クラムシェルバケットは、縦掘りや掴み取り作業に適したアタッチメントで、現場の条件に応じて使い分けられる多様な種類があります。機械式と油圧式で開閉方式が異なり、それぞれに適した用途があります。また、掘削作業の内容によっては他のアタッチメントとの併用も必要です。安全性を確保するためのメンテナンスや交換作業も重要なポイントとなります。
このページでは、クラムシェルバケットの種類と特徴について解説しています。

クラムシェルの種類や機能
クラムシェルとは、重機であるショベル系掘削機の一種です。
先端がショベルカーのバケットに似ているため、土を掘って掴むことができます。
また、構造物等の基礎掘削、水中掘削などに、特に威力を発揮します。
クラムシェルが得意な作業は、パワーショベルやバックホウが苦手とする、水中掘削が得意です。
また、孔掘リや深い基礎等の正確な掘削も、大変得意とする分野です。
クラムシェルの種類には、次のようなものがあります。
ケーブル式のクラムシェルは、深深度の揚土が可能だけでなく、大型バケットにも対応できるため、重宝されています。
油圧式のクラムシェルは、掘削力を重視したいときに、高い威力を発揮します。
テレスコピック式のクラムシェルは、メリットとして、バケットの揺れが少なく位置決めが容易なこと、多くの土砂を確実に積み込めることがあげられます。
ロープ併用式をとることで、よりスピードアップが可能です。
ショベル系掘削機には、用途に応じた様々な種類があります。
また、ドリルタイプの掘削機には、クローラタイプのロータリーパーカッションや、スキッドタイプのロータリーパーカッションなどがあります。
目的に応じた建設機械を選ぶことで、より効率よく作業を進めることができるでしょう。
掘削に強みを発揮するクラムシェルバケット
油圧ショベル、いわゆる掘削機は、掘削や整地などの動作を油圧の力で動かす重機です。土を掘ったり道路を砕いたりと、幅広い工事に活躍する重機である油圧ショベルですが、それぞれの役割は重機本体では担っていません。重機から張り出しているアームに装着されるアタッチメントの機能で、それぞれの掘削作業に対応しています。ここでは、重機で行われる掘削に係る油圧ショベルのアタッチメントを見ていきましょう。
重機による解体工事などでコンクリートを掘削する「油圧ブレーカー」は、アタッチメントの先に掘削用の角のようなドリルが備えられているアタッチメントです。重機である油圧ショベルにアタッチメントを装着して作業を行います。油圧ブレーカーにおける工事は、建物や道路はもちろんのこと岩盤掘削などでも活躍をしています。
油圧ブレーカーは小型から大型ブレーカーまで備えています。掘削する規模や物によって、小型や大型ブレーカーを使い分けます。なお、油圧ブレーカーのサイズは重機のサイズに合わせる形で小型や大型ブレーカーを装着するようにします。
一方で、大型ブレーカーなどは主に砕くことに重きをおいているアタッチメントであるため、「掘る」や「掴む」にはそれほど強みを発揮しません。砕くだけではなく、より「掘る」や「掴む」に対応していのが「クラムシェルバケット」というアタッチメントです。深い穴が掘れるクラムシェルバケットは、その名の通りアタッチメントの形が貝殻のようになっています。
そして、貝殻状のバケット先が鋭い爪になっていて、その鋭い爪で表面の硬い層から砕いて掘り起こします。また、掘る場所が柔らかい土砂のような場所でも、しっかりと土砂などをすくい揚げてくれますので、こういったところが油圧ブレーカーとは違うところです。
掴み取り作業ができるクラムシェルバケットの活躍場所
クラムシェルバケットは、油圧ブレーカーのいわゆる「砕く」というだけの動作とは違います。それは、貝殻状のアタッチメントのため「掴み取り」ができるところです。そのため、アスファルトの掘削などだけではなく、雑草や雑木の根切りなどにも用いられます。また、水道工事や建築の基礎工事まで、幅広い掘削や掴み取り作業に活躍を見せているアタッチメントです。
もちろん、掘るというだけの作業ではななく、重機のパワーに比例する形で大きな力を発揮できる性能もあるため、ものにもよりますが切断するパワーを備えています。クラムシェルバケットの用途は非常に多様です。そのため、工事現場では採用率が高いアタッチメントの一つだと言えるのです。
機械式と油圧式で異なるクラムシェルパケットの開閉方式
クラムシェルパケットは基本的に、地面より低い場所での作業を想定されている掘削機です。そのため、クラムシェルバケットを装着するためのアームは地面より下にまで伸びる長さが必要になります。なお、動力には機械式と油圧式があります。主に機械式ではクレーン重機に対してのアタッチメントとして活躍しており、油圧ショベルでのアタッチメントには油圧式が使われています。
油圧式である油圧ショベルの場合、アームの長さの関係により、地面より低い部分を掘削するためどうしても限界があります。そこで最近では、機械式であるクレーン重機の「テレスコピック式」にクラムシェルバケットを併用するのが一般的となっています。
テレスコピック式とは重なり合った筒状の機械が伸びたり縮んだりする構造の方式です。このテレスコピック式であれば、アームを伸ばすことによりバケットの開閉ができます。この場合のクラムシェルバケットの動作はクレーンの動作に依存している状態となるため、もはやアタッチメントというよりも、一つの専用重機だと言える扱いになっているのです。そのため、テレスコピック式を採用しているクラムシェルバケットアタッチメントの重機を「テレスコピッククラムシェル」と呼ぶ場面が多いようです。
一方で、油圧式のクラムシェルバケットは、バケットシリンダーとのリンク機構によって貝殻が開閉します。油圧式の場合は、油圧ショベルのアームのため、深い部分までは届きにくいものの、従来の重機にアタッチメントとしてクラムシェルバケットを装着するのには簡易的です。開閉には「シェルプッシュ式」と「センタープル式」が存在します。シュルブッシュ式は、両方のシェルを油圧シリンダーの伸びに合わせて閉じていく方式です。そのため、地面などに対する食いつきや食い込みみが良く、深い掘削作業を可能にしています。一方のセンタープル式の場合は、油圧シリンダーの伸縮時にバケットを閉じていく方式です。そのため、地表を均しながら掘削することを可能としています。
クラムシェルバケットではカバーできない掘削
緊急時の対応や法面のアンカー工事などにおいても掘削作業を行うことがありますが、こういった場合には、クラムシェルバケットなどの作業量や動力ではカバーできない場合があります。
こういった場合に活躍する重機が「急速削孔機」です。この急速削孔機は、油圧ブレーカーの大型ブレーカーやクラムシェルバケットとは比較にはならない掘削能力を発揮します。
ラインナップとしては、「ロータリーパーカッションドリル」「水平ドリル」「バイブロドリル」などがあります。
特に山間部の法面工事では、アンカー工事などを行う際にロータリーパーカッションドリルを用いる場面が多く見られます。
ロータリーパーカッションドリルを扱う場合、法面上の足場などにロータリーパーカッションドリルを持ち上げてアンカーを挿入する穴を掘ったりします。ロータリーパーカッションドリルは油圧ブレーカーやクラムシェルバケットなどのアタッチメントではなく、一つの重機です。そのため、ロータリーパーカッションドリルのcadデータの取り扱いは各メーカーなどに問い合わせをするようにしましょう。
アタッチメントのメンテナンスと安全な交換作業
クラムシェルバケットだけではなく、重機のアタッチメントを交換する際には、安全な場所で行う必要があります。安定した足場を確保した上で、平面を作りその上で必ず交換するようにします。
また、アタッチメントの装着は複数人で必ず確認するように心がけます。アタッチメントの装着ミスが発生した場合は、大きな事故になりかねません。間違いが起きないためにも、指差し確認を含めてしっかりとチェックしましょう。加えて、アタッチメントに汚れが詰まっていたりすると、結合部分に異物が入り込んだりして、故障や事故の発生に繋がります。作業の性質上、泥や砂などが付着しやすい道具となっているので、清掃などを行いメンテナンスを普段から怠らないなどキレイな状態を保ち、安全な交換を心がける必要があるのです。こうしたアタッチメントの交換作業に対しても、cadデータを参考にしながら装着を行えば、接続部分などを確認しながら作業を行うことができるでしょう。
クラムシェルのcadを扱う時はアタッチメントのcadデータも必要
クラムシェルバケットをcadで扱う時には、重機のcadデータだけではなく、アタッチメントのcadデータも取り扱う必要があります。アタッチメントのcadデータはメーカーなどで手に入れることができるはずです。また、重機のcadデータも合わせて手に入れておきましょう。加えて、フリーでcadを提供しているサイトも存在します。こうしたサイトも利用して、効率よくcadデータを収集するようにしましょう。
重機のブームは数箇所でつなぎ合わせてあるものです。cadを取り扱う際には、ブームの軌跡にも注意が必要です。小型・大型ブレーカーやクラムシェルバケットをつなげた際のcadは、ある程度用意しておくと良いかもしれません。
また、クラムシェルバケットは先にも説明した通り、機械式や油圧式による重機の違い、そして開閉の方式による機構の違いがあります。cadを取り扱う際には、重機だけのcadデータにとらわれずにアタッチメントまで気をつけてcadを取り扱うようにしましょう。