このページでは、水路工・管水路の計算、堰の流量計算、オリフィス流量計算、ダム・落差工の計算のフリーソフトについて紹介しています。
単断面水路・複断面の流量計算・水深計算・余裕高の算出、限界水深から常流・射流を判定、開水路余裕高の算定、円形管の実流速計算、管水路の損失計算、堰の流量計算、横越流余水吐けの計算、落差工の計算、砂防えん堤・ダムの設計などのフリーソフトが、ダウンロードできます。
また、水路工・管水路の計算に関連した知っておくと役立つ情報などを掲載しています。
・オリフィス流量計算・堰ダム落差工の計算について
・流量計算が必要な流量計の種類を解説
・オリフィス計算の解説とオリフィスの取付け方法
水路工・管水路計算のフリーソフト・エクセル
単断面水路
土木設計業務における単断面水路の流量、水深、余裕高を簡易的に算出するプログラムです。水深から流量、流量から水深の算出ができます。水路の断面形状、流量より勾配の決定をします。限界水深を求めて、常流か射流か判定をします。流量から余裕高を算出します。
水理計算
単断面および複断面の水理計算(水深計算)を行うプログラムです。矩形水路、台形水路、管渠水路に対応します。流下能力計算(管渠断面)を行います。マニング平均流速公式により計算し、計算書を出力できます。
開水路余裕高の算定
「土地改良事業計画設計基準 設計「水路工」基準書 技術書 H13.2」に準拠した余裕高の算定をします。用水路、排水路別になっており、変更可能な水路壁高決定のフローチャートも付いています。
円形管の実流速計算
円形管における実流速の計算を行います。水深を動定し、流速を収束計算により算出しています。出力は最大排水能力、満管時排水能力と実流速計算結果として、径深、実水深等を計算します。
EXCEL 管水路の損失計算
農業土木学会『土地改良事業計画設計基準・設計「水路工」』に基づき、管水路の水理計算を行います。区間距離・縦断変点標高・平面角より、各測点の標高・管実長・合成角を計算し、管種と管径より、摩擦・屈折・湾曲・その他損失水頭を計算し、水位を算出します。
EXCEL U型水路構造計算
EXCEL U型水路構造計算
コンクリートU型水路に外圧(土圧・水圧・側壁集中荷重)及び内水圧が作用する場合の応力計算及びコンクリート応力度・鉄筋応力度の計算を行います。プログラムは随時改良・修正を行っているようです。ダウンロードファイルは自己解凍EXEファイルですので適当なディレクトリイでクリックするとxlsファイルに解凍します。エクセル形式のため、エクセルが使えるユーザーであれば簡単に操作が可能です。
堰の流量計算・ダム・落差工計算のフリーソフト・エクセル
堰の流量計算
堰の流量計算ができるフリーソフトウェアです。堰の形状は、四角堰及び直角三角形堰です。計算条件は、降雨強度式及び君島式です。堰の流量計算は、堰の越流水位、水路底面からの高さ、堰の幅などから計算します。
EXCEL 横越流余水吐けの計算
横越流余水吐け計算を行います。試算条件は、上流Q2と越流高D1を指定して下流Q1を求める、上流Q2と下流Q1を指定して越流高D1を求めるなどの4ケースを指定できます。定形断面の他、任意に座標断面を設定できます。オプションで横越流式洪水調節計算ができます。
EXCEL 落差工の計算
建設省河川砂防技術基準、同解説 設計編[I]に準拠し、落差工の水理計算及び安定計算を行います。計画流量、単位幅当りの流量を選択できます。河川断面は上流、中間、下流側断面を矩形、複断面などの定形断面のほか、任意座標で設定でき、合成租度に対応できます。
水路工・管水路の計算は、必要な条件設定から
水路工・管水路の計算は、まず、水路の用途に応じて、水理計算に必要な流速係数や動水勾配を設定して行きます。その後、口径や管内流速の計算、各種損失、動水勾配線の計算を行い、所要水圧を求めて行きます。最後に静水圧の確認を行います。また、管理面やコスト面の検討を行い、水路の断面形状・構造等を決定します。
堰とは、水路の途中に設けられた水流調節のためのしきりのことです。堰は、水を溜めて溢れ口から水を排出させます。このときの溢れ口から排出される水の流量は、水を溜めてる水位や堰の切り欠き深さなどに関係します。堰の流量計算は、過去の実験を元に定められた計算式を用いて計算していきます。
堰とダムの区別は、堤高15m以上がダム、15m未満が堰となっています。大きさによって計算式が異なるので、同じ計算式では通用しませんが、考え方は同じです。落差工とは、水路の勾配を安定調節し、川底が深く浸食されるのを防ぎます。川底が浸食されてしまうと、橋の基礎や護岸の基礎が洗い出され、橋が流されたり、堤防が破れて洪水の原因となってしまいます。そのため、川の流れが速くならないように、川底の勾配を緩くしたり、川底をコンクリートや石などで固めたりします。落差工の計算とは、流量や川の形状に応じて、構造の選択を行い、落差工の設計を行うものです。
オリフィス流量計算・堰ダム落差工の計算 その1
屈折による損失水頭は、実験式により求まります
確率雨量、管応力計算、円管流下能力、円形断面、ヒューム管の構造計算などのフリーソフトが、ダウンロードできます。摩擦以外の損失水頭には、流入による損失水頭、断面変化による損失水頭、弁による損失水頭、流出による損失水頭などがあります。屈折による損失水頭は、実験式により求まります。
流入損失係数の数値は、管の入口の形状により違ってきます。曲がりや屈折による損失水頭は、管の向きが変わると、流れに渦ができて損失水頭が発生します。仮設流量計算、円形管の構造計算、コルゲート断面計算、円管フリーソフト、フリューム管、排水能力ソフト、フリュームの構造計算、円形管の流量計算、円形管流下能力、管の流量計算、鉄筋コンクリート管の流量など、管の流量計算のソフトが、ダウンロードできます。
曲がり損失係数の数値は、曲がりの角度、半径、管径などの影響をうけます。平均流速公式は、損失水頭が水と、管との摩擦だけで発生すると考えたものです。管水路の設計では、いろいろな損失水頭、管径や流量との関係を理解することが重要になります。管水路は、建設工事の上水道の管路や、工場の送排水管、油送用のパイプラインなどによく使われています。
方向の変化には、曲がりと屈折の2通りがあります
方向の変化には、曲がりと屈折の2通りがあります。流入による損失水頭は、水が管に流れ込むとき、流れはその入口で収縮し、続いて管全体に広がります。管水路における損失水頭は、管の全区間におこる摩擦損失水頭と、局部的な損失水頭の両方を足したものです。施工中には、地下水をくみ上げるウエルポイント工法などが必要になります。
管水路では、管が曲がったり、管径が変化したり、弁などの障害物があるため、流況が変わる箇所で渦が発生します。渦によりエネルギーが消費され、全水頭が減少します。曲がりのケースでは、管が曲がることにより、曲がりによる損失水頭と曲線部の摩擦損失水頭が生じます。
クラーヘンの公式、マニング、タルボット型、ルチーハ式など、管の流量計算、コルゲートフリューム、ヒューム管のフリーソフトのリンク集です。エネルギーを消費すると、局部的な損失水頭が生じことになります。
コルゲートパイプの流量計算、ヒューム管の流量計算、コルゲート管の流下能力、円形水路の流量計算、管水路の水理計算、ヒューム管流量、コルゲート水路などの管の流量計算のフリーソフトのリンク集です。平均流速公式が使えるのは、管の直径が一定な直線管水路の場合になります。
左右岸の地山に施工されるものは、リムグラウチングともいいます
基礎浅部の浸透流に対抗した安定性の向上、コア材料の流失防止を主な目的としています。左右岸の地山に施工されるものは、リムグラウチングともいいます。止水面は、グラウトカーテンと呼ばれます。
遮水工、柔構造樋管、水理計算、雨水雨量、洪水調節、等流不等流、排水、流量計算、水制、魚道、降雨強度式、確率雨量など、河川・ダムのフリーソフトのリンク集です。スラッシュグラウチングでは、リークが防止できない際は、コンクリート吹付けを行ったり、カバーコンクリートを使用したりします。
コンソリデーショングラウチングは、コンクリートダムなどの基礎の変形防止や、一体化を目的として、基礎面全体に施工します。根固めブロックの計算、護床ブロックの安定計算、河川樋管ソフト、河川の流速計算、湾曲部における水位上昇計算、沈下量計算、根固めブロックの重量計算などの河川・ダムのフリーソフトのリンク集です。
ブランケットグラウチングは、フィルダムの遮水ゾーンの基礎に施工されます。一定の幅があり、地質状況によっては数列施工するケースもあります。
流路工の計画は、一般に床固工と護岸工とを併用することを原則とします
流路工の計画は、一般に床固工と護岸工とを併用して計画することを原則とします。砂防ダム、遮水工、治山、台形堰の計算式、水通しの設計、越流量計算、非越流部の安定など、砂防ダム・護岸工・落差工のフリーソフトのリンク集です。
流路工の計画にあたっては、橋梁、配水管などの横断構造物は、できる限り設置しないようにします。流路工は、底を張らない構造を基本とします。勾配の変化点の上下流では、掃流力が50%以上変化しないように、勾配と水深を決定します。勾配変化のあるときは、その折点に床固工を計画して、帯工により勾配を変化させないことを原則とします。
落差工ソフト、砂防ダムの安定計算、落差工の構造、砂防堰堤の計算、砂防ダム設計、床固工の計算、砂防堰堤の設計、治山ダムの計算などの砂防ダム・護岸工・落差工のフリーソフトのリンク集です。勾配の変化を急激に行うと、変化点では洗掘や堆積が発生し、流路工の維持に困難を生じるケースがあります。流路工の渓床勾配は、上流部より下流部にかけて、緩勾配になるように計画します。
ダムの水通しを越流する水流は、通常は水通し下流端の線に直角に落下します
ダムの水通しを越流する水流は、通常は水通し下流端の線に直角に落下します。洗掘されても被害が広がらないようにカーテンブロックを設置します。越流部、横越流公式、越流ゼキの水理計算、減勢工の設計、計算、降雨強度式、ゴム堰、横越流堰などのフリーソフトが、ダウンロードできます。
セキと砂防ダムの構造について検討します。ダムの袖は、洪水が越流してアバットメントを損傷することがないような高さとします。落下した流水がスムーズに下流河道へ流下していくように、ダムの方向は水通し中心点で、計画箇所下流の河道流心線に直角となるように計画します。
限界水深から常流・射流を判定、開水路余裕高の算定、横越流余水吐けの計算、落差工の計算、砂防えん堤・ダムの設計など、水路工・管水路の計算、堰の流量計算、ダム・落差工の計算のソフトが、ダウンロードできます。減勢機能が十分に発揮できていないケースでは、構造物の下流に沈床などを設置して洗掘を防止します。水通し断面は、基本的には台形として計画します。
オリフィス流量計算・堰ダム落差工の計算 その2
消波工の条件は、表面粗度が大きいもの、適度の大きさ、形、分布のある空隙をもつ
消波工の条件は、表面粗度の大きいものであること、適度の大きさ、形、分布のある空隙をもつことです。消波工の構造、波返工について検討します。降雨強度式、水面追跡、タルボット式、円形、確率雨量、降雨確率、マニング、水理公式、等流計算、不等流計算など、海岸・港湾・防波堤のソフトが、ダウンロードできます。
波返工とは、波やしぶきが堤内側に入り込む量を減らすことを主目的とし、堤防や護岸の表のり被覆工の延長として、堤防の天端上に突出した構造物をいいます。消波工は、最小限ブロック2個並び以上の天端幅とし、天端幅を多少広くとり、3~5列以上とします。波高の大きいところ、周期の長い波が来襲するところ、前面水深の大きいところでは、注意が必要です。
伸縮目地は、表のりの伸縮目地と一致させます。海岸、港湾、波、防波堤、防波堤ケーソン安定計算、波浪、クラーヘン式、降雨強度式、水面追跡などのフリーソフトが、ダウンロードできます。消波工の表のり勾配は、1:1.3~1:1.5程度とします。波返工の幅は、50cm以上とします。
敷地排水と下水道について
建物から出て下水道に接続するまでの敷地排水は、下水道が合流式の場合は、生活排水系統と雨水系統をを合わせて排除し、分流式では生活排水と雨水を別々の系統で排除します。下水道が不備の場合は、合併式または単独式浄化槽を設けます。
水質汚濁防止の点から合併処理浄化槽が増えており、小規模な合併処理浄化槽も開発され、住宅などに普及してきています。また、下水道も降雨時に汚水などが未処理で放流されないように雨水と汚水などを分ける分流式が新設の場合は主流となっています。
圧力式・真空式の下水道について
排水は、原則として重力で流すことに変わりないですが、こう配を設けるなどの制約があります。そのため、近年開発された圧力式下水道や真空式下水道を設けることが部分的に行われています。
圧力式下水道システムは、建物内は重力式で屋外に設置したグライダポンプユニットまで導き、破砕機構を有するポンプで排水を圧送し、接続管、圧送本管を経て処理施設または下水本管に導くシステムです。特徴として、圧送なので小口径で埋設深度を浅くでき、また管内に地下水の浸入がありません。
一方、真空排水システムは、ポンプユニットの代わりに、真空弁付き汚水ますを設けて、真空下水管を経て真空装置のある処理場または下水本管まで導く、圧送方式と同じ様に、小口径で埋設深度を浅くできます。地下水の浸入などはあり得るが、漏れだすおそれが少なく、汚水の漏れを嫌う場所への適用や危険な流体の搬送などに適します。
流量計算が必要な流量計の種類とは その1
配管内を流れる流体、流体は油や水などの液体の他、窒素や水素のようなガスが流れます。その流れる流体の流量を測定するために、配管には流量計が設置されます。
配管内を流れる流量を測定する測定器には、次のような種類のものあり、それぞれ特徴があり、流体や使用目的に沿って選ばれます。
一般的に、流量を制御することを考えると、流量率(単位時間当たりの瞬時流量)を測定する方法が取られます。
流量精度を求めには、積算型流量計を使用し、瞬時流量を指示させたい場合は、適当な付属機構の設置が必要です。
制御に用いる流量計は、簡便さによる高信頼性と精度とのトレードオフとなります。
差圧式流量計算に必要な定理
流量を測定するために、最も一般的に使われるものがオリフィスを使った差圧式流量計です。
オリフィスの基本原理は、オリフィスプレートと言う円板の中央に丸い円が開いています。
流体がその穴を通ると、オリフィスプレート前後の配管圧力が変化し、差圧が生じます。
その差圧と流量が関係するため、差圧を測定することで、流量計算が可能です。
流量計算を行うためには、2つの法則を理解しておく必要があります。
1つ目は、連続の法則、2つ目は、ベルヌーイの定理です。
(1) 流量の連続の法則
図1で連続の法則を図示したものを紹介します。
図1では管路(サイズが一定ではない)を示しています。
➀と②の断面積とそこの流速をそれぞれ、A1、V1、A2、V2とすると、➀の流量と②の流量は、次のようになります。
連続の法則とは、➀の流量も②の流量も同じになるということです。つまり、管路がどのような形状でも、次の式が成り立ちます。
(2) ベルヌーイの定理
ベルヌーイの定理は、エネルギー保存則です。管内を流体が流れるとき、ある断面を通る流体は、位置エネルギー、運動エネルギー、配管内の圧力のエネルギーを持っています。
図2にベルヌーイの定理の図を示しています。
図2の➀、②、③の断面の流体に、それぞれ、位置エネルギー・圧力エネルギー・運動エネルギーがあって、総エネルギーとして水頭換算してHとして表されます。
➀、②、③のどの断面でもエネルギーの総和は等しいことが分かります。
ベルヌーイの定理を式で表すと、次のように表すことができます。
式の最初は、エネルギーとしての式で、2番目の式はヘッド(水頭)に換算した式です。
差圧式流量計計算
差圧式流量計は、流量計のなかで容積式流量計とともに広く使用されています。
差圧式は、理論的に確立され、構造が簡単であるため、製作が容易です。
図3では、管路に絞りが入って、その絞りから差圧を検出して流量を出す原理を描いています。
図3で使用されている変数について簡単な説明を加えます。
g:重力加速度
v1,v2:流速
p1:管路の圧力
p2:縮流部(絞り)の圧力
A1:管路の断面積
A2:縮流部(絞り)の断面積
Q:管路の流量
ρ:流体密度
管路の流量が管路の圧力と縮流部(絞り)の圧力との差によって、流量を算出する計算は、次のようになります。
水平配管の場合、高さ(例えば地面から)は同じとなるため、位置エネルギー(位置水頭)は同じとなり、等式から外します。
ベルヌーイの定理から、
連続の式から、
以上の2つの式から、
となり、流量は、
のようになるため、管路と縮流部の差圧を測定することで、流量を測定することができます。
流量計算が必要な流量計の種類とは その2
オリフィスのような絞り機構
差圧式流量測定では、測定する流体の管路中に、絞り機構を設けます。
絞り機構の設計に必要な係数などは、流体理論・実験から正確な値が得られます。
流体条件がわかれば、最良となる測定結果が得られる絞り機構の選定が可能です。
絞り機構の代表的なものには、オリフィス板、ベンチュリ―菅、フローノズルがあります。
以下では、オリフィスについて解説していきます。
オリフィス
オリフィス板は図4に示すように、比較的薄い滑らかな円板にさまざまな形状の絞り孔を開けた簡単な構造です。
オリフィス板の材質はSUS304やSUS316が広く用いられ、流体によりモネルなどの特殊材質が使用されます。
また、オリフィスの製作に当たっては、精密な加工精度が求められ、寸法規格にはASME(アメリカ、DIN(ドイツ)、JISなどの規格があります。
a) 同心オリフィス板(標準オリフィス)
同心オリフィス板は、製作が容易であり、また、取り付けも簡単です。実験による資料が多くあるため使用率が高く、精度も優れています。
使用にあたっては、小さな孔を板の下部または上部に設けます。流体がガスや蒸気である場合には、孔が下部配管に内接するように設け、オリフィス板前部に溜まる凝縮液を逃がす役目がります。
また、液体の場合には、上部に設け流体中に含まれる気体を逃がします。
絞り孔径の寸法は、オリフィス計算により決定します。
b) 偏芯オリフィス板
偏芯オリフィス板は、流体中の沈殿物が多量に溜まることが考えられる場合や、脈動を減少させるため、2板のオリフィス板を組として使用するときに使われます。
絞り孔を管の下側に内接するように取付けることで、沈殿物の集積を防ぎ、固形物による孔の縁の損傷を防いで測定誤差を少なくできます。
c) 欠円オリフィス板
欠円オリフィスは、流体中に沈殿物を多量に含む場合や、圧力損失を極力小さくしたい場合に使用されますが、精度は落ちます。
沈殿物がある流体でも精度を高く保ちたい場合は、ベンチュリ―菅を用いた方が良いでしょう。
d) 四分円オリフィス板
四分円オリフィスは、流体の摩擦が大きく差圧に影響を及ぼす、高粘度流体(低レイノルズ数)の測定に用いられます。
レイノルズ数は次のように表され、実用化する管中の流体の流れに沿って補正して使用されます。
Rd:レイノルズ数、d:オリフィス内径、v:平均流速、ρ:液体比重、μ:絶対粘度
オリフィス計算
(1) 非圧縮性流体(液体)の場合
ベルヌーイの定理より、非圧縮性・非粘性・定常流の流体を考えると、
が成り立ちます。ここで、v1:流入側流速、p1:流入側圧力、v2:流出側圧力、p2:流出側圧力、ρ:流体比従量です。
また、A1:管路断面積、A2:オリフィス断面積とすると、連続の式から、
が成り立ちます。
2つの式から流量計算は、
ここで、Q:流量、C’=(縮流係数)×(速度係数)とします。
また、d:オリフィス内径、D:管路内径、β:オリフィス比とすると、
として、流量の式は、次のように変形できます。
ここで、流出係数C、基準比準量をρBとし、オリフィスの熱膨張による面積補正係数Eとしたときの基準状態の流量Q’は、
となります。
(2) 圧縮性流体(気体)の場合
気体の流量計の場合は圧縮するため、密度の変化を考慮する必要があります。
κを比熱比とすると、気体のベルヌーイの定理は、次のようになります。
ρ1、ρ2は、管内の密度、絞り内の密度を表します。
圧縮性流体の流量も、液体の非圧縮性流体と同じように、
に比例します。
(3) レイノルズ数による補正
レイノルズ数により流量が変化するため、流出係数を補正する必要があります。
(注:単位はSI単位で記述していないため、参考表に応じて変換する必要があります)
a) 蒸気、水
ここで、Q:平均流量[kg/H]、μ:粘度[CP]、D:管内径[mm]、β:オリフィス比
b) 油などの液体
ここで、Q:平均流量[ℓ/H]、γ:基準温度の比重
c) 気体
ここで、Q:平均流量[m3/H]、p:流体圧力[kg/cm2abs]、T:流体温度[K]、γ:比重
(4) オリフィス内径の決定
ここまでに求めた流出係数とレイノルズ数により、実験で求められた数表(JISなど)から、オリフィス比を決め、オリフィス内径が決まります。
(5) 差圧式流量計の補正
オリフィス内径が決まると、差圧を求めて流量が求められます。
しかし、設計時点の比重や密度、圧力などの流体条件が実際に流れている流体のものと違うことが多く、実流量を求めるためには、補正が必要です。
以下では、補正係数Kの算出方法について計算式のみ紹介します。
a) 液体
ρM:変化した流体密度、ρD:設計密度
b) 気体
pM:変化した気体圧力、pD:設計圧力、TM:変化した気体温度、TD:設計温度
オリフィスの取付け方法
絞り機構を通過する流体は原理上層流という前提であるため、絞り機構からある距離以内で生じた流れの乱れは、測定精度を悪くします。
そのため、適当な直観部や整流器が必要です。整流器は、破損したときに設備に悪影響するため、流速・流体圧力が小さいときに使う。
直管部分のサイズは、概略、上流側は絞り内径の20倍、下流側に5倍程度でとなるようにオリフィス位置を決めます。
正確にはオリフィス比と直線パイプの必要長さの設計図を参照とすることができます。
オリフィスの取付けにあたっては、次の点に注意する必要があります。
・オリフィス絞り孔の中心を正しく管路中心と一致させます。
・取付け用ガスケットが管路からはみ出し、絞り孔やドレン孔をふさがないようにします。
・オリフィス板の流れ方向を確認します。
・オリフィス板の小孔を流体に適した方向に向けます。
オリフィスを挿入したときの静圧変化を図5に示します。
差圧の取り出す方法には、次のような方式があり、導圧管を設置して、差圧流量計器に導入します。
a) ベナータップ
上流側は真の静圧を示す点(一般的にオリフィス前面からおおよそ管径離れた点)、下流側は最も圧力が低下する点(縮流部)に設けます。
縮流部はオリフィス口径比(オリフィス口径:管径)で決定されます。
ベナータップの利点は既存のフランジによりオリフィスが保持でき、かつ、最大差圧を利用できるところです。
b) フランジタップ
上下流ともにオリフィスから1インチの箇所に取り出し口を設ける方式で、専用のフランジ(オリフィスフランジ)を使用してオリフィスを固定します。
フランジがリング型の場合は、ホルダを使用します。
フランジタップは小管径にも使用でき、また、オリフィスを変更しても取り出しの変更は必要としません。
c) コーナータップ
コーナータップはオリフィス板の直前と直後の差圧を、フランジを使用して取り出す方式です。
差圧流量計の導圧配管
差圧計器を取付け、オリフィス機構から計器までの導圧配管を設置します。
導圧管はオリフィス機構の近くに差圧計器を設置すべきです。
流体によって精度よく測定するために、図6に示すような設置をします。
さらに、流体に腐食性があるときは、シール液を導圧管に封入した設備とする必要があります。
流体が液体の場合は、取り出して下方に導圧管を設置することで良いのですが、気体の場合は、取出しを上側に取り出します。
理由は、気体流体に含まれる、ドレン(液分)が差圧計器内に入り込んで、誤差を生じさせないようにするためです。
また、上記の場合も、一旦上に取り出して、コンデンサー内に液分となるようにして、差圧計器に液体を導入し、誤差を生じさせないためです。
オリフィスによる流量計算ソフト
これまでにオリフィス関して紹介してきましたが、手計算も可能ですが、計算専用のソフトウェアを使うことで、正確に素早く結果を出すことができます。
ソフトウェアには、エクセルのフリーソフトや有料のエクセルソフトがあります。
エクセルで計算するためには、パラメータを多く選ぶ必要があり、そのためにツールが、フリーソフトでも充実しています。
有料のエクセルソフトでも、オリフィスや設置方式を図形表示処理、VBAを使った高度な処理ができるものなどがあります。
オリフィスを流れる流体には、配管を含め、流体条件がいろいろ有って、計算が複雑になります。
精度を要する場合には、専用ソフトが各社から出されていて、それらを利用することで、色々な条件でシミュレーションでき、便利です。