このページでは、構造計算・荷重計算のフリーソフト・エクセルテンプレートを紹介しています。
構造設計補助ツール、フレームの応力解析、図形断面性能の算定、等分布載荷重の計算、構造物の偏心率計算、架台の強度計算、ラーメン構造計算、積雪荷重の計算、鉄骨造の構造計算、看板基礎の構造計算、たわみ計算などのフリーソフト・エクセルテンプレートが、ダウンロードできます。
また後半の記事では、荷重の種類や計算方法について解説しています。
・固定荷重と積載荷重、積雪荷重を考慮した、荷重計算のやり方
・風荷重、地震荷重、土圧・水圧を考慮した、荷重計算のやり方
・構造計算の進化と現代の計算手法
・構造計算書の詳細と計算ソフト
構造計算・荷重計算のフリーソフト
構造計算 html版
構造計算 html版
数多く存在する構造計算公式を、簡単に計算することができるフリーソフトです。実務経験者が開発したソフトで、一般的な構造計算ならば十分便利に使えます。HTMLが閲覧できれば使用でき、ソースを書き換えることでカスタマイズが可能です。
任意形フレーム応力解析 MATRIX
平面内のフレームの応力解析を行うソフトです。フレームの形状・部材断面・支持条件・荷重条件の設定は、画面上でインタラクティブに行うことができます。荷重の種類は、節点荷重・等変分布荷重・台形荷重・部材集中荷重など、種々の荷重に対応できます。
偏心率 Kさん
軸力とD値を入力することにより、ラーメン・ブレース構造の偏心率を計算するソフトです。実務から見た鉄骨構造・実務から見たRC構造を参考にしています。入力画面に設定値を入力して、計算ボタンを押すと、計算結果のページに移動し、計算結果が確認できます。
ラーメン公式 Kさん
柱が梁と剛接合しているラーメン構造について、公式を用いて応力を計算するソフトです。門型・山形・アーチ形、異形門型、下屋式、各ラーメンの公式を用いて応力を計算します。ラーメンの情報を入力すると自動算出されるので、計算ミスを防ぎ省力化になります。
slb
slb
4辺固定スラブの構造計算プログラムです。ラブの配筋を求める計算プログラムとなっています。関数電卓の延長線的なソフトと言えそうです。スラブ配筋のチェック用に開発されたものとなっているようです。ダウンロードするとzipファイルが保存されます。解凍してexeファイルを実行し作業を行うと良いでしょう。構造計算書の計算チェックをする目的で開発されたプログラムとなっているため、簡易的な作りとなっています。
短柱の偏心荷重応力度計算ツール
短柱の偏心荷重応力度計算ツール
短柱が偏心荷重を受けた場合の応力度を計算するソフトウェアです。短柱が図心をずれて偏心荷重を受けたときの4コーナーの応力度が求めれます。使い方は、入力情報で偏心座標値、荷重値、短柱寸法を入力し、計算ボタンをクリックするだけです。すると出力情報に短柱のコーナー部の応力度が表示されます。簡単に誰でも使えるソフトウェアとなっているので、トラブルも少なく使用する事ができるでしょう。
構造計算・荷重計算のエクセルテンプレート
FED 任意形状 断面性能算定
FED 任意形状 断面性能算定
一級建築事務所が開発し、実務で利用している断面性能算定ソフトです。エクセルシートを利用して、あらゆる長方形断面の断面性能を、簡単に求めることができます。断面の幅、原点からの距離などの項目を入力するだけで断面性能を求めることができます。
換算等分布載荷重の計算
換算等分布載荷重の計算
土地改良構造設計「換算等分布載荷重」の計算を行うことができるエクセルシートです。シートに計算条件を入力すると自動で計算結果が出て、印刷を行います。形状図にDWGファイル使用しているため、AutoCADで使用することができます。
構造計算書作成支援V3 for Excel2003
構造計算書作成支援V3 for Excel2003
簡単に、建築構造計算書及び概要書を作成するエクセルマクロです。入力ボックスで一括入力にて建築構造計算書及び構造概要書を作成します。エクセル2003で作成されたソフトウェアとなっているため、エクセルが使える方であれば、比較的簡単にソフトを活用する事ができます。ダウンロードするとlzhファイルが保存されますので、解凍を行た後に使ってください。
構造設計ツール集
構造設計ツール集
骨組構造3次元解析、RC計算規準に即したワークシート、S構造断面算定の各ツールが備わっています。ダウロードするとlzh形式のファイルが保存されますので、任意の解凍ソフトを使用して解凍を行います。解凍するとフォルダ内に、かんたん3次元解析・UNI、RC計算規準(梁断面算定表 for Excel、RC計算規準(柱断面算定表 for Excelなどのフリーソフトが入っています。
ラーメン応力の計算(固定モーメント法UF35)
ラーメン応力の計算(固定モーメント法UF35)
長期荷重時応力の算定(対象境界)を行うエクセルです。シートの入力ボタンクリックでUserFormを開いてシート入力します。フォームのラーメン部材端・中央に外力・剛比を入力することで、計算を可能とします。エクセルで作成されているソフトなので、エクセルが使える方であれば、比較的簡単に使用することができます。また、インストールしないフリーソフトなので、不要と感じたら簡単に削除することができるのもポイントです。
Hari
Hari
Excel.VBAを用いた梁強度計算プログラムです。梁の種類は両端支持と片持梁だけです。等分布荷重に加えて複数の集中荷重(最大8個)に対応、最大撓みと最大応力の値を求め、その発生位置を出力するほか撓み曲線とモーメント線図も合わせて出力するなどの機能が備わっています。また、単位系の選択も可能(例えば、荷重は kgf または N から選択)、矩形、円形、台形などの基本図形の他、等辺山形鋼や溝形鋼にも対応しています。
固定荷重と積載荷重、積雪荷重を考慮した、荷重計算のやり方
構造計算をスタートする際は、まず各部材の仮定断面を決定する。これは意匠、設備と納まりなどの打合せをするためにも重要なことである。
・部材のリスト化、略伏図、略軸組図にB(幅)×D(せい)の寸法を入れる
・特に柱のBとDを間違えないように注意する
荷重の種類について、建築基準法施行令第83条では、建築物に作用する荷重および外力として、次のものを採用しなければならないと規定している。
・固定荷重G
・積載荷重P
・雪荷重S
・風荷重W
・地震荷重K
・土圧や水圧、震動や衝撃による外力
これらの外力の中で、一般の建物の構造計算で荷重条件の対象となるのは、次の過重である。
・固定荷重Gと積載荷重Pの和による常時荷重
・風荷重と地震荷重Kのうち大きい荷重による水平荷重
建築基準法施行令第82条では、建築物の応力計算を行う場合の応力の組合せの方法を規定している。
・多雪地域とは、垂直最深積雪量が1m以上の区域である
・一般地域では、雪荷重に風荷重と地震荷重を同時に組み合わせる必要はない
・多雪地域の雪荷重を長期応力として扱う場合には、最深積雪量の70%に低減できる
・地震荷重、風荷重と組み合わせる場合には最深積雪量の35%に低減できる
固定荷重と積載荷重
固定荷重と積載荷重は、部位別に次の荷重に分類される。
・床荷重(仕上材料と床構造体の重量の和、積載荷重からなる設計荷重、機械荷重など)
・柱・梁・壁の重量
・パラペット
・その他の荷重
固定荷重は、自重のことであり、次の項目を考慮する必要がある。
・固定荷重は、建物に使用する構造材料、仕上材料などの種別により決まる
・まずは、対象建物の構造計画の方針を決定する
・固定荷重には、移動がないと考えられる間仕切や設備機器なども含まれる
・固定荷重の設定は、設計図書の仕上表と、構造計画時に設定した仮定断面リストに基づいて構造計算を行う
積載荷重は、移動できる人間、家具、調度、物品などの荷重である。
・積載荷重は、床の用途に応じて荷重の集中度、衝撃作用の影響などを考慮する
・特別な算定を行わない場合には、規定された数値を使用してよい(建築基準法施行令第85条)
積載荷重は、人間と家具などの荷重に集中係数と衝撃係数を考慮してエクセルで算出すると便利である。
「積載荷重=物品荷重×集中係数+人間荷重×集中係数×衝撃係数」
・集中係数は、床用、柱・梁用、地震用において異なる0~6の値を使用する
・衝撃係数は、1.25の値を用いる
・地震荷重計算用の積載荷重の想定は、集中係数、衝撃係数とも1.0とする
また積載荷重は、建物に実際に作用する平均的な荷重、実状に合った値を採用する必要がある。
・OA機器類の荷重は将来の対応を考えたものとする
・倉庫や書庫などの荷重は実状に合った値を採用する
・基準値が示されていない非歩行屋上の荷重は、RC造では直下階の50%とし、S造では積雪や施工荷重などを参考にして決定する
積雪の荷重計算
積雪荷重は、雪の単位重量に、その地方それぞれの特定行政庁の指導値や気象台調査資料などで決められた最深積雪量を乗じ、エクセルテンプレートを用いて設定する。
・一般地域では、積雪荷重を短期荷重として取り扱う
・多雪地域における積雪荷重は、長期荷重として取り扱う
・雪の比重は、雪の状態と積雪後の経過期間によって変化する
・雪の比重は、一般地域で1cmにつき20N/m2、多雪地域では30N/m2の値を用いる
積雪荷重は、屋根勾配に応じて低減することができる。
・雪止めの有無や屋根の形態や季節風の方向などを考慮し、積雪荷重の割り増しを検討する
・雪降しを行う習慣のある地域では、最深積雪量を1mまで減じた値を積雪重量とすることができる
風荷重、地震荷重、土圧・水圧を考慮した、荷重計算のやり方
風荷重の計算
風荷重は、建築物の構造体の設計に用いる風圧力である。
・風速データが蓄積され、ある期間に起こりうる最大の風速を予測する確率統計的手法が確立されている
・地域性、地表面の粗度区分、ガスト影響係数などを考慮して算定する
地震荷重の計算
耐震とは、メインとなる構造自体の強さや粘りにより、構造物の崩落を防止することをいう
地震時に建築物に作用する地震荷重は、建築基準法第88条に規定されている
・地上階に作用する地震力は、層せん断力Qiとして、Qi =Z・Ri・Ai・Coとする
・Zは地域係数、Riは振動特性係数で、地盤と建物と振動周期に応じて定められる値である
・通常の地盤であれば、20m程度以下の建物では1.0となり、高層の建物の場合では1.0以下の値となる
・Aiは高さ方向の地震層せん断力係数であり、1.0以上の値で上層ほど大きな値となる
・Coは標準せん断力係数で、一次設計(許容応力度設計)では020、二次設計(保有耐力設計)では1.0である
地震力の算定計算については、各階重量などの詳細なデータが必要となる。
・地下階に作用する地震力は、水平震度力k=0.1(l-H/40)・Zとする
・Hは建物の地下部分の地盤面からの深さである
・地下階に作用するせん断力Qiは、1階のせん断力Qiと1階床への作用地震力ki・Wiの和として求められる
土圧・水圧計算
土圧や水圧に対する検討は、地下壁や擁壁の設計のためだけではなく、多様なケースを想定しエクセルテンプレートを用いて設定する。
・斜面に建つ建物では片土圧が作用するため、ラーメン応力計算に用いる水平力として評価する
土圧や水圧は山留め仮設計画上の問題でもあり、工事費に大きな影響を与える。
・事前の地盤調査により、地下水位や土質構成などの調査を行い、計画に反映させる
・被圧水が予想される地域では、施工時に大きな土圧や水圧、浮上がり力が生じる
・根切り工法などに大きく影響するため、周辺の地盤調査資料を参考にし、間隙水圧を測定する
水圧は、地下水位のみで決定される。
・土圧は受圧状況により、主働土圧・静止土圧・受働土圧の3種類に分けて評価する
・剛強な地下壁の設計には静止土圧、擁壁の設計には主働土圧を用いる
その他の荷重計算
小梁用の積載荷重は、施行令にも示されていないため、実状に応じて採用することになる。
・積載荷重は用途、スバンの大きさ、荷重を受ける支配面積、端部の支持条件などにより、集中係数、衝撃係数が異なる
・小梁用の積載荷重について、通常は次のものを用いる
床用の積載荷重
床用と大梁用の中間的な積載荷重
大梁用の積載荷重
多層骨組の柱や基礎に作用する荷重の算定をするにあたっては、次の点に配慮する。
・積載荷重が各階の床に同時に満載となる可能性は少なく、集中係数と衝撃係数が少ないものとする
・劇場や倉庫などの用途を除き、支持する床の数に応じて最大60%まで低減できる
・低減を行わない場合でも、建物の浮上りが生じるような建物や転倒の検討を必要とする場合は、安全を考慮してLLの低減値で検討する
倉庫業の倉庫や機械室などの積載荷重は、それぞれ実状を調査して決定する。
・将来において設定した積載荷重以上の利用が予想される場合は、それを考慮する
・多雪地域などでは雪降しを条件として、積雪荷重の低減を行って設計する
・設計時に予測し得なかった条件については、未然に事故を防ぐ対策を考えておく
・重要な荷重条件については、金属板などに明記し、建物本体の適切な位置に取り付け、使用者に荷重情報が伝わるように表示する
設備機器類の重量物は、それぞれ単独で荷重を表す必要がある。
・設備機器類の重量物とは、冷却機、室外機、高架水槽、ボイラ、キユービクル、受水槽、発電機、冷蔵庫、バッテリーなどである
・広告看板などの重量物は大きさ、荷重、取付位置などを明確にし、応力の伝達方法を考慮する
・搬送用のフォークリフト、エレベータ、エスカレータ、クレーン、ホイスト、ダムウェーターなどは運転重量として取り扱う
・フォークリフトなどは自由に移動するため、単位面積当りに換算して積載荷重に加える
・トラックやミキサー車などの重量物について、車輪圧による荷重とその走行範囲による荷重条件により、スラブ部材の断面を検討する
エレベータの機械室や昇降路に作用する次の荷重については、エレベータの機種により異なるため、詳しいデータをメーカーに問い合わせること。
・マシンビーム反力:エレベータ運転時に機械室床に常時作用する荷重で、衝撃力を見込んだ値
・衝撃力:エレベータの安全装置が働かないような低速状態で、エレベータがピットに落下したときの衝撃力
・卜ロリービームヘの吊り荷重:エレベータ設置時の吊り荷重であり、昇降路上部に10~30kN程度の荷重
・ガイドレールヘの作用力:地震時におけるエレベータかごとカウンターウェイトの水平力、安全装置作動時のレールに作用する鉛直力で、いずれも10kN程度の荷重
エスカレータの積載荷重については、建築基準法施行令により2,600N/m2と定められている。
エスカレータ受け梁に作用する反力、積載荷重とエスカレータ自重の合計は、メーカーによって異なるので確認が必要である。
人の歩行や外部交通機関などから伝達される床、スラブ、梁、機器振動による振動障害にも注意が必要である。
・設備機器などから伝達するものも多くあるため、防振装置を設置する
・防振装置には、防振ゴムやコイルばねなどがある
・設計用標準震度は、建築非構造部材の耐震に関する性能を評価する場合に建築非構造部材の重量に乗じて設計用地震力を求めるための係数である
・局部震度法による設計用標準震度は、防振装置を設置した機器のほうが、応答加速度は小さくなるが、応答変位は大きくなるため、地震力の割増を行う
構造計算の進化と現代の計算手法
時代とともに構造計算の方法は大きく進化してきました。手計算から始まり、表計算ソフト、そして専用の構造計算ソフトへと進化することで、計算の効率性と正確性が飛躍的に向上しました。しかし、どの方法を用いるにしても、構造に関する深い知識が求められます。今後もさらに高度な計算手法やソフトウェアが開発され、構造計算の世界は進化し続けることでしょう。
手計算の時代からコンピュータ計算の時代へ
かつて、構造計算は主に手計算で行われていました。その際には紙と鉛筆、電卓しか頼るものはなく、計算に誤りが生じるリスクが常に伴っていました。また、手計算には膨大な時間と労力を要しました。そのため、特定の計算では容易な表を使って省力化を図ることが一般的でした。熟練した技術者は、現場での緊急の計算や即時の判断を求められる場面で、この方法を駆使していました。
表計算ソフトやマクロ言語の導入
時代の進化とともに、パソコンの普及により表計算ソフトやマクロ言語を使った構造計算も広がりました。これにより、手計算に比べて労力と時間が大幅に削減されました。表計算ソフトで一度テンプレートを作成すれば、次回以降の計算が容易になるという利点もありました。ただし、この方法でも数式や値の入力ミスのリスクは存在します。簡単な形状の構造物や小規模な木造住宅などでは、この方法が多く用いられていました。
専用の構造計算ソフトの時代
現代においては、専用の構造計算ソフトが主流となっています。これらのソフトウェアは用途や構造種別ごとに種類が豊富で、GUI画面に数値や形状を入力するだけで全自動で計算結果を出力します。結果は通常テキストファイルとして保存され、中間計算式は表示されません。構造計算ソフトは非常に高価であり、初期導入費用が100万円前後、さらに毎年の更新料も必要です。このため、個人ではなく企業での導入が一般的です。また、構造に関する深い知識を持たない人でも使えるため、計算結果の正確性には注意が必要です。
一貫計算ソフトや応力解析ソフトなど、建築分野では様々な専門ソフトが存在します。構造設計事務所ではこれらのソフトを活用し、確認申請まで一貫して行えるものが重宝されています。しかし、設計が複雑になると、一貫計算用ソフトだけでは解析が困難になる場合があり、応力解析プログラムも併用されることがあります。
具体的な計算手法
力学的な計算手法に関しては、それぞれの方法を組み合わせて用いることがしばしばです。具体的にはモーメント分布法や有限要素法、荷重配分法などがあります。それぞれの手法は異なる特性を持ち、それぞれが適した場面で使用されます。こうした多様な計算手法を組み合わせることで、精度の高い解析と設計が可能になります。
構造計算書の詳細と計算ソフト
構造計算書は、建築および土木構造物における安全性と適法性を確認するために必要な文書であり、その中には詳細な構造計算が含まれます。この文書は、構造設計の基本概念、仮定条件、計算式、そして実際の計算結果が具体的に記載されています。
構造計算書の役割と重要性
建築基準法施行規則(以下「規則」)に基づき、構造計算書は特定の規模以上の建築物に対して提出が義務付けられています。規則第1条の3および第3条の7では、建築確認申請および構造計算適合性判定申請時に必要な文書の一部として明記されています。また、型式適合認定や構造方法等の認定の申請時にもこの文書が要求されます(規則10条の5の2、10条の5の21など)。
構造計算書の作成と構造設計の義務
一定規模以上の建築物の構造設計は、構造設計一級建築士の資格を持つ専門家が直接行うか、一級建築士が行う場合でも構造設計一級建築士によって適合性が確認される必要があります。これにより、固定荷重(死荷重)、積載荷重(活荷重)、積雪荷重、風荷重、地震荷重などに対する構造物の安全性が確保されます。
構造計算の種類と関連文書
構造計算書には、以下のような様々な文書が含まれ、各計算の詳細が網羅されています(規則1条の3 表三)
・構造計算チェックリスト : 各種計算の確認項目を網羅
・使用構造材料一覧表 : 使用される材料の種類と特性を示す
・特別な調査又は研究の結果等説明書:特殊な調査結果や研究実績の説明
・基礎・地盤説明書 : 基礎構造および地盤の詳細説明
・略伏図 : 建築物の平面図
・略軸組図 : 縦断面図
・部材断面表 : 使用される部材の断面寸法
・荷重・外力計算書 : 構造に加わる荷重や外力の計算
・応力計算書 : 構造部材に発生する応力の計算
・断面計算書 : 断面の強度および寸法の計算
・基礎ぐい等計算書 : 基礎構造の詳細
・使用上の支障に関する計算書:使用中に発生しうる問題点の計算
・層間変形角計算書 : 各階層の変形角の計算
・保有水平耐力計算書 : 水平耐力に関する計算
・屋根ふき材等計算書 : 屋根材の強度と耐久性の計算
・積雪・暴風時耐力計算書 : 雪や風に対する耐力の計算
・損傷限界に関する計算書 : 構造物の損傷限界の計算
・安全限界に関する計算書 : 構造物の安全限界の計算
・土砂災害特別警戒区域内破壊防止計算書:土砂災害に対する安全性の計算
・剛性率・偏心率等計算書 : 構造物の剛性および偏心率の計算
計算ソフトの導入と活用
近年では、構造計算を効率的かつ正確に行うために、計算ソフトが広く使用されています。これにより、膨大なデータを迅速に処理し、正確な計算結果を得ることが可能となっています。計算ソフトは、構造設計士が複雑な計算を行う際の支援ツールとして重要な役割を果たします。
構造計算書は、建築構造物および土木構造物の安全性を確保するために欠かせない文書です。法令に基づく厳格な規制の下で作成され、それぞれの項目に対する詳細な計算と検証が求められます。特に、構造計算書の作成には専門的な知識と経験が必要であり、計算ソフトの導入によりその精度と効率が一層向上しています。