舗装工事に欠かせない振動ローラーは、路面を締固めることで強度と平坦性を確保する重要な機械です。さまざまな形式があり、用途や現場条件に応じた選定が求められます。単胴型やコンバインド型などの特徴を理解することで、効率的かつ適切な施工が可能となります。振動の種類や機械ごとの特性を押さえることで、施工精度の向上にもつながります。
このページでは、振動ローラー・ロードローラーの種類や仕組み、振動方式の違いについて解説しています。

舗装機械とは
舗装機械とは、舗装工事を行う建設機械全般のことを示します。
舗装には、大きく分けて、アスファルト舗装とコンクリート舗装があり、一般道路では、アスファルト舗装が多く採用されています。アスファルト舗装は、路床、下層路盤、上層路盤、基層、表層で構成されており、次の手順で施工していきます。まず、ブルドーザーやモーターグレーダーで地面を均一に均し、路床を作っていきます。次に、下層路盤や上層路盤用の各材料をダンプトラックで運搬し、均一に均した後、ロードローラーやタイヤローラーで締固めを行っていきます。その後、アスファルトディストリビュータでアスファルト乳剤を散布します。最後に、アスファルトフィニッシャーで、アスファルト混合物を敷き均し、締め固めていきます。ブルドーザーやモーターグレーダー、ロードローラーなどの舗装機械は、運転するのに資格が必要とされるような大型機械です。一方、バイブロコンパクターやアスファルトスプレーヤーといった小型の舗装機械もあります。
振動ローラー・ロードローラーとは
締固め機械は、振動や輪荷重の力を利用して、盛土構造物の強度を高める際に使用します。
動的荷重である振動の力を利用する締固める機械として、振動ローラーがあります。
一方、静的荷重である輪荷重の力を利用して締固める機械として、ロードローラーがあります。
振動ローラーとは、鉄製のローラーを振動させることによって締固めを行う機械で、垂直方向に振動をかけることによって、強い締固めが出来ます。
また、水平に振動をかけることができるものもあり、それを章動ローラーと言います。
ロードローラーとは、鉄製のローラーで、鉄輪の重さを利用して地面を押し固める機械です。
ロードローラーは、大きく分けると、タンデム式、マカダム式、タイヤ式の3つに分類することができます。
タンデム式のロードローラーは、車幅と同じサイズの大きなローラーが前後に付いているもので、アスファルト舗装の現場で最も採用されています。
マカダム式のロードローラーは、前輪に2つ、後輪1つの3輪車のような形をしており、平滑に仕上げたいときに採用されます。
タイヤ式のロードローラーは、空気の入ったタイヤが横一列に並んだもので、仕上げや二次転圧をかける際に使用します。
タイヤ式のロードローラーは、ロードローラーとは区別して、タイヤローラーと呼ぶこともあります。
振動ローラー・ロードローラーの種類と役割
道路などでの締固めの機械は機種が多く、また、同じ機種であっても締固めの効果がそれぞれ違います。締固めの機械は、ローラーと呼ばれ、次のように代表として3つに分けられます。
表面が平滑な鉄輪で締固めを行うものがロードローラーで、案内輪1輪と駆動輪2輪からなるマカダムローラーと前後に車輪をもつタンデムローラーなどがあります。タイヤローラーは空気の入ったゴムタイヤで路盤やアスファルトを締め固めるます。振動ローラーは車輪に取り付けた起振機によって振動を起こし、締固めを行います。
ロードローラーなどは車道の舗装を行うために、周囲に工事車両はもちろん、一般車両や通行人、また周囲に人家のある場所での作業が多くなります。したがって、工事前から十分に周囲に配慮した監視人配置、車両の通行規制、振動や騒音の公害対策などを十分に検討した工事計画書が必要です。このような抜けのない工事計画書には、ロードローラーなどの機械のCADデータや図面が必要になります。メーカーやレンタル会社のCADサイトにはローラー機械をフリーでダウンロードできますので、必要なデータや図面をダウンロードして計画すれば安全な工事に貢献できます。さらに、無料で3DのCADデータや図面をフリーでダウンロードできるサイトもあります。計画を練る前の検討用として無料でダウンロードして検討すれば、工事計画書の抜けを防止できるでしょう。
タンピングローラー
タンピングローラーは、ローラードラムの表面に多数の突起(タンパーフート)を備え、締固め作業を行います。仕組みは、タンパーフートの先端に荷重が集中して衝撃的に締固めを行います。このローラーは衝撃的荷重式に分類されますが、同時に自重でも締固めを行うことから、静的荷重式も併用されます。ローラー表面に振動が発生するため、動的荷重式の分類にも入ります。高い含水比・強い粘着性のある粘土質の締固るのに適していて、深い層までの締固めと、固結した粘土質の土や岩石を破砕することができます。タンピングローラーは厚い盛土の締固めに効果的なローラーで、大規模道路工事・土地造成・空港・ダムなどの盛土の締固めに使われます。また、ゴミ処理場の廃棄物の締固めにも利用可能です。
タンピングローラーには、被牽引式と自走式があり、被牽引式はブルドーザーで牽引する方式で、自走式はホイールローダーなどをベースとしたローラーです。
振動ローラー
振動ローラーは、自重による静的荷重式の締固めに加え、ローラーまたは車体に取り付けられた起振機を振動させることで、自重の1~2倍の起振力を加えて強い締固めが鹿野となります。ロードローラーと比較すると、同じ厚さも締固め効果は、振動ローラーの方が高く、ロードローラーより締固めの回数を少なくできます。
振動で深くまで締固め効果が及ぶため、厚い層の締固めに1回の作業で終えることもあり、高い作業効率が望めます。さらに、振動数・振幅・作業速度を変えると、締固めが材料の状態に応じてできるため、1台の振動ローラーで路盤から表層の仕上げを連続で施工できます。
同じ程度の能力のロードローラーとの比較では、振動ローラーの機体が小型で運搬・取扱安いことに利点があります。また、振動ローラーはタイヤローラーやタンピングローラーとして使えるため、締固めを行う機械ではトップの位置にあると言って過言ではないでしょう。
振動ローラーの形式
振動ローラーの形式には、ハンドガイド式の小型機、被牽引式、自走式などの型式があります。被牽引式の基本は、被牽引式タンピングローラーと同じですが、今はほとんど使われないようです。ハンドローラーやハンドガイドローラーは、ハンドガイド式の振動ローラーで、オペレーターは機械に乗らずに、後部にある舵取りロッドの操作で、機械を動かすことができます。
振動ローラーやロードローラーを使う場合、周辺の住民に対し説明会を行い、理解を得られなければ工事を許可しない自治体が条例で定めています。住民は振動ローラーなどほとんど知りませんから、工事内容とどんな影響があるかの住民説明パンフレットを用意します。そのために、フリーの振動ローラーのCADサイトから、CADデータや図面を無料でダウンロードして、説明用の資料に使えば、住民の理解が得られやすいでしょう。特に、3DのCADデータやCAD図面をアップしているダウンロード無料のサイトからダウンロードして使えば、一目瞭然の資料ができます。
自走式振動ローラー
自走式振動ローラーは、小型が4トン級未満、中型が10トン級まで、大型が10トン以上に区分され、市街地で使われるものは4トン級が多く使われます。
自走式の振動ローラーを2型式に分類すると、タンデム型とコンバインド型となり、さらに、タンデム型は、2輪タンデム型と単胴型に分類されます。
2輪タンデム型振動ローラー
2輪タンデム型は、前後に鉄輪ローラーを備えたもので、アスファルト舗装作業が得意分野です。2輪タンデム型には、片輪振動式と両輪振動式の2つの振動方式があり、さらに、片輪駆動式と両輪振動式の2つの駆動方式に分かれます。両輪振動式では両輪駆動式となり、現在の主流の方式です。片輪駆動式では前輪が振動し後輪が駆動する方式です。荷重配分は、前後でほぼ匀一とされ、全輪駆動で前後輪とも振動ローラーの場合には均一にされ、前輪振動輪・後輪駆動輪の場合には多少前輪の荷重配分が大きくなっています。
単胴型振動ローラー
単動型は、鉄輪は1輪、駆動輪にタイヤ2輪を備えたもので、土工作業が得意分野です。単動型の主流は大型のものが多く、10トン未満の機種も少数派としてありますが、ほとんどは10トン級以上です。単胴型は左右の後輪2輪のタイヤで駆動を行うため、路面状況によっては直進性が維持できないこともあります。これは締固めの作業能力の障害となるため、差動固定装置(デフロック)が備えられています。
コンバインド型振動ローラー
コンバインド型は、2輪タンデム型の後輪がタイヤローラーとなっていて、後輪には複数のタイヤが並列に並べられ、締固め作業にも使用される、いわゆるタイヤローラーです。
振動ローラーを使って工事を行うときは、騒音・振動規制から、自治体に届ける必要があります。案内図、工程表、現場拡大図、騒音・振動の防止対策、重機使用などを記載した届出書です。そのため、振動ローラーだけでなく、ラフタークレーン、搬送トラックなども含めたデータや図面が必要になり、メーカーや重機レンタル会社のフリーのCADやカタログのダウンロードサイトから使用する機械のCADデータ、図面、カタログなどを無料でダウンロードして使えば、確かな届出書が作成できます。ダウンロードは無料で行えますが、一部のフリーサイトではユーザー登録を要するフリーサイトもあります。良質なCADが得られますので、ぜひCADやpdfファイルやカタログをダウンロードしてください。
振動ローラーの振動について
振動ローラーの振動は、ローラー内の起振機によって発生します。振動と回転を同時に行う必要があるため、ローラー車軸は防振ゴムで支持されています。起振機は重心とは違う軸でウェイトを回転させ、振動を起こします。振動は偏心回転によるもので、ホイールバランスの調整不良のタイヤとホイールが振動する現象と似た原理です。ローラーの回転軸の位置に1個の偏心軸が備えられ、全方向に振動が発生するため、振動が全体に伝わらないように、防振ゴムを介してローラーを固定します。
振動を効率的に利用するために、垂直方向(上下方向)だけに振動を発生させる起振機もあります。垂直方向にのみ振動を発生する仕組みは、2軸偏心式の起振機で、各軸の偏心の配置によって水平方向の振動を相殺する方法です。この起振機を垂直起振機といい、垂直振動ローラーが使われています。
また、水平振動タイプの起振機もあって、章動タイプと言います。これを、水平起振機や章動起振機と言い、水平振動ローラーや章動ローラーが使われています。ローラーの進行方向には長く、左右方向には短く振動が楕円状に伝わることで、前後方向だけや左右方向だけの振動に比べ、締固めが良好になります。