現場で役立つ鉄筋量計算と拾い出しの実務知識|加工帳作成から管理まで網羅

21.3 768x512 - 現場で役立つ鉄筋量計算と拾い出しの実務知識|加工帳作成から管理まで網羅 鋼構造 ソフト
Composite armature. Use of composite material in construction

鉄筋工事において、正確な鉄筋量計算と効率的な発注管理は、コスト削減と施工品質の確保に直結します。鉄筋拾い出しや加工帳の作成には、図面の読み取り能力と高い精度が求められ、加工寸法や数量の誤差がトラブルの原因になることも少なくありません。また、加工・組立工程では現場との連携も重要です。このページでは、鉄筋量計算や加工帳の作成手順、拾い出しのポイントなど、実務で使える知識について解説しています。

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鉄筋加工寸法計算・鉄筋拾い出しのフリーソフト・エクセル
鉄筋加工寸法計算・鉄筋拾い出しのフリーソフト・エクセルです。 設計総重量・定尺総重量・ロス率から鉄筋発注シートを作成 継手・加工寸法・角度を計算して鉄筋加工帳を作成 鉄筋拾い出し・鉄筋加工帳の作成・検索 加工状況や鉄筋の使用箇所の確認 異形...

鉄筋量計算と発注管理の手法

建設プロジェクトにおける鉄筋量を正確に把握するためには、綿密な数量計算が欠かせません。まず、鉄筋の総重量を計算し、さらに施工現場で発生する可能性のあるロス率を考慮に入れます。これにより、鉄筋の発注シートを精度高く作成することができます。

鉄筋発注シートは、ただ単に材料のオーダーを行うだけでなく、材料の過不足が生じないよう詳細に記載される必要があります。このプロセスには、鉄筋量の計算とロス率を考慮することが含まれます。これにより、現場での材料の無駄や不足を防ぎ、スムーズな施工が実現します。

次に、鉄筋を具体的に使用するためには、継手部分や加工寸法、角度の計算が求められ、これを基に鉄筋加工帳を作成します。鉄筋加工帳とは、実際に使用する鉄筋の形状や長さ、角度など詳細な加工情報を記載したものであり、現場作業においてはこの加工帳を元に正確な加工が行われます。

鉄筋量計算から発注、そして加工帳の作成という一連の流れは、工事の品質と効率を左右する非常に重要なプロセスです。これらを的確に行うことで、プロジェクト全体のコスト管理や進行管理が向上します。関連する工程を全て詳細に把握し、最適な材料管理を実施することが成功の鍵と言えるでしょう。

鉄筋拾い出しと鉄筋加工帳の作成に関する手順と注意点

建設工事において、鉄筋拾い出しおよび鉄筋加工帳の作成は非常に重要な作業です。まず、鉄筋拾い出しとは図面をもとに、必要とされる鉄筋量や形状を詳細に計算する工程を指します。この工程では、図面を正確に読み解き、建物や構造物の各部分で必要な鉄筋の寸法や数量を具体的に洗い出します。

その次に行うのが、拾い出した鉄筋に基づいて鉄筋加工帳を作成する作業です。鉄筋加工帳は、実際に鉄筋を切断し加工する工場や現場の作業員が使用するための、非常に重要なドキュメントです。鉄筋加工帳には、鉄筋の長さや曲げ加工の詳細、使用される部位の情報などが記載されており、これに基づいて精度の高い加工が行われます。

また、鉄筋の加工状況や使用箇所の確認も不可欠です。加工後の鉄筋が計画通りに使用されることを確実にするため、工場や現場での加工状況を定期的にチェックします。この際、鉄筋が図面通りに配置されているか、必要な強度を保っているかを確認し、不具合があれば速やかに対応します。

鉄筋拾い出しと鉄筋加工帳の作成は、工事の品質と安全性を確保するための基盤とも言えます。このプロセスを的確に行うことで、建物全体の耐久性や信頼性を大きく向上させることができます。また、鉄筋の使用箇所を事前に明確にすることで、無駄な材料の発生を防ぎ、コストの削減にもつながります。

以上のように、鉄筋拾い出しから鉄筋加工帳の作成、加工状況や使用箇所の確認に至るまでの一連の流れは、建設プロジェクトを成功させるために不可欠なものであり、それぞれの工程において細心の注意を払うことが求められます。

鉄筋量計算のプロセスを解説

建築や土木工事における鉄筋の使用には、正確な鉄筋量計算と管理が欠かせません。まずは、異形棒綱の断面積と周長の計算から始めます。こうした鉄筋量計算は、構造物の強度を確保し、適切な資材の使用量を見積もるために不可欠です。

異形棒綱の断面積を求めることは、特に重要です。断面積を正確に把握することで、構造の耐荷重性や剛性を確認することができます。周長の計算も同様に重要です。これは鉄筋の継手部分や曲げ加工の際に必要な長さを正確に決定するための基礎データとなります。

次に、定尺鉄筋(一定の長さに切断された鉄筋)の割付け、集計、そして発注表の作成および転記のプロセスについて説明します。割付け作業では、施工現場で必要とされる鉄筋の長さや配置を詳細に決定します。これにより、無駄な材料を削減し、効率的な作業を実現できます。

集計プロセスでは、必要な鉄筋量を算出します。これには、各部材ごとの鉄筋の数や長さを考慮する必要があります。最後に、発注表を作成し、これを転記することで、必要な資材を適時に注文することが可能になります。この発注表には、異形棒綱の断面積・周長の計算結果や、具体的な鉄筋の種類と長さが明記されます。

鉄筋計算は、耐久性と安全性を確保するための基本的な工程です。また、計画された通りの施工を可能にするためにも、正確な計算と管理が求められます。このように、異形棒綱の断面積・周長の計算から定尺鉄筋の集計・発注表の作成までの一連のプロセスを理解し適切に実施することで、建築や土木の品質と効率が大幅に向上します。

鉄筋の加工・組み立て

鉄筋に付帯しているロールマーク、メーカー・径・強度を示す刻印を確認します。

鉄筋は、適切な位置に配置し、コンクリートを打設する時に動かないように十分堅固に組み立て、組立用鋼材を使用します。

施工者は自主検査をして、コンクリート打設前までに設計監理者の検査を受けるとともに、指摘事填のチェックや修正を行います。

鉄筋は、組み立てる前に清掃し、浮きさび、鉄筋とコンクリートとが付いた場合に発生が予想される有害成分を除去します。

鉄筋の組み立て時は、鉄筋の種類、径、長さ、かぶり厚ざ、間隔、継手位置や種類、乱れなど多くの項目に留意して組み立てる必要があります。

配筋手順に従って材料加工、配筋方法を検討

設計者は、施工性を考慮して配筋計画を行うとともに、配筋手順に従って材料加工、配筋方法を検討する必要があります。

鉄筋は搬入時に、ミルシート、メーカー・材質・長さ・径・数量を示す用紙と照合しなければなりません。

鉄筋の交点には、直径O.9mm以上の焼なまし鉄線を、適切なクリップで緊結します。

鉄筋のかぶりを正常に維持するためには、適切な間隔にスペーサを配置しなければなりません。

スペーサの選定と配置は、使用箇所の条件、スペーサの固定方法、鉄筋の質量、作業荷重などを考慮して決定します。

打設まで長期間が経ったケース

鉄筋を組み立てからコンクリートの打設まで、長期間が経ったケースでは、鉄筋を再び清掃し、組立検査をしなければなりません。

コンクリート標準示方書に示された、曲げ内半径以上で加工する必要があります。

外力が作用する場合には、鉄筋端部の定着は、十分な定着長さをとります。

決められた位置に正確に、鉄筋を堅固に組み立てます。型枠に接するスペーサは、モルタル製、コンクリート製を使用します。

溶接した鉄筋を曲げ加工するケースでは、溶接した部分を避け、影響のない鉄筋直径の10倍以上離れた箇所で、曲げ加工します。

鉄筋の拾い出し

鉄筋を調達する際の、積算時における鉄筋拾い出しについて、国土交通省「公共建築数量積算基準」では、部位ごとに、次のように規定されている。

・各部分の名称は、躯体の区分により、各部分のコンクリート中の鉄筋とその定着等に必要な長さを加えたものをその部分の鉄筋とする

・鉄筋量は、各部分について規格、形状、寸法等ごとに、原則としてコンクリートの設計寸法に基づき、計測、計算した長さを設計長さとする

・その設計長さに日本工業規格(JIS)に定める単位質量を乗じた質量とする

・基礎や柱、梁、床板、壁等の先端で止まる鉄筋は、コンクリートの設計寸法をその部分の鉄筋の長さとする

・この鉄筋の長さに設計図書等で指定された場合はフックの長さを加える

・フープ、スターラップの長さは、それぞれ柱、基礎梁、梁と壁梁のコンクリートの断面の設計寸法による周長を鉄筋の長さとし、フックはないものとする

窓や出入口等の開口部による鉄筋の欠除は、原則として建具類等開口部の内法寸法による。
・1か所当たり内法面積0.5㎡以下の開口部による鉄筋の欠除は原則としてないものとする
・鉄筋の所要数量を求める際には、正味の設計数量の4%の割増、ロス率を標準とする
・鉄筋cadから鉄筋の拾い出しが簡単にできます

鉄筋の加工寸法

積算の際の鉄筋拾い出しについては、設計寸法で行うことが基本である。
・鉄筋の加工については、実際にコンクリートとの関係性を考えて必要長さを定める
・鉄筋コンクリート構造配筋標準図などを参考にする
・鉄筋のかぶり厚さ、あきや間隔、折り曲げ寸法、フック長さ、継手長さ、定着長さなどに注意する
・部位ごとにも細かく規定があるため、管理においても注意が必要である
・積算の際の鉄筋の拾い出しは、エクセルテンプレートを使うと便利です

鉄筋のかぶり厚さ

水、空気、酸、塩による鉄筋の腐食を防止し、鉄筋とコンクリートとを有効に付着させること。
建築基準法施行令79条には、鉄筋に対するコンクリートのかぶり厚さについて、次のように規定されている。
・耐力壁以外の壁、床にあっては 2cm以上
・耐力壁、柱、はりにあっては 3cm以上
・直接土に接する壁、柱、床、はり、布基礎の立上り部分にあっては 4cm以上
・布基礎の立上り部分を除く基礎にあっては、捨コンクリートの部分を除いて 6cm以上

鉄筋のかぶり厚さは、コンクリート表面から鉄筋表面の最短距離のことである。
・最小かぶり厚さと、設計かぶり厚さがある
・異形棒鋼の場合は、節やリブに注意する
・最小かぶり厚さは、建築基準法上必要とされる最低寸法である
・設計かぶり厚さは、施工精度を考慮して、最小かぶり厚さに10mmを加味した寸法である
・土に接する部分の「梁」のとき、最小かぶり厚さは40mm以上、設計かぶり厚さは50mm以上
・ひび割れ防止の伸縮目地を考慮した場合、かぶり厚が損なわれることなく、適切なかぶり厚を確保する

鉄筋のあき・間隔

鉄筋のあきの最小寸法は、基準書に差異があるため、あらかじめ施工要領書や施工計画書で監理者の確認をとる必要がある。

JASS5では、次の3点のうち、最も大きなあきを採用するとされている。
・コンクリートを構成するうちの最も大きな材料となる粗骨材の最大寸法25mm以上
・粗骨材寸法の1.25倍以上
・鉄筋径毎のあきの確保し 1.5D以上

コンクリート示方書では、次のように規定されている。
・はりにおける軸方向鉄筋の水平のあきは 20mm以上
・柱における軸方向鉄筋のあきは 40mm以上
・粗骨材の最大寸法の 4/3倍以上
・鉄筋直径以上とし、棒型振動機を差し込むためのあきを確保すること

継手の種類によってもあき寸法は異なるため、注意が必要である。
・圧接接手であれば、ガス圧接部分であきを考慮しなくても良い
・重ね継手や機械式継手の場合は、継手部は鉄筋が重なり、カプラー等の厚み分あきが一般部より狭くなる
・継手部は、特に必要なあき寸法の確保に注意する

鉄筋の折り曲げ寸法

折り曲げ角度と折り曲げ寸法は、鉄筋の折れ破断を防ぐため、所定の寸法が定められている。
柱梁基礎の主筋については、
・SD295、SD345の場合、D16以下、最小内法直径は3d以上、標準5d以上
・D19~D38で、最小内法直径は 4d以上、標準6d以上
・D41で、最小内法直径は 5d以上、標準7d以上
・SD390の場合は、D41以下で、最小内法直径は 5d以上、標準7d以上

通常は、最小値を用いてよいとされている。
・柱梁接合部での定着は、標準値を用いらなければならない
・適切な補強を施すことで、最小値を用いることができる
・余長については、180°で4d以上、135°で6d以上、90°で10d以上必要となる

鉄筋の継手

建築基準法施行令第73条には、柱、梁(基礎梁を除く)の出隅部分、煙突以外の部分に使用する部位の異形鉄筋について、次のように規定されている。
・鉄筋の末端は、かぎ状に折り曲げて、コンクリートから抜け出ないように定着する
主筋、耐力壁の鉄筋の継手の重ね長さは、継手を構造部材における引張力の最も小さい部分に設ける場合では、
・主筋等の径(径の異なる主筋等をつなぐ場合にあっては、細い主筋等の径)の25倍(軽量コンクリートでは30倍)以上
継手を引張り力の最も小さい部分以外の部分に設ける場合は、
・主筋等の径の40倍(軽量コンクリートでは50倍)以上
柱に取り付ける梁の引張り鉄筋は、柱の主筋に溶接する場合を除き、柱に定着される部分の長さをその径の40倍以上としなければならない。

継手の種類には、重ね継手、ガス圧接、機械式継手がある。

重ね継手は、鉄筋の種類、コンクリートの設計基準強度、折り曲げ(フック)形状ごとに応力が適切に伝わるよう、所定の長さL1が定められており、余長を含めて、必要長さを確保しなければならない。
・圧接接手は、縮みが発生するため余裕を見て必要長さを確保する
・重ね継手は、D32 程度までの鉄筋に用いられ、D35以上の異形鉄筋には原則重ね継手を用いてはならない

ガス圧接継手は、一般にD19~D51の鉄筋に用いられる。
監理者により、技量付加試験等による次のような圧接の性能が確認される。
・鉄筋の圧接端は、鉄筋軸に直角で平滑なこと
・鉄筋端面を突き合わせて隙間がないこと
・さび、モルタル、ペンキなどの有害な付着物を取り除くこと
・圧接箇所では曲げ加工しないこと
・圧接を行う場合の鉄筋は、同一種類間、または強度的に直近な種類間とすること
・同一種類の鉄筋で、その径または呼び名の差が 7mm を超える場合は、原則として圧接しない

継手長さについて、次のように規定されている。
・SD295でコンクリートの設計基準強度Fcが21のときは、一般部で 40d直線、30dフック付きとする
・コンクリートの設計基準強度Fcが30のときは、35d直線、25dフック付きとする
・コンクリートの設計基準強度があがるほど、継手長さは短くなる傾向となる
・軽量コンクリートを使用する場合は、これらの数値に5dを加算する
・継手長さの計算と管理をエクセルで行う

鉄筋の定着

鉄筋は柱と梁、柱と基礎など部材同士に適切に力を伝達する役割を果たすため、定着長さが規定されている。
・定着長さとは、躯体間に十分に差し込むべき鉄筋長さをいう
・定着長さは、L2で表され、一般に継手長さより5d小さい値となる
・定着長さは、鉄筋の種類、コンクリートの設計基準強度、折り曲げ(フック)形状、下端筋の部位ごとに所定の長さが定められている
・定着長さは、余長を含めて、必要長さを確保する
・SD295でコンクリートの設計基準強度Fcが21のとき、一般部は 35dの直線、20dフック付きとする
・小梁や片持梁、片持ちスラブの下端筋は 25dの直線、15dのフック付きとする
・床や屋根スラブの下端筋は、10dかつ150mm以上が必要である

鉄筋量計算には、高度な技術と正確なデータ管理が求められる

鉄筋工事における重要なプロセスの一つとして、鉄筋量計算があります。この計算は、建物の構造強度を支える鉄筋の正確な体積と重量を確定するために欠かせません。まず、鉄筋の総重量を求めることから始めますが、この際に材質や長さ、直径などの詳細を考慮します。そして、鉄筋の発注シートを作成するためには、鉄筋の総重量に加えて、施工現場で発生する可能性のあるロス率も計算に入れます。このロス率は、切断や曲げ加工などの工程で無駄になる部分を予測して加算します。

さらに、鉄筋の組立においては、継手の位置や加工寸法、角度の計算が求められます。これによって、鉄筋の適切な配置と接続が実現され、全体の構造強度が保持されます。鉄筋加工帳を作成する際には、これらの詳細なデータが必要不可欠です。例えば、継手の位置を正確に計算することで、無駄な長さが出ないようにし、材料の効率的な利用を可能にします。同時に、加工寸法と角度の詳細な計算を行うことで、施工現場での作業効率を高め、施工ミスを減少させることができます。

鉄筋量計算とそれに基づく発注・加工作業は、鉄筋工事の品質と効率を左右する重要な工程です。これら一連の作業は、建物全体の安全性と耐久性に直結しているため、高度な技術と正確なデータ管理が求められます。