このページでは、床版橋梁の構造計算のエクセルフリーソフトについて、ダウンロードができるサイトなどを紹介しています。
掲載しているソフトを使用することで、土木設計の仮設桟橋の簡易計算、RC床版とH形鋼を組合せた床版橋の計算書、床版橋仮設H形鋼の構造計算書の作成を簡単に行えるようになります。
・RC床版橋の設計計算書、仮桟橋の計算
・鉄筋コンクリート単純床版橋の設計
・橋台の安定計算と底版断面計算
床版橋梁の構造計算のエクセルフリーソフト
仮桟橋の計算 (簡易版)
土木設計の仮設桟橋の簡易計算プログラムです。元々の仮桟橋の計算プログラムに、クローラ荷重斜め吊りの検討が追加されたグレードアップ版です。キャタピラ荷重を、線荷重と分布荷重から選択ができます。計算書出力16枚の機能充実のフリーソフトです。
仮設床版計算書シート(参考)
仮設床版計算書シート(参考)
宅地の出入り口等に設置する程度のRC床版とH形鋼を組合せた 床版橋仮設H形鋼構造計算及び計算書の作成を行います。仮設の桟橋の計算例を参考に、水路沿いの宅地へ入るための、橋を新設する為に使用したものということです。構造としては、上側のRC床版と下側のH形鋼に分かれます。RC床版は別途、計算が必要です。ソフトはエクセルとなっていますので、誰でも簡単に使用することができます。
床版橋の種類と実用例
床版橋は、2方向に広がる構造を持ち、対向する2つの辺が支えられ、残る2つの辺が自由に動ける状態の板状の構造を持つ橋梁です。この橋梁は、一般に中小規模の橋に使用され、通常は25メートル以下の支間長さを持ちます。床版橋の最大の特徴の一つは、板の厚さが薄く、自重があまり大きくならない点です。
床版橋は、その構造特性から様々な場所で重宝されています。低桁高であることや、施工性の良さ、そして見た目のスリムさといった利点があり、特に都市部のインフラ整備において重要な役割を果たしています。中空床版やホロースラブといった多様な形態を持つことから、その応用範囲も広く、今後も多くのプロジェクトで採用されることでしょう。
床版橋の低桁高と施工性の利点
床版橋の薄い板は、桁高さが低く抑えられるため、建設場所が限られる状況や、制約が多い都市部などにおいて非常に有利です。さらに、床版橋はそのシンプルな構造から施工が容易であり、多くの建設現場で重宝されています。また、支間長や橋脚構造の調整により、スリムで軽快な見た目を持つため、景観を重んじる地域でも採用されています。
床版橋の別称と種類
このタイプの橋梁にはいくつかの呼び方があり、一般的には「中空床版橋」、「ホロー床版橋」、あるいは「ホロースラブ」とも呼ばれます。これらの名称は、橋の内部が中空構造になっていることから由来しています。この中空構造は軽量化と構造強度のバランスを取るために重要な役割を果たします。中空床版橋は、特に高荷重を頻繁に受ける都市部の道路や高速道路でよく見られます。
床版橋の実用例と応用分野
具体的な採用例としては、都市の高架道路、高速道路のジャンクション、そして歩道橋などがあります。例えば、都市部の高架道路では、限られた空間を最大限に活用するために、薄い床版の設計が利用されます。これにより、橋の下の空間を駐車場や商業スペースとして有効利用することができるのです。
コンクリート床版の許容応力度
コンクリート床版の設計における許容応力度について、以下のように詳細に解説します。
鉄筋の許容応力度
まず、コンクリート床版に使用される鉄筋の許容応力度について確認します。これは主に日本の道示Ⅱ鋼橋編に基づきます。具体的には、鉄筋の許容応力度については道示Ⅱ鋼橋編の8.2.7および11.3の規定が適用されます。これにより、鉄筋が過剰な応力を受けずに適切な強度を維持することが可能です。
コンクリートの設計基準強度
次に、コンクリート自体の設計基準強度についてです。コンクリートの強度は施工の信頼性および構造物の安全性を確保するために非常に重要な要素です。この設計基準強度も道示Ⅱ鋼橋編の11.2.1の規定に従って設定されます。この規定により、施工後のコンクリートが期待される性能を発揮し続けることが保証されます。
コンクリートの許容応力度
鋼桁との合成作用を考慮しない場合
鋼桁とコンクリート床版が合成して働かない場合、つまり独立した要素として扱う場合のコンクリートの許容応力度については、道示Ⅱ鋼橋編の8.2.9 (1) の規定が使用されます。特に、RC床版におけるコンクリートの許容曲げ圧縮応力度が該当します。これにより、床版が独立しても十分な耐久性と強度を持つことが確認されます。
鋼桁との合成作用を考慮する場合
反対に、鋼桁とコンクリートが一体化して働く場合、合成構造としての挙動を考慮する必要があります。この場合には、道示Ⅱ鋼橋編の11.3.1の規定が適用されます。これによってコンクリートと鋼桁の合成効果が最大限に発揮され、より効率的かつ安全な構造設計が可能となります。
まとめ/コンクリート床版の許容応力度
これらの情報を踏まえると、コンクリート床版の設計において、コンクリートの設計基準強度や許容応力度、また鉄筋の許容応力度を適切に考慮することが構造物全体の耐久性と安全性を確保する上で極めて重要です。特に、合成作用を考慮するかどうかによって設計のアプローチが異なるため、それぞれの条件に応じて最適な方法を選択することが求められます。
これにより、コンクリート床版および鉄筋の使用における全体的な設計がより具体的かつ実践的になります。
コンクリート床版橋の設計ガイドライン
コンクリート床版橋の設計は、その耐久性と構造的な健全性を維持するために非常に重要です。本ガイドラインでは、特にRC(鉄筋コンクリート)床版に焦点を当て、床版支間、設計曲げモーメント、床版厚について詳細に説明します。
床版支間の設定
RC床版橋の床版支間を決定する方法は、「道路橋示方書」鋼橋編第Ⅱ巻の規定に基づいています。具体的には、8.2.3 節および 8.3.3 節のガイドラインに従います。この規定は、橋の使用目的や交通負荷を考慮した設計基準を提供しており、適切な支間長を設定することができます。
床版の設計曲げモーメント
設計曲げモーメントの計算方法
RC床版の設計曲げモーメントに関しては、同じく道路橋示方書鋼橋編第Ⅱ巻の8.2.4 節および 8.3.4 節に従います。この方法に則ることで、橋にかかる力を正確に解析し、安全性を確保するための設計ができます。
不均一な支持桁剛度による付加曲げモーメント
支持桁剛度が異なる場合には、付加曲げモーメントを考慮する必要があります。以下にその計算方法を示します。
I形断面の鋼桁およびトラスにおける縦桁の設置
付加曲げモーメントの算出に関しては、土木研究所の資料に基づいて計算します。具体的には、資料番号771、875、および1338の「床版支持げたの不等沈下によって生ずる床版の曲げモーメント計算図表を参考にします。
箱断面主桁およびブラケット設置時の縦桁
箱断面主桁間に縦桁を配置する場合や、箱断面主桁の外側にブラケットを設けて縦桁を配置する場合の付加曲げモーメントについては、道路橋示方書第Ⅱ巻末の付録1に基づいて計算します。これにより、さまざまな設計条件に対応した正確なモーメント計算が可能となります。
床版厚の設定
最小全厚の規定
RC床版の最小全厚については、道路橋示方書鋼橋編第Ⅱ巻の8.2.5 節および8.3.5 節の規定に従います。これにより、基準を満たした十分な強度と耐久性を持つ床版設計が可能になります。
床版厚の追加考慮要素
大型車の交通が頻繁に通る場合や、支持桁剛度が著しく異なる場合における床版厚の設定は重要です。この場合、道路橋示方書第Ⅱ巻8.2.5の解説に示される式(解 8.2.2)に基づき、適切な床版厚を決定します。これにより、負荷に対する抵抗力が増加し、橋の耐久性が向上します。
床版ハンチ
純ハンチ厚の基準
コンクリート床版橋の設計において、床版ハンチの厚さは重要な要素となります。特にハンチ厚(フランジを含まない部分)は、構造の強度と安定性に大きく影響を与えるため、スタンダードな範囲として50mmから150mmの間で設定することが推奨されます。この範囲により、施工の手間や材料のコストを最適化しつつ、十分な強度を確保することが可能です。
一貫性のあるハンチ
また、施工現場での型枠作業およびハンチ量の管理、さらには配筋作業の効率化の観点から、床版のハンチ厚は一つの橋梁内で一定に保つことが望ましいです。これにより、異なる厚さの部分について特別な配慮が不要になり、施工の一貫性と精度が向上します。
床版端部の補強
中間支間部の支持
床版端部の補強において、支持桁間の中間支間部は特に重視される部分です。ここでは、充腹式横桁や対傾構など、十分な剛度を持つ構造物によって支えることが基本原則とされます。一方、単箱桁等で耳縦桁が設置されている場合も同様であり、十分な剛度を持つエンドブラケットで支えることが必須です。
片持部の補強
床版端部の片持部に関して、以下の基準に従い補強します。
(a) RC(鉄筋コンクリート)床版の場合、端ブラケットを用いずに、道示Ⅱ鋼橋編8.2.11(3)に基づいて床版の鉄筋量を増やして対応します。これにより構造全体の耐久性を高めることができます。
(b) PC(プレストレストコンクリート)床版で床版張り出し長が大きい場合は、エンドブラケットの使用が推奨されます。これにより、十分な剛度を確保することが可能です。
(c) 床版端部では、道示Ⅱ鋼橋編8.2.11(4)の解説に示された範囲内でハンチ高さを増厚します。これにより、局部的な応力集中を避けることができます。
斜橋の配筋
主鉄筋の配筋方法
斜橋では特に主鉄筋の配筋方法が重要です。(a)と(b)の配筋方法が標準として提案されており、それぞれの使い分けは対傾構や横桁の配置に従います。具体的には以下のポイントを考慮する必要があります。
配筋方法(a)は、対傾構が均等に配置されている場合に適用します。
配筋方法(b)は、局部的な応力や変形が予見される場合に適しています。
これにより、斜橋の安定性と耐久性を確保することが可能です。
まとめ/コンクリート床版橋の設計
コンクリート床版橋の設計においては、床版支間の設定、設計曲げモーメントの計算、床版厚の適切な設定が極めて重要です。これにより、橋の安全性と耐久性を確保し、長期間にわたる使用に耐える構造を実現できます。道路橋示方書の規定を厳守し、適切な設計を行うことが求められます。
コンクリート床版橋の設計において、床版ハンチや端部の補強、斜橋の配筋など各項目に対して基準を設けることで、設計の一貫性と安全性が向上します。これらのガイドラインを遵守することにより、橋梁の長寿命化が期待でき、さらに施工効率も向上する可能性があります
コンクリート床版橋の構造
コンクリート床版橋における構造的要素の詳細を見ていきましょう。これを理解することで、適切な設計やメンテナンスが可能になります。
RC床版の地覆や壁高欄
RC床版(鉄筋コンクリート床版)は、連続桁の重要な構成要素です。地覆や壁高欄の目地については、中間支点上付近に10mmの瀝青繊維質板を用いた伸縮目地を設置します。さらに、支間部にはおおよそ10m間隔でVカット収縮目地を設定し、構造の安定性を確保します。
鉄筋コンクリート床版は、橋梁において重要な役割を果たしています。連続桁構造の地覆および壁高欄には、中間支点付近に伸縮目地を設置します。これには、10mm厚の瀝青繊維質板が使用されます。また、支間部には10m間隔で収縮目地を設けることが一般的で、そのためにVカットが用いられます。これにより、床版の収縮や膨張の動きに対応し、構造全体の耐久性を高めることができます。
コンクリート床版上の舗装構成
床版上の舗装は橋の長寿命化を支える重要な要素です。
車道部の舗装
舗装厚は、8.0cm以上とし、通常は表層4.0cm+レベリング層として2層構造とします。
舗装材料は、表層及び基層(レベリング層)には密粒度アスファルトを標準採用します。これにより、優れた耐摩耗性と耐久性を確保します。
歩道部の舗装
舗装厚さは、4.0cmの細粒度アスファルトを使用し、これにより歩行者の安全性を確保しつつ、表面の滑らかさも維持します。
橋面防水層の設置
防水層は、橋の長寿命と機能を保つために必須の構成要素です。以下の点に留意して設計を行います。
車道部の防水
適用範囲は、桁形式や床版形式に関わらず、車道全体に防水層を施工します。これにより、雨水や融雪剤などの浸透を防ぎ、基礎構造を保護します。
歩道部の防水
フラット型は、フラット型やセミフラット型、フルフラット型の歩道には必ず防水層を設け、特に降雨時の滑りや水たまりの防止に貢献します。
鉄筋コンクリート床版の補修
床版の損傷が見られた場合、その補修には適切な手法を用いる必要があります。以下の基準とマニュアルに基づいて対処します。
鉄筋コンクリート床版の補修手法については、「RC床版の損傷度判定基準(案)」と「RC床版の損傷対策マニュアル」を参考にします。これらの基準とマニュアルに従うことで、適切かつ効果的な補修が可能となります。
損傷度判定と補修手法
判定基準は、「RC床版の損傷度判定基準(案)」に基づいて損傷度を判断します。
補修マニュアルについては、実務遂行の際には「RC床版の損傷対策マニュアル」を参照し、適切かつ効率的な補修を行います。これは、補強材の選定や具体的な施工手順など、補修に関する詳細なガイドラインを提供します。
将来的な維持管理への考慮
以上の設計と施工方法を適切に実施することで、コンクリート床版橋の耐久性と安全性を確保します。また、定期的な点検と維持管理を行うことで、橋梁の長寿命化と最適なパフォーマンスを持続させることができます。
コンクリート床版橋の設計やメンテナンスには多くの要因が影響します。道路構造物としての信頼性を向上させるためには、各要素を詳細に検討し、最適な施工・補修方法を採用することが求められます。
コンクリート床版橋の基準書
コンクリート床版橋の設計や施工に関するガイドラインは、様々な基準書や解説書にまとめられています。これらの資料は、工学的な知識と実務経験を基に詳細な指針や具体例を提供しており、技術者が確かな設計を行う際に不可欠です。以下に、それぞれの基準書について具体的な内容とその意義を詳述します。
これらの基準書や解説書を熟読し、最新の知識と技術を習得することは、質の高い橋梁設計と社会インフラの長期的な安定性を確保するために欠かせません。日々進化する技術と向き合いながら、実務においてこれらのガイドラインを適切に活用していくことが求められます。
道路橋示方書・同解説 Ⅲ コンクリート橋・コンクリート部材編(平成29年11月、日本道路協会)
この文書は、道路橋のうち特にコンクリート橋およびコンクリート部材に焦点を当てた基準書です。2017年に改訂され、最新の技術や研究成果を反映した内容が盛り込まれています。構造解析や耐久性確保のための具体的な計算方法、品質管理のための試験方法などが詳細に記載されています。
道路橋示方書・同解説 Ⅲ コンクリート橋編(平成24年3月、日本道路協会)
こちらの基準書は、一般的なコンクリート橋に関する指針を提供しています。特に、2012年版では地震や環境条件に対する設計基準に関する内容が充実しており、耐震設計や補強方法についても詳述されています。また、施工中及び供用中の維持管理に関する情報も含まれており、長期にわたる安全性と機能性を確保するための指摘がされています。
コンクリート道路橋設計便覧(令和2年9月、日本道路協会)
2020年に公開されたこの便覧は、最新の技術トレンドと設計手法を体系的に整理したものです。特に計算例や詳細な図解が豊富に含まれており、設計実務において即座に応用できる内容が多く含まれています。材料特性や現場での具体的な施工法なども詳細に説明されています。
鉄筋コンクリート上部構造の設計計算例(平成7年1月、山海堂)
この書籍は1995年に発行され、鉄筋コンクリートを用いた上部構造の設計に関する具体的な計算例が網羅されています。当時の設計技術や基準に基づいて整理されており、現在の基準に対する比較や理解を深めるための参考資料としても重要です。特に初学者や若手技術者にとって、実際の設計業務での問題解決の糸口となる内容が多く含まれています。
RC単純床版橋設計システム
RC単純床版橋設計システムとは、直橋からばち付き床版橋まで、多様な橋梁形式に対応した多機能な設計ツールです。このシステムは、オルゼンの解析法や単純梁の計算など、幅広い解析手法に対応しており、ユーザーに高度な設計支援を提供します。
システムの対応範囲は多岐にわたり、直橋、斜め床版、台形床版、そしてばち付き床版橋までサポートしています。これにより、設計者は特定のプロジェクトニーズに最適な橋梁形式を選定しやすくなっています。
断面力の算出には、以下のような多様な計算法を採用しています。まず、伝統的な「オルゼンの解析法」です。この手法は、一般的な設計プロセスにおいて使われる信頼性の高い方法となっています。また、平成29年版の道路橋示方書Ⅲ編・第9章に基づく簡易式による計算法もサポートしており、これにより迅速かつ効率的な設計が可能です。さらに、平成24年版の道路橋示方書Ⅲ編・第7章に基づく計算方法も取り入れられており、多様な設計条件に柔軟に対応できます。最後に、単純梁として計算する手法も含まれているため、基本的な橋梁設計においても十分に対応できます。
この多機能なシステムは、設計の迅速化や精度向上を目指す設計者にとって、非常に有用なツールとなるでしょう。これだけ多くの解析手法を一つのプラットフォームで利用可能にすることで、設計業務の効率化を図り、信頼性のある橋梁設計を実現してくれます。