パネルゲートは、仮設構造物や足場と連携して安全な現場環境を確保するために重要な設備です。設置時には足場計画との整合性や転倒リスクへの配慮、表示の工夫など、いくつかの注意点があります。また、CADデータを活用した計画により、効率的かつ安全性の高いゲート設置が可能となります。
このページでは、パネルゲート・シートゲート・ジャバラゲート・キャスターゲートの選定から設置計画、失敗例の紹介、安全性を高めるための工夫までを解説しています。

パネルゲートとは、最適なパネルゲートの選択
パネルゲートは建設現場を安全に囲う、仮設施設のひとつです。
開閉式のゲートですが、基礎に柱を立てて門型を設置するタイプ、基礎なしのタイプ、キャスターで開閉するタイプなどがあります。
パネル部分も全面パネルや、上部または全面がメッシュのものなどがあります。
ユニット方式なので、部材の増減により開口幅を自由に設定でき、使用目的に合わせてパネルのタイプや開口幅を選択します。
現場で採用する際には、現場の状況、場所、期間、その他の条件を十分検討して、最適なパネルゲートを選択しましょう。
パネルゲート設置の目的
現場にパネルゲートを設置する目的は、現場作業に人や車両の進入するのを防ぐためや、工事車両の高さ制限のチェック、工事車両の車道への飛び出し防止対策、粉じん対策、防音対策、夜間の防犯対策などがあります。
その際には、ゲートの位置と工事車両の搬入出経路、現場の資材置き場の位置、仮囲いの形状などの関連する項目との整合も考えながら計画を策定しましょう。
仮設計画の全体像がまとまったら、次は工事計画書や住民説明資料などの図面作成です。
CADデータだけでなく、規格寸法図、仕様書、カタログなどがあれば、配置したパネルゲートの大きさのチェックや、仮設計画書に添付する参考資料などに活用できます。
パネルゲートを設置する際の注意点
それでは、パネルゲートの設置において、現場での用途を把握する方法について説明しましょう。
CADで作図する際は「仮設計画図」において、工事関係者が出入りしやすく、かつ、工事車両車が搬入出しやすい配置を計画する必要があります。
ゲートの大きさも必要以上に大きくすると、風などの煽りを受けることがあるので注意が必要になります。
キャスターゲートを計画する際は、キャスターがスムーズに活用できるように、足元を鉄板やコンクリートで整地する、などの計画も考慮しておく必要があります。
パネルゲートは「足場計画」と合わせて考えること
「仮設計画図」の作図において、パネルゲートは、建築物に対する「足場計画」と合わせて考える必要があります。
足場の昇降口や出入り口の付近にゲートがないと、作業導線にムダが生じるなど、作業効率が悪くなります。
出きる限り、足場出入り口などの近辺に、ゲートの設置を考慮しておく必要があります。
また、足場計画の際には、建築物の出入り口も考慮しておくとよいでしょう。
されにより、仮設計画において、導線の簡略化となり、無駄のない計画が行えます。
特に、長い資材や、大きな資材の搬入時などは、導線の簡略化は非常に助かります。
パネルゲートのバランスで配慮すること
パネルゲートと建築物との、バランスを考慮しておく必要があります。
ゲートが大きければ、工事車両などの進入もしやすくなりますが、必要以上に大きくすると、それ以外の問題を注意しておく必要があります。
ゲートの大きさにより、風などの煽りを受けて、第三者などに接触して、安全面に問題を生じる恐れがあります。
現場の立地条件などを把握しながら、工事車両のサイズを考慮して、ゲートの大きさや配置を計画しなくてはなりません。
CADの作図時には、工事車両の導線を点線などで表記しておくと、ゲートの配置や規模を計画しやすくなります。
足場計画の平面図はゲートに絡む足場を優先して作図する
足場に、パネルゲートなどを直接設置する計画を考えている場合は、CAD上で、足場の罫線と重なり、見えにくくて分かりにくくなります。
その場合は、足場の罫線を優先に作図を考えます。
特に平面図でのゲートは点線などで表記をして、補助的に文字でパネルゲートの設置計画の記載を明示しておくと見落としの恐れがなくなります。
また、足場の詳細図と同じように、ゲートの詳細図を別に作図しておくことで、ゲートの設置計画や規模などが把握しやすくなります。
足場計画図は足場がメインですが、詳細図は足場計画図に重要な役割を与えています。
それに作図する方が、より重要度が増すので、平面図での主役は足場に譲りましょう。
現場でのパネルゲート設置の危険な失敗例
パネルゲートの設置時によくある失敗例をまとめました。
パネルゲートのはみだしや転倒の事例
・設置場所に傾斜があり、歩道側にはみ出した。
・強風に煽られゲートが外側に膨らんだ。
・台風の影響でゲートが転倒した。
・下部のワイヤーに足を取られて作業員がけがをした。
こうした失敗を防ぐために、CADデータを活用して適切な仮設計画を立案しましょう。
ゲート運用の失敗例を紹介します
・出入口の視界が悪く、接触事故が起こりかけた。
・入退場のゲートを間違える車両が多発した。
・作業員がゲートを開けっ放しにしてしまう。
・ゲートの内部が見えず近隣住民に不安を与えた。
ゲートのCADデータを活用して、工事関係者や近隣住民との情報共有を徹底しましょう。
パネルゲートの設置にはCADデータを有効活用する
CADデータを使ったパネルゲートやキャスターゲートの設置計画は、大きさや設置場所について注意が必要です。
現場の状況にマッチしたものを設置することと、それがわかるようなCADデータを使用することが大切です。
それでは、CADデータからどのような点に注意して、パネルゲートやキャスターゲートを設置していくのか、そのポイントについてお伝えします。
ゲートのCADデータを有効活用して設置計画を立てましょう。
CADデータを使ってパネルゲートの設置計画を行う!
◇ ゲート幅のとり方はできるだけ広くが基本
パネルゲートやキャスターゲートの設置を計画する場合、できるだけ、ゲート幅を広くとることを基本としましょう。
ゲート幅を現在の状況に合わせて、ギリギリに設置計画を立てた場合、工事の進捗に合わせて、日々変化する現場状況に対応しづらくなってしまいます。
例えば、工事車輌の搬入経路や資材置場などを考えた場合、常に違う工事車輌が現場に入ることとなります。
また、資材も、現場の進捗状況に合わせて、必要な広さも違いが出てきますので、できるだけ広くを基本とすることが大切です。
◇ 誰にでもわかるパネルゲートを設置することが大切
パネルゲートやキャスターゲートを設置する場合、ただ設置するだけではいけません。
その工事現場を利用する人たちが、安全に、そして便利に活用することができるような、ルールを徹底させることも大切です。
そのルールづくりは、実際にCADデータで、現場の状況を目視しながら確認できるようなマニュアルにしましょう。
そうすることで、いつも現場に訪れる人だけではなく、初めて現場に入る人にも徹底させることができます。
人や車輌の出入りが多い場合は、自動施錠機能がついているようなものがあると便利です。
また、転倒などの心配がある場合は、風速の規定を設ける、吊元をしっかり固定する、という指示があると安心です。
パネルゲート・キャスターゲートを選ぶポイントは?
現場状況に合わせた、安全性の高いパネルゲートやキャスターゲートを選ぶことは、一番重要なことといえます。
それ以外にも、工事現場・作業現場の周囲と調和できるような選び方をすることも、念頭においておく必要があります。
周囲の人に、どのような工事をしているのかということを伝えるために、工事の内容や完成予想図を掲示するのもひとつの方法です。
そして、交通渋滞や歩行者の安全を確保できるような設置は、もっと大切なことです。
近隣住民の人たちが、安全に、そして安心して現場を通行することができるように配慮して、CADデータを使用して行うことが重要な設置計画です。
パネルゲートのCADデータを使った仮設計画のポイント
設置する場所の特徴を把握しましょう
錆の心配がある現場で、長期間設置する場合はアルミ製のパネルを選びましょう。
風の強い場所では上部をメッシュタイプにし、風圧を全面で受けないようなタイプを選びましょう。
アルミ製は軽量であることも大きな特徴です。
従来、パネルシートの設置にはユニック車等が必要でしたが、アルミタイプは軽量であるため、人力設置が可能です。
重機や車両の出入りが少なく、作業員の出入りが主な場合、通用口を設けているタイプにすると、人の出入り時にパネル全体の開閉が不要です。
シートゲートは軽量であり、ゲートの開閉も簡単で、パネルタイプより高く囲うことができるため、粉塵対策にも有効です。
あらかじめ製品化された基礎ブロックを使って、基礎工から本体組立を同日に施工できるタイプもあります。
ゲート幅はなるべく広く設けましょう
工事中は現場内に材料が置かれていたり、ダンプの経路も日々変わっていったりします。
また、作業内容によって、車両の進入角度も変えざるを得ない場合があります。
ゲート幅はコントロールポイントの許す限り、大きくとっておく方が、後々助かることが多いようです。
ある現場では、工期が迫ってきたことから途中で搬入車両のサイズを大きくしました。
ゲート幅に余裕のなかったこの現場では、大型車両の通行のたびにゲートの一部をばらして車両を通行させました。
こんなことにならないように、「ゲート幅はなるべく広く」計画しましょう。
利用者にわかりやすく表示しましょう
はみ出し、転倒の対策としてマニュアルを作成し、作業員に周知しましょう。
出入りの際に、毎回手間のかかる施錠をするのは面倒です。
ともすると、お昼休み、近くのコンビニ行くだけだから、施錠せずに行っちゃうか…ってことになりかねません。
開施錠の方法やルールなど、普段の運用方法もマニュアル化して、わかりやすい場所に掲示するなど、現場内で適切な運用をしていきましょう。
周囲の環境にも配慮してパネルゲートを選びましょう
施錠の際に車を一時停車させる際に、歩道や車道にはみ出すと近隣の迷惑や交通渋滞の原因になる場合があります。
パネルゲートにより現場の様子が外からわからないため、ポスターや完成予想図などを掲示すれば説明効果があります。
必要に応じて、意匠性の高いパネルゲートや仮囲いを採用して、周辺環境との調和に努めましょう。
歩行者の通行するエリアは、泥や段差で通行しにくくならないように努め、滑り止めや段差に注意がいくような注意書き、着色などで歩行者の安全な通行を確保しましょう。
車道へ出る際に、左右の見通しが悪い場合などは、メッシュタイプの囲いを採用するなどで、交通事故防止に努めましょう。
さらに工事用車両出入の際には、回転灯が効果的です。
パネルゲートやシートゲートは、設置方法により分類できる
パネルゲート、シートゲートの概説、設置方法での分類について説明していきます。
パネルゲートやシートゲートは、主に建設現場の出入口部分に使用する設備です。
工事現場の出入口の誘導や管理のために設置します。
パネルゲートはゲート部分がパネルで構成されています。
パネル部分はスチール製やアルミ製、硬質プラスチック製などがあります。
上から下まで全面パネルになっているタイプの他に、上部だけメッシュになっているタイプや全面メッシュ仕様になったタイプもあります。
メッシュになっているタイプは風通しがよく、開放感があります。
シートゲートはゲート部分がシートで構成されています。
シートは防炎加工されており、傷や破れなどが起きた場合は1枚だけ貼り替えることが可能です。
パネルゲートやシートゲートは、設置方法によって大きく2種類に分けられます。
柱付きタイプは基礎を打ってそこに柱を立てるもので、長期間使用したりワイドスパンのゲートが必要な現場で使われています。
柱なしタイプは支柱単管をクランプという部材で固定するもので、基礎工事をすることなく簡単に設置できます。
パネルゲートを利用して安全で機能的な仮設計画を
ゲートに求められるのは、第三者が簡単に現場に入らないための防犯だけでなく、安全面においても重要な役割があります。
工事現場にゲートを設置する場合、工事関係者が出入りしやすく、かつ、工事車両車が搬入出しやすい配置を計画する必要があります。その選択を間違えると現場作業の効率を落とすことにもなりかねません。
パネルゲート設置のポイントを守って、事故を防ぎましょう
設置場所と目的にあったタイプを選択しましょう。
はみだしや転倒を起こさないような場所に設置しましょう。
維持管理の際には、重機などがパネルゲートに衝突、接触することのないように、現場での作業に配慮しましょう。
部品破損の際には、すぐに交換を行って、安全を確保しましょう。
適切な仮設計画立案のためにCADデータが活用できます。
わかりやすい現場作りに努めましょう
「風の強い日はゲート本体を開けて吊元から動かないように固定する。」などの使用ルールや、施錠等の運用ルールを作業員に周知しましょう。
ゲートの開閉時には歩行者、通行車両にも注意しましょう。
出入口には必要に応じて、現場の内外に滑り止めや注意書き、回転灯などで作業員や通行者の事故防止に努めましょう。
近隣住民への説明に努めましょう。
これらの説明資料にCADデータが活用できます。