工事看板は、通行人や運転者に対して工事の内容や期間、安全上の注意点などをわかりやすく伝える重要な掲示物です。設置される場所や目的に応じて、掲示される情報や形式にはさまざまな種類があり、それぞれの特徴を理解することで、より効果的な案内が可能となります。加えて、道路使用許可証との関連や、交通規制における工事看板の役割も把握しておくことが求められます。
このページでは、工事看板・交通規制車の基本知識や種類、役割について解説しています。

工事看板とは。何の工事か、目的は、工事期間は。
建築基準法では、工事現場の見やすい位置に、路上工事看板を置くことを定めています。
工事看板は、道路利用者に対して、それが道路工事であるか、占用工事であるか表示する必要があります。
更に細かく、何の工事を、どういう目的で実施しているのか、その工事期間とともに、分かり易く表示する必要があります。
工事看板には、大きく分けて、説明看板と情報看板の二種類があります。
説明看板は、現在実施中の工事の情報を提供するものです。
情報看板は、路上工事を、事前に歩行者や地域周辺住民に知らせるものです。
それぞれ、設置の目的が異なっており、どちらも、発行者と施工者の連絡先を、表示する必要があります。
その他、メインに付随する工事看板として、SL看板があります。
SLとはスコッチライトの略で、住友3Mの反射シートの商品名です。
SL看板は、何メートル先工事中、片側交互通行、徐行、通行止めなど、様々な交通事情を公道利用者に表示します。
工事看板は、各自治体が、様式や基準を定めている場合もあるので、設置の際には注意が必要です。
必要な情報を的確に提供する、工事看板の種類と特徴
この項では、必要な情報を的確に提供する、工事看板の基本、特徴と種類について解説します。
工事現場において、必ず見かけるもののひとつに、工事看板があります。
今回は、工事看板の基本についてご紹介します。
工事看板は、道路用標識とも呼ばれており、「工事中」「工事予告」「迂回標識」「工事区間表示」「通行止め」といった様々な内容を、ドライバーや歩行者、近隣住民に知らせる役割を担っています。
「工事内容」と「工事目的」が一目でわかるようになっている点も、特徴のひとつです。
工事看板の種類は、大きく次の4つに分けることができます。
無反射タイプは、夜間工事がない場合に使用されます。
他のタイプに比べて安価です。
反射タイプは、無反射タイプと比較した場合、夕暮れや夜間などの条件下においても、看板の存在をPRすることができます。
高輝度反射タイプは、夕暮れ時や夜間、悪天候の際にもよく目立ちます。
国土交通省タイプの工事用看板は、工事中の目的や期間、時間帯、工事情報を表示・提供するための看板です。
基本的に様式が決まっています。
工事を安全に進めるため、工事看板を活用しましょう。
工事看板は、ドライバーや歩行者を含む周辺地域に、必要な情報を的確に提供する役割を果たしています。
工事場所や時間帯によって、素材やイラストを使うなど、適切な工事看板を選択することが、工事の安全にも繋がると言えるでしょう。
交通規制図・保安図に使えるデータも揃っているので、ぜひ利用してみてください。
知っておくとためになる!道路使用許可証や工事看板について
道路使用許可証に添付する図面の作り方
道路使用許可証に添付しなければならない図面、皆さんどうやって作成しているのか気になったりしませんか?
1号許可を取得したいとき
道路上で工事をしたい、あるいは作業を行いたい場合に取る必要が出てくるのが道路使用許可の「1号許可」と呼ばれる許可になります。例えばある現場への資材搬入のために道路を一部使用する場合でも、必ず所轄の警察へ届け出なくてはいけません。
必要な添付図面とはどんな図面?
道路使用許可を申請するにあたり、必要な図面はいくつかあります。それが下記です。
・道路使用の場所の位置図
・道路使用の場所、区間の見取り図
・道路使用の方法や形態を説明する資料
・その他警察署長から求められた資料など
「道路使用の場所の位置図」は、グーグルマップなどの資料で十分です。該当する場所が分かるようにマーキングし、「申請地」と書きます。
「道路の使用方法を説明する資料」は、その都度具体的に分かるように作成すれば良いのですが、具体的には道路使用図と道路規制図を作成するパターンが多いようです。
道路使用図と道路規制図を作成するためのポイント
道路使用図と道路規制図は「道路をどのように使用し、どこを規制するか」を明確にすることが大切です。また、「これは記載しておくべき」というポイントがあります。例えば、以下の3つが挙げられます。
・仕様道路の幅員は明記しておくこと。
・路線名を書いておくこと。
・どこに誘導員を置くかを明記すること。
また、道路の使用幅によっては全面通行止めが必要となる場合があります。そのときは迂回路図もあらかじめ添付する必要が出てきます。提出する警察の管轄によって異なりますので、前もって確認しておいた方が良いでしょう。
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工事看板・道路標識の今昔
分かれ道に石を置いて目印にした原始時代。木の幹や石に文字を彫って行道を示した江戸時代……。
人が徒歩で移動するしかなかった大昔では、標識という概念は存在していませんでした。
車を運転していて視認しやすく、シンプルなデザインでできている道路標識は、もちろん最近になって作られたものです。どのくらい最近かといいますと、大正時代より前にはなかったものなのです。意外と最近なんだな、と思いませんか?もちろんそんな昔には自動車はまったく普及が進んでいませんでした。まだ馬や人力車が道路を行き来していたような時代ですから、標識なんて必要ないのは当然です。
国が道路を整備し、交通整備に取り組み始めたのは明治時代以降だったと言われています。
自動車の普及と車道の整備が同時進行で急速に進み、それに伴って物流や人の流れ盛んになり、交通整備は日本の経済成長に大きく貢献しました。
日本に交通整備の標識が出現したのは大正時代から
初めて道路標識の内務省令が制定されたのは大正11年のこと。大正時代の後期にあたります。そこで具体的な交通整備として道路標識が作られることとなりました。
最初に制定された道路標識はたった2つの種類だけでした。現在の案内標識といえる「道路案内標」と、警戒標識である「道路警戒標」でした。
道路警戒標としては、「右曲がり」「左曲がり」「踏切あり」「学校あり」などの6種類が制定されました。看板の当初のデザインは白黒のシンプルなもので、看板の長さは縦×横が80cm×60cm。その看板の上部に一辺60cmの赤色の三角枠を設けていました。看板の大きさとしては現在のものよりも大きく、文字量がやや多いのが特徴的です。
道路標識が追加されたのは昭和になってから
案内標識と警戒標識とは別の標識、「禁止」「制限」「指導」が新たに追加されることになったのは昭和17年のことでした。警戒標識は初期に使用していた三角の形をそのまま活かして形を変更しました。新たに制定した「禁止」「制限」の標識は丸い形、指導の標識は四角い形をしていました。
現代で使用されている「駐車禁止(禁止標識)」や「制限速度(制限)」の看板も丸い形ですから、こんにちの形に近いものがこの時代でもう誕生していたというわけです。
自動車台数の急増、首都高速道路の供給による交通の変化
昭和38年になると、一家に一台自家用車を持つのが当たり前の時代が到来しました。それに伴って交通事情が一変しました。交通量が増加したため事故やトラブルも増加し、駐車禁止や一方通行規制などの強化の必要性が生まれました。そのため、道路標識の設置が急激に増加したのがこの年です。
そして、主要幹線道路の整備が5か年計画によって進みました。首都高速道路と名神高速道路も満を持して開通しました。そのため、自動車の制限速度が上がり、既存の道路標識では視認性が良くないことが課題となりました。
そこで、規制標識と指示標識が抜本的に改正され、現在のようなシンプルさ、はっきりと分かりやすい色彩に改善されました。
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道路工事の交通規制に欠かせないさまざまな工事看板
工事看板(安全標識)の規定はJISによる
道路工事をはじめ、さまざまな工事現場で目にする工事看板。道路工事の際には交通規制が行われ、「工事中」「全面通行止」「段差あり」などの工事看板(交通規制看板)で、工事に関するさまざまな情報を通行者・通行車両に伝えます。
道路を走る車両や人に対して、交通ルールを守らせたり、行先の案内をしたりする看板を道路標識(交通標識)と呼ぶのに対し、工事を行う際に設置される工事看板(交通規制看板)などの標識は「安全標識」とよばれています。
道路標識(交通標識)は道路法または道路交通法に基づき、様式や設置者、設置場所が定められています。信号機と道路標識(交通標識)で相互に補完的な役割を果たします。一方、安全標識(工事看板・交通規制看板)は工事現場や工場などで安全の確保を図るために表示する標識で、形や色はJISによって規定されています。
道路工事現場には工事看板などの設置基準がある
道路工事においては、工事中に車輌などが道路を安全かつ円滑に通行できるよう交通規制が行われ、国土交通省によって「道路工事現場における標示施設等の設置基準」が定められています。
国土交通省型工事看板
設置基準によると、道路工事を行うときは必要な道路標識(交通標識)を設置するほか、工事内容や工事終了日・工事時間帯、工事種別、施工主体、施工業者を記載した工事標示板(工事中看板)を設置しなければなりません。
また、道路工事周辺地域に工事情報を提供するため、工事情報看板・工事説明看板の設置も必要です。工事情報看板は路上工事の開始を事前に通知し、工事開始1週間前から工事開始までの間設置します。工事説明看板は現在実施している工事に関する情報を記載し、工事開始から終了までの間設置します。
工事中看板・工事情報看板・工事説明看板は様式や設置場所が国土交通省によって決められており、これらの看板は「国土交通省仕様」「国土交通省型」とよばれています。
そのほかの防護施設や工事看板
国土交通省の設置基準では「防護施設の設置」や「迂回路の標示」も義務付けられています。「防護施設の設置」とは、車輌等の侵入を防ぐ必要がある工事箇所に対し、両面にバリケードを設置し、赤ランプや「工事中」の標示などを使って工事現場を囲むことです。
さらに、道路工事のために迂回路を設ける場合は、迂回路の入り口に迂回路の地図などを入れた標示板を設置することも定められています。
実際の工事では、上記の工事中看板・工事情報看板・工事説明看看板や防護施設のほか、通行者・通行車両に注意を促す安全標識(工事看板・交通規制看板)を設置したり、交通規制車を出動させたりします。
SL看板・交通規制車
道路工事で使用される安全標識(工事看板・交通規制看板)には、「工事中」「徐行」「段差あり」「この先車線減少」「片側通行にご協力ください」「工事用信号機あり」「右折できません」など、さまざまなバリエーションがあります。細長いタイプのものが多く、数メートル先からでも識別できるよう「スコッチライト」という反射シートが全面に貼り付けられているため、SL看板ともよばれています。
交通規制車はトラックにLED標示板や発電機、衝撃吸収用バリアを積んだもので、通行車両に交通規制が行われていることを遠くからでも認識できるようにするものです。
安全標識(工事看板・交通規制看板)や道路標識(交通標識)、工事用信号機、交通規制車はレンタルができます。ただし、施工主体や施工業者を記載する必要がある国土交通省型工事中看板は、購入したほうがよいでしょう。
道路使用許可と道路占用許可の違いとは
道路を通行以外で使用する際は「道路使用許可」や「道路占用許可」が必要になります。道路使用許可は道路の一時的使用・継続的使用のいずれの場合も必要となりますが、道路占用許可は継続的・独占的に使用する場合を対象としています。道路の敷設・補修工事や水道管やガス管などの埋設工事の場合、道路使用許可・道路占用許可のいずれも必要となります。
道路使用許可は道路交通法の規定に基づき、管轄の警察署に申請を行います。一方、道路占用許可は道路法に基づき、対象となる道路を管理する道路管理者(国道の場合は国土交通省、県道の場合は県など)に申請を行います。
道路使用許可申請には、道路使用許可申請書(2通)のほか、道路使用場所または区間付近の見取り図や、道路の使用方法や形態などを補足するために公安委員会が必要と定めた書類を添付する必要があります。「公安員会が必要と定めた書類」は管轄の警察署によって異なりますが、工程図や保安図、迂回路略図などが多いようです。
道路占用許可申請には、道路占用許可申請書のほか、申請箇所の位置図や案内図、現況写真、平面図、横断図、縦断図、構造図、交通規制図(保安図)、工程表などを添付する必要があります。
道路使用許可・道路占用許可のいずれにおいても、交通規制図や保安図などの図面を作成しなければなりません。