タイヤローラーは、道路や舗装作業で使用される重要な機械で、舗装面を均一に圧縮し、強度を高める役割を担っています。タイヤローラーの基本的な構造には、フレーム、タイヤ、原動機、動力伝達装置、操舵・ブレーキシステムなどがあります。これらの各部品が効率的に機能することで、作業がスムーズに進行します。また、故障時の対応策としてCADデータを活用することが効果的です。
このページでは、タイヤローラーの構造と機能、活用方法について解説しています。

タイヤローラーとは
タイヤローラーは、建設作業現場を整備する際に、地面を押し固める役割をもっている建機です。タイヤローラーは、「ロードローラー」と呼ばれる建機の一種で、ロードローラーにはタイヤローラー方式以外に、アスファルト舗装などを転圧する「マカダム式」、幅広の道路などの転圧に利用される「タンデム式」、手押し型の「ハンドガイド式」、そして転圧だけではなく仕上げまで行う「コンバインド式」があります。
ここでは、地面を転圧することを役割としているタイヤローラーについて取り扱います。
フレーム
「空気タイヤの性質を活かして締め固める」というのが動作の特徴となるのがタイヤローラーです。路面下となる路床や、道路や鉄道の基礎となる路盤などの転圧から、アスファルトの転圧まで用途の幅が広く使用されています。
タイヤローラーのフレームには、リジット式と呼ばれるサスペンションが採用されています。リジット式は、車軸に左右双方の車輪が連結されているもので、多くの場合は操舵は前輪となっています。しかし、小型車では後輪が操舵部である場合もあります。なお、操舵部ではない車輪部が駆動輪となります。
そのため、軌道を表すcad図面は、それぞれの駆動部により変わります。一概にタイヤローラーだからといって、同じcadデータを用いて図面を仕上げていくと、軌道を示す図面の場合には大きな間違いが起きることとなるでしょう。
また、タイヤローラーは操舵部が前輪の場合、前輪が3~5本、後輪が4~6本というように、1本後輪の構造が多いのが特徴です。そのため、前輪が転圧しそこなった部分を後輪がカバーする形となっています。フリーのcadやメーカーの無料ダウンロードできるcadで確認してみるとよく分かるはずです。逆に言えば、フリーなり無料なりでダウンロードしたタイヤローラーのcadにおいて、車輪が多い部分を見ればどちらが操舵部でどちらが駆動部か理解できるということです。軌跡図などの図面をcadで表す時にも、こういったcadデータから建機の特徴を読み取れると、cad図面作成などの作業効率向上にもつながるはずです。
タイヤ
タイヤローラーのタイヤは、空気入りのゴムタイヤが一般的です。これは、金属のローラーに比べると滑りにくいという特徴があるため、斜面などの作業箇所に傾斜がついている時に対応できるからとなっています。
また、空気入りゴムタイヤであれば、接地面の圧力調整がしやすいというメリットもあります。これは、金属ローラーの場合は弾力性がない素材のため、線状による圧力をもって締め固めの能力としての目安が求められます。一方で、空気入りゴムタイヤの場合は、「たわむ」という特徴を活かしながら、面で圧力を地面に与えることができるのです。
さらに、空気入りゴムタイヤは空気圧が調整できるという点も、金属ローラーにはない特徴です。空気圧を落として使用することで、同じタイヤーラーであっても、接地面積の調整が可能になり転圧を抑えることができるのです。
加えて、アスファルトの表層仕上げでは、空気圧を調整することでローラーのわだちを消して仕上げをなめらかにします。
作業途中にcadデータを作成し利用する時には、空気圧の調整具合などをcad図面に記しておいたり、記録しておくと良いでしょう。フリーのcadデータであっても、情報量を増やしていくことで、自分だけのオリジナルなcadへと代わっていきます。無料ダウンロードデータを上手に活用してみましょう。
原動機と動力伝達装置
タイヤローラーはその作業性質上、スピード性能は必要ありません。また、けん引するパワーなども備える必要がありません。そのため、ほとんどのタイヤローラーの馬力は100馬力も有していません。
原動力となるエンジンは、タイヤローラーの中央部に配置されている場合がほとんどで、運転席は中央より後ろ寄りに配置されています。
動力の伝達装置に関しては、ほとんどが機械式で、「ダイレクトドライブ式」と「パワーシフト式」となっています。一部では、車輪部分に油圧モーターを備えることによりガタつきを抑えている「ハイドロスタティック式」も採用されています。
ダイレクトドライブ式は、クラッチとカウンターシャフトタイプの機械操作トランスミッションをマッチした方式で、速度を変更する時には、クラッチおよび変速レバーの操作を行います。こうした構造のため、力が直接伝わりやすいという特徴があります。
一方のパワーシフト式は、トルクコンバーターと油圧操作式トランスミッションをマッチングさせている方式です。操作自体はレバーで簡単に行なえますし、速度変更も自動で可能となっています。
また、ハイドロスタティック式は、エンジンにより油圧を発生させて油圧モーターを回転させて動力としています。エンジンの回転数はペダル操作によって制御できます。
ちなみに、タイヤローラーなど締固めをする自走式ローラー系の建機を運転するには資格が必要です。これらの建機を運転するのには、労働安全衛生法に基づき、「締固め用機械(ローラー)の運転特別教育」を受ける必要があるのです。なお、一般道などの公道で運転しない場合であれば、免許証の有無などを含めて法律に触れることはありません。しかしながら、運転をする上での安全面や責任面を考える場合、作業場構内であったとしても、資格を保有していることが運転をする上で大切な条件となるでしょう。
操舵・ブレーキシステム
操舵を制御するステアリングのシステムについては、「ヨーク」と呼ばれるフレームで車軸を支え、「キングピン」がピボットの軸となっています。このことから、車輪はヨークでまとめられた車輪をキングピンを中心に回るという「ピボット式ステアリング」となっています。シリンダーは油圧シリンダーです。シャシーはヨーク部分とステアリングの油圧シリンダーにより接合されていて、シリンダーが伸縮することによって操舵の角度が決まってきます。
また、2車輪を一つとしてまとめた車軸に、フレームを連結させてキングピンで旋回させる「相互揺動式」や「独立支持式」の場合も、操舵操作においてはステアリングホイール式であれば、自動車と同様な感覚で操作ができるとされています。
制御装置であるブレーキに関しては、倍力装置が整備されている油圧式となっていて、ペダルの操作でブレーキ操作を行います。ブレーキの種類には、「ドラムブレーキ」と「ディスクブレーキ」があり、ディスクブレーキの場合は主に密閉湿式の多板式が扱われるようです。また、駐車時のブレーキングシステムについては、センターブレーキ式が採用されています。このパーキングブレーキにより、プロペラシャフトやトランスミッションのメインシャフトをブレーキングします。
付け加えると、作業の性質上、ほとんどのタイヤローラーにいは薬液などの散布が行えるタンクを車体の前後に備え付けています。
タイヤローラーのCADデータを故障などの対応策として活用する
タイヤローラーのcadデータは、路面工事においては頻繁に使われる素材です。メーカーなどからダウンロードできるフリーcadデータを揃えるだけではなく、各レンタルメーカーなどからも、無料でダウンロードできるフリーなcadデータをチェックしておくことをおすすめします。
また、タイヤローラーのcadデータがあれば、故障などの緊急事態にも対応できる場合があります。もちろん、建機のメンテナンスや修理においては、専門業者や知識のある作業員が行うのが鉄則ですが、簡易的な対処であればできないこともありません。cadデータを上手に活用して、安全でかつ安心した作業現場と環境を作れるように留意しましょう。