熱交換器計算・放熱量計算・熱伝導計算のフリーソフト・エクセル

547e44b0 7876 4059 a64b a2d2cdca5652 - 熱交換器計算・放熱量計算・熱伝導計算のフリーソフト・エクセル 空調設備 ソフト

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水タンク、空気ダクトの放熱、加熱計算ができる、伝熱計算
解析初心者向けの3層構造に限定した、FEM熱伝導解析アプリケーション、簡単熱伝導 2
2次元定常熱伝導解析を行うソフト、2次元定常 熱伝導解析
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エアコンの冷房負荷(熱負荷)を自働計算するソフト、熱負荷プロ
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熱伝導計算・放熱量計算のフリーソフト・エクセル

伝熱計算

伝熱計算0 - 熱交換器計算・放熱量計算・熱伝導計算のフリーソフト・エクセル

水タンク、空気ダクトの放熱、加熱計算をします。加熱時間、必要ワット数、放熱による損失熱量、必要な断熱材厚さなどを計算します。熱伝導率が熱の伝わりやすさを表すのに対して、熱抵抗は熱の伝わりにくさを表します。熱抵抗は熱伝導率の逆数に比例します。空調負荷計算・冷房負荷計算・換気計算・冷房負荷計算・熱交換器計算などにおすすめのソフトウェアです。

簡単熱伝導 2

簡単熱伝導 20 - 熱交換器計算・放熱量計算・熱伝導計算のフリーソフト・エクセル

解析初心者向けの3層構造に限定した、FEM熱伝導解析アプリケーションです。ランキング上位の人気です。構造モデルが3層と決まっていますから、データ入力がとても簡単です。層の厚さと材料定数を入力するだけです。非定常解析ができますから、時間変化する現象も手軽に解析可能です。

2次元定常 熱伝導解析

2次元定常 熱伝導解析0 - 熱交換器計算・放熱量計算・熱伝導計算のフリーソフト・エクセル

2次元定常熱伝導解析を行うソフトです。AutoCad2000,2004LTとExcelを使用して、熱伝導を有限要素法で解析します。計算された結果はExcelに転送されるので、結果の加工を容易にさせます。等温線のデータは、AUTOCADに転送され、等温線が作図されます。空調負荷計算・冷房負荷計算・熱交換器計算・熱伝導計算・熱負荷計算・換気計算などにおすすめのソフトウェアです。

2次元 熱伝導解析 セット

2次元 熱伝導解析 セット0 - 熱交換器計算・放熱量計算・熱伝導計算のフリーソフト・エクセル

有限要素法による汎用的な、2次元熱伝導解析ソフトです。有限要素法により温度変化を解析します。定常および非定常の解析が可能です。2次元熱伝導解析と、FEM断面データの2本のソフトから構成されています。熱伝導の式に熱量を代入して計算します。空調負荷計算・冷房負荷計算・換気計算・冷房負荷計算・熱交換器計算などにおすすめのソフトウェアです。

温度くん 3

温度くん 30 - 熱交換器計算・放熱量計算・熱伝導計算のフリーソフト・エクセル

2次元のパーソナルな熱伝導解析ソフトです。最大節点数は125です。個人向けの温度解析ツール、学習用として、工夫次第でいろいろなモデルが解けることと思います。伝熱解析は、電子製品の温度分布の把握や製品の小型・軽量化などに用いられます。

熱負荷計算・熱量計算・熱交換器のフリーソフト・エクセル

熱負荷プロ

熱負荷プロ0 - 熱交換器計算・放熱量計算・熱伝導計算のフリーソフト・エクセル

エアコンの冷房負荷(熱負荷)を、自働計算するソフトです。入力は東西南北の壁の縦横高さと材質及び厚さのみです。その他の計算はデフォルト値を基に自働適合されます。集計単位は旧単位ですので、集計結果を単位変換する必要があります。熱交換器計算・熱伝導計算・熱負荷計算・冷房負荷計算などにおすすめのソフトウェアです。

熱量計算

熱量計算0 - 熱交換器計算・放熱量計算・熱伝導計算のフリーソフト・エクセル

建築の空調設備の熱量計算をします。コメントに従って、添付データーを入力すると、国交省仕様に順じた熱量計算ができます。部屋では熱量の損失や除去が行われます。熱量の計算、熱負荷の計算を行うことで、冷暖房機器の容量を算出することができます。熱交換器計算・熱伝導計算・熱負荷計算などにおすすめのアプリです。

空調設備の熱量計算

空調設備の熱量計算0 - 熱交換器計算・放熱量計算・熱伝導計算のフリーソフト・エクセル

計算はシート順に、記入欄の、表示されたコメントに従って、表から選定記入していくと完成します。方位シート、室条件シート、熱通過率、負荷一覧、各室負荷と欄を埋めていきます。熱通過率などの難しいものは、特別な条件以外は、既に例題で多数が作成されています。

建物の空調計画 : 熱量計算

建物の空調計画 : 熱量計算0 - 熱交換器計算・放熱量計算・熱伝導計算のフリーソフト・エクセル

計算はシート順に、記入欄の表示されたコメントに従って、表から選定記入していくと完成します。方位シート、室条件シート、熱通過率、負荷一覧、各室負荷と欄を埋めるようになっています。熱通過率など特別な条件以外は、既に例題で多数が作成されています。冷房負荷計算・熱交換器計算などに使えるエクセルテンプレートです。

プレート式熱交換器伝熱予備設計支援ソフト PHEX36

プレート式熱交換器伝熱予備設計支援ソフト PHEX360 - 熱交換器計算・放熱量計算・熱伝導計算のフリーソフト・エクセル

プレート式熱交換器の伝熱予備設計に迅速に対応できます。計算で求められるアイテムは、流体温度、熱伝達率、熱通過率、圧力損失、熱交換器概略寸法などです。省エネ(熱回収)用、既設熱交性能チェック等の熱交換器に対する予備計算ソフトとして活用できます。

熱交換器の用途について

熱交換器は、温度差を利用して効率的に熱を移動させる装置ですが、その用途は非常に多岐にわたります。基本的な原理は温度の高い物体から低い物体に熱を移動させることにありますが、実際の運用においては、その目的に応じたさまざまな形態の熱交換器が使われます。ここでは、熱交換器の主な用途として、加熱、冷却、冷凍、蒸発、凝縮の5つの用途について詳しく解説します。

加熱

加熱用途においては、熱交換器は温水や蒸気などの熱源を利用して、冷たい流体を温める役割を果たします。例えば、工場のプロセスで使用される熱交換器では、原料を加熱することで化学反応を促進させたり、製造過程を効率化するために利用されます。また、住宅の暖房システムにおいても、温水を供給するための熱交換器が重要な役割を担っています。このような加熱用途では、適切な熱交換器計算を行い、流体の流れや熱伝導の効率を最適化することが、エネルギー効率を高めるために重要です。

冷却

冷却の目的で使用される熱交換器は、温度の高い流体から熱を奪い、冷たい流体にその熱を移動させる仕組みです。これには、エンジンの冷却システムや空調システムなどが該当します。例えば、車両のエンジン冷却システムでは、エンジンで発生する熱を冷却水や冷却液に移し、エンジン温度を適切に保つために熱交換器が使用されます。また、電子機器や産業用機械の冷却にも熱交換器は欠かせません。冷却用途においては、熱交換器計算を行うことで、冷却効果を最大化し、機器の過熱を防ぐことが可能になります。

冷凍

冷凍用途では、熱交換器を利用して、冷却機能をさらに低温域に拡張します。冷凍庫や冷蔵庫の内部では、熱交換器を使って冷媒が熱を吸収し、物体を冷却します。産業用の冷凍システムでは、冷凍熱交換器が食品の保存や化学製品の保管に不可欠な役割を担っています。このプロセスでも、熱交換器計算を正確に行うことで、冷凍効率を最適化し、省エネルギー効果を高めることができます。

蒸発

蒸発の過程では、液体が熱を吸収して気体に変化する過程が関わってきます。熱交換器がこの過程で重要な役割を果たすのは、液体が効率的に気化するために必要な熱を供給するためです。例えば、蒸気を発生させるための熱交換器では、熱源から熱を取り込み、液体を蒸発させるための高温状態を維持します。この用途においても、熱交換器計算を活用することで、必要な熱量や最適な流れの設計が可能となり、蒸発効率を高めることができます。

凝縮

凝縮用途では、気体を冷却して液体に戻すプロセスが行われます。冷却塔や冷却システムでは、蒸気やガスが冷却されて液体に変わり、再利用される仕組みです。これにより、エネルギーの無駄を減らし、効率的なエネルギー利用が実現されます。例えば、発電所の冷却システムでは、蒸気タービンから放出された蒸気を冷却して水に戻し、その水を再利用するために熱交換器が使われます。凝縮プロセスでも、熱交換器計算を行うことで、冷却効果を最大化し、装置の性能を向上させることができます。

熱交換器は、加熱、冷却、冷凍、蒸発、凝縮の各分野で重要な役割を担っています。これらの用途において、適切な熱交換器計算を行うことは、エネルギー効率やシステムの性能向上に直結します。技術的な知識と計算によって、最適な熱交換器を選定し、効率的な運用が可能となります。

熱交換器の種類と特徴(細かい分類)

熱交換器は、熱を効率よく移動させるために使用される装置であり、その種類は多岐にわたります。一般的に、熱交換器は構造的にはチューブ式とプレート式の2種類に大別できますが、さらに細かく分類すると、さまざまなタイプが存在します。それぞれのタイプには特徴があり、用途に応じて最適なものを選ぶことが求められます。ここでは、熱交換器の細かな分類について、それぞれの特徴を解説します。

空冷式熱交換器

空冷式熱交換器は、冷却媒体として空気を使用するタイプの熱交換器です。主に冷却水や他の液体の温度を下げるために使用され、空気によって熱を放散させる仕組みです。この方式は、水の供給が難しい地域や、冷却水の使用を避けたい場合に適しています。冷却効果を最大化するためには、熱交換器計算を行って最適な設計をすることが重要です。

ファンコイルユニット

ファンコイルユニットは、ファンと熱交換器を組み合わせた装置です。空気をファンで強制的に流し、その流れを熱交換器で温度調整する仕組みです。主に空調システムで使用され、室内の温度を効率的に調整します。ファンコイルユニットは設置が簡単で、比較的小型のスペースでも使用可能ですが、その効率を高めるためには、熱交換器計算による設計が不可欠です。

ブレージングプレート熱交換器

ブレージングプレート熱交換器は、複数の金属製プレートを用いて、流体の間で熱を交換するタイプの装置です。このプレートは、特殊な方法で接合(ブレージング)されており、非常に高い圧力と温度に耐えることができます。コンパクトな構造が特徴で、効率的な熱交換を実現するためには、熱交換器計算による詳細な設計が必要です。

ガスケットプレート熱交換器

ガスケットプレート熱交換器は、プレート間にガスケット(パッキン)を挟んで密閉し、流体が漏れないようにした熱交換器です。流体はプレートの間を交互に流れる仕組みで、温度差を利用して熱を効率的に交換します。このタイプは、メンテナンスが容易で、異なる熱源に対応できる柔軟性があります。効率的な運用には、熱交換器計算で各プレート間の流れや熱伝達の最適化を行うことが重要です。

シェル&チューブ熱交換器

シェル&チューブ熱交換器は、最も一般的なタイプの熱交換器です。内部に複数のチューブを配置し、その外側にシェル(筒)を設けて、2種類の流体が異なるルートで熱交換を行います。石油精製や化学プラントなど、大型の産業機械に広く使用されています。このタイプの熱交換器は、耐久性が高く、高い熱交換効率を誇ります。シェル&チューブ熱交換器の設計には、熱交換器計算を通じて、流体の流れや圧力損失、熱伝達の最適化を行うことが求められます。

投げ込み式(浸漬型)熱交換器

投げ込み式熱交換器は、冷却媒体(通常は液体)を直接タンクや容器に投入して熱を交換するタイプの熱交換器です。液体がタンク内に浸されることで熱が交換されるため、複雑な配管を必要とせず、設置が簡単です。しかし、このタイプは冷却効率に限界があり、効率を高めるためには、熱交換器計算による最適化が必要です。

ジャケットタンク

ジャケットタンクは、内部の容器に熱を伝えるためのジャケット(外側の覆い)が取り付けられている熱交換器です。一般的に、化学プロセスや食品製造などで使用されます。ジャケット内には冷却または加熱用の流体が流れ、内部の物質と熱を交換します。このタイプの熱交換器は、精密な温度管理が求められるプロセスでよく利用され、効率的な熱交換を実現するためには、熱交換器計算を通じて流体の温度管理が重要です。

熱交換器はその用途や設置環境に応じてさまざまな種類があります。それぞれのタイプが持つ特徴や利点を理解し、適切な熱交換器を選ぶことが、効率的な熱管理を実現するためには欠かせません。各熱交換器の性能を最大限に引き出すためには、熱交換器計算を通じて詳細な設計を行うことが重要であり、これによってエネルギー効率を高め、システムの信頼性を確保することができます。

熱交換器の温度効率と熱伝達式

熱交換器は、異なる温度の流体間で熱を移動させるために重要な役割を果たします。熱交換の効率を最大化するためには、流体の流れ方や熱伝達に関連するさまざまな要素を考慮する必要があります。ここでは、熱交換器の温度効率とその計算方法、さらに熱伝達量を求めるための基本的な計算式について解説します。

熱交換器の温度効率

熱交換器の温度効率は、流体の温度差がどれだけ効率よく熱交換されるかを示す重要な指標です。特にシェル&チューブ型のような隔板式熱交換器においては、流体の流れる向きによって温度効率が大きく異なるため、流体の流れ方が性能に与える影響を理解することが重要です。
熱交換器計算を行う上で、流体の向きは非常に重要な要素となります。流体の流れ方によって、効率が変わるため、次のような順番で温度効率が向上します。

向流(逆流):流体が互いに向かい合って流れる場合、最も効率的に熱が交換されます。この向流では、熱交換が最もスムーズに行われ、効率的な熱伝達が可能です。

直交流:流体が直交する方向で流れる場合、向流に次いで高い効率を発揮します。しかし、向流と比べると熱交換の効率は若干劣ります。

並流(同方向):流体が同じ方向に流れる場合、最も低い効率となります。並流では、流体の温度差が徐々に縮小するため、効率的な熱交換が難しくなります。

これらの流れ方を正しく選定することが、熱交換器の設計において非常に重要です。温度効率は、特に低温流体の出口温度で比較することが一般的です。低温流体の出口温度が低いほど、効率的に熱を交換できていると判断されます。これを比較するために、詳細な熱交換器計算が行われます。

熱交換器の熱伝達式

熱交換器の設計において、必要な熱伝達量を計算することは非常に重要です。熱伝達量の計算に用いられる基本的な式は次の通りです。

Q = k × A × LMTD

Q:交換熱量(kW)
これは、熱交換器を通じて移動する熱の量を示します。交換熱量が大きいほど、熱交換器が効率的に働いていることになります。

k:総括伝熱係数(kW/(m²・K))
伝熱係数は、熱交換器の熱伝導効率を示す値です。総括伝熱係数が大きいほど、熱が効率的に伝わることを意味します。この値は、使用する材料や流体の種類、流れの状態などによって決まります。

A:伝熱面積(m²)
伝熱面積は、熱交換器が熱を移動させるための表面積です。面積が大きいほど、多くの熱を交換することができますが、設置スペースに制約がある場合には適切な面積設計が必要です。

LMTD:対数平均温度差(K)
LMTDは、熱交換の温度差を表す指標で、流体の入口と出口での温度差の平均を取り、対数平均を計算するものです。LMTDは、流体の温度条件や流れの向きによって異なります。LMTDが大きいほど、効率的に熱を交換していることを示します。

これらの要素を組み合わせた計算式を使って、熱交換器の性能を詳細に評価することができます。熱交換器計算を行う際は、これらのパラメータを考慮して最適な設計を行うことが、効率的な運用の鍵となります。

熱交換器の温度効率と熱伝達式を理解することは、熱交換器の設計や運用において不可欠です。温度効率を最大化するためには、流体の流れ方を適切に選定し、熱伝達量を正確に計算することが重要です。また、熱交換器計算を通じて、エネルギー効率を最適化し、システム全体の性能向上を図ることができます。

熱交換器計算の対数平均温度差と総括伝熱係数

熱交換器の効率を評価するためには、複数の計算が必要です。その中でも、熱伝達量を求めるために欠かせないのが「対数平均温度差(LMTD)」と「総括伝熱係数」です。これらの計算を正確に行うことで、熱交換器がどれだけ効率よく熱を移動させているのかを評価することができます。ここでは、これらの計算方法について詳しく解説します。

対数平均温度差(LMTD)

熱交換器の性能を正確に評価するためには、流体間の温度差がどれだけ効率的に熱を移動させているかを計算する必要があります。この温度差を「対数平均温度差(LMTD)」として求め、熱交換器の設計に役立てます。
LMTDは、熱交換器内で熱交換が行われる流体の温度差が、入口から出口までどれだけ変化するかを示します。LMTDの計算方法は流体の流れの向きによって異なり、向流と並流の場合で異なる式が使用されます。

向流(逆流)
向流では、2つの流体が互いに逆方向に流れます。この場合、LMTDは次の計算式で求めます。

LMTD=[ (T1-t2) - (T2-t1) ] /In[ (T1-t2) / (T2-t1) ]

ここで、T1は高温流体の入口温度、t1は低温流体の入口温度、T2は高温流体の出口温度、t2は低温流体の出口温度です。この式では、温度差が自然に減少していくため、熱交換がより効率的に行われます。

並流(同方向)
並流では、2つの流体が同じ方向に流れます。この場合のLMTDの計算式は次の通りです。

LMTD=[ (T1-t1) - (T2-t2) ] /In[ (T1-t1) / (T2-t2) ]

並流では、流体間の温度差が一定の速度で縮小するため、向流よりも効率は低くなります。このため、並流の場合には熱交換器計算を通じて温度差を最大化する設計が求められます。
向流と並流の計算式の違いを理解し、流体の流れに応じて適切な計算を行うことが、効率的な熱交換を実現するために重要です。

総括伝熱係数

総括伝熱係数は、熱交換器における熱伝達の効率を示す重要なパラメータです。この係数が高いほど、熱が効率よく伝わっていることを意味します。総括伝熱係数は、さまざまな要素によって決まり、特に流体と伝熱面の間の熱伝達効率が重要です。総括伝熱係数は以下の式を用いて求めます。

1/k = 1/α1 + 1/α2 + δ/λ + Rf

ここで、各項目の意味は次の通りです。

α1:高温側流体と伝熱面との間の伝熱係数(W/(m²・K))。流体と伝熱面との間で熱をどれだけ効率的に伝えるかを示します。
α2:低温側流体と伝熱面との間の伝熱係数(W/(m²・K))。低温側も熱交換の効率を決定します。
δ:伝熱面の厚さ(m)。伝熱面が厚いほど、熱が伝わりにくくなります。
λ:金属の熱伝導率(W/(m・K))。伝熱面の素材の熱伝導性を示し、金属の性質によって熱伝達効率が決まります。
δ / λ:壁の抵抗値。伝熱面の厚さと金属の熱伝導率から、熱がどれだけ抵抗を受けるかを示します。
Rf:汚れ係数(m²・K/W)。伝熱面が汚れると、熱の伝わり方が悪くなります。汚れ係数は、この抵抗を補正するために用いられます。

総括伝熱係数は、これらの複数の要素が絡み合って決まります。熱交換器計算を行うことで、各パラメータを最適化し、熱伝達を最大化する設計が可能となります。

熱交換器計算において、対数平均温度差(LMTD)と総括伝熱係数は、効率的な熱交換を実現するための重要な指標です。これらを正確に求めることで、熱交換器の性能を最大限に引き出すことができ、エネルギー効率の良いシステムを構築することができます。

物体表面からの熱損失計算

物体表面から周囲に放出される熱を正確に計算することは、エネルギー効率や機器設計の観点から非常に重要です。この計算は、特に配管放熱計算などで多用されます。ここでは、物体表面からの熱損失を計算する際に必要な手順と、それに基づく計算方法について詳しく解説します。

必要なパラメータの入力

熱損失を計算するためには、以下のパラメータを入力する必要があります。

1. 物体の表面積(単位: m²):熱が放出される表面の総面積を示します。
2. 物体表面の放射率(単位なし):放射による熱の放出効率を示す値で、0から1の間の値を取ります。
3. 外気への対流熱伝達率(単位: W/m²·K):物体表面と周囲空気との間での熱伝達の効率を示します。
4. 物体表面の温度(単位: °C):物体表面の実際の温度を入力します。
5. 雰囲気の温度(単位: °C):物体を取り囲む空気や液体などの温度を入力します。

計算手順

入力したパラメータをもとに、以下の計算を順に行います。

1. 対流による熱損失の計算
対流熱損失(単位: W)は、次の式で求められます。
ここで:
:外気への対流熱伝達率(W/m²·K)
:物体の表面積(m²)
:物体表面の温度(°C)
:雰囲気の温度(°C)

2. 放射による熱損失の計算
放射熱損失(単位: W)は、以下のステファン–ボルツマンの法則を用いて計算します。
ここで:
:物体表面の放射率
:ステファン–ボルツマン定数(約5.67 × 10⁻⁸ W/m²·K⁴)
:物体表面の絶対温度(K、摂氏温度に273.15を加えた値)
:雰囲気の絶対温度(K)

3. 総熱損失の計算
対流と放射による熱損失を合計することで、総熱損失を求めます。
配管放熱計算での活用
特に配管放熱計算では、配管の長さや表面特性を考慮して熱損失を計算する必要があります。この計算手順を適用することで、配管システム全体のエネルギー損失を正確に見積もることができます。

<実際の計算例>
仮に以下の条件を入力したとします。
物体の表面積:5 m²
放射率:0.9
外気への対流熱伝達率:10 W/m²·K
表面温度:100 °C
雰囲気温度:25 °C

これらを基に上記の計算式を適用することで、対流熱損失、放射熱損失、総熱損失を求めることができます。

物体表面からの熱損失計算は、効率的なエネルギー管理のために欠かせないプロセスです。配管放熱計算など、具体的な応用分野で活用する際は、正確なパラメータを入力し、適切な計算手順を踏むことが重要です。これにより、設計の最適化やエネルギー効率の向上に寄与できます。

断熱された平板からの放熱計算

断熱材で覆われた平板の放熱量を計算することは、エネルギー効率を高めるために非常に重要です。特に配管放熱計算のような具体的な応用では、放熱を正確に見積もることで、適切な断熱設計を行うことが可能になります。ここでは、断熱材の厚みや熱伝導率を考慮した平板からの放熱量の計算方法を詳しく解説します。

必要な入力データ

放熱量を計算するには、以下のデータを準備して入力します。

物体の表面積(単位: m²):熱が放出される平板の面積を示します。
物体の温度(単位: °C):平板の表面温度を入力します。
外気の温度(単位: °C):平板の周囲の雰囲気温度を示します。
断熱材の厚さ(単位: m):平板を覆う断熱材の厚みを入力します。
断熱材の熱伝導率(単位: W/m·K):断熱材が熱をどれだけ通しやすいかを示す値です。
表面の放射率(単位なし):放射による熱損失を考慮するための係数です。
外気への対流熱伝達率(単位: W/m²·K):物体表面と周囲空気の間の熱伝達効率を示します。

計算の手順

入力データを基に以下の計算を進めます。

1. 表面温度の計算
断熱材を通過する熱量は、平板表面から放出される対流熱損失と放射熱損失の合計と等しくなります。この条件を用いて、表面温度を求めます。
ここで:
:断熱材を通過する熱量(W)
:平板の表面積(m²)
:平板表面温度(°C)

2. 対流放熱量の計算
対流による放熱量は次の式で求められます。
ここで:
:対流熱伝達率(W/m²·K)
:平板表面温度(°C)
:外気温度(°C)

3. 放射放熱量の計算
放射による放熱量は、次のステファン–ボルツマンの法則を使用して計算します。
ここで:
:放射率
:ステファン–ボルツマン定数(約5.67 × 10⁻⁸ W/m²·K⁴)

4. 総放熱量の計算
対流放熱量と放射放熱量を合計して、総放熱量を求めます。
配管放熱計算との関連性
断熱材で保護された配管でも、同様の計算手順が適用されます。配管放熱計算では、配管の形状や内部流体の特性も加味する必要がありますが、基本的な熱損失の考え方は変わりません。

<実際の計算例>
以下の条件を例にとります。
表面積:10 m²
表面温度:150 °C
外気温度:30 °C
断熱材の厚さ:0.05 m
熱伝導率:0.04 W/m·K
放射率:0.85
対流熱伝達率:15 W/m²·K

これらを基に計算すると、表面温度、対流放熱量、放射放熱量、総放熱量をそれぞれ求めることができます。

断熱材で覆われた平板からの放熱量計算は、エネルギー効率を最適化する上で欠かせません。配管放熱計算などの実務に応用することで、熱損失の削減や設計の改善が可能になります。正確なデータ入力と計算手順の理解が、エネルギー効率向上の鍵です。

断熱された円筒からの放熱計算

配管を通じて流体を輸送する際には、周囲環境との間で熱の出入りが発生します。この熱交換は、輸送効率を低下させるだけでなく、エネルギーの無駄にもつながります。そのため、配管放熱計算を行い、適切な断熱設計を施すことが重要です。特に、保温材やヒートトレース(蒸気トレースや電気トレース)を利用することで、熱損失を効果的に抑えることができます。ここでは、断熱材で覆われた円筒からの放熱量の計算方法について詳しく解説します。

必要な入力データ

放熱量を求めるためには、次のデータを入力します(円筒長さ1mあたり)。
円筒の外径(単位: m):配管の外側直径です。
円筒の温度(単位: °C):円筒内部の流体による外表面温度を示します。
外気の温度(単位: °C):円筒の周囲の空気温度です。
断熱材の厚さ(単位: m):円筒を覆う断熱材の厚みを入力します。
断熱材の熱伝導率(単位: W/m·K):断熱材の熱を伝える能力を表します。
表面の放射率(単位なし):表面からの放射による熱損失を考慮するための係数です。
外気への対流熱伝達率(単位: W/m²·K):物体表面と周囲空気との間の熱伝達効率を示します。

計算の手順

入力データを基に以下の計算を進めます。

1. 表面温度の計算
断熱材を通過する熱量は、円筒表面からの対流放熱量と放射放熱量の合計と等しくなります。この関係式を用いて、表面温度を求めます。
ここで:
:断熱材を通過する総熱量(W/m)
:円筒の表面積(m²/m)
:円筒の表面温度(°C)

2. 対流放熱量の計算
対流による放熱量は次の式で求められます。
ここで:
:対流熱伝達率(W/m²·K)
:円筒表面温度(°C)
:外気温度(°C)

3. 放射放熱量の計算
放射による放熱量は、次のステファン–ボルツマンの法則を使用して計算します。
ここで:
:放射率
:ステファン–ボルツマン定数(約5.67 × 10⁻⁸ W/m²·K⁴)

4. 総放熱量の計算
対流放熱量と放射放熱量を合計し、総放熱量を求めます。

配管放熱計算との関連性
配管放熱計算は、流体輸送システムのエネルギー効率を高めるための基本作業です。配管の外径や断熱材の厚さを正確に測定し、断熱材の適切な選定と設置を行うことで、熱損失を大幅に抑えることができます。この計算手法は、特に蒸気配管や温水輸送ラインなど、エネルギー損失がコストや性能に直結するシステムにおいて重要です。

<実際の計算例>
以下の条件を例に計算を行います。
円筒外径:0.5 m
円筒温度:120 °C
外気温度:30 °C
断熱材の厚さ:0.05 m
熱伝導率:0.03 W/m·K
放射率:0.8
対流熱伝達率:10 W/m²·K

これらを用いて、表面温度、対流放熱量、放射放熱量、および総放熱量を計算し、エネルギー効率を改善するための最適な設計を検討します。

断熱された円筒からの放熱計算は、配管放熱計算における重要なステップです。正確な計算を通じて、熱損失を抑え、エネルギー効率の向上を目指すことができます。これにより、設備運用コストの削減や環境負荷の低減にも寄与します。今後の設計や運用改善に役立ててください。

熱通過量の計算

高温気体と低温気体が壁を挟んで仕切られている場合、両者の温度差により熱が壁を通じて移動します。この熱移動の量を正確に把握することは、効率的な配管設計や熱管理において極めて重要です。ここでは、熱通過量の計算方法を詳しく説明し、配管放熱計算に役立つ具体的な手法を紹介します。

必要な入力データ

熱通過量を計算するには、以下の数値を入力します。

熱通過する面積(単位: m²):壁の表面積を入力します。
高温側の温度(単位: °C):高温気体の温度です。
高温側の表面の放射率(単位なし):壁の高温側表面での放射熱伝達を考慮します。
高温側の対流熱伝達率(単位: W/m²·K):壁と高温気体の間の熱伝達効率を示します。
低温側の温度(単位: °C):低温気体の温度です。
低温側の表面の放射率(単位なし):壁の低温側表面での放射熱伝達を考慮します。
低温側の対流熱伝達率(単位: W/m²·K):壁と低温気体の間の熱伝達効率を示します。
壁の厚さ(単位: m):壁の厚みを入力します。
壁の熱伝導率(単位: W/m·K):壁の材質による熱伝導効率を示します。

計算の手順

以下のステップに従って計算を進めます。

1. 壁両側の表面温度の算出
壁を通じて移動する熱量は、高温側と低温側の対流および放射による熱伝達量と等しくなります。この関係をもとに、壁の高温側および低温側の表面温度を計算します。
ここで:
:壁を通過する総熱量(W)
:それぞれ高温側、低温側の対流熱伝達率(W/m²·K)
:熱通過する面積(m²)

2. 壁内部での熱伝導量の計算
壁を通じた熱伝導量は次の式で求められます。
ここで:
:壁の熱伝導率(W/m·K)
:壁の厚さ(m)

3. 総熱通過量の計算
壁を通過する総熱通過量は、対流および放射の寄与を合算して求められます。

配管放熱計算との関連
配管放熱計算では、配管を通る流体の熱損失や熱交換効率を評価することが重要です。この計算を通じて、配管の適切な断熱設計や熱伝達性能を向上させる具体的な方策を立案できます。特に、壁の熱伝導率や表面の放射率を考慮することで、より現実的な熱損失評価が可能となります。

<実際の計算例>
以下の条件を用いて計算を行います。
熱通過面積:2.0 m²
高温側温度:200 °C
高温側放射率:0.8
高温側対流熱伝達率:25 W/m²·K
低温側温度:50 °C
低温側放射率:0.6
低温側対流熱伝達率:15 W/m²·K
壁の厚さ:0.05 m
壁の熱伝導率:0.03 W/m·K

これに基づいて表面温度、高温および低温側での熱伝達量、壁内部の熱伝導量、および総熱通過量を求めます。

熱通過量の計算は、配管放熱計算や断熱設計の基礎となる重要なプロセスです。これにより、エネルギー効率の最適化や運用コストの削減が可能となります。設備の熱管理を向上させるために、ぜひ計算方法を習得し活用してください。