このページでは、河川の流量計算、等流計算・不等流計算、合成粗度係数・h-q曲線エクセルテンプレートのダウンロードサイトについて紹介しています。
さらに、河川の流量・水位の等流・不等流計算について、知っておくと役立つ、関連した情報などを掲載しています。
・河川における等流と不等流の違い
・等流計算と不等流計算では河川や水路の深さを求める
・河川の流量計算、等流計算・不等流計算の方法
・等流・不等流の流れの不定流計算
・河川の流れ方、常流と射流
等流計算・不等流計算のフリーソフト・エクセル
等流計算・不等流計算、河川の流量計算のフリーソフトです。
等流・不等流の水深計算・流量計算、常流・射流の計算、粗度係数・粗度係数考慮して計算、河川断面、定形断面等の水深や流量を計算、マニング公式・クッター公式・へーゼンウイリアムス公式を用いて断面の水深や流量を計算、河川高水位流量計算、河川低水位流量計算、河川水位流量年表の作成、河川定期横断測量と水理計算、河川縦断図と河川横断図の作成などのフリーソフトが、ダウンロードできます。
EXCEL 等流・不等流計算II
小水路から大河川までの断面設計が行える、等流・不等流計算ブログラムです。流量・粗度係数は測点ごとに設定可能で、各辺の合成粗度係数考慮して計算できます。断面は矩形・U型・複断面・円形及び任意座標で自由設定ができます。水位縦断面図により流況を把握できます。
一般水路の等流計算ソフト「せせらぎ3」
単・複断面、円形、ホロ形、馬蹄形の等流計算を行います。マニング公式やガンギレー・クッター公式により、流計算を行うもので、流量・勾配等から水深を一発算出できます。当然その逆も可能です。
一般断面等流計算ソフト「I-Flow」
マイクロソフトエクセルを利用した、一般河川に代表される任意断面の等流計算ソフトです。等流計算はマニング公式を使用しております。粗度係数が潤辺毎に設定可能となっており、合成粗度を用いた断面一括の計算と、潤辺毎の計算ができます。
流量計算「Flow2」(台形、円形) 【フリー版】
流量計算「Flow2」(台形、円形) 【フリー版】
マニング公式を用いて、台形断面、円形断面の等流計算をおこなうツールです。また限界水深等の水理特性を計算します。特長としては、断面形状を図化することで、入力条件の確認が容易となることです。また、勾配の範囲計算が可能です。さらには、合成粗度に対応していたり、複数(最大20計算)の計算書を、1つのファイル内で管理することが可能です。有料版もありますので、そちらも検討すると良いでしょう。
河川流量計算のフリーソフト・エクセル
高水位流量計算システム
一般に、河川の流量は直接計測することができないため、河川の流速を計測し、それに横断面積を乗じて流量を算出します。このシステムでは、河川の洪水時の流量を観測します。観測方法としては、一般的な浮子法を用います。
低水位流量計算システム
河川の平常時の流量を観測するためのシステムです。流量観測所は、水流が乱れないこと、水流が急激又は緩慢過ぎないこと、流路及び河床の変動が少ないこと、渇水時においても観測が可能なこと、観測の際危険が少ないことに注意して設置します。
水位流量年表作成システム
河川の水位を定量的に計測し、観測値より流量年表を作成するシステムです。流量観測には、流速に水位から求めた断面積を乗じて流量を求める方法と、堰の越流水位から越流公式により流量を求める方法があります。適切な方法が用いられます。
O dan
河川定期横断測量データの修正・加工・水理計算プログラムです。「河川定期縦横断データ作成ガイドライン」に基づく横断測量成果を表示して、修正又は加工したり、それらのデータを用いた水理計算の実施等、河川計画業務を実施するために必要となる情報を算定します。
河川縦断作成 プログラム KJ
河川縦断と簡単な横断図が描けるソフトです。Judan99と同じ操作性で河川縦断が描けます。フリーウェアですが機能制限があり、シリアルナンバーを登録するまではデータの保存ができません。登録は無料です。
単断面水路
単断面水路
土木設計業務における単断面水路の流量、水深、余裕高を簡易的に算出するプログラムです。水深から流量はもちろん、流量から水深の算出をすることができます。水路の断面形状、流量より勾配の決定をしているようです。また、限界水深を求めて、常流か射流か判定をすることもできます。さらには、流量(Q)から余裕高を算出したりするなど、簡易計算機としての機能も備わっています。
河川で起こり得るさまざまな問題とは
河川では急な洪水などで水量が増えたときに、上昇していく水のレベルが、堤防を越えるかどうかが問題となります。
そのような場面では、河川で工事を行う担当者は、どれだけ水かさが増したら堤防の上端まで達するか、また、工事への影響があるかどうかを、早急にチェックする必要があります。
河川の問題を解決する等流計算・不等流計算ツール
河川の幅や断面形状などの情報は図面などが分かっていれば、チェックするために必要なものは、等流計算・不等流計算のツールです。
例えば、川幅20m、堤防の高さ5m、通常深さ1mの河川に、水底は小石が引き詰められているとして、上流から洪水流が流れてきた時に川の水深はどうなるか、というようなことを工事担当者は計算で求めることが必要になります。
この水深を求める計算が等流・不等流の計算で、計算するツールをもっていることと、どの計算方法を使えばよいかの判断ができることが重要です。
急な川の増水時には、堤防を越えて水が流れ災害が起きるということだけでなく、工事資材が流されるなど色々な場面で河川の水量や水深がどうなるかの判断が必要とされます。
こうしたとき、現場担当者にとっては、等流・不等流計算ができるかどうかが課題となります。
河川の流れには等流と不等流があります
川の流れには、定常流と非定常流があります。前者は流量が時間によらず一定の流れで、後者は洪水のように流量が時間とともに変わる流れです。
しかし、非定常流は通常はめったに起こらない現象のため、流れの計算方法は定常流として扱っておけば良いでしょう。
定常流には等流と不等流があり、等流・不等流計算は、河川や水路など開水路の流量や深さを求める計算です。
等流は、深さや傾斜がどこでも同じとなる河川の流れで、水位は流量に比例して変化します。
不等流は、河川の深さと傾斜が河川に沿って変化するような河川の流れで、流量はどこでも同じでも、川の水位は川の場所ごとに異なります。
等流・不等流計算方法
等流の計算方法は、次のような手順です。
・河川の流量は川の断面積と流速の積で求められますが、流速はマニングの式から求められます。
・マニングの平均流速式は、粗度係数の逆数・径深の3分の2乗・水面勾配の2分の1乗、この3つの変数の掛け算の式で表されます。
・粗度係数は河川の底の形状、砂利とか小石、藻など川底の状態で係数が変化し、この値は経験的に決められます。
・径深は川の断面積と断面形状から計算される値で、深さを表すと言ってもいいでしょう。
・次に、不等流の計算は微分方程式で表された式から、河川の長さを少しずつ変え、場所ごとの水位や傾斜を逐次解法で求めます。
等流・不等流計算はエクセル・ソフトが効果的
等流と不等流の計算は、専用のプログラムで作られたソフトもありますが、エクセルを使った計算が便利です。
マニングの式は関数を使って簡単に求められます。手計算でも簡単に計算できますが、断面積・径深などの値は川の形状から計算する必要があり、やや手間が掛かります。
しかし、エクセルで断面積や径深を求める計算式を入力しておけば、半円か台形など川の形状を示すデータを予め決められたセルに入れ込めば、流速や水深など求めたい値が自動で計算されるため、手間が掛かりません。
半円か台形など川の形状を示すデータは、別シートに予め登録されているため、計算ではどの形状かの指定と長さなどパラメータを入力すれだけです。
不等流の計算は、手計算では簡単に計算は難しいのですが、VBAのようなプログラム機能と一体で構築されているため、川の形状を表すデータを入力すれば、連続した数十点の計算を自動で計算し、河川に沿った傾斜や深さが分かります。
さらに、グラフの作成機能を使えば、河川の長さに沿った水深や傾斜の図を描くことができるため、増えた流量に応じた河川の状況の変化が、一目で確認可能です。
このようなエクセルの機能を使えば、河川が変化する状況を工事関係者に分かり易く伝えられます。
河川における等流と不等流の違い
河川の流れには、非定常流と定常流があります。
非定常流は時間とともに流量が変化する流れで、定常流は時間に関係なく変化せず、流量が安定に流れる河川の流れ状態です。
また、定常流には、不等流と等流があります。
等流は流量が一定に流れるとき、不等流は流れとともに水深や流れの断面積が変化する流れです。
河川では、河川の傾斜によって流速の大きさが決まり、また、水深でも流速が変わります。
さらに、川底に溜まった砂利や石、藻などの抵抗によっても流速が変化します。
等流の流速は、マニングの平均流速公式で求められます。
この式では、流速は、河川の流れの径深の2/3乗、傾斜の平方根に比例し、河川の粗さを示すマニングの粗度係数に反比例することを表します。
一方、不等流の流速を求め方は計算が複雑になり、流れの運動方程式と、流体の持つエネルギー保存則から求められます。
流れを解析する方法には、流れの方向のみに変化する一次元、流れ方向と川幅の方向に変化する二次元、二次元に加え水深も変化する三次元について解析法があります。河川の流速や流量を求めるときは、流れの状況が何次元で解けば良いかを見極め、解くことが必要です。
管内の水流に圧力が作用する管水路の流れ
管水路の流れは、管内の水流に圧力が作用して、圧力差によって流れが発生します。管水路と開水路、定常流と非定常流、等流と不等流についての検討が必要になります。時間の経過に影響して、変化する流れを非定常流といいます。
水流は、水に作用する重力に影響されます。開水路では、断面の形状、流積、水路の勾配が全区間において一定な場合に発生する流れになります。上水道管や水力発電用の水圧管など、壁で囲まれた管の中を水が充満して流れるケースを、管水路の流れといいます。
河川や用水路など、大気に接して自由表面をもって流れるものを開水路の流れといいます。水の流れを考える場合の水理の基本事項は、定常流、等流について理解することが重要になります。開水路においては、水門の急激な開閉時により生じる水の流れ、こう水、波などが非定常流になります。
水路設計における水理的な一貫性の確保
水路の水理設計は、水路組織内の各施設の適切な通水機能を確保するため、基本設計において定めた水路組織の基本的な条件及び諸元に基づき、各施設の水理的な一貫性を保持するように努めなければならない。
水路の水理設計は、設計流量のほか、それ以外の流量が流下したときの状況についても検討しなければならない。設計流量以外の流量とは、用水路にあっては最多頻度流量及び最小流量、排水路にあっては低水護岸等を検討するための流量、その他重要施設に支障を及ぼすことが考えられる流量のことである。
水路設計における水理的な一貫性の確保は、この基準の基本的な考え方の一つである。しかし、ここにいう一貫性とは、統一的な機能性、安全性及び経済性を確保する観点から一貫した技術判断が行われることを意味している。
水路の水理設計は、設計流量を対象として水理的に目標とする設計水位を確保するほか、水路組織内の各施設が所期の目的と機能を十分に発揮できるように設計流量以外の流量に対しても検討すべきことを明らかにしている。
時間の経過、場所の変化に影響される水の流れ
水の流れは、時間の経過、場所の変化に影響されます。断面により変化する流れを不等流といいます。等流は、管水路では、断面の形状、流積が一定で、水路が直線の場合に生じる流れです。
定常流において、水路のどの断面においても流積・流速の等しい流れを等流といいます。管水路では、水力発電所で発生する負荷の変動によるサージング、水撃作用などがあげられます。水流の断面の流速、流積、流量が、時間の経過に影響しないで変わらないような流れを定常流といいます。
断面が管状であっても、水が充満しないで自由水面をもつケースは、水理計算では開水路の流れと取り扱います。管水路・開水路ともに部分的には等流としてみなしても影響のないケースが多いです。
余裕高を決定する要因
余裕高は、原則として、以下の各要因に対する余裕高を合計して決定する。
① 粗度係数の変動
② 流速水頭の静水頭への変換の可能性
③ 水路に発生する水面動揺
① 粗度係数の変動
水路表面の粗度係数は、実験結果に照らしても水路の施工、配置等によりかなり幅広く変動している。可能性のある変動に対して、全量を余裕高として与えれば安全であるが、発生の可能性、変動の幅等の不確実性から、コンクリートライニング等に対して、n=0.001 程度の変動を加味している実例もある。これによる必要な余裕高は水路の材料、断面形等によっても異なるが、コンクリート水路の場合、水深の5~7%程度となるのが通例である。
② 流速水頭の静水頭への変換の可能性
流速水頭の静水頭への変換は、水路の障害物への衝突や断面の急変等によって引き起こされるが、水路の状況により流速水頭のO~100%の範囲で変動することが予測される。したがって、本基準では、水路の状況に応じ50~100%の変動を考慮することとする。
③ 水路に発生する水面動揺
水路中の流れは、ゲート、落差工、急流工、ポンプ場等の水路中の構造物、風等により波動を起こし水面を動揺させる。水面動揺の程度は、水路中の構造物の配置、風向と水路の関係、水面幅、水深及び流速等によって変化するが、普通10~30cm 程度と考えることができる。したがって、水路の状況に応じ、その半波高として5~15cm を水面動揺に対する余裕として付加する。
参考文献:「土地改良事業計画設計基準・設計 水路工」
等流計算と不等流計算では河川や水路の深さを求める
川の流れには、定常流と非定常流があります。
定常流は流量が時間によらず一定の流れで、非定常流は洪水のように、流量が時間とともに変わる流れです。
非定常流はめったに起こらないため、河川流量計算は定常流として扱います。
定常流には等流と不等流があり、等流計算と不等流計算は、河川や水路など開水路の流量や深さを求める計算です。
等流は、深さや傾斜がどこでも同じとなる流れで、水位は流量に比例します。
一方、不等流は、河川の深さと傾斜が河川に沿って変化する流れで、流量は同じでも、川の水位は川の場所ごとに違います。
河川では雨水流量計算で、上昇していく水のレベルが、堤防を越えるかどうかが分かり、さらにどれだけ水かさが増したら堤防の上端まで達するか、降雨強度式と河川流量計算でチェックする必要があります。
河川の幅や断面形状などの情報は図面などが分かっていれば、等流計算と不等流計算によって河川の状況が予想できます。
等流計算では、河川の流量は川の断面積と流速の積で求められ、流速計算はマニング式から求められます。
マニング式の平均流速計算式は、粗度係数の逆数・径深の2/3乗・水面勾配の1/2乗で表されます。
粗度係数は河川の底の砂利・小石・藻などの状態形状で変化し、径深は川の断面積と断面形状から計算されます。不等流計算では、微分方程式で表された式から、河川の長さを少しずつ変え、場所ごとの水位や傾斜を逐次解法で求めます。
等流計算や不等流計算は、河川を流れる流量を扱うには、もっとも難しい計算で、その方法などの理論が、いくつもの論文で研究されています。
等流計算、不等流計算で川底の状態を想定して計算することは結構難しい作業です。
川底が砂利のとき、藻で埋め尽くされている時、傾斜があちこち合って断面が一定でないときなどの計算では、システム化された有料のソフトウェアが、有効です。
いろいろな川の状態のパターンをテンプレートや選択ツールで選ぶことができ、図面に詳細が表されて計算されるため、ダウンロードして試用や機能を確認するのもおすすめです。
河川状況を把握できる等流計算・不等流計算ソフトで説明もスムーズに
河川工事の課題とは
・河川の工事を行うときに必要なことは、水かさが増したときに、水位がどう変わるかなど河川の状況を把握することです。
・河川の水位の変化を把握できるためには、等流・不等流計算ができるかが課題です。
河川の状況を把握できる等流計算・不等流計算とは
・河川は時間が変わっても流量が変化しないという定常状態で解析します。
・定常状態の流れには、等流と不等流があります。
・等流計算で流量を求めるためには、マニングの式で川の水の流速を求めて流量を求めます。
流量が分かれば、水位が計算できます。
等流計算・不等流計算はエクセルを使ったソフトが有効です
等流・不等流計算を行うためには、エクセルを使った計算ソフトを使えば、河川の流量や水位が簡単に求められます。
エクセルはセル間の数値を計算関数計算で求めますが、川の形状を示すパラメータをセルに入力すれば、求める川の流量や水位が自動で計算できます。
川の形状を示すパラメータの値は、事前に表形式で入力された既知のデータから、参照できるため手間が掛かりません。
不等流では、川の位置ごとに水位が異なるため、川の状況を図で表せば、一目で状況が把握できます。
工事関係者への説明もスムーズに行えることが、エクセルを使ったソフトの利点です。
河川の等流の流れ、不等流の流れの特徴
河川は底板と左右横板の形が長く曲がりくねりながら続いている形状物に、水が流れるものと言い換えられます。
河川は常に監視されています。
河川は水遊びや水の流れを見ながら心を温めるだけではありません。一番重要なことは災害対策です。
大雨で洪水が起こると、河川の危険水域に達し、警戒注意報や避難警報が出されます。
その予測をすることが、河川の水量とレベルの監視です。
等流、不等流とは
河川は自然の変動によって作られたものですが、用水路や側溝のような人が作ったものもあります。
この水の流れには、等流と不等流があります。
等流とは、図1-1のようにどの位置でも河川の形状が同じなため、雨の降り方が大きくても、小さくても、どの場所でも水の流れは同じように流れ、どの位置も水の深さは同じになります。
図1-1から、A-Bの場所と、C-Dの場所の水量も河川の水の深さも同じということになります。
これに対して、不等流は、川の形状が場所によって異なる河川の流れです。
そのため河川の流量は一定であっても、場所ごとに川幅や深さなど形状が違うため、場所ごとに水位や水の流速が異なります。
その様子を図1-2で紹介します。水面はある傾斜に沿って同じように流れても、河川の川底の形状が異なるため、A-B、C-D、E-Fのどの場所の水量も水の深さも異なります。
河川の流れの分類
河川の流れの種類には、等流・不等流の他に、時間で分類される種類があります。
それは、定常流と非定常流の流れです。
定常流とは、時間に関係なく、河川を水がいつも同じように流れている状態です。
定常流は、さらに、等流の流れと、不等流の流れに分けられます。
一方、非定常流とは、時間によって、河川が増水したり減水したりして流れている状態です。
非定常の流れは、不定流と言います。不定流の流れの問題は、河川の場所で、いつ、どこで、どれだけ増水します。
また、堤防を越えるような流れが起こるか、雨の降水時間によって大きく変化します。
そのため、降水時間と降水量から、河川の流れがどのように流れるかを解析し、的確に河川流域の住民に注意・警報を出すことです。
図2に参考として、河川の流量の変化に応じて、水深(河川の警戒レベルへの達する)の様子を描いた図を紹介します。
流量Qは降水時間によって変化しますので、降水が激しければQの値は速いスピードで多きい値となるでしょう。
河川の流れる状態を整理すると、次の表のようにまとめられます。
河川の流量計算、等流計算・不等流計算の方法
河川の流量計算とは
河川の流速や水量の増え方などを予測するための計算について、簡単にご紹介します。
河川の流れの状態を計算する前に、河川の状態を示す変数を紹介します。
河川の状況と河川を表す変数を、図3「河川の形状」を参照して下さい。
・河川幅…河川の幅で、変数をBで表しています。
・断面積…河川の水が流れているところの断面積で、変数Aで表しています。
・潤辺…河川の水の断面積の部分のうち、水の上面以外で河川の測位と底盤の長さの和で、変数Sで表されています。
・径深…変数をRで表しますが、水流部の平均水位です。次の計算式で求めます。
R=A÷S
・水深…河川の深さで、変数hで表されています。
・流速…河川の水流の速さで、変数Vで表されています。
・流量…河川を単位時間(秒)に流れる水の量で、変数Qで表されます。Qは次の計算式で、求めます。
Q=A×V
・水位…基準面から河川の川底までの高さで、変数Hで表す値です。
・勾配…河川の水面や川底の傾きです。
・水面勾配は…河川の水面の傾きで、Iwで表されます。
・河床勾配は…河川の川底の傾きで、Ibで表されます。
河川の等流計算の方法
前のセクションで紹介した変数をもとに、等流の川の流れの流速などについて計算方法を紹介します。
等流は川の形がどこの場所でも同じ値になる河川に関する計算です。計算式は、マニングの式を用いて次のような計算式で流速を求めます。
変数についておさらいをすると、Vは河川の流速、Rは河川の径深、Iは河川の勾配です。
新たに変数nが出てきますが、川底は砂利や藻など様々な状態になっていて、水が流れると摩擦力が働きます。
この摩擦係数を決めるのが粗度係数nです。
通常の河川は、川幅Bが、水深に比べて大きくなります。
その場合、水深を求めるには、断面積と潤辺と径深の式から、求まります。
A=B×h,S=2h+B,R=A/S
の式から、次のように展開できて、径深の値が水深とほぼ同じと認められます。
(h/BはBの大きさがhより極めて大きいので、0となります)
河川の不等流計算の方法
河川がどの場所で同じ形で、等流の流れになる事はありません。
どの場所でも形状が異なるため、河川の流量などを求めるには、不等流の計算が必要です。
河川の形状はいろいろな形が連なって、流れを作りますが、その河川の形を元に計算するには、3次元の解析が必要ですが、まだ完全にはできていません。
そのため、不等流の計算には、一次元不等流計算、一次元不定流計算、準二次元不等流計算、二次元不等流計算、二次元不定流計算、準三次元不等流計算、三次元不等流計算、三次元不定流計算が有って、順次計算精度が正確になります。しかし、逆に、順次計算が複雑さが増します。
ここでは、一次元不等流計算、一次元不定流計算について紹介します。
不等流計算は、ベルヌーイの定理(エネルギー保存則)と流量連続の法則の2つが基本となります。
ベルヌーイの定理とは、流体が流れるどの部分が持つエネルギーは同じであるという法則です。
連続の法則は、流体が流れるどの部分の流量も同じになるという補足です。
このとき、流体が流れる管路がどのような形状でも、関係なく同じになるという点が重要です。
ベルヌーイの定理は、式で表すと、
となり、mgは水の重量です。配管であれば、圧力というエネルギーが加わりますが、河川のような場合は圧力は0のため、上のような式になります。
連続の法則は、式で表すと、
となり流量一定を表します。
河川の流れは、川底や岸壁の具合によって摩擦が働くため、摩擦損失エネルギーを加える必要があります。
また、エネルギーは水頭という位置エネルギーで統一すると分かり易くなります。
河川のある場所のエネルギー水頭をEとすると、水頭で表すと、となります。
hfは、摩擦損失水頭です。
河川の水頭について図で表すと、図4のようになります。
なお、河川の多くは、幅広で水深は幅に比べて浅い矩形の形で流れているため、マニングの式を利用し、他の計算式と組み合わせて、解析することができます。
しかし、河川を忠実に再現するには、二次元、三次元の計算を使う必要がり、非常に複雑になるため、ここでは一次元の計算法のみの紹介とします。
等流・不等流の流れの不定流計算
河川が等流か不等流で流れていても、大雨が長く続く災害時には、時間とともに川が増水し、水位が上昇します。
さらに、河川の形状によっても時間ごとに、増水量が異なるために、時間や川の形状からの解析を行って、河川災害の予測を立て、住民に知らせる必要があります。
不定流計算の基本は、次のような河川流量の運動方程式を立てて、解析する必要があります。
次で紹介する式は、基本的な運動方程式ですが、実際に解くにはコンピュータでシミュレーションを繰り返しながら解くことになり、本セクションでは紹介のみとします。
(Q❜は、流路の単位当たりの流入量です。)
計算式は、流量は時間と河川位置の関数、水位も河川位置の関数となるため、それぞれ微分し細分化して求めるため、偏微分方程式の方程式となっています。
河川の流れ方、常流と射流
河川の流れ方には、常流と射流に分類されます。
常流とは、流速が波の速さより遅い流れです。河川の流れの中に、小石を投げ入れたときに、河川の流れの中に波が広がります。
この波の広がる速度より遅い河川の流れが、常流です。
常流の特徴として、流れに波が起こると、及ぼす影響が、下流側の水位変化だけでなく、上流側にも水位の変化が起こることです。
一方、射流とは、流速が波の速さより速い流れです。
射流の中に小石を投げ入れても、波が生じない河川の速さの流れが、射流です。
射流の場合は、どのような場合でも、上流側に水位の変化を起こすことがありません。
図5で、常流・射流について簡単に紹介します。
図5の限界水深は、河川の流量に対して、常流と射流の限界を決める水深です。
河川流量に対して、流れが穏やかであれば、常流の流れになり、河川のある場所の水深は、限界水深より深くなります。
逆に、川底が急勾配になると、射流となって、水深が浅く流れが速い流れとなります。
射流から上流に変化する現象を、跳水と言います。
図5のように、上流側の水深から跳水が起こると、下流側の水深は限界水深より深くなります。
河川の形状に応じて流れは、常流・限界流・射流の何れかの流れになっています。
大雨によって河川が増水すると、流れの状況によって、水位が上昇する場所が変わってくるため、河川の流れの状況を把握しておくことは、洪水などの危険回避のために大切です。
河川の等流計算・不等流計算のためのソフトウェア
これまでに河川に関して色々なものを、紹介してきました。
手計算でもできるものがありますが、ほとんどは計算専用のソフトウェアを使うことで、正確に素早く結果を知ることができます。
ソフトウェアには、エクセルでできたフリーソフトや有料のエクセルソフトがあります。
エクセルで計算するためのツールや、グラフ表示処理、VBAを使って高度な処理ができるものなどがあります。
河川の形状が複雑になると、「河川の計算とは」で色々な変数を紹介しました。
河川が単純な矩形形状でなはく、いわゆる凸凹であれば、それだけ解析に手間が掛かります。
そのような手間を簡単に操作できるようにした、河川解析の専用ソフトが各社から出されていて、それらを利用しても洪水などの危険回避に役立つことでしょう。