ラフタークレーンは、都市部や狭小地での作業に適したホイール式自走クレーンで、高い機動性と小回りの利く操作性が特徴です。「ホイールクレーン」とも呼ばれ、加藤製作所などをはじめとするメーカーが幅広い機種を展開しています。現場では、搬入経路や設置位置の検討が重要であり、無料CADソフトを活用した図面作成や配置計画が有効です。
このページでは、ラフタークレーンの特徴やCADの活用方法について解説しています。

ラフタークレーンの特徴
それでは、ラフタークレーンについて見てみましょう。性能や機能などは、ホイールクレーンとほぼ同じでありながら、名前が違うのはどういった観点からでしょうか。
それは、ラフタークレーンは建機メーカーである加藤製作所が開発を手掛けたクレーンの名前なのです。建機メーカー大手である、加藤製作所がラフタークレーンという名称で商品を展開してるので、ホイールクレーンの事をラフタークレーンとして展開してる他メーカーも少なくありません。そのため、ホイールクレーンであっても、ラフタークレーンと呼ばれているというわけです。
ちなみに、ラフタークレーンは前後ろだけではなく左右にもカニ歩き的に移動できるなど、自由自在に動けるため、狭い土地での作業に絶大な能力を発揮します。
ラフタークレーンとは
ラフタークレーンは、ラフテレーンクレーン(Rough Terrain Crane)とも呼ばれます。
その名の通り、不整地や比較的に軟弱な地盤での走行が可能な、移動式クレーンです。
車輪によって自走するホイールクレーンの一種で、1つの運転室で、走行とクレーン操作を行います。
5t・10t・12t・13t・16t・20t・25tのラフタークレーン、50t・60t・65t・70t・75t・80t・100tのラフタークレーンなどがあります。
四輪駆動で、前2輪操向・後2輪操向・4輪操向・かに操向など、操向を自由に切り替えることができるため、狭い場所での機動性に優れています。
また、タイヤ走行なので公道での運転が可能です。
トラッククレーンは、ラフタークレーンと同様、よく使用されるホイールクレーンの1つです。
通常のトラックシャシに、クレーン装置を架装したもので、運転室が走行用とクレーン操作用の2つに分かれている点が、ラフタークレーンと大きく異なります。
また、走行性能が高いので高速道路での走行も可能です。
トラックに荷台がついていて、運転席と荷台の間にクレーン装置を搭載したものは、積載型トラッククレーンと呼ばれます。
加藤製作所の主力商品
ラフタクレーンは現在、加藤製作所の主力商品と言えます。5t・10t・12t・13t・16t・20t・25tラフタークレーンをラインナップしています。さらに大型となる50t・60t・65t・70t・75t・80t・100tラフタークレーンは他のメーカーがメインで取り扱っているようです。
加藤製作所のホームページでは5t・10t・12t・13t・16t・20t・25tラフタークレーンの製品表とカタログをダウンロードする事が可能です。また、50t・60t・65t・70t・75t・80t・100tラフタークレーンにおいては、他メーカーのホームページでダウンロードする事ができるでしょう。
cadで平面図を作成する時に必要なcadデータについては、5t・10t・12t・13t・16t・20t・25tラフタークレーンの場合は加藤製作所のサイトへ、大型となる50t・60t・65t・70t・75t・80t・100tラフタークレーンについては他のサイトで入手すると覚えておきましょう。
また、5t・10t・12t・13t・16t・20t・25tラフタークレーンや50t・60t・65t・70t・75t・80t・100tラフタークレーンは、それぞれブーム長やジブ長が異なります。
cad図で作業場を図面として表す時には、5t・10t・12t・13t・16t・20t・25tラフタークレーンや50t・60t・65t・70t・75t・80t・100tラフタークレーンの車体だけではなく、ブームやジブの長さまで性能表で確認し考慮すると、より安全に配慮した平面図が仕上がるはずです。
加藤製作所は明治28年(1895年)に個人事業として加藤鉄工所を創業したのが始まりです。内燃機関車および鉄道用モーターカーの制作に成功した事により鉄道指定の工場となると、1935年には株式会社加藤製作所を設立しエンジン、トラクター、ロードローラー、クレーン車両等の生産を開始しました。
その頃から台枠側面やボンネット前面のラジエータ上部などに「KATO WORKS」というロゴを入れるようになりました。現在ではKATOグループとして、世界を股にかけて建機の生産などを手掛けています。
ちなみに、フリーのcadデータとして「kato_○○」といったように、ファイル名のどこかに「kato」という文字が入っているものは大体が加藤製作所のラフタークレーンです。中には「kato」以外の名前がついていますが、多くの場合は「kato」という名称がついています。
これは、国外でも変わりません。それほどまでに加藤製作所のラフタークレーンは有名であり、なおかつ加藤製作所の主力商品というわけです。
ですから、自身が作成したcadデータを公開したりする際にも、加藤製作所の建機であれば「kato」という文字を入れれば、誰が見ても分かりやすいファイル名となるでしょう。
一方で、5t・10t・12t・13t・16t・20t・25tラフタークレーンや50t・60t・65t・70t・75t・80t・100tラフタークレーンのcadデータを扱う時には、「kato」の名がついたファイルを気にしてみるのも楽しいかもしれません。
ホイールクレーンの特徴
狭あいな現場において活躍している移動式のクレーンの代名詞といえば、ホイールクレーンとラフタークレーンを思い浮かべる人も多いはずです。
工事現場や解体現場などでホイールクレーンやラフタークレーンの平面図などにおいてcad図で図面を作成する際、cadデータを取り扱う場面も少なくないはずです。なお、ここではラフテレーンクレーンの事をラフタークレーンとして記述しています。
ホイールクレーンとは
ホイールクレーンは、吊り上げ荷重が0.5t以上あるクレーンで、厚労省の「クレーン等安全規定」に定められている条件を満たしているものと定義づけされています。
ホイールクレーンに備わっている運転席は、クレーンを走行させる操縦桿だけではなく、クレーンを操作させる操縦桿の役目も伴っています。走行は低速ですが、一般道も走ることができ、大体の場合は車体安定のためのアウトリガーが備わっています。
そのため、cadなどで図面を作成する際は、アウトリガーの幅まで考えて平面図を作成すると良いでしょう。また、性能表などを確認すれば、ホイールクレーンの寸法や概要を知る事ができます。
cad図を作成する場合は、cadデータだけに注目するのではなく性能表などに目を通す事で、より精度の高いcad図を作成する事ができるでしょう。
通称としてのホイールクレーン
実作業におけるcadによる図面作成を行う際に気をつけたいのが、「ホイールクレーン」という通称です。ホイールクレーンを意味している本来の定義付は先に紹介しましたが、実際に現場に出てみると定義づけされているホイールクレーンというクレーンだけではなく、移動できるクレーン全てにおいて「ホイールクレーン」と呼ばれている場合があるのです。
cad図で図面を作成する時には、クレーンのcadデータに相違があってはなりません。車輌データの間違えは、図面として機能を果たす事ができないからです。
こういったミスを無くすためには、cadデータを平面図に落とし込む際に、実務者などと性能表などを使用して確認をすると良いです。性能表を使用してすり合わせをすれば、クレーンの種類だけではなく、メーカーの違いなども気がつくからです。こういった細かい対応を行いcadで図面を仕上げていくことで、より信頼性のある平面図などが仕上がるはずです。
ラフタークレーンの図面をフリーのcadソフトで作成する
cad図作成などを専門に扱っている人であれば、機能性に優れた有料cadソフトを導入している事でしょう。しかしながら、専門外ながらもcadを扱う必要が出たとか、これからcadを覚えていきたいと考えている人にとって、本格的なcadソフトは高額なものと言えます。
そこでwindowsを使用している人におすすめなのが、平面図のcadで定番となっている「Jw_cad for Windows」です。cadに少しでも知識がある人であれば拡張子「jww」でおなじみのソフトです。このソフトの最大の特徴は、フリーソフトであるという事です。また、jwwファイルを取り扱っている人も以外に多いという点もポイントです。
機能的には優良のcadソフトに劣らず、場面によっては使いやすいポイントもあるなど、多くのユーザーから長年支持を受けています。
一方で、jwwファイルでcadデータを提供してくるクライアントなども存在します。jwwファイルを開く事ができるのは基本的に「Jw_cad for Windows」です。jwwファイルなど、どんな情報やファイルでも対応できるよう、ある程度メジャーなフリーのcadソフトをインストールしておくこともおすすめします。加えて、jww形式で保存されているcadデータを、illustratorなどで開けるファイル形式に変換する事も同ソフトで可能となっています。