初心者でも安心!工事注文書の基本と作成ポイントを解説

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工事注文書は、建設工事の発注内容を明確にし、契約の証拠として重要な書類です。適切に取り交わすことで、工事のスムーズな進行やトラブルの防止につながります。特に、発注時の確認事項や、安全書類(グリーンファイル)の作成ルールを理解しておくことが重要です。また、全国建設業協会統一様式の工事注文書を活用することで、より適正な管理が可能になります。
このページでは、工事注文書の重要性や作成時の注意点について解説しています。

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全国建設業協会の工事注文書・注文請書のエクセルテンプレート
工事台帳・工事注文書、フリーソフトのダウンロードサイトを紹介しています。工事注文書には、建設業法で定められた項目を記載し、工事着手前の取り交わすことが義務づけられています。工事注文書のエクセルのひな形を活用すれば、記載必須項目の抜けがない、工事注文書の作成が可能です。

工事注文書の重要性

官公庁や民間からの工事を受注した際だけではなく、元請会社から下請業者へ工事を依頼するときにも、工事注文書・工事下請注文書・注文請書が必要になります。できれば、全国建設業協会の統一様式を使いましょう。
公共工事を請け負う際は、官公庁が発注者ですから、工事注文書を交わさないことはまずありません。
しかし、古くから付き合いのある法人・個人が発注者となる工事の場合や、長年取引してきた元請会社から依頼される工事の場合は、以下のような理由から工事注文書を交付しないことがあります。

・これまでに依頼された工事で、工事注文書を交わしたことがないので、今さら工事注文書の交付を頼みにくいから。
・工事注文書を作成してこなかったが、トラブルは特になかったから。
・工事注文書に記載すべき項目や書き方が分からないから。

工事注文書を取り交わさないことで起こるトラブルは以下の通りです。

・発注側の元請会社と、受注側の下請業者の間で、責任施工範囲や施工条件等に関する認識の相異が生じる。
・工事終了後に、約束していたはずの工事代金よりも低い金額を振り込まれる。
・工事の完了報告をすると、発注した覚えはないと言われ、支払いを拒否される。
・建設業法違反になるので、行政処分や刑事処分の対象になる。

工事注文書の取り交わしの際に注意すること

・悪しき慣習として、工事注文書・工事下請注文書・注文請書を取り交わしたことがない相手の場合は、建設業法違反となることを説き、誠意をもって工事注文書の取り交わしを願い出ましょう。
・発注者側が、面倒くさい・書き方がわからない等の理由で工事注文書の作成を拒む場合は、受注者側で作成しても問題はありません。
・受注者側で工事注文書を作成する場合は、責任施工範囲や工事代金、納期等のすり合わせを十分におこないましょう。
・受注者が作成した工事注文書であっても、署名捺印をするのは発注者になりますので、間違えないようにしてください。
・工事注文書のエクセル(excel)ソフトのひな形を活用すれば、工事注文書の発行は容易になります。作成した注文書はクラウドに保存しておくと、相手と迅速に共有が可能になります。

全国建設業協会統一様式の工事注文書のエクセルのひな形を活用するメリット

・エクセルのひな形(雛形)を活用することで、必須項目の記載漏れを防ぐことができます。
・工事注文書のエクセルのひな形は、種類が豊富なので、最適な工事注文書が簡単に見つかるでしょう。
・多くの工事注文書のエクセルのひな形は、フリーソフトやフリーのテンプレートツールを集めたサイトなどから無料でダウンロードできます。比較ランキングサイトなどを参照にすれば、人気のあるおすすめサイトがわかります。

・記載が必須である項目のみのシンプルな工事注文書のひな形や、前金払や部分払など詳細な支払条件などを記載できるシステムになっているひな形がダウンロードサイトに掲載されています。
・当サイトでご紹介しているダウンロードサイトのリンク集を見ていただければ、工事注文書のエクセルのひな形を検索する手間がかかりません。
・基本的なエクセル操作さえできれば作成可能です。

工事注文書の取り交わしが会社の信用を守ることにつながる

・工事注文書を取り交わさず工事に着手すれば、建設業法違反に問われ、行政処分や刑事処分を受けるシステムになっています。
・行政処分には、指示処分・営業停止処分・許可取消処分の3区分があります。
・一番重い行政処分は、建設業許可の取消処分です。
・刑事処分では、懲役刑や罰金刑が科されます。
・刑事処分で一番重い刑罰は、3年以下の懲役または300万円以下の罰金(もしくはその両方)です。
・担当者個人のみではなく、担当者の所属法人も罰則の対象となります。
・建設業法違反で行政処分を受けた個人・法人は、国交省や各都道府県のホームページで公開されます。
・個人・法人の商号または名称や所在地、許可番号等だけではなく、処分内容や建設業法違反となる事実まで公開されるシステムになっているので、信用を損なうことになるでしょう。

工事注文書および工事発注書とは

工事を発注した時に、発注者側から請負建設業者に対して発行される書類の一つに「工事注文書」、「工事発注書」があります。
工事注文書・工事発注書は公共工事であれ民間工事であれ、発注者側が請負建設業者に交付する書類です。
工事注文書・工事発注書は小規模な民間工事では発行されない場合があります。しかしながら、工事請負に対するトラブルなどの観点から見れば、できる限り工事注文書・工事発注書の発行するのがおすすめです。

工事注文書・発注書のexcelテンプレート化で誰でも作成できる書類に

工事注文書・工事発注書は発注側が建設業者に渡す書類です。しかしながら、建設業などに関わらない一般市民においては、工事注文書・工事発注書を発行するどころか、元となるテンプレートを保有していないのが実情です。
そこでおすすめしたいのが、excel(エクセル)テンプレートを用いて、発注者側に工事注文書・工事発注書を作成してもらう方法です。
excel(エクセル)のテンプレートであれば、多くのパソコンですでにインストールされているソフトウェアとなります。また、WindowsでもMacでもどちらでも使用できるソフトウェアであるのも、excel(エクセル)をテンプレートにするメリットです。
excel(エクセル)テンプレートを発注者側に提示する場合は、インターネットなどで人気がある書き方が簡単なexcel(エクセル)テンプレートを無料ダウンロードして提供するのがおすすめです。

工事下請注文書をデータ管理するには

工事請負業者が下請業者に工事を発注する時には、「工事下請注文書」と呼ばれる注文請書が必要となります。
工事下請注文書は、年間下請契約である「工事下請基本契約書」を行った建設業者に発行する注文請書です。下請け業者は工事下請注文書による注文請書などの書類一式を元に契約を交わすことにより、工事の受注を締結する手はずとなります。
注文請書となる工事下請注文書は、手書き用紙が一般的です。手書き用紙の書類は、文房具販売サイトやショップにて、建設業向けに販売されています。書き方も定型化されているため、販売されている工事下請注文書を注文請書として使用するのがまずはおすすめできる方法だと言えるでしょう。
ただし、工事下請注文書を始めとする注文請書をデータ管理する場合、システム的観点から見ると手書きによる書き方はあまりおすすめできません。手書きではなく、ソフトウェアを使用した文書作成により、データを蓄積することができるからです。

グリーンファイルは全国建設業協会統一様式をダウンロードしよう

工事注文書・工事発注書や工事下請注文書など、契約に関わる書類だけが建設業で必要な書類ではありません。例えばグリーンファイルも建設業では非常に大切な書類です。
おすすめしたいのが全国建設業協会が発行している、全国統一様式です。全国建設業協会は、日本各地の元請けならびに下請け業者が数多く会員登録している、日本屈指の建設業団体です。
この全国建設業協会統一様式をダウンロードして使用することで、元請け下請けともに共通化を図ることができます。新たに下請けとして工事を請け負う時や、一時的な工事の請け負いについても、全国建設業協会の統一様式を使用することで、情報の平準化が図れるはずです。
全国建設業協会統一様式の工事台帳は、全国建設業協会が発刊している最新の統一様式が協会ホームページで販売されています。統一様式を参考にしてexcel(エクセル)で書類を作成するのも良いでしょう。

全国建設業協会統一様式の書類作成・管理はソフトウェアで

こうした建設業に関係する書類を作成・管理する場合、ソフトウェアを活用したシステム化が重要です。ソフトウェアで蓄積されたデータは、新たな工事受注やコスト削減など、あらゆる場面で活躍を見せる可能性があるからです。
ソフトウェアを導入してシステム化を行う場合、懸念材料の一つが導入コストです。システム化を図ったがために膨大なコストが発生して経営を圧迫してしまっては、ソフトウェアを導入するメリットがなくなってしまいます。
また、あまり規模が大きな会社ではない場合、ソフトウェアを導入してまでシステム化を行うメリットが少ないかもしれません。
リスクとコストの面を考えると、システム化を行う際に導入する初期段階のソフトウェアは、フリーソフトやフリーアプリがおすすめです。
フリーソフトやフリーアプリであれば、無料でダウンロードができますので、コストへのデメリットがありません。また、無料ダウンロードでソフトを使用できるので、規模が小さな会社でも比較的簡単にテスト的に運用を開始することができるはずです。

ソフトやアプリの導入には比較検討が欠かせない

フリーソフトやフリーアプリを導入する場合、ソフトやアプリの比較検討は欠かせません。フリーソフトやフリーアプリだからといって、比較なしには導入することは、業務の効率化の妨げになってしまうからです。
フリーソフトやフリーアプリの比較検討におすすめなのが、人気ソフトランキングを活用することです。人気ソフトランキング上位のソフトやアプリを無料で導入して、まずは運用を試してみると良いでしょう。
ただしランキングだけでソフトを決定するのはおすすめしません。ランキングはあくまでも利用した人の使用感におけるランキングです。ランキングでは見えてこない部分もたくさんあります。ランキングはあくまでも参考にして、実際の使用感は必ず確かめるようにしましょう。

ソフト導入に至らない作業にはexcel(エクセル)マクロがおすすめ

ソフトを導入するほどではない作業には、excel(エクセル)のマクロといった簡易的なツールがおすすめです。マクロなどのツールも、インターネットでは簡単にダウンロードすることができます。工事に関わるちょっとした計算や表作成など、簡単な作業はツールとしてのマクロを使用しましょう。
マクロなどのツールでおすすめなのが、複数のマクロやツールがセットになっているソフトウェアです。特に人気の高いマクロやツールのセットは、かゆいところに手が届くツールとなっているため、一度使うとその使いやすさに驚くはずです。

ソフトやマクロ、ひな形導入には分担の見極めが必須

ソフトウェアやアプリ、マクロなどを導入する場合は、どの部分をソフトで補うか、そしてどこをマクロでどこを手作業でと、それぞれの役割分担を明確化してシステム化することが大切です。
システム化をする前に、ソフトとマクロ、手作業における比較検討を行い、作業の効率性が向上するツールを見極めて導入するようにしましょう。そして、それぞれのメリットとデメリットを理解した上で、システム化を図るようにしましょう。

工事注文書や安全書類(グリーンファイル)作成時のルール

建設工事には、さまざまな書面が必要になります。全国建設業協会統一様式の工事注文書や安全書類(グリーンファイル)は特に重要な書類であり、書面に盛り込む内容にはさまざまなルールがあります。

工事注文書・注文請書の交換で契約を結ぶ場合

官公庁や自治体・民間問わず、建設工事で発注側から受注側が工事を請け負う際には、工事着工前に決められた事項を記載し、両者の署名または記名押印をしてお互いに基本契約書を取り交わすことが建設業法で決められています。着工前に工事を始めたり、基本契約書に必要事項が記載されていなかったりすると建設業法違反になります。

しかし、発注側が出す工事注文書または工事発注書(元請業者が下請業者に工事を発注する場合は工事下請注文書)と、受注側が出す注文請書をお互いに取り交わすかたちで請負契約を結ぶこともできます。その場合は以下の条件を満たす必要があります。

工事注文書・工事発注書・工事下請注文書と注文請書のそれぞれに、基本契約定款を添付する必要があります。基本契約定款には「請負代金の支払い方法やその時期」「契約に関する紛争の解決方法」など11の項目を記載しなければならないことが建設業法で定められています。

工事注文書・工事発注書・工事下請注文書と注文請書にそれぞれ①工事内容②請負代金の額③工事着手の時期および工事完成の時期④その他個別事項を記載します。また、個別記載事項以外の事項について、基本契約約款の定めによることをそれぞれの書面に明記します。

グリーンファイルは全国建設業協会の統一様式で

建設業で安全書類(グリーンファイル)を作成する際、国によって決められた書き方がありません。業者ごとに書類の書き方がバラバラになると、書類作業業務の効率が悪くなります。そこで、(一社)全国建設業協会では安全書類の書き方を定めました。この書き方は「全建統一様式」とよばれ、ゼネコンから中小の建設業者まで、全国の多くの業者に使われています。

全国建設業協会が定めた統一様式には、施工関係台帳と労務安全に関するものがあります。この様式を使うことで、法令に従った労務完全管理ができるだけでなく、中小の下請業者にとっては書類業務作成の負担軽減につながっています。

官公庁や自治体発注の工事を受注する際には、全国建設業協会の統一様式で作成した書類を提出します。

全国建設業協会統一様式の工事注文書の賢い書き方

工事注文書は必要な記入があればどんなテンプレートでも作成することができます。一から工事注文書を作成するときは、どんなテンプレートを使えば良いのか、何を記入すれば良いのか迷ってしまうこともあると思いますが、工事注文書の意義を理解しておけば、まず間違いはありません。

工事注文書を作成する意味を考える

そもそも工事注文書とは、契約書と同じように法的に根拠となる大切な書類です。商品の名称や仕様、数量、単価、それをどのように保管し出荷、納品するか、支払方法など、双方の合意に沿って間違いがないかを確認するための書類です。そして、何かトラブルが起きた時には工事注文書を元に判断が下りることになります。

とても大切な書類ですが、基本的に工事注文書というのは契約書類の中ではシンプルに作成できるものの一つです。工事を発注・請け負う双方はたいてい何度も取引を行っている間柄であることが多いことや、工事注文書を作成する以前に基本契約書を交わしていることが多いためです。細かい約定は基本契約書など別の書類に盛り込み、工事注文書は簡潔なものになるのが一般的です。

エクセルのテンプレートが便利

工事注文書を作成するのにはどんな様式でも問題ないので、エクセルで作成するのももちろん大丈夫です。エクセルの計算機能を使えば商品の小計や消費税額を自動で計算できたりするので、ワードを使うよりも便利です。
ただ、エクセルはあくまで計算用のソフトですので、書類としての書式美を考えると、ワードや他のソフトを利用する方が良いこともあります。

工事注文書のテンプレートをすぐに手に入るのには、無料でダウンロードできるフリーソフトがおすすめです。一度ダウンロードすればどんな工事注文書にも対応でき、管理もし易くなるでしょう。もちろん、エクセルのテンプレートやひな形も探すなら、ウェブ上の人気ランキングサイトなどを活用してみましょう。

工事注文書の書き方は「シンプルイズベスト」

工事注文書に基本的に記入する記載事項は、以下のようになるでしょう。

① 注文先の宛名…正式な社名を書きましょう。
② 注文書の発行日…忘れがちですが、必須です。
③ 発注元氏名等…発注元の情報は全て記載しておきます。社名、氏名、住所、電話番号など。受注者が連絡を取りたい時に使うこともありますので、メールアドレスも記載すれば◎。
④ 金額…一般的には税込み価格を記載します。
⑤ 名称や仕様について
⑥ 備考欄

これらの上部には、短く「下記の通り注文いたします」と添えるのが一般的です。長々とは書きません。

工事注文書は最低7年間の保管!気を付けよう

無事に発注を受けた工事が完了しても、工事注文書を勝手に捨ててしまうのは少し待ちましょう。法人税法により、確定申告の提出期限から7年間の保管が義務付けられているからです。工事注文書は帳簿書類として、電子保存してあっても紙にプリントアウトしたものを一部は保管しなければいけません。税務調査のときに必要となります。

注文請書と工事注文書の違いってあるのか

工事注文書と似たような書類で「注文請書」という書類があります。これは、発注者が受注者に対して作成・送付するのが「工事注文書」であるのに対し、受注者から発注者に対して作成・送付するのが「工事請書」となります。工事請書は必ず必要な書類ではありません。特に工事注文書が作成されている場合は、注文書のみで契約が成立していることが双方間で合意されているならば工事請書は作成しなくて構いません。

全国建設業協会の工事注文書様式なら間違いなし

さまざまな様式がある工事注文書ですが、全国建設業協会も工事注文書や工事請書をはじめとしたあらゆる書式データを公開しています。自身で作成したものに不安が残る方は、こうしたテンプレートを使ってみるのもおすすめです。

全国建設業協会は傘下企業2万社が終結する全国組織

全国建設業協会(全建)とは、47都道府県全域をカバーする全国組織で、傘下企業は2万社にも上る一般社団法人です。建設業のPRを行ったり、子どもたちに絵本を贈る事業に携わったり、様々な社会活動も担っています。

全国建設業協会の工事注文書はどこで手に入るか

全国建設業協会の公式ホームページには、書籍案内のページに全建統一様式が記載されている書籍の販売があります。こちらの書籍(1,210円)を申し込めば解説付きで様々な様式が一式購入することができます。