計に関する規定)
・試験視野の直径50mm … JIS G 0581:1999(透過写真の観察視野に関する規定)
・帯形透過度計X020 … JIS Z 2306:2000(透過度計の仕様と測定基準)
・B種 … JIS Z 3861:1979(放射線透過試験に関する基準)
・非破壊試験用語 … JIS Z 2300:2009(非破壊検査に関連する用語の定義)
規格に準拠することで、試験結果の正確性と信頼性が確保されます。

2.JIS Z 3104:1995 に基づく透過写真の観察
透過写真の品質を適切に評価するために、以下の要件が定められています。
【像質に関する要件】
・透過度計で最小線径の識別が可能であること。
・階調計を用いた濃淡の測定を行うこと。
・規定された濃度範囲を満たすこと。
【濃度範囲の基準】
・最高濃度は「4.0」までとする。
・濃度が「3.5」を超える場合、D35形の観察器(JIS Z 4561:1992)を使用する。
これらの基準を守ることで、適切な試験結果が得られます。

3.NDT仕様書、NDT手順書
放射線透過試験の実施には、以下の2つの文書が必要です。
【NDT仕様書(発注者が作成)】
・試験方法や判定基準を記載し、受注者へ指示を出す。
【NDT手順書(受注者が作成)】
・NDT仕様書に基づき、試験の具体的な実施要領を記載する。
これらを適切に作成・運用することで、試験の精度が向上します。

ワンポイント解説

放射線透過試験(RT)は、材料内部の欠陥を検出するためにX線やγ線を利用する非破壊検査方法です。試験の精度を高めるためには、JIS規格に基づいた適切な手法を用いることが求められます。特に、透過写真の品質管理は重要であり、像質や濃度範囲の基準を満たしていることが必要です。また、試験の実施には発注者が作成するNDT仕様書と、受注者が作成するNDT手順書の正しい理解が欠かせません。これらの文書を適切に活用することで、試験の信頼性が向上し、精度の高い検査結果を得ることができます。非破壊検査技術者試験においても、これらの基準や手順を正しく理解し、実務に活かせる知識を身につけることが求められます。

超音波探傷試験 UT レベル1(超音波の性質)

1.超音波の発生
・超音波は、圧電材料を使って発生させることができ、これにより高精度な検査が可能となります
・圧電素子に短いパルスの電圧を加えることで、圧電材料が変形し、機械的振動として超音波を発生させます
・発生した超音波は、様々な媒質を通過する際に、その性質や伝播方向に影響を与え、検査対象物内部の欠陥や異常を特定するために使用されます
・超音波検査では、機械的な振動を電気信号に変換する受信装置を用いて、得られた信号を解析することが重要です
・超音波の発生には、パルス電圧の変化が鍵となり、検査対象物の特性に応じて適切な設定が求められます
次の記述は誤りです:
・超音波の発生には、機械信号を電気信号に変換して行う

2.超音波縦波の斜め入射
・超音波縦波は、異なる媒質が接する境界面に斜めに入射すると、屈折角が入射角よりも大きくなることが特徴です
・例えば、アクリル樹脂と鋼の境界に超音波縦波が斜めに入射すると、縦波屈折角は入射角よりも大きくなる現象が観察されます
・また、縦波反射角が縦波屈折角と一致するわけではなく、反射角は屈折角よりも異なる場合があります
・横波も同様に、屈折角と反射角の関係が異なるため、これらの理解は重要です
・これらの波の挙動をしっかりと理解することで、より精度の高い欠陥検出が可能となります
次の記述は誤りです:
・縦波反射角は、縦波屈折角と等しい
・横波屈折角は横波反射角より小さい
・縦波反射角は縦波屈折角より大きい

3.超音波の波長と音速
・波長が短い超音波は、より小さな欠陥を検出するために有効です
・反対に、波長が長い超音波は、深部の欠陥をより正確に検出できる特性がありますが、表面近くの細かい欠陥に対する感度は低くなります
・超音波は、波の進行方向に対して、媒質内の粒子がどのように振動するかによって縦波または横波として分類されます
・縦波が横波に変換される際、音速が変化することがあり、これを考慮して検査を行うことが必要です
・また、音速は媒質の物理的特性に依存し、超音波が伝播する速さは周波数だけでは決まらず、媒質の密度や弾性に大きく影響されます
次の記述は誤りです:
・横波は、媒質内の粒子の振動方向と波の進行方向が平行である
・縦波が横波にモード変換しても音速は変わらない
・超音波の音速は周波数に依存しない

超音波探傷試験 UT レベル1(STB標準試験片)

4.STB-N1
・STB-N1は、鋼板における垂直探傷の感度を調整するために使用される標準試験片です
・この試験片は、JIS G 0801規格に基づき、垂直探傷を行う際の基準として活用されます
・STB-N1には、深さ15mmの位置に直径5.6mmの平底穴が設けられており、これを使って感度の確認や調整を行います
・また、STB-N1は、STB-A1と同様に、25mmの板厚を持っており、垂直探傷の測定範囲を調整する際にも使用されます
・STB-N1は、超音波探傷機器の調整や性能確認のため、非常に重要な役割を果たす試験片です
次の記述は誤りです:
・STB-N1は、垂直探傷における距離振幅特性曲線を作成するために使用される

5.STB-A2
・STB-A2は、斜角探傷での感度調整に用いる標準試験片です
・JIS Z 3060規格に基づき、鋼溶接部の斜角探傷の精度を確認するために使用されます
・また、STB-A2は、JIS Z 2352規定に基づいて、斜角探触子の性能測定にも活用されます
・STB-A2を用いることで、斜角探傷における信頼性と精度を向上させることができます
・この試験片は、特に溶接部の欠陥検出において重要な役割を担っています
次の記述は誤りです:
・STB-A2は、斜角探傷での測定範囲の調整に使用される

6.STB-G
・STB-Gは、標準的な穴のエコー強度を測定するための試験片であり、複数の異なるサイズの穴が配置されています
・STB-GにおけるV15-1からV15-5.6までの穴のエコー強度は、ほぼ2倍ごとに変化します
・STB-Gは、V2、V3、V5、V8の4本と、V15シリーズ(V15-1、V15-1.4、V15-2、V15-2.8、V15-4、V15-5.6)の6本、計10本で構成されています
・V2~V8の標準穴の直径は全て2mmで、きずまでの距離が20mm、30mm、50mm、80mmで異なります
・V15シリーズは、きずまでの距離が150mmで、ハイフン後の数値は穴の直径を示しており、面積が2倍ずつ変化します

7.接近限界長さ
・接近限界長さは、斜角探触子の入射点から接触面の先端までの最短距離を指します
・これは、探触子が溶接部に最も接近できる距離を意味しており、検査精度に影響を与えます
・接近限界長さを設定することで、検査機器の設定を最適化し、効率的な欠陥検出が可能となります
・適切な設定を行うことで、探触子が最も効果的に欠陥を検出できる位置を見つけることができます
次の記述は誤りです:
・接近限界長さは、斜角探触子の先端から溶接ビードの端までの長さである
・接近限界長さは、入射点から溶接部中心までの長さである
・接近限界長さは、溶接部中心から1スキップの探触子入射点までの長さである

ワンポイント解説

非破壊検査技術者試験において、基礎的な理論と実際の検査技術をしっかり理解することが合格への鍵となります。特に、超音波の発生や波長、音速などの物理的な原理は、検査精度を向上させるために欠かせません。STB-N1やSTB-A2、STB-Gのような標準試験片を使いこなすことも非常に重要で、これらは検査機器の性能確認や感度調整を行うために必要です。また、接近限界長さなどの検査設定を正確に行うことで、探傷の精度が格段に向上します。試験のポイントを押さえ、誤りを避けるために理論と実務をバランスよく学ぶことが求められます。

超音波探傷試験 UT レベル2

1.斜角探傷における屈折角
・探傷屈折角とは、試験体や試験体から切り出した対比試験片を用いて、探傷方向に測定した屈折角のことです。
・STB屈折角は、STB-A1試験片またはSTB-A3形系試験片を用いて測定した屈折角を指します。
・STB屈折角度差とは、探傷屈折角とSTB屈折角との間に生じる差を示しています。
・探傷屈折角は試験体の内部構造の詳細を把握するために非常に重要な測定値となります。
・STB屈折角は標準試験片を使用して、探傷結果に基づく補正を行うために用いられます。
・屈折角度差の補正を行うことにより、探傷精度を向上させることができます。
・非破壊検査技術者は屈折角に関する深い知識を持ち、正確な検査を行うために必要です。
・探傷屈折角の測定は、超音波探傷を実施するための基本的なステップです。
・屈折角の変化に柔軟に対応できることが重要です。
・屈折角度差の理解と補正方法をマスターすることが、非破壊検査技術者には不可欠です。

2.探触子
・斜角探触子の振動子は縦波を発生させ、試験体に縦波臨界角以上で超音波を入射させます。
・縦波の入射により、試験体内部に超音波が伝搬し、内部の欠陥を検出することができます。
・振動子が剪断方向に振動することによって、SH波(横波)が発生し、試験体内を伝搬します。
・SH波は横方向の欠陥や亀裂を検出するために重要な役割を果たします。
・斜角探触子は温度変化に敏感で、試験体の温度が変わると屈折角が変化するため、温度管理が重要です。
・温度管理を怠ると、探傷結果に影響を与える可能性があります。
・可変角探触子を使用することで、試験体中に横波と縦波を斜めに伝搬させることができます。
・可変角探触子は表面波探触子としても使用することができます。
・オーステナイト系ステンレス鋼(SUS304)溶接部の探傷には、主に縦波斜角探触子が使用されます。
・探傷法は直射法のみに限定されることが多いです。
・媒質中を通過する超音波の音速は温度によって変化します。
・媒質1から媒質2への超音波の入射角や屈折角は、スネルの法則に従って計算されます。
・例えば、媒質2が鋼であれば、温度が10℃変化するだけで屈折角は1度程度変化することがあります。

3.STBと音速の差がある鋼板溶接部の超音波探傷試験
・STBと音速に差がある鋼板の溶接部の探傷には、伝搬方向にV透過法を使用し、探傷屈折角を測定します。
・探傷屈折角を測定する方法には、STB音速比を利用した方法とV透過法を使用した方法の2つがあります。
・STBと音速に差がある鋼板の溶接部の探傷では、圧延方向(L方向)と直角方向(C方向)で横波の音速に差が生じる場合があります。
・STBと音速に差がある鋼板の溶接部の探傷では、音速差が影響を与えるため、探傷屈折角を使用して補正を行うことが必要です。
・特に制御圧延された鋼材や耐火鋼材には、STBと音速に差があるものが存在するため、探傷時には注意が必要です。

4.超音波探触子
・広帯域探触子は広い周波数帯域を持ち、減衰の大きな材料でも低い周波数成分が伝搬するため、信号対雑音比(S/N比)を改善することができます。
・クリーピング波は表面近傍を伝搬するため、表面近くの欠陥の検出に有効です。
・超音波ビームの集束範囲は、距離振幅特性曲線における最大エコー高さ1/2(-6dB)として定義されます。
・斜角探触子の吸音材は、振動子から発生した超音波ビームが探触子内部で反射し、振動子に戻るエコーを吸収します。これにより、近距離の不感帯を改善することができます。
・探傷精度を向上させるために、超音波探触子の特性を正しく理解し、適切に使用することが重要です。

5.鋼溶接部の超音波探傷試験方法
・鋼溶接部の超音波探傷試験方法に関するJIS Z 3060-2002の規定に従って、探傷器の性能点検を実施する必要があります。
・探傷器の性能点検は、購入時および12ヶ月以内ごとに実施し、適切な性能維持が求められます。
・増幅直線性は±3%以内、時間軸直線性は±1%以内であることが求められます。
・感度余裕値は40dB以上が維持されていることが確認される必要があります。
・これらの点検を定期的に行うことで、鋼溶接部の超音波探傷試験が常に信頼性の高い結果を提供することができます。
・非破壊検査技術者は、JIS規格に基づいた点検とメンテナンスを確実に実施することが求められます。

ワンポイント解説

非破壊検査技術者試験では、各検査手法における重要な理論や技術的な理解が必要です。特に、斜角探傷や超音波探傷に関しては、屈折角や探触子の特性、さらには温度や音速差による影響をしっかりと把握することが求められます。これらの要素を理解しておくことで、試験体の内部構造を正確に評価できるようになります。また、試験装置の定期的な点検や性能確認は、検査結果の信頼性を確保するために欠かせません。鋼溶接部などの特定の部位においては、音速差や探傷屈折角の補正方法を理解することが、精度の高い検査を実施するための鍵となります。試験の現場でこれらの知識を実践することが、試験合格へとつながります。

磁気探傷試験 MT レベル1

1.炭素鋼の磁気特性
・鋼の硬さが低いほど、飽和磁束密度に達するために必要な磁界の強度は小さくなります。硬い鋼ほど強い磁界を必要とし、軟らかい鋼は小さな磁界で飽和します。
・炭素鋼の炭素含量が高いほど、飽和磁束密度に達するために必要な磁界の強度が大きくなります。炭素量が多い鋼は、強い磁界が必要となるためです。
・冷間加工が進んでいる鋼は、加工度が高いほど、飽和磁束密度に達するための磁界強度が増加します。冷間加工が進むと、鋼はより硬く、磁気的な特性も強化されます。
・焼入れしやすい鋼ほど、飽和磁束密度に達するために必要な磁界の強度は大きくなります。焼入れ材は高い硬度と保磁力を持ち、強い磁界が必要となります。

2.磁界の強さと磁束密度の単位の組み合わせ
・磁界の強さはA/m(アンペア毎メートル)で表されます。試験体を磁化するために必要な電流の強さを示します。
・磁束密度はT(テスラ)で表されます。これは、試験体内の磁場の密度を示す指標となります。
・磁界の強さと磁束密度は相互に関連し、試験条件の設定において両者を正しく理解することが重要です。

3.磁界の強さと単位
・Wb(ウェーバ)は、磁束の単位であり、磁場の強さを示します。試験体における磁場の強度を測定するために使用されます。
・H/m(アンペア毎メートル)は、透磁率の単位であり、試験体がどれだけ磁場を通しやすいかを示す指標です。透磁率は、磁化の方法や試験体の特性を理解する上で重要です。

4.各磁化方法とその特徴
・プロッド法は、試験体の局部に二個の電極を当てて電流を流し、局所的に磁化を行う方法です。形状が複雑な試験体にも適用できるため、特殊な形状の試験体に最適です。
・軸通電法は、試験体の軸方向に電流を流し、軸方向に沿ったきずが最も検出しやすくなります。試験体の長さ方向のきずを正確に検出するのに適しています。
・コイル法は、試験体をコイルの中に入れて磁化する方法で、コイル軸に直行する方向のきずが最も検出しやすいです。この方法は、試験体を均等に磁化するのに効果的です。
・電流貫通法は、試験体の穴などに通した導体に電流を流し、試験体を磁化する方法です。管やリング状の試験体の軸や径方向のきずを検出するのに有効です。

5.漏洩磁束密度に影響する因子
・きず部からの漏洩磁束密度は、きずの高さや深さが増加するほど大きくなります。深いきずほど漏洩磁束密度が増し、検出が容易になります。
・きず部からの漏洩磁束密度は、きずの長手方向に対する磁束の方向が90°に近いほど大きくなります。磁束がきずの長さ方向に直角に近づくと、漏洩磁束密度は増加します。
・きず部からの漏洩磁束密度は、試験体中の磁束密度が増加するほど大きくなります。強い磁場をかけると漏洩磁束密度が増加し、きずが検出しやすくなります。
・きず部からの漏洩磁束密度は、通電時間には影響されません。通電時間を長くしても、漏洩磁束密度に変化はないことが確認されています。

6.残留法
・残留法は、焼入れ材などの硬く保磁力が大きい材料に適用されます。残留法は、磁化と磁粉の適用を分けることができ、作業性が向上します。
・残留法では、磁化と磁粉の適用を分けることで作業性が良好であり、大量の試験体を効率的に検査できます。
・残留法における漏洩磁束密度は、連続法よりも小さいため、検査液の流速を調整する必要があります。
・磁粉の適用は、通電後に行い、通電時間は1秒以下で十分です。検査液は静かに適用し、流れが速くならないようにします。

7.小形リング状の試験体のきず検出の磁化方法
・磁束貫通法は、小形のリング状試験体において、全表面の円周方向のきずを検出するために用いられる磁化方法です。
・コイル法は、反磁界の影響が大きく、十分に磁化できないため、小形リング状の試験体には適していません。
・軸通電法では、円周方向のきずは検出できません。
・電流貫通法は、軸方向のきずを検出する方法であり、小形リング状の試験体には適さない場合があります。

8.検査液の濃度
・沈殿計を使用して測定しても、検査液濃度が正確に測定できない場合があります。これは、循環使用する際にスケールやゴミなどが混入するためです。
・検査液の濃度は、検査液の単位体積中に含まれる磁粉の質量(g/ℓ)や沈殿体積(mℓ/100mℓ)で表します。これらを理解することが、試験の精度に大きな影響を与えます。
・濃度の適性値は、蛍光磁粉と非蛍光磁粉で異なり、非蛍光の方が高感度を得られます。
・磁粉の粒度が小さいほど、濃度は高い方が適しています。磁粉の粒度が小さいと、同じ質量当たりの粒子数が増え、バックグラウンドの汚れが減少し、検出性が向上します。

9.高圧水銀灯のブラックライト
・点滅回数が増加すると、ブラックライトのランプの寿命は短くなります。ブラックライトを使用する際は、点滅回数をできるだけ少なく保つことが推奨されます。
・安定器があっても、ブラックライトの電圧が大幅に下がると消灯することがあります。ブラックライトの電圧の安定を確保することが重要です。
・ブラックライトのフィルタは、315~400nmの波長の紫外線(UV-A)を照射します。この範囲の紫外線が、検査における蛍光を促進します。
・再点灯には数分間の時間がかかり、水銀灯が熱い状態では点灯が難しくなるため、再点灯時には注意が必要です。

ワンポイント解説

非破壊検査技術者試験での磁気探傷試験(MT法)は、金属の内部にある亀裂や欠陥を検出するための非常に重要な技術です。試験体の材質や形状によって使用する磁化方法や検査液の濃度、粒度の設定が異なり、正しい条件を選ぶことが検査の精度に大きく影響します。例えば、冷間加工が進んでいる鋼や炭素量が多い鋼では強い磁界が必要となり、適切な検査方法を選ぶことが求められます。また、ブラックライトや検査液の濃度調整など、設備や環境にも配慮し、試験体に適した条件を整えることが合格へのポイントです。

磁気探傷試験 MT レベル2

1.強磁性体の磁化曲線
・磁化曲線は、強磁性体における磁界の強さと磁束密度の関係を示すグラフです。
・縦軸は磁束密度(B)を、横軸は磁界の強さ(H)を表します。
・磁化曲線と縦軸との交点は残留磁束密度を示し、横軸との交点は保磁力を表します。
・交流で磁化を行った場合、表皮効果により直流磁化とは異なる形状の磁化曲線になります。
・磁化曲線の任意の一点での傾きはB/Hであり、その点での透磁率を示します。

2.起磁力
・起磁力(F)は、磁界の強さHと磁気回路の長さlを掛け合わせた値に等しく、F = H × lとなります。
・磁気回路における磁気抵抗(R)と磁束(φ)を考慮した式は、F = φ × Rです。
・極間法では、電磁石の起磁力はコイルに流れる電流I(アンペア)とコイルの巻数nの積に比例します。
・極間法では、起磁力を「アンペアターン」と呼ぶことがあります。
・起磁力を計算する際には、磁極と試験体とのギャップや自在ヨークの装着などの影響を考慮することが重要です。
・起磁力が大きいほど、全磁束も大きくなり、その結果として試験体を強く磁化できます。

3.疑似模様
・疑似模様とは、実際のきずに起因しないものの、あたかもきずが存在しているかのように見える磁粉模様を指します。
・疑似模様はその発生原因によって、再試験の際に再現される場合と、再現されずに消滅する場合があります。
・磁粉探傷試験を再度実施した際、きずによる磁粉模様と疑似模様を区別することが難しい場合があります。
・同じ種類の試験体を同一条件で探傷した場合、すべての試験体で似たような磁粉模様が現れると、それは疑似模様であると判断できます。
・磁気ペン跡は、鋭い線状の磁粉模様として現れ、残留法で磁化された試験体に強磁性体が接触した際に現れることが特徴です。

4.磁化電流値の決定条件
・軸通電法で磁化電流値を決定する場合、試験体を適切に磁化させるためには、いくつかの条件を考慮する必要があります。
・試験体の磁気特性:試験体の材質や磁気特性は磁化電流値に影響を与えます。
・試験体の表面粗さ:表面が粗いほど、電流値に影響を与え、磁化が不均一になる可能性があります。
・きずの種類、位置、大きさ:検出するべききずの種類や場所、またはその大きさに応じて、最適な電流値が決定されます。

ワンポイント解説

磁気探傷試験(MT法)は、強磁性体における亀裂や欠陥を検出するために広く使用されている手法です。この試験の際、適切な磁化条件を選定することが非常に重要です。例えば、起磁力を大きく設定することで、試験体を強く磁化し、より明確な検出結果を得ることができます。しかし、疑似模様の影響で、きずがあるように見えても実際には異なる原因で模様が生じている場合もあります。そのため、再試験や他の検査方法と組み合わせることで、正確な判定が可能となります。非破壊検査技術者試験では、これらの条件を理解し、適切に対処することが求められます。

浸透探傷試験 PT レベル1、溶剤除去性浸透探傷検査 PD レベル1

1.浸透探傷試験の再試験
・再試験は、必ずしも試験面全面を再度実施するわけではなく、判断が難しい箇所や疑わしい部分のみを部分的に行うことが可能です。これは試験の効率を保ちながら、正確な結果を得るために重要です。
・再試験が必要な場合、それはきず指示模様の再判定ではなく、あくまで試験過程で判断に迷う箇所についての確認が主な目的となります。指示模様そのものを再度見直すのではなく、再確認の必要がある箇所を確認する手法です。
・誤って行われることが多い再試験の方法の一つは、最初に現像した際に残った浸透液を取り除いてから再度現像処理を行う方法です。この方法では、最初の現像処理時に浸透液が取り除かれた際に、指示模様が現れなくなる可能性があるため、再試験としては誤った手順になります。
・再試験は浸透時間が規定の時間よりも長くなった場合に実施されることがありますが、実際には浸透時間が最小限を過ぎても探傷性能には影響を与えないため、再試験を行う必要はないことがほとんどです。
・再試験を行うべきタイミングは、試験の過程で操作手順に誤りがあった場合や、きずかどうかの判断が難しい場合に限られます。
・特にきずの評価が困難な場合や、指示模様がきずによるものか他の原因によるものかの判断ができない場合に再試験が求められます。再試験を行う際は、前処理や手順をきちんと守る必要があります。
・再試験で必ずしも最初の試験結果と同じ結果が得られるわけではないため、過信せず慎重に判断することが求められます。
・再試験時に疑似模様かどうかを確認する最も効果的な方法は、現像剤を取り除き、10倍から20倍程度のルーペで表面状態を詳細に観察することです。こうすることで、きずによるものか他の原因によるものかをより正確に判断できます。

2.現像方法
・乾式現像剤を浸漬法で使用する際には、試験体を現像剤に浸漬して浸透液が完全に現像剤に浸透するようにします。浸漬時間の設定により現像剤の作用を最大限に引き出すことができます。
・湿式現像剤を浸漬法で使用する場合、現像剤の浸漬時間は、試験体表面に均一に現像塗膜が形成される最小の時間を基準として設定します。これにより、効果的な現像が可能になります。
・速乾式現像剤は、浸漬法では使用せず、スプレー法や刷毛塗り法で適用することが基本です。速乾性の現像剤は、すぐに乾燥する特性を持っており、浸漬法ではその特性を最大限に活かせません。
・現像方法としては、湿式現像法、乾式現像法、速乾式現像法、無現像法の4種類があり、それぞれの特徴や試験体の特性に合わせて適切な方法を選択することが求められます。

3.湿式現像法
・湿式現像法では、白色微粉末を水に懸濁させた現像剤を使用し、特に水洗性浸透探傷試験で広く使用されています。この方法では、余剰の浸透液を洗浄した後、乾燥せずに直接現像剤を浸漬するか、スプレーまたは注ぎかけによって現像を行います。
・湿式現像法を使用する場合、現像剤の適用後に試験体の表面に均一な現像膜が形成されることが重要です。浸漬法で現像剤に浸漬しすぎると、浸透液が現像剤に滲み出し、きずの検出精度が低下するため、適切な浸漬時間が必要です。
・湿式現像法では、現像剤の適用後に現像剤が均等に浸透するため、きずの位置を正確に示す指示模様が得られることが期待できます。現像時間が長くなると、浸透液が現像剤に影響を与えるため、過度な浸漬を避けるようにします。

4.乾式現像法
・乾式現像法では、極めて比重の小さい白色微粉末をそのまま使用し、現像を行う方法です。乾式現像法では、試験体表面に水分が残っていると現像剤が付着しないため、乾燥処理が必須となります。
・乾式現像法の適用にはいくつかの方法があり、例えば現像剤を容器に入れて試験体を浸漬する方法、探傷面に現像剤を振りかける方法、または現像剤を布で包んで軽く叩く方法があります。
・乾式現像法の利点は、きず部にのみ現像剤が付着し、鮮明な指示模様を得やすくなることです。特に指示模様がにじみづらく、明確な結果を得られる点が特徴です。
・乾式現像法では、現像剤を現像時間中に試験体に浸漬し、きずから滲み出た浸透液に現像剤が付着することで、鮮明な指示模様が形成されます。

5.速乾式現像法
・速乾式現像法では、揮発性の溶剤に白色微粉末を懸濁させた現像剤を使用し、スプレー法や刷毛塗り法で適用します。速乾性のため、すぐに乾燥し、効率よく現像ができます。
・速乾式現像法では、均一で適切な厚さの塗膜が形成されることが求められます。現像剤が均一に塗布されることによって、きず部が正確に示され、効果的な探傷が可能となります。
・速乾式現像剤は、浸透液を溶解する能力が強いため、浸漬法では使用しません。浸漬法では浸透液が現像剤に溶解してきず検出能力が低下するためです。

6.疑似模様
・疑似模様は、きずによるものではなく、他の原因によって浸透液が引き起こす指示模様のことです。疑似模様は、きず以外の原因で発生し、再試験が必要となります。
・指示模様か疑似模様かの判別方法として、現像剤を取り除き、拡大鏡を使用して観察する方法や、他の非破壊試験方法を利用する方法があります。これにより、きずによるものか、他の原因によるものかを確実に判断できます。
・疑似模様が生じる原因としては、試験体そのものや前処理が不適切であった場合が多いです。例えば、試験面に錆やスケール、溶接スパッタが付着していたり、処理が不十分であると疑似模様が発生することがあります。
・バックグラウンドはきず指示模様以外の試験面の色や明るさを指し、疑似模様と区別することが必要です。バックグラウンドが不均一だと、指示模様が隠れることがあります。

7.浸透探傷試験の検出方法
・浸透探傷試験は、金属や非金属を問わず、表面に開口しているきずの検出に非常に優れた能力を発揮します。多くの材料で高精度な探傷が可能ですが、コンクリートや木材など吸湿性が高い材料では、浸透液の吸収が問題となり、きずの識別が難しくなることがあります。
・浸透探傷試験は、きずが表面に開口していないと、検出できない場合があります。

ワンポイント解説

浸透探傷試験(PT)や溶剤除去性浸透探傷検査(PD)では、再試験や現像方法の選定が重要です。再試験は誤った手順や判断が困難な場合に実施されますが、必ずしも最初の結果と一致するわけではありません。現像方法には湿式、乾式、速乾式があり、それぞれに特徴があるため、試験対象に応じて適切に使い分けることが大切です。特に乾式現像法は鮮明な指示模様を得るため有効で、速乾式は効率よく作業が進められます。疑似模様の発生原因を正確に見極め、再試験で適切な判断を行うことが試験の信頼性を高めます。

浸透探傷試験 PT レベル2、溶剤除去性浸透探傷検査 PD レベル2

1.浸透液が毛細管を上昇する
・浸透探傷試験において、浸透液が毛細管を上昇する現象は重要な現象です。
・細い管の端が開放された場合、浸透液はその管内を上昇します。この時、液面の高さ(h)は管の半径(r)と浸透液の密度(ρ)に反比例します。
・液面の高さ(h)はまた、表面張力(Γ)と浸透液と管の接触角(θ)の余弦にも比例します。
・この浸透液が上昇する高さ(h)は、次の式で表されます:
h = 2Γcosθ / rρg
ここで、Γは表面張力、θは浸透液と管の接触角、rは管の半径、ρは浸透液の密度、gは重力加速度です。
・この現象は、浸透液が表面や亀裂に浸透する性質に大きく関与しており、精密な探傷を行うために不可欠な知識です。

2.探傷試験で利用される現象
・浸透探傷試験は、さまざまな物理現象に基づいて行われます。
・水洗性浸透探傷試験では、浸透液の浸透現象と、水スプレーによる乳化現象が利用されます。
・浸透探傷試験は、固体、液体、気体の間で生じる界面現象を活用する方法です。
・試験で重要なのは、ぬれ、浸透、毛細管現象などの物理現象を理解することです。
・後乳化性浸透探傷試験では、浸透液と乳化剤が混ざり合う乳化処理が利用されます。
・乳化現象は、特に水洗性浸透液を使用した場合に、水スプレーによって引き起こされます。
・乳化処理とは、試験体の表面に残った余剰の浸透液に乳化剤を加えることで行います。

3.浸透探傷試験の適用対象
・水洗性染色浸透探傷試験は、粗い表面を持つ試験体に適しています。
・水洗性蛍光浸透探傷試験は、小型部品やねじ、キー溝など、鋭角な隅部の検査に適しています。
・溶剤除去性浸透探傷試験は、大型部品や構造物を部分的に検査する場合に有効です。
・溶剤除去性蛍光浸透探傷試験は、疲労割れや研削割れなど、非常に狭く微細な割れの検出に最適です。

4.浸透液の性質
・水洗性蛍光浸透液は可燃性があり、使用時には注意が必要です。
・水洗性蛍光浸透液は、界面活性剤が含まれているため、溶剤で除去することが可能です。
・水洗性染色浸透液は、過洗浄を引き起こしやすく、蛍光浸透液に比べて識別性が劣るため、微細な欠陥の検出には適していません。
・後乳化性蛍光浸透液は、溶剤で除去処理が可能です。

5.洗浄処理と除去処理
・洗浄処理は、試験体表面に残った余剰浸透液を水スプレーで除去する方法です。
・蛍光浸透探傷試験では、ブラックライトを照射しながら洗浄することで、洗浄の程度を確認します。
・水洗性浸透探傷試験においては、スプレーで洗い流す方法が採用され、洗浄性が良いため過洗浄になりやすいです。
・溶剤除去性浸透探傷試験では、除去液をウエスに少量含ませ、拭き取ることで浸透液を除去します。

6.乾式現像法、湿式現像法、速乾式現像法
・乾式現像法は、試験体が乾燥した後に乾いた現像剤を適用する方法です。
・乾式現像法は、蛍光浸透探傷試験には使用できますが、染色浸透探傷試験には適用できません。
・乾式現像法の欠点は、指示模様が時間とともに変化しやすいことです。
・湿式現像法は、火気の危険性が少ないため安全性が高いですが、使用中の濃度管理が必要となります。
・濃度管理は、浮秤式比重計を使って測定します。
・速乾式現像法は、緻密な現像剤塗膜を形成することができる方法です。
・速乾式現像法は、湿式現像法や無現像法と比較しても、きずの識別性に劣ることはありません。

ワンポイント解説

浸透探傷試験は、試験体の表面に潜んでいる微細な亀裂や欠陥を検出するために非常に有効な非破壊検査技術の一つです。特に毛細管現象を利用することで、浸透液が亀裂や表面の不均一性に浸透し、その後の現像処理によって欠陥を可視化します。試験方法には「水洗性」や「溶剤除去性」などさまざまなタイプがあり、それぞれ試験する対象物の特性に応じて使い分けが重要です。例えば、水洗性蛍光浸透液は、小型部品や鋭角的な隅部に適していますが、大型部品や構造物には溶剤除去性の浸透液を使用する方が効果的です。また、現像方法も乾式、湿式、速乾式があり、それぞれの現場での作業環境に応じた適切な選択が求められます。

非破壊試験技術者試験の科目ごとの勉強法

「一次試験(筆記試験):主な試験手法」の勉強法

出題内容の分析

一次試験では、非破壊試験技術に関連する様々な試験手法に関する基礎から応用までの知識が問われます。主な試験手法は以下の5つです。

・超音波探傷試験(UT)
超音波探傷試験は、非破壊試験技術の中でも広く使用されている方法の一つです。音波を使って金属やプラスチックなどの素材内部の欠陥を検出します。試験の原理や、使用する機器、欠陥の評価方法など、基礎から応用までしっかりと理解することが求められます。

・放射線透過試験(RT)
放射線透過試験は、X線やγ線を利用して試験対象物の内部構造を可視化し、欠陥を検出します。この手法では放射線の基本的な特性、試験の実施方法、そしてフィルムやデジタル画像の評価方法が問われます。また、放射線を使用するため、被ばく管理についての知識も必要です。

・磁粉探傷試験(MT)
磁粉探傷試験では、磁場を利用して金属表面の欠陥を検出します。磁化方法や磁粉の性質、適切な条件で試験を実施するための基準を理解しておく必要があります。欠陥の検出方法や評価基準についても学びます。

・浸透探傷試験(PT)
浸透探傷試験は、液体浸透剤を使用して表面の細かい欠陥を検出する方法です。試験に使用する浸透剤の特性や、試験の流れ、注意点について学びます。表面の欠陥をしっかりと検出できるように、試験手法の理解を深めましょう。

・渦流探傷試験(ET)
渦流探傷試験は、電磁誘導を利用して金属表面や近表面層の欠陥を検出します。この手法では、電磁誘導の基礎原理を理解した上で、プローブの使用方法やデータ解析方法を習得する必要があります。

基礎力を伸ばすための参考書活用法

・理論の理解
各試験手法の理論を理解することが最も重要です。例えば、超音波探傷試験では音波が物質に与える影響を理解することが大切です。音波の反射や透過の性質をしっかり把握しておきましょう。

・機器の構造と操作方法
各試験手法で使用される機器の構造や動作原理を理解することも不可欠です。放射線透過試験においては、X線やγ線を使用するため、その特性や操作方法を理解しておく必要があります。さらに、試験機器の適切な使い方を知ることで、試験の精度も向上します。

・評価基準と判定方法
試験で得られたデータをどのように評価するかについての理解も必要です。例えば、磁粉探傷試験では欠陥の大きさや種類に応じた評価基準が設定されています。このような基準を理解し、どのような欠陥が重大かを判断できるようにしましょう。

試験の得点力アップ!問題集の使い方

・問題演習で理解を深める
過去問や問題集を活用して、各試験手法の特徴や計算問題を解いていきましょう。問題を解くことで、試験の出題形式に慣れるとともに、理解が深まります。

・解答後の復習を徹底する
問題を解いた後、必ず解答を確認し、間違えた部分を復習することが重要です。間違えた問題は、その分野の知識が不十分である証拠ですので、必ず再確認して理解を深めてください。

・時間内に解答する練習
筆記試験では、時間内に問題を解くことが求められます。実際の試験時間を想定して問題集を解く練習をすることで、時間配分の感覚を養うことができます。試験当日、焦ることなく問題に取り組めるようになります。

確実に暗記しておく試験の要点整理

・試験手法の特徴
各試験手法の特徴をしっかり覚えておきましょう。例えば、超音波探傷試験は音波を使用して欠陥を探し、浸透探傷試験は液体を使って表面欠陥を検出することを理解し、覚えておきます。

・評価基準や規格
試験の評価基準や関連する規格(例えば、JISやISO)を覚えておくことも大切です。これにより、実際の試験問題で求められる基準に基づいた解答ができます。

・試験機器の操作方法
使用する機器の名称や操作方法も覚えておくべきです。特に、放射線透過試験では、X線やγ線を取り扱うため、操作手順や安全管理が求められます。

試験対策で最初に着手するべき事項

最初に取り組むべきは、試験手法の理論です。試験手法ごとの基本的な原理を理解することが最も重要です。理論がしっかりしていないと、後の実践的な問題に取り組む際に理解が進みません。理論を十分に理解した後、問題演習を通じて応用力を養いましょう。

忙しい方でもできる試験合格の勉強術

・重要項目に絞る
試験手法の中で最も重要な部分に絞って学習を進めます。特に、超音波探傷試験や放射線透過試験など、よく出題される分野に集中しましょう。

・過去問題を優先して解く
過去問を繰り返し解くことで、出題傾向や重要なポイントが明確になります。限られた時間で最も効果的に学べる方法です。

・短時間で復習を繰り返す
毎日の復習を短時間で済ませることで、効率よく記憶を定着させます。覚えたことを次の日に再確認することで、記憶が長期的に残ります。

「一次試験(筆記試験):共通科目」の勉強法

出題内容の分析

一次試験の共通科目では、非破壊試験技術者として必要な基礎的な知識が問われます。この科目は、非破壊試験技術の実践に直接関係する内容だけでなく、材料工学や安全管理、検査基準など、試験の実施における周辺知識が含まれています。出題される内容を以下の3つの分野に分けて分析します。

・材料工学
金属や非金属の材料に関する基本的な知識が求められます。材料の性質、応力や破壊メカニズムなど、非破壊試験に関連する基礎的な情報を理解することが重要です。

・検査基準と規格
ISOやJISなど、非破壊試験に関連する規格や基準についても問われます。非破壊試験技術者は、試験の適用基準や評価基準を理解し、適切な方法で試験を実施できる必要があります。検査報告書の作成方法についても触れられることが多いため、基準に基づいた正確な記述方法を理解しておきましょう。

・安全管理
非破壊試験における安全管理の重要性も強調されます。作業環境での安全確保や、有害物質や放射線への対策について理解しておく必要があります。特に放射線や高圧機器を扱う試験方法に関しては、安全管理の知識が必須です。

基礎をしっかり固める参考書勉強術

共通科目の学習は、材料工学や検査基準、安全管理に関連する基本的な知識をしっかりと固めることから始めます。参考書を使って、以下の内容を理解していきましょう。

・材料工学の基礎
材料の種類や性質、応力や破壊メカニズムを学ぶことで、非破壊試験の実施における材料の特性を理解できます。金属や非金属の性質、応力と破壊の関係について、具体的な事例を交えて学びましょう。これにより、試験結果がどのように材料特性に関連しているかを理解できるようになります。

・規格と基準の理解
ISOやJIS規格は、非破壊試験の実施において欠かせない指針です。これらの規格に基づいた試験基準を学ぶことは、試験の正確性を確保するために必要です。また、試験結果を報告する際に求められる基準や形式も理解しておくことが重要です。具体的な試験基準を参照し、事例に基づいて理解を深めましょう。

・安全管理の基礎知識
安全管理の部分では、試験に関連する安全基準や作業環境の安全確保方法について学びます。特に放射線を使用する試験や、高電圧機器を取り扱う場合には、安全確保のための手順や対策が重要です。これらの知識を基に、安全で効率的な試験運用ができるようになることを目指します。

試験の実力アップ!問題集の効果的活用法

・問題演習で理解を深める
過去問や問題集に取り組むことで、各分野に関する知識の理解が深まります。特に材料工学や安全管理に関する問題は、実際の試験でも頻出するため、何度も繰り返し解いて知識を定着させましょう。問題集を解くことによって、学んだ内容を実際の試験形式で確認でき、理解度をチェックできます。

・解答後の復習を徹底する
問題を解いた後は必ず復習をしましょう。解答が正解だった場合でも、その理由をしっかりと確認し、なぜその選択肢が正しいのか、他の選択肢がなぜ不正解なのかを理解することが重要です。特に、間違えた問題に関しては、同じ間違いを繰り返さないように詳しく復習しましょう。

・時間内に解答する練習
時間内に問題を解く能力も試験では重要です。問題集を解く際に、試験時間を意識して解答する練習を行いましょう。特に長文問題や計算問題が出題されるため、時間配分をうまく調整できるようにしましょう。

試験で覚えておきたい重要事項のまとめ

・材料の性質や特徴
金属や非金属材料の性質、応力や破壊メカニズムなどは、試験問題で頻出します。これらの基本的な知識をしっかりと暗記しておきましょう。

・規格や基準の重要部分
ISOやJIS規格の概要、特に試験に関連する重要部分を暗記しておくことは非常に役立ちます。試験基準や評価基準、報告書の作成方法なども暗記しましょう。

・安全管理の要点
非破壊試験における安全管理のポイントや、放射線防護や高圧機器の取り扱い方法も重要です。特に、作業現場での安全確保や有害物質の取り扱いについてしっかり理解しておくことが求められます。

勉強の初期段階で重点を置くべき試験内容

共通科目で最初に取り組むべきは、材料工学の基礎です。材料の性質や破壊メカニズムを理解することは、非破壊試験を行う上で非常に重要です。その後、規格や基準、そして安全管理について学ぶと良いでしょう。

時間がない中で進める試験対策の秘訣

・重要なポイントに絞って学習
時間が限られている場合は、特に出題頻度が高い分野に絞って学習を進めましょう。材料工学や安全管理、試験基準に関する基礎知識を中心に学習することで、短期間で効率的に知識を吸収できます。

・過去問を優先して解く
過去問を解くことで、出題傾向をつかむことができます。過去問を中心に、問題形式や重要なポイントを確認しながら進めていきましょう。

・短時間で復習を繰り返す
毎日の復習を短時間で行い、重要なポイントを再確認することが効率的です。時間を決めて集中して復習することで、効率よく知識が定着します。

「二次試験(実技試験)」の勉強法

出題内容の分析

二次試験では、実際に非破壊試験を実施する能力が評価されます。これは、筆記試験で学んだ理論を現場でどのように応用できるかが問われる試験です。出題内容は、試験手法ごとに異なる装置や試験片を使い、結果を評価することが求められます。具体的には以下のような内容が出題されます。

・試験機器の準備、校正、操作
非破壊試験を行うためには、試験機器を正しく準備し、校正してから実施することが求められます。機器の設定方法や操作手順について理解しておく必要があります。

・試験片の検査
指定された試験片に対して非破壊試験を行い、欠陥を検出する能力が問われます。検査手法は試験の種類に応じて異なり、表面欠陥や内部欠陥を識別する能力が求められます。

・結果の評価と報告
非破壊試験の結果を評価し、適切な報告書を作成する能力が重要です。結果が基準に適合するかどうかを確認し、報告書に正確に記載することが求められます。

・安全管理
実技試験においても安全管理が欠かせません。特に放射線や高圧機器を扱う試験方法では、作業中の安全確保が最優先されます。

参考書を活かして試験の基礎を攻略

二次試験の準備には、まず基本的な知識をしっかりと理解することが重要です。実技試験で求められる知識を事前に確実に身につけるために、参考書を使って基礎を固めていきます。

・機器の操作方法を理解する
非破壊試験に使用する機器や装置の操作方法を理解することが第一歩です。参考書で機器の構造や動作原理、設定方法を確認し、実際の操作手順を学びましょう。また、機器の校正方法についても理解しておくと、試験中の操作がスムーズになります。

・試験片の選定と検査方法を学ぶ
試験片に対する検査方法を学ぶことも重要です。例えば、超音波探傷試験や放射線透過試験、磁粉探傷試験など、試験方法ごとに適切な検査方法を学び、どの方法がどの欠陥に適しているのかを理解することが求められます。特に欠陥の識別方法や評価基準については、試験でよく出題されるため、理解を深めておくことが大切です。

・報告書の作成方法を学ぶ
試験結果を報告する能力も重要です。参考書では、報告書の基本的な書き方や、試験結果の評価基準に基づいた記述方法について学びましょう。実技試験では、報告書が試験結果を伝える重要な手段となるため、正確で簡潔に結果を記載する方法を身につけることが求められます。

試験対策:問題集で仕上げる応用力

・実際の試験環境を模擬する
問題集に取り組む際は、実際の試験と同じように、時間内で問題を解く練習を行いましょう。特に試験片に対する検査や結果の評価は時間が限られているため、効率よく進める練習が必要です。時間内に必要な検査を終わらせ、報告書を作成する流れを実践することが大切です。

・反復練習で自信をつける
問題集を解く際は、反復練習を行うことで自信をつけることができます。何度も同じタイプの問題に取り組み、試験の流れを体得することが重要です。また、問題を解く際に見落としやミスをしないように、注意深く作業することを心がけましょう。

・フィードバックを受ける
問題集を解いた後は、自分の解答をチェックして、間違えた部分についてフィードバックを受けましょう。どこでミスをしたのか、どの部分で時間がかかってしまったのかを振り返り、次回に生かすようにしましょう。

暗記必須の試験ポイントを徹底解説

・試験機器の設定方法
非破壊試験機器の設定方法や操作手順を暗記しておくと、試験中にスムーズに作業を進めることができます。特に機器の校正方法や設定の順番をしっかり覚えておくことが大切です。

・評価基準
非破壊試験で評価される欠陥の基準や、検査結果の評価方法を暗記しておくと、試験中に迅速に判断できるようになります。特に欠陥の識別基準は重要ですので、試験に出題される可能性が高い欠陥の特徴をしっかりと覚えましょう。

・安全管理の要点
実技試験においても安全管理が欠かせません。放射線や高電圧機器を扱う際の安全対策について、基本的な要点を暗記しておくことが重要です。

勉強の初期段階で重点を置くべき試験内容

二次試験の準備では、機器の操作方法と試験片の検査方法に最初に取り組むべきです。これらの基本的な作業が試験の合否に大きく影響するため、しっかりと基礎を固めてから実践的な練習に進むことが大切です。

時間がなくても成果を出せる試験対策術

・短時間でポイントを絞って学習
時間がない場合は、試験で出題されやすいポイントに絞って学習を進めることが有効です。特に試験機器の操作方法や、欠陥の識別基準、安全管理の基本は必須の知識ですので、優先的に学びましょう。

・実技の模擬試験を繰り返す
模擬試験を活用して、実際の試験に近い環境で練習を繰り返しましょう。模擬試験を行うことで、試験の流れや時間配分の感覚を身につけることができます。

・効率的な復習法を実践
実技試験の復習では、特にミスをした部分や時間がかかった部分を重点的に復習しましょう。繰り返し練習することで、実際の試験でも冷静に対応できるようになります。

非破壊試験技術者とは

非破壊試験技術者とは、一般社団法人日本非破壊検査協会 認証事業本部が資格試験・資格認証を実施している民間資格です。非破壊試験技術者資格試験により、非破壊試験をおこなう技術者の技術レベルを認定します。非破壊試験技術者にはレベル1・レベル2・レベル3の認定レベルがあり、レベル3が最高位の資格です。

非破壊検査技術者になるには

非破壊検査技術者になるには、一般社団法人日本非破壊検査協会が実施する、非破壊試験技術者資格試験に合格する必要があります。

資格レベル

非破壊試験技術者にはレベル1・レベル2・レベル3の認定レベルがあり、技術のレベルと責任範囲が異なります。レベル3が最高位です。

レベル1

レベル1の認証を受けた技術者は、レベル2又はレベル3技術者の監督の下で、指示書に従って資格証明書に明記された力量の範囲で、以下の項目を実施できます。

  • NDT 装置を調整する。
  • NDT を実施する。
  • 記載された基準に従って NDT 結果を記録し、分類する。
  • 結果を報告する

また、使用するNDT方法や技法の選択、NDT結果の解釈について責任を負うことはできません。

レベル2

レベル2の認証を受けた技術者は、NDT手順書に従って、資格証明書に明記された力量の範囲で、以下の項目を実施できます。

  • 使用する NDT 方法に適用する NDT 技法を選択する。
  • NDT 方法の適用制限を明確にする。
  • NDT コード、規格、仕様書及び手順書を、実際の作業条件に適した NDT 指示書に書き換える。
  • 装置の調整及びその検証を行う。
  • NDT を実施し、監督する。
  • 適用される規格、コード、仕様書又は手順書に従って結果を解釈し、評価する。
  • レベル2又はそれより下のレベルの全ての作業を実施し、監督する。
  • レベル2又はそれより下のレベルの技術者を指導する。
  • NDT 結果を報告する。

レベル3

レベル3の認証を受けた技術者は、認証の対象となるNDT作業の実施及び指示ができます。

資格証明書に明記された力量の範囲で、以下の項目を実施できます。

  • 試験設備、並びに試験センター及びその職員についての全責任を負う。
  • NDT 指示書及び手順書を作成し、編集上及び技術上の精査、並びに妥当性を実証する。
  • 規格、コード、仕様書及び手順書を解釈する。
  • 使用する特定の NDT 方法、手順書及び NDT 指示書を指定する。
  • 全レベルの全ての作業を実施し、監督する。
  • 全レベルの NDT 技術者を指導する。

参考資料:非破壊試験技術者の認証制度のご案内

非破壊試験技法(NDT方法)

非破壊試験技法(NDT方法)は8種類あり、それぞれレベル1・レベル2・レベル3に分かれています。

  • 放射線透過試験 (RT):Radiographic testing
  • 超音波探傷試験 (UT):Ultrasonic testing
  • 磁気探傷試験 (MT):Magnetic testing
  • 浸透探傷試験 (PT):Penetrant testing
  • 渦電流探傷試験 (ET):Eddy Current testing
  • ひずみゲージ試験 (ST):Strain Gauge testing
  • 赤外線サーモグラフィ試験(TT):Infrared Thermographic Testing
  • 漏れ試験(LT):Leak Testing

参考資料:非破壊試験技術者の認証制度のご案内

非破壊試験技術者資格試験 その1

非破壊試験技術者資格試験は、一般社団法人日本非破壊検査協会が実施しています。

http%3A%2F%2Fwww.jsndi - 非破壊試験技術者とは?試験の難易度・合格率・勉強法・過去問・解答速報をご紹介!
一般社団法人 日本非破壊検査協会:資格試験:資格試験

種類

非破壊試験技術者資格試験は、次の種類について、レベル1、レベル2、レベル3 の認定レベルがあります。
レベル3が最も高位の資格試験です。
・放射線透過試験  RT
・超音波探傷試験  UT
・超音波厚さ測定  UM
・磁気探傷試験   MT
・極間法磁気探傷検査 MY
・通電法磁気探傷検査 ME
・浸透探傷試験   PT
・溶剤除去性浸透探傷検査 PD
・渦電流探傷試験  ET
・ひずみゲージ試験 ST
・漏れ試験     LT
・赤外線サーモグラフィ試験 TT

受験資格

非破壊試験技術者資格試験を受験するには、以下の2点を満たしている必要があります。

  • 全てのレベルにおいてNDT方法毎に訓練実施記録を作成し提出
  • 近方視力と色覚に関する要求事項を満足することを証明する書類を提出

また、レベル3を受験する場合は、受験申請時に申請しようとするNDT方法のレベル2資格を保持している必要があります。

レベル3
放射線透過試験、超音波探傷試験、磁粉探傷試験、浸透探傷試験、
過流探傷試験、ひずみ測定
超音波厚さ検査、極間法磁粉探傷検査、通電法磁粉探傷検査、コイ
ル法磁粉探傷検査、溶剤除去性浸透探傷検査、水洗性探傷検査
レベル2・1
放射線透過試験、超音波探傷試験、過流探傷試験 … レベル1
(40時間)
磁粉探傷試験、浸透探傷試験、ひずみ測定 … レベル1(40時間)
放射線透過試験、超音波探傷試験 … レベル2(80時間)
磁粉探傷試験、浸透探傷試験、ひずみ測定 … レベル2(24時間)
過流探傷試験 … レベル2(40時間)など

日程

非破壊試験技術者資格試験は、春と秋の年に2回実施されています。

例えば、2021年は以下の日程でした。

春季:一次試験 3月20日(土) ~ 3月21日(日) 二次試験 5月6日(木) ~ 6月25日(金)

秋季:一次試験 9月25日(土) ~ 9月26日(日) 二次試験 11月4日(木) ~ 12月16日(木)

試験地

一次試験:札幌、仙台、千葉、東京、神奈川、新潟、名古屋、大阪、広島、高松、福岡

二次試験:東京、大阪、福岡、千歳、名古屋、広島

受験料金

18,700円(税込)

非破壊試験技術者資格試験 その2

試験内容

1次試験 … 非破壊検査概論・該当技術部門の知識
①材料科学、製品・製造・加工の基礎知識、
②認証機関の認証システム(JIS Z 2305)の知識、
③4種類のNDT方法におけるレベル2の基礎知識
2次試験 … 実技試験
①関連したNDT方法のレベル3の基礎知識、
②関連したNDT方法の適用、コード及び規格に関する知識、
③関連したNDT方法のNDT手順書の作成

 

合格基準

レベル1・レベル2

一次試験は、筆記試験(一般試験パートと専門試験パート)で、それぞれ70%以上の得点で合格です。
二次試験は、実技試験パートで、各試験体で各々70%以上の得点で合格となります。レベル2については、NDT指示書の作成でも70%以上の得点が必要です。

レベル3

一次試験は、筆記試験(基礎試験)の以下の試験パートでそれぞれ70%以上の得点で合格です。

  • 材料科学、製造技術に関する技術的知識
  • 認証スキーム (JIS Z 2305:2013)に基づいた認証機関の資格及び認証に関するスキームの知識
  • 四つの NDT 方法(RT 又は UT を含むこと)におけるレベル 2 の基礎知識

二次試験は、筆記試験(主要方法試験)の以下の試験パートでそれぞれ70%以上の得点で合格です。

  • 申請した NDT 方法に関連するレベル 3 の知識
  • 関連する分野における NDT 方法の適用等に関する問題
  • 関連する分野における NDT 方法の手順書の作成問題

合格率・難易度

非破壊試験技術者資格試験の合格率は、レベル1で約40%、レベル2で約30%、レベル3で約10%です。ただし、NDT方法ごとに、かなり合格率のバラツキがあります。

2019年春期の、NDT方法別合格率は以下の通りです。

NDT方法 略称 レベル1 レベル2 レベル3
放射線透過試験 RT 52.4 20.3 16.8
超音波探傷試験 UT 31.3 22.3 4.1
超音波厚さ測定 UM 43.8
磁気探傷試験 MT 37.6 28.5 15.2
極間法磁気探傷検査 MY 33.9 25.4
通電法磁気探傷検査 ME 33.3
浸透探傷試験 PT 41.7 26.8 12.5
溶剤除去性浸透探傷検査 PD 45.3 29.1
渦電流探傷試験 ET 40.9 26.9 10.5
ひずみゲージ試験 ST 70.6 50.6 50.0
赤外線サーモグラフィ試験 TT 71.4 42.9
漏れ試験 LT 70.6 38.1 20.0
38.5 25.8 10.1

参考資料:JIS Z 2305 2019 年春期資格試験結果

非破壊試験技術者資格試験の過去問を繰り返し解く

非破壊試験技術者資格試験のレベル1は、合格率が約40%とそれほど高くなく、20~30時間程度の勉強時間で合格できます。一方、レベル2・3は試験範囲が広く、難易度も高いです。

非破壊試験技術者資格試験の勉強法は、過去問を繰り返し解くことです。非破壊試験技術者資格試験では、過去問と同じ内容の出題が多く、ある程度問題の幅は決まっています。過去問で出題されている傾向を掴むことで、十分対応可能です。

テキスト・問題集については、下記ページで紹介しています。

screenshot - 非破壊試験技術者とは?試験の難易度・合格率・勉強法・過去問・解答速報をご紹介!
非破壊検査試験
受験資格レベル3  放射線透過試験、超音波探傷試験、磁粉探傷試験、浸透探傷試験、  過流探傷試験、ひずみ測定  超音波厚さ検査、極間法磁粉探傷検査、通電法磁粉探傷検査、コイ  ル法磁粉探傷検査、溶剤除去性浸透探傷検査、水洗性探傷検査レベル2

講習会に参加

一般社団法人日本非破壊検査協会では、新規受験者向けの講習会が実施されています。

実技講習会は実技のみの講習会となっており、レベル1・2の1次試験合格者、又は2次再試験受験者が対象です。独学で自信がない人は利用してみましょう。

http%3A%2F%2Fwww.jsndi.jp%2Feducation%2Findex1 - 非破壊試験技術者とは?試験の難易度・合格率・勉強法・過去問・解答速報をご紹介!
http://www.jsndi.jp/education/index1.html
一般社団法人 日本非破壊検査協会は、「非破壊検査法に関する調査・研究を行い、技術水準の向上・普及を図り、もって学術文化の発展に寄与する」ことを目的とした学術団体です。