このページは、重心計算・転倒モーメント計算のフリーソフト・エクセルテンプレートを紹介しています。
重心位置、慣性モーメント、断面二次モーメント、断面2次モーメント、転倒モーメント、周長、中性軸、中心点、フェレ径、面積、体積、質量、荷重重心の計算、図心計算などのフリーソフトやエクセルテンプレートが、無料でダウンロードできます。
また、重心計算・転倒モーメント計算のフリーソフト・エクセルテンプレートについて、知っておくと役立つ情報を掲載しています。
・重心と剛心を近づけるのが重心計算の基本
・偏心基礎の設計、耐震壁の設計における配慮と工夫すべきこと
・転倒モーメント計算ツールの重要性
・重心計算、図心計算のための断面の性質
・モーメント計算のための断面の性質
転倒モーメント計算のフリーソフト・エクセルテンプレート
kaku-semoa
機械設計便覧などの基本形状の断面から断面二次モーメントを求める、おすすめの簡易電卓です。 メニューを省略して、直感的に操作できるシンプルな操作画面です。必須のみを表示するので迷いなく入力できます。前バージョンの計算式を修正されています。
Excel 面積、体積の計算
エクセルで面積、体積、慣性モーメント、重心位置の計算、図心計算ができる、ランキング上位の人気のテンプレートです。形状は34種類あります。各形状を図示していますので、その形状を選んで寸法、単重等を入力するだけで自動計算してくれます。未登録時は制限があり、何枚かのシートを非表示になっています。
慣性モーメント計算ツール
回転体、直動体の慣性モーメントを計算する、比較ランキング上位のエクセルVBAです。複数のブックを切り替えながら計算ができます。ヘルプに使用法、計算例を掲載されているので分かりやすいです。回転体、直動体、車軸換算、モータ軸換算慣性モーメント計算が可能です。
Io2
鉄骨(H形鋼)の断面2次モーメント・転倒モーメント等を計算する、おすすめのプログラムです。mm単位で高さ・巾・ウェブ・フランジの順に入力し、Enterキーを押すと自動計算してくれます。計算は倍精度で、T字部のアール部分は無視されます。実務経験者が開発したプログラムです。
任意形の断面性能計算
任意多角形の断面性能、重心、面積、二次モーメントの計算、図心計算ができる人気アプリです。任意形状多角形、1000角形までの、断面性能を求めます。敷地の中心、建物の中心、変わった形の断面性能を求めるとき素早く計算できます。使用にはBeDrawが必要です。
断面特性計算
断面特性計算
任意図形の断面性能を求めるシェアソフトです。任意形状図形の面積、図心、断面2次モーメント、断面係数、断面2次極モーメントなどの断面性能を求めることができます。図形入力の方法は「座標(x,y)入力」、「矩形・円メニューから挿入」、「エクセルなどで予め作成した座標データの読込み(コピペ)」、「フリーハンドによる描画」などがあります。計算出力項目も複数用意されています。
杭基礎の設計
杭基礎の設計
水平力・鉛直力・回転モーメントの釣り合い式により変位を求める変位法によって安定計算を行うプログラムです。「道路橋示方書・同解説 下部構造編」に準拠しています。杭基礎全体に作用する「水平力」、「鉛直力」、「回転モーメント」により安定計算を行います。また、付属するものとしては液状化の検討、支持力の計算、断面計算、杭頭処理、杭比較表、形式選定によって構成しています。
ラーメン応力の計算 (固定モーメント法 UFpanel)
ラーメン応力の計算 (固定モーメント法 UFpanel)
長期荷重時応力の算定を行うフリーソフトです。入力は、ユーザーホームのパネルで行います。ソフト自体はエクセルにより作成されているため、エクセルが操作できる方であれば、誰でも簡単に取り扱うことが可能です。また、インストーラーは必要としませんので、ダウンロードしてすぐに作業に移れるのも大きな魅力です。簡単に導入して手軽に計算は、効率向上の基本だとも言えるのです。
重心計算のフリーソフト・エクセルテンプレート
荷重重心計算ツール
荷重重心の座標値を出力と入力座標と重心座標の描画を行うソフトです。X,Yに座標値と軸方向力を入力すると、描画エリアに荷重重心のX,Y座標値と入力値と重心位置が表示されます。20箇所までの軸座標と軸方向力を入力し、荷重重心を求めることができます。また、多角形重心・機械重心・車両重心の重心を求めることもできるソフトウェアです。
PICT エリア
ワンクリックで、面積・周囲長・重心・フェレ径などが計算できる画像計算ソフトが無料でダウンロードできます。エリアは、画像を領域別に抽出し、一覧表形式で分析します。領域別に、面積・周囲長・重心・中心・フェレ径などを計算できます。降順・昇順の切り替えできます。
なぞって面積
点列指定で簡単にゾーンの面積、重心、周長、2次Mt計算を行うソフトです。点列間は直線、3点円弧のどちらかを指定します。断面計算で用いた線積分を応用しますので、きわめて正確な結果が得られます。ガイダンスPDFが用意してあります。
面積 & 重心
任意平面図形の面積、重心、慣性モーメント、断面2次モーメント、転倒モーメントを求めるソフトが無料でダウンロードできます。有限要素法の2次要素を用いてモデルを作成しますので、曲線を楽に表現でき、計算精度が高いです。丸穴、長方形穴は有限要素モデルとは別にテキストとして入力するので簡単です。多角形重心・機械重心・車両重心の重心を求めることも可能なソフトウェアです。
質量計算 for EXCEL
JIS形鋼・配管・ボルト・ナットのサイズ選択、寸法を入力することで、質量・重心を計算するソフトです。立方体・直方体、円筒物も寸法入力により質量を計算できます。個々の部品の重心位置を入力することにより全体の重心を算出することが可能です。多角形重心・機械重心・車両重心の重心を求めることもできるソフトウェアです。
重心と剛心を近づけるのが重心計算の基本
重心の検討はどうして必要なのか
「重心」とは重さの中心で、矩形の構造物ならば、ちょうど中心にあります。
「剛心」とは硬さの中心で、建物の場合、壁や柱の配置が対称であれば建物の真ん中になります。
重心と剛心がぴったりと一致していれば、偏心率はゼロになり、地震に対して捩じれるような変形を起こしません。
そのため、設計をする際には、重心と剛心ができるだけ近づくように設計するのが基本です。
複雑な形状の重心の計算には、断面一次モーメントが利用されます。
モーメント計算はどのように利用するのか
曲げモーメントに対してどの程度耐えられるかを判断するパラメータとして断面二次モーメントが使われています。
構造物の部材にかかる外力はさまざまですが、その外力に対して、いかに応力を低減できる設計を行えるのかが、設計者のスキルのひとつとなります。
また、同じ材料であれば、出来るだけ少ない材料で高い性能を持った形状にすることがコスト低減のカギになります。
上記のような理由で、「安全・安心な構造物」の設計には、重心や重心計算・図心計算、転倒モーメント・慣性モーメント・断面2次モーメントなどのモーメントの検討が重要になってきます。
重心計算・転倒モーメント計算ソフトにはいろいろなソフトがある
構造計算のソフトもいろいろありますが、木造、RC造、S造でソフトが違ったり、構造物によってソフトが違ったりすれば、プロジェクト毎に新しいソフトを購入しなければなりません。
ひとつのソフトで何でもこなそうと思えば、一貫構造計算ソフトという手もありますが、それなりに高価な買い物になります。
限られたプロジェクトの予算で、また、独立開業したばかりの事務所で、少人数で仕事をしている事務所で、これらのソフトを購入するのは少し勇気がいりますよね。
そのような場合、このリンク集から重心位置やモーメント計算ソフトを検討してみてはいかがですか?
フリーソフトも沢山ありますよ。
建築確認申請や構造計算適合性判定の申請に使える書式にも対応している人気ソフトもあります。
転倒モーメント・慣性モーメント・断面2次モーメントや重心計算・図心計算、多角形重心・機械重心・車両重心などの重心を求めるアプリやエクセルテンプレートが無料でダウンロードできるサイトもたくさん掲載しています。
ぜひ色々なソフトウェアやシステムを無料でダウンロードして、あなたなりのランキングを作ってみてください。
モーメント計算、重心計算、図心計算ソフトには、部材の形状が複雑になった任意多角形に用いるものや、建設でよく使われるH鋼用のもの、機械設計用のものなどがあります。
座標を数値やマウスで入力したり、基本形状の厚さや高さ、幅、材料の単位体積重量などを入力したりすることで、断面性能、重心、面積、断面二次モーメントなどの計算ができます。
複数の材料が定義できるもの、最大要素数、節点数が1000以上のものなどに対応するソフトもあります。複雑な形状や複合材料の構造物に対しても、重心や断面二次モーメントなどを、簡単に計算することが可能です。
偏心基礎の設計、耐震壁の設計における配慮と工夫すべきこと
偏心基礎を設計する際の工夫
例えば、構造物の基礎の場合、隣地境界線が近い場合や、障害物を避ける場合などに、偏心基礎を採用せざるを得ない場合があります。
偏心基礎は、基礎柱芯と基礎芯が一致しません。
よって、「基礎柱芯と基礎芯の偏心分」の偏心曲げモーメントが作用します。
この曲げモーメントをいかに小さくするかが、偏心基礎のポイントです。
偏心基礎とすると設置圧が大きくなります。
また、偏心基礎は通常よりも配筋が多く必要になります。
必要配筋量の検討にも曲げモーメントの検討が不可欠になります。
偏心距離を出来る限り小さくし、その上で軸力に見合った基礎断面積の確保が必要になります。
耐震壁を設計する際の工夫
構造設計において、耐震壁をバランスよく配置するのは基本です。
例えば、住宅の道路に面した壁面にガレージのシャッター、玄関ドアなどを並べると、一方向の間口のほとんどが開口となってしまいます。
また、南側の窓を大きくとり、他の方向は壁ばかりというのも、あまりおすすめしません。
また、縦断方向のバランスで言えば、ピロティ―形式の建物は、1階の壁が少なく、2階以上は壁が多いため、剛心と重心がずれやすい構造と言えます。
このように、耐震壁のバランスに注意しないと、偏心しやすい構造になってしまいます。
窓やガレージの開口を大きくとるような場合、床をコンクリートにする、変形が大きくなる場所を柱にするなど、構造上の配慮が必要です。
転倒モーメント計算ツールの重要性
昨今では、コストダウンを行う目的で、軽量化への要求が大きくなっています。
軽量化のために、単純に部材の径を細くすると、部材の剛性が大幅に低下してしまいます。
こうした曲げ剛性の低下を抑えるには、部材の断面形状を工夫することが有効です。
そんなときに、モーメントの計算が役に立ちます。
例えば、矩形断面のはりをI形になるように肉抜きをします。
肉抜きをしたので、部材の剛性も重量も低下したことになります。
一般的なH鋼のサイズで考えると、断面二次モーメントが2割程度低下するのに対し、重量は5割程度の減、すなわち50%も軽量化できます。
長方形断面の材料と比較して、曲がりにくさは大きく変わらず、軽量化できるメリットがあります。
こういった理由で、H型鋼は材料が少なく、かつ、強度の高い構造であり、古くから建築・土木の部材として利用されているのです。
このように設計者は、いかに少ない材料費で剛性のある設計を行えるかを考えることが重要です。
その際にモーメント計算が手軽にできるツールは重要な道具になります。
ぜひ、無料のソフトウェアやExcelのシステムツール、アプリなどをダウンロードしてみてください。
そして、これまでの作業と比較してみても、excelの入力のように簡単かつ楽にできるはずです。
ランキングでも人気のフリーソフトやおすすめのシステムを集めたので、きっとお役に立てることでしょう。
モーメント計算と重心計算
材料は、月日が経過すると劣化する
材料は、月日が経過すると劣化します。
構造物にかかる荷重は、大別すると、常時荷重と一時荷重に分けられます。年月とともに材料強度も低下します。
構造物には、通常受ける多様な負荷があります。海に近く風が強い場所では、鉄骨、鉄筋が錆びやすくなります。
さらには構造物が置かれている状況、予想される荷重自休が変貌するケースもあります。
構造物を計画する時には、これらの荷重を一定のルールに基づぎ設定し、最少の安全性が保有されることを証明しなければなりません。
□ 断面の性質について
建築構造物に使用する材料には、木材、鉄骨、鉄筋、コンクリート、ガラス、複合材等のさまざまなものがあります。構造物の設計計画に当たってはこれらの材料を効果的に使用することが求められます。
例えば、木材を例に挙げると、同じ断面積の材料でも部材の長辺と短辺の長さを変えたり、この部材を縦に使用するか横に使用するかで、部材の効果が変わってきます。
部材の効果的な使用に当たっては、どの応力に対して最も効果的に使用するのかによって、断面選択をする必要があります。
応力には、軸方向力、曲げモーメント、せん断力、ねじりがあります。これらの応力に対して部材を効果的に使用するために、断面の性質を理解することが大切となります。
圧縮力、引張力、曲げモーメント、せん断力、ねじりモーメント等の応力に最も効果的に抵抗できる部材と断面形状を考えることが大切です。
矩形断面の断面係数を求めます。
図心を通るx軸に関する断面二次モーメントIxを求めます。
Ix = 40×80^3/12 = 1,706,667 cm4
x軸から断面の縁ABおよび縁CDまでの距離はともに40cmですから、断面係数Zxは次のように求めることができます。
Zx = 1,706,667/40.0 = 42,667 cm3
この断面の場合では図心に関して断面が上下対称であるから、縁ABに対するZxと縁CDに対するZxの値は同じです。
参考文献:「建築構造力学」山海堂
「イヤというほど詳しい 建築構造力学」[山海堂]は、読んで、図を見て、力学を楽しく学べる、わかり易い参考書です。現場に即した例題も、たくさん掲載されています。
重心計算、図心計算のための断面の性質
断面二次モーメントは、曲げモーメントに対して、どの程度耐えられるかを判断するパラメータです。その値が大きいほど、曲げに対する耐力などの断面性能が高いと考えることができます。
実務において、転倒モーメント、慣性モーメント、曲げモーメント等のモーメント計算や、機械重心、車両重心、多角形重心等の重心を求める重心位置計算、図心計算を行うことがあります。ここでは重心位置計算、断面2次モーメントの求め方を解説します。
重心計算、図心計算で重心位置を求めるための断面1次モーメント
機械重心や車両重心、多角形重心を求めるためには重心位置を求める必要がありますが、重心を求めるためには断面1次モーメントについて理解する必要があります。
断面1次モーメントとは、ある断面内の微小断面dAについて、軸xまでの距離yを乗じたものの全断面分を合計したものを指し、x軸に関する断面1次モーメントはSxといいます。
同じようにdAからy軸までの垂直距離をxとし、y軸に関する断面1次モーメントをSyといいます。
微小断面までの距離は、x軸の上をプラス(+)、下をマイナス(一)とします。
座標軸と矩形の底辺が重なるときにはx軸、y軸に関する断面1次モーメントはそれぞれSx=幅b×せいd×図心高さd/2=bd2/2、Sy=幅b×せいd×図心高さb/2=db2/2となります。
ここで、断面の厚みを考慮すると、断面1次モーメントは図心に断面のモーメントが作用しているものと考えることができます。
A=bdとすると、Sx、SyはそれぞれSx=A×d/2、Sy=A×b/2となります。
以上より、断面1次モーメントは以下のように求めることができます。
Sx=断面積 × x軸から図心までの距離(y)
Sy=断面積 × y軸から図心までの距離(x)
断面1次モーメントを利用して①:lx=10cm、ly=2cm、②:lx=2cm、ly=8cmの断面を組合せたL形断面の図心を求めます。
L形断面を①、②の2つに分けて考えます。まず、この四角形①、②の断面積と座標軸に対する断面1次モーメントを求めます。
・断面積
A①=10×2=20cm2
A②=2×8=16cm2
ΣA=20+16=36cm2
・x軸に関する断面1次モーメント
Sx①=20×2/2=20.0cm3
Sx②=16×(2+8/2)=96.0cm3
ΣSx=20.0+96.0=116.0cm3
・y軸に関する断面1次モーメント
Sy①=20×10/2=100.0cm3
Sy②=16×2/2=16.0cm3
ΣSy=100.0+16.0=116.0cm3
続いて、図心を求めます。求める図心位置をG(xo,yo)とすると下式により求まります。
xo=ΣSy/A=116.0/36=3.22cm
yo=ΣSx/A=116.0/36=3.22cm
不整形な図形の図心は任意の位置に座標軸をおいて、図形を整形になるように分割し、それぞれの断面積と断面1次モーメントを求めることで上記の計算例のようにして求めることができます。
一般式としてn個の断面に分割した場合はΣ(分割断面積×分割断面図心距離)/全断面積となります。
この方法でどんな不整形な図形であっても断面の図心を求めることができます。
また、断面の図心を通る軸についての断面1次モーメントは常に0となりますので合わせて覚えておきましょう。
断面1次モーメント自体を実務で使うことはあまりありませんが、転倒モーメント、慣性モーメント、曲げモーメントを求めるモーメント計算や重心計算、図心計算を行う上で理解する必要があります。
重心を求めるための断面の図心計算、重心計算
機械重心や車両重心、多角形重心を求めるためには図心計算、重心計算により重心位置を求める必要があります。
幅b、高さdの矩形断面について、x軸、y軸を設定して、x軸に関する断面1次モーメントSxを求めてみましょう。
断面1次モーメントSxは幅b、梁せいd=d1+d2、図心高さyとするとb×yの-d1からd2までの積分値となり、Sx=bd/2×(d2-d1)となります。
Sx=0となるx軸の位置は、Sx=bd/2×(d2-d1)よりd2=d1ときSx=0となることがわかります。
よって、x軸が高さdの中心にあるとき、Sx=0となります。
同じように、y軸は幅bの中心にあるとき、Sy=0となります。このように、Sx=Sy=0となるようなx軸、y軸の交点Oをこの断面の図心といいます。
図心については以下のことがいえます。
・図心は平面図形の中心
・断面の対称軸は必ず図心上を通る
・平面図形の厚みが一定であれば図心と重心位置は一致する
機械重心、車両重心より転倒モーメントや慣性モーメントを求める際には重心計算が必要です。
また、構造計算において転倒モーメント、慣性モーメントや多角形重心を求める際にも図心計算や重心計算により重心を求めることがありますのでよく理解しておきましょう。
モーメント計算のための断面の性質
曲げモーメントのモーメント計算のための断面2次モーメント
転倒モーメント、慣性モーメント、曲げモーメントを求める、モーメント計算のためには断面2次モーメントについて理解する必要があります。
断面2次モーメントとは、ある断面内の微小断面dAと、dAの重心からx軸までの垂直距離yの2乗との積y2dAを、断面全体について合計したもののことをいいます。
x軸に関する断面2次モーメントIxはy2dAを全体断面積について積分したものとなります。
断面2次モーメントではx軸からの距離yは2乗されるため、断面1次モーメントとは異なり図心を通る軸に対しても0にはなりません。
また、断面2次モーメントの単位は長さの4乗であるため、cm4となります。
続いて、積分表現を使用せずに断面2次モーメントを表現します。
図心を通らない軸に対する断面2次モーメントを考えるとき、x軸に関する断面2次モーメントをIxoとし、x軸に平行な任意のX軸に関する断面2次モーメントをIxとすると、IxはIxoと断面積A×図心高さyの2乗の和となります。
例として、幅b、高さhの矩形断面の断面2次モーメントを求めます。
高さh/2からの微小断面の積分値を2倍することで求めることができ、Ix=bh3/12となります。
続いて、幅B、高さH、ウェブ厚t、フランジ厚aのI形断面の断面2次モーメントを求めます。
I形断面の断面2次モーメントは、全断面B×Hの断面2次モーメントからI形断面以外の矩形断面の断面2次モーメントを差し引くことで求めることができます。
差し引く断面は2つに分かれていますが、図心軸は同じであるため、幅がb、高さがhの1つの矩形として考えます。
I形断面の断面2次モーメントは全断面の断面2次モーメントBH3/12-差し引く断面の断面2次モーメントbh3/12となり、Ix=(BH3-bh3)/12となります。
続いて、幅b、高さhの矩形断面の重心よりy離れたX軸に関する断面2次モーメントを求めます。
断面積A=b・h
x軸に関する断面2次モーメントIxは、y=h/2として、Ix=Ixo+A・y2よりIxo=bh3/12、A=b・h、y=h/2からIx=bh3/3となります。
次に、b=50 cm、h=100 cmとした場合のX軸に関する断面2次モーメントを求めてみます。この場合には、次に示す2つの計算方法により求めることができます。
①Ix=Ixo+A・y2により求めます
Ix=50×1003/12+50×100×(100/2)2=4,166,667+12,500,000=16,666,667cm4
②先程の例題により求めた矩形断面の一般式、Ix=bh3/3により求めます
Ix=50×1003/3=16,666,667cm4
当然どちらの方法でも同じ値となりますが、②の一般式を使用して断面2次モーメントを求めた場合にも、①の方法で計算内容を確かめるようにしましょう。
転倒モーメント、慣性モーメント、曲げモーメントを求める、モーメント計算のために断面2次モーメントについてもよく理解しておきましょう。
転倒モーメントや重心の計算はフリーソフトをうまく活用しよう
断面係数は部材の曲げモーメント計算に重要
断面二次モーメントIxを軸から断面の縁までの距離で除したものを断面係数といい、Zxで表します。
同様にy軸に関する断面二次モーメントIyを断面の縁までの距離で除したものをZyで表します。
これらの断面係数と言われる数字は部材の曲げモーメントの応力度を計算するのに非常に重要な数値となります。
一般的な長さの単位はSI単位でmmですが、断面係数の場合はcm3を使用します。
短径断面の断面係数の求め方は縦方向をyとしてその長さをh、横方向をxとしてその長さをbとすると以下のように求めることができます。
X軸の中心から断面までの距離はh/2となるので、x軸に関する断面係数はb*h*h/2と表すことができます。
Y軸も同様に断面までの距離はb/2となるので、y軸に関する断面係数はh*b*b/2と表すことができます。
このように断面係数はx軸に対する断面係数と、y軸に関する断面係数の2つが必ずあります。
なぜなら部材は使用する方向によってその曲げに対する応力を受ける方向が変化するからです。
断面係数zが大きいほど部材は曲げ応力に対して抵抗できるので、部材の有利な方向に曲げ応力が作用するように断面と位置を決める必要があります。
このように部材のモーメント計算では断面係数を求めるのが非常に重要になります。
そのためには断面二次モーメントも計算することが必要ですが、実際に使われる部材などは単純な形状ではありません。
断面二次半径も部材の曲げに関する計算で重要
断面係数と同様に断面二次半径も部材の曲げに関する計算で重要なものとなります。
断面二次モーメントをI、断面積をAとすると、IとAの平方根をその断面の断面二次半径といいます。
断面二次半径も断面係数と同様にx軸及びy軸に関する2つが存在します。
断面二次半径iは特に柱の座屈を検討する時に必要な細長比を計算するのに重要な数値です。また、断面二次半径の単位もcmとなります。
断面二次半径も断面係数のときと同様に、短径断面の縦方向をyとしてその長さをh、横方向をxとしてその長さをbとすると以下のように求めることができます。
断面積Aはb*hとして表せるのでx軸方向の断面二次半径は0.289*h、y軸方向の断面二次半径は0.289*bとして表すことができます。
このように断面二次半径も短径断面であれば非常に単純な計算ですが、実際の部材はもっと複雑な形状をしているのでこのように単純計算とはなりません。
応力は部材の力を計算するための基本的な考え
物体に荷重が作用した場合に各部材に伝わる力を応力といいます。
単純に応力と言っても作用する荷重の種類によって曲げ応力、圧縮応力、引張応力、せん断応力、ねじり応力、熱応力など多数の種類があります。
応力は部材にかかった力を断面積で除した形で表すことができる、単に面積あたりの力として表現することができます。基本的にはN/mm2やkN/m2で表します。
例えば断面積が100mm2の部材に9.8kNの荷重が作用したと考えます。その場合の応力は単純に荷重を面積で除して、0.98N/mm2として表すことができます。
同様に部材が引っ張られた場合の応力を求める事もできます。
例えばある直径の円柱に引張の荷重が作用したと考えます。この時の断面積からその応力を計算することができます。
このように応力を計算することは部材に掛かる力を計算すると同時に、部材の強度を計算する上で非常に重要です。
そのため正確な計算が求められますが、実際の部材は断面の形状が単純ではないので計算は非常に複雑になります。