油圧ブレーカーとは、圧縮空気や油圧を利用して岩やコンクリートを破砕する建設機械で、解体工事や土木作業において重要な役割を果たします。形状やサイズ、取り付ける機械の種類に応じて多様なタイプがあり、作業規模や現場条件に合わせた適切な選定が求められます。用途の広さと破砕力の強さから、さまざまな現場で活用されています。
このページでは、油圧ブレーカーの種類や用途、選定方法について解説しています。
油圧ブレーカーの形状と種類
油圧ブレーカーは、建設現場や解体工事などで非常に重要な役割を果たしています。その種類は多岐にわたり、使用目的や作業環境に応じて選ばれます。本記事では、油圧ブレーカーの多様な種類とそれぞれの特性について詳しく解説します。
油圧ブレーカーには用途や作業環境によってさまざまな種類が存在します。それぞれの特徴を理解し、適切なタイプを選ぶことで作業の効率と精度が向上します。これにより、工事現場での作業がよりスムーズに進行し、最終的な成果物の品質が高まることでしょう。
ハンドヘルド型油圧ブレーカー
ハンドヘルド型油圧ブレーカーは、その名の通り手持ち式のもので、軽量で取り回しが良いため小規模な作業や狭い場所での作業に適しています。このタイプは主に舗装道路の修理や小規模な解体作業に使用されます。
ミニエクスカベーターマウント型
ミニエクスカベーターマウント型は、比較的小さなエクスカベーターに装着して使用するタイプです。このタイプの油圧ブレーカーは、中規模な岩石の破砕やコンクリートの解体に適しており、都市部の建設現場など、手作業では効率が悪い作業をサポートします。
バックホーマウント型
バックホーマウント型は、バックホーに取り付けて使用します。この種類の油圧ブレーカーは、大規模な土木工事や、岩盤の分解、固い地盤の掘削などに活用されます。そのパワフルな性能が多くの現場で重宝されています。
ホイールローダーマウント型
ホイールローダーマウント型の油圧ブレーカーは、迅速な移動が求められる作業現場に適しています。特に、広い範囲に渡る破壊作業や、大量の廃材を効率よく解体する場面で力を発揮します。
油圧ブレーカーの選び方
油圧ブレーカーを選ぶ際には、作業の規模、対象物の硬さや量、作業環境などを総合的に判断することが重要です。また、各種メーカーから多様なモデルが提供されているため、仕様書をよく確認し、適切な機種を選びましょう。
油圧ブレーカーの魅力と基本規格
以下の要素を総合的に理解し、油圧ブレーカーの規格を選定することで、作業効率を最大限に高めることができ、現場での安全性と生産性の向上に寄与します。
バケット容量
油圧ブレーカーの性能を最大限に活かすためには、適切なバケット容量の選定が重要です。バケット容量とは、具体的にどれだけの土砂や材料を一度に扱えるかを示す指標であり、作業効率に直結します。例えば、大規模な建設現場では大容量のバケットが求められる一方、細かな作業が必要な現場では小容量のバケットが適しています。
ブラケット
ブラケットは、ブレーカーとアームを接続する重要なパーツです。この部分がしっかりしていることで、作業中の安定性が確保され、効率的な作業が可能になります。素材や設計によって耐久性が異なるため、選定には慎重を要します。
重量
油圧ブレーカーの重量は、機械の安定性と操作性に影響を与えます。重すぎると操作が難しくなり、軽すぎると安定性に欠ける可能性があります。適切な重量の選定は作業の効率を向上させるだけでなく、作業者の安全を確保するためにも必要です。
全長・全幅
ブレーカーの全長と全幅もまた、使用環境や作業内容に応じた選定が求められます。狭い場所での作業にはコンパクトな機種が適し、広い現場では大型の機器が効果を発揮します。これにより、作業効率や機械の取り回しやすさが大きく変わります。
所要油圧
所要油圧とは、ブレーカーが正常に作動するために必要とされる油圧のことです。適正な油圧を維持することで、機械の性能を最大限に引き出すことができます。油圧が低すぎるとパフォーマンスが落ち、高すぎると機械に過負荷がかかるため、調整が重要です。
作動油圧
作動油圧は、実際の作業時に油圧ブレーカーがどのように動作するかを示します。効率的な作動油圧が保持されることで、スムーズな作業が可能となります。適切な作動油圧は機械の寿命を延ばし、メンテナンス頻度を減少させる効果があります。
打撃数
打撃数は、一定時間内に油圧ブレーカーが打撃を行う回数を意味します。この数値が高いほど、作業スピードが速くなる一方で、使用する環境や対象物によっては最適な打撃数が異なるため、調整が求められます。
油圧ホース
油圧ホースは、油圧の供給を行う重要な部品です。耐久性や柔軟性に優れたホースを選ぶことで、頻繁な交換を防ぎ、長期間にわたり安定して油圧供給を行うことができます。特に過酷な環境での使用を考慮した選定が必要です。
工事の規模や条件による油圧ブレーカーの選定
油圧ブレーカーとは、油圧ショベルの先端に取り付けるアタッチメントのことです。
先端の杭を油圧の力でピストンさせることによって、コンクリート構造物を破砕します。
工事の規模や条件によって、採用される油圧ブレーカーの種類が異なります。
トンネル工事で採用される油圧ブレーカーは、通常の油圧ブレーカーとは異なり、トンネル工事専用のサイドプレートタイプの油圧ブレーカーが採用されます。
トンネル工事専用の油圧ブレーカーは、上向き作業ができるような構造になっています。
上向きで作業を行うと、油圧ブレーカーに水やホコリが入りやすくなり、油圧系統の故障に繋がるため、コンタミが発生しないような対策がなされています。
油圧ブレーカーの作業は、振動及び騒音を伴います。
周辺環境への問題だけでなく、油圧ショベル本体へのダメージや、オペレーターへの負担といった大きな問題があります。
そういった問題を解決できるように、超低騒音型ブレーカーが提案されています。
そのほか、油圧だけでなく、窒素ガスを用いることによって、打撃力を上げた油圧ブレーカーもあります。
油圧ブレーカーの多岐にわたる用途
油圧ブレーカーは、建設現場や鉱山、土木工事など幅広い分野で活躍する重機の一種です。その用途は多岐にわたり、以下のような具体的な作業に用いられます。
まず、油圧ブレーカーの最も一般的な用途として挙げられるのが、砕石の大塊の小割です。鉱山では特に、この機器を用いてグリ石（鉱石の一種）やズリ石（鉱山廃石）を効率的に粉砕し、運搬や処理を容易にします。
次に、道路工事や林道工事においても油圧ブレーカーは欠かせない存在です。アスファルトやコンクリートの硬い路面を破砕することで、新しい道路の建設やメンテナンスを迅速に進めることができます。また、林道工事では、岩盤や樹根の一部を破砕して道を拡張し、森林深部へのアクセスを容易にします。
さらに、岩盤掘削やダム工事、トンネル工事といった大規模な土木工事でも油圧ブレーカーの威力が発揮されます。硬質な岩盤を効率的に掘削し、トンネルやダムの基礎を形成するための準備が整えられます。地下工事においても同様に、狭い空間での作業が求められるため、この機器が不可欠です。
河川工事や溝掘作業においても、油圧ブレーカーは重要な役割を果たします。河川の流れを変えたり、浸水対策を行う際に必要な岩石や障害物を除去することができます。溝掘作業では地面を素早く効果的に掘削し、水路や排水溝を整備することが可能です。
また、建造物の解体作業でも油圧ブレーカーは大活躍します。堅固なコンクリート構造体を迅速かつ安全に破壊し、次の工程をスムーズに進めるための準備が整えられます。この機器は特に都市部での再開発や老朽化した建物の撤去において、効率的な解体作業を実現します。
最後に、製鉄所などで発生するノロやスラグ（製鉄過程で生じる副産物）の除去にも油圧ブレーカーは活用されます。この用途においては、高温の状態でも機能する耐熱性能が求められ、作業の効率性と安全性を両立することが可能です。
このように、油圧ブレーカーはその強力な破砕力と多機能性により、あらゆる工事現場で欠かせない存在となっています。それぞれの特殊な用途に応じたアタッチメントやオプション機能も提供されており、ニーズに合わせたカスタマイズが可能です。油圧ブレーカーの活用によって、より効率的で安全な作業が実現し、工期の短縮やコスト削減にも貢献するのです。