土木工事積算における工種や構造物の分類と区分を徹底解説

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土木工事の積算を正確に行うためには、工種ごとの区分や分類を適切に理解しておくことが重要です。
特に、積算ソフトを使用した一般土木工事や土地改良工事では、それぞれの特性に応じた分類が求められます。
また、土質や岩の分類、コンクリート構造物や仮設工事、鋼構造物、推進・シールド工法など、多岐にわたる分類項目が存在します。
これらの分類を理解しておくことで、積算の精度と効率が大きく向上します。
このページでは、土木工事積算における工種・構造物の分類や区分について解説しています。

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積算ソフトを使用した一般土木工事の工種区分

土木工事の見積書、単価表、代価表作成が可能なフリーの積算ソフトがあります。
ここでは、積算における工種区分について説明します。

一般土木工事の積算上の工種区分は、建設省土木工事積算基準に規定されており、以下のように区分されています。

①河川工事
 ・水路工、浚渫工、護岸工、築堤工、掘削工などの工事
 ・水門工、堰、 樋門工、防音壁工、コンクリート橋などの工事またはこれらの下部工事
 ・橋梁の下部エ等のみの工事および鋼製を除く橋梁の修繕工事
②海岸工事
 ・堤防工、離岸堤工、消波根固工、護岸工などの海岸工事および河川高潮対策エリアの工事
③道路改良工事
 ・土工、擁壁工、山止工、法面工などの道路改良工事
④鋼橋架設工事
 ・鋼製橋の運搬、架設、塗装、修繕などの工事
 ・簡易組立橋の塗装工事
⑤PC橋工事
 ・工場製作桁は除く、工事現場におけるPC桁の製作、架設、製作などの工事
⑥舗装工事
 ・アスファルト舗装工、セメントコンクリート舗装工、砕石路盤工などの舗装の新設、修繕工事。ただし小規模で施工箇所が分散した工事は除きます。
⑦共同溝等工事(1)
 ・シールド工法または作業員が内部で作業する推進工法による共同溝および地下立体工事
⑧共同溝等工事(2)
 ・開削工法による共同溝および地下立体工事
⑨トンネル工事
 ・トンネルの構築工事
 ・シールド工法または作業員が内部で作業する推進工法によるトンネルの構築工事
 ・ただし、完成後の照明、舗装、側溝、修繕工事は除きます。
⑩砂防・地すベり等工事
 ・堰堤工、山腹工、抑止工、床固工などの砂防・地すべり工事および急傾斜地崩壊防止施設工事
⑪道路維持工事
 ・路面工、法面工などの維持、修繕工事
 ・道路標識、道路情報施設、電気通信設備、防護柵、区画線などの設置工事
 ・除草、除雪、清掃、植栽などの作業
⑫河川維持工事
 ・堤防法面などの補修工事
 ・標識、境界杭、防護柵、駒止などの設置工事
 ・道路の電気通信設備以外の設備工事
 ・除草、清掃、芝養生などの作業
⑬下水道工事(1)
 ・下水道のシールド工法または作業員が内部で作業する推進工法による管渠工事
⑭下水道工事(2)
 ・下水道の施工方法が開削工法または小口径の推進工法による管渠工事
⑮下水道工事(3)
 ・ポンプ場工事、処理場工事などの工事で下水道工事に関連する工事
⑯公園工事
 ・敷地造成工、植樹工、花壇工、運動施設工などの公園および緑地の造成整備に関連する工事
⑰コンクリートダム工事
 ・コンクリートダム本体を主体とする工事
⑱CAB工事
 ・CABに関連する工事

積算ソフトを使用した土地改良工事の工種区分

フリーソフトや積算ソフトを活用して見積書、単価表、代価表を作成する際には、どの工事がどの工種に含まれるか理解する必要があります。
ここでは土地改良工事の積算における工種区分について説明します。

土地改良工事の積算上の工種区分は、土地改良工事標準積算基準に規定されており、以下のように区分されています。

①ほ場整備工事
 ・道路用排水路施設も同時に行う工事および暗渠排水工事、客土工事を単独で行う工事も含む農地の区画整理工事
②農用地造成工事
 ・道路用排水路施設も同時に行う農用地造成工事
③農道工事
 ・舗装を含む道路の新設・改修工事
④水路トンネル工事
 ・水路の新設・改修およびこれに付帯する構造物工事
 ・シールド工法または作業員が内部で作業する推進工法によるエ事等も含みます
⑤水路工事
 ・用水路および用排水兼用水路の新設・改修およびこれに付帯する構造物工事
⑥河川および排水路工事
 ・普通河川の改修、これに準じる排水路のエ事で掘削、築堤、護岸、根固め等の工事
 ・渠、連結ブロック、コンクリート矢板を用いた用水路、用排兼用水路等の工事
⑦管水路工事
 ・既成管などの既成品を用いる水路工事。ただし、畑かん施設管理工事、推進工法に類する工事は除きます。
⑧畑かん施設工事
 ・樹枝状管鋼方式などのパイプライン施設のパイプラインの布設および付帯構造物工事
⑨千拓工事
 ・ポンプ浚渫船、クラブ浚渫船、バケット船などによる千拓工事、埋立工事。ただし、陸地の用土使用する干拓および埋立工事は除きます。
⑩その他土木工事
 ・橋梁、地すべり防止工、水門、ダムなどの補修、工事用ボーリング・グラウトなどの①~⑨のいずれにも該当しない工事
⑪フィルダム工事
 ・フィルタイプで本体を主体とする工事
⑫コンクリートダム工事
 ・コンクリートダム本体を主体とする工事。ただし、砂防ダムは除きます。

土木工事積算における土質区分、岩分類

土木工事の積算で単価表や代価表を作成する際には、土質区分や岩分類が影響します。
これらの区分に応じた単価表、代価表の作成が可能な積算ソフトやフリーで使用可能なフリーソフトがありますので比較検討してみてください。

土質区分は以下のように区分します。

①砂
 砂
②砂質土
 砂質土、普通土、砂質ローム
③礫質土
 礫質土、砂利混じり土、礫
④粘性土
 粘土、粘性土、シルト質ローム、砂質粘性土、粘土質ローム、火山灰質粘性土、有機質土
⑤岩塊・玉石
 岩塊、玉石混じり土、破砕岩

次に、岩分類は以下のように区分します。

①軟岩Ⅰ
 ・第三紀の岩石で固結の程度が弱いもの
 ・風化がはなはだしく極めてもろいもの
 ・指先で離し得る程度のものでクラック間の間隔1~5cmくらいのものおよび第三紀の岩石で固結の程度が良好なもの
 ・風化が相当進み、多少変色を伴い軽い打撃で容易に割れるもの、離れ易いもので、き裂問隔は5~10cm程度のもの
②軟岩Ⅱ
 ・凝灰質で堅く固結しているもの、風化が目にそって相当進んでいるもの
 ・き裂間隔が10~30cm程度で軽い打撃により離し得る程度
 ・異質の硬い互層をなすもので層面を楽に離し得るもの
③中硬岩
 ・石灰石、多孔質安山岩などの特に緻密でなくても相当の硬さを有するもの、風化の程度があまり進んでいないもの、硬い岩石で間隔30~50cm程度のき裂を有するもの
④硬岩Ⅰ
 ・花崗岩結晶片岩などで全く変化していないもの、き裂問隔が1m内外で相当密接しているもの、硬い良好な石材を取り得るようなもの
⑤硬岩Ⅱ
 ・けい岩、角岩などの石英質に富む岩質で最も硬いもの、風化しておらず新鮮な状態にあるもの、き裂が少なく良く密接しているもの

土木工事積算におけるコンクリート構造物の分類

土木工事におけるコンクリート構造物には様々な種類があります。
積算における区分を理解して積算ソフトの入力内容をよく確認しましょう。

①無筋構造物
 ・重力式擁壁などの無筋構造物、単純な鉄筋を使用した半重力式擁壁、橋台、均しコンクリートなど
②鉄筋構造物
 ・水路、ボックスカルバート、水門、突桁または扶壁式の擁壁、橋台、橋脚など
③小型構造物
 ・最大高さ1m程度の擁壁、側溝、ブロック基礎などのコンクリート断面積が1m2以下で連続している構造物
 ・形状が複雑な構造物、集水桝、空気弁、道路標識・防護柵の基礎などのコンクリート量が1m3以下で点在する構造物

土木工事積算における仮設工、コンクリート矢板工、山留工

仮設工などの単価表や代価表は施工機械や地盤条件により異なります。
また、積算ソフトには有料、フリー問わず様々なソフトがあります。
比較検討し、使いやすいフリーソフトを探すのがおすすめです。 

鋼矢板、H形鋼を使用した仮設工の打ち込み作業の積算は、土質、打ち込み長さ、最大N値ごとに10枚あたりの工事単価を求めます。
引抜き作業の積算は工種ごとに引抜き長さから1日あたりの引抜き枚数が決められています。

①鋼矢板
 ・鋼矢板の打込み、圧入、使用後の引抜き作業まで含みます。
 ・施工機械によりバイブロハンマ、ウォータージェット併用バイブロハンマ、アースオーガ併用圧入エ、油圧圧入引抜工に区分します。
②H形鋼
 ・鋼矢板の打込み、使用後の引抜き作業まで含みます。
 ・施工機械によりバイブロハンマ、ウォータージェット併用バイブロハンマに区分します。

コンクリート矢板工の打ち込み作業の積算では、土質、打ち込み長さ、加重平均したN値より工法を決定し、矢板の重量と加重平均したN値より機種を決定します。
作業時間は、打ち込み長さ、加重平均したN値、導杭の設置撤去より作業時間を求めます。
これらよりコンクリート矢板10枚当たりの工事単価を求めます。

山留工は親杭横矢板工法と鋼矢板工法について説明します。

①親杭横矢板工法
 垂直に打込んだ親杭に横矢板を設置する工法です。
 止水性がないため地下水位の高い地盤には適しませんが、硬質地盤にも適用可能で、施工が容易なためよく使用されます。
②鋼矢板工法
 シートパイルと呼ばれる鋼矢板をかみ合せて山留壁を構築する工法です。
 止水性は高いですが、硬質な地盤だと打ち込めないこともあります。

土木工事積算における基礎工

杭打ち工は大きく、既製杭打エと場所打杭工に区分することができます。
積算の方法はコンクリート矢板工と同様です。
ただし、特殊な工法については見積書をとる必要がありますので、積算ソフトやフリーソフトを使用する場合には注意しましょう。

①既製杭打工
 鋼管杭、PC杭、PHC杭、RC杭などの工場で制作された杭を現場にて施工します。
 杭打機により工種が異なり、パイルハンマ工はクローラ式杭打機、プレポーリング・中掘工はクローラ式杭打機、アースオーガ中掘機を使用します。
②場所打杭工
 現場で先行掘削し、杭孔の中に鋼管や鉄筋かごを設置、杭の下部からトレミー管によりコンクリートを打設します。
 孔壁が安定しない場合にはベントナイト溶液などで孔壁を保護します。施工機により工種が異なり、オールケーシング工、リバースサーキュレーション工、アースオーガ工などがあります。

土木工事積算における鋼構造物

 土木工事での鋼構造物は橋梁が中心となります。
 コンクリート工や土工だけでなく、鋼構造物にも適用可能な積算ソフトがフリーダウンロード可能です。

 橋梁塗装工で考慮する鋼橋型式は以下の通りです。

①鋼桁構造
 プレートガーダー、連続プレートガーダー、ゲルバーガーダー、合成桁など
②箱桁構造
 単純ボックスガーダー、連続ボックスガーダー、ゲルバーボックスガーダー、合成ボックスガーダーなど
③弦材を使用する構造
 トラス、ゲルバートラス、ランガー桁、アーチ、ラーメンなど
④横断歩道橋
 横断歩道橋

素地調整エとは鋼構造物の塗装の補修作業の際に、古い塗膜やサビ、汚れ等を除去する作業のことで、ケレンとも呼ばれます。
発錆がある場合は2種~3種C、発錆がない場合は3種C~4種ケレンとします。
1種ケレンの場合は実情に応じて積算します。

土木工事積算における推進工法、シールド工法

推進工法には、刃口推進工法、仮管併用推進工法、オーガ掘削推進工法、オーガ掘削鋼管推進工法、泥水式推進工法があります。
使用材料の価格、損料は推進工事用機械器具等損料算定表を参照します。

積算にあたっては工法の選定の他に一日あたりの推進長さ、坑内外の作業員の設定が必要となります。
設定値と積算ソフトの単価表、代価表の内容が合っているかよく確認しましょう。

小口径推進工法は積算基準では以下の工法に区分されています。
積算方法は推進工法と同様です。

①仮管併用推進工法(圧入方式・ニ工程式)
 鋼製の仮管を先に敷設し、その仮管を利用して鉄筋コンクリート管を掘削推進して埋設する工法です。
②オーガ掘削推進工法(オーガ方式・一工程式)
 鋼管先端に取り付けたオーガで掘削しながら、鉄筋コンクリート管内に組み込んだスクリューコンベヤで管体を推進埋設する工法です。
③オーガ掘削鋼管推進工法(オーガ方式・さや管式)
 鋼管先端に取り付けたオーガで掘削しながら、鋼管を推進し、推進後に鋼管内に塩ビ管を敷設しモルタルなどを注入して固定する工法です。
 シールド工法は大口径の管渠を構築する場合に使用します。
 開放手掘り工法、泥水式工法、土圧系工法などがあります。
 積算に当たり、1日あたりのセグメント設置数や坑内外の作業員の設定が必要です。

土木工事積算におけるN値、トラフィカビリティ・コーン指数

N値(地盤貫入抵抗値)は土質の硬度や締り具合を示す値です。
試験方法はJISにより規定されており、重量が63.5kgのハンマーを75cm自由落下させたときにサンプラーが30cm貫入するのにかかる打撃数で表します。

杭打ちや仮設材の打ち込み時の作業性はN値20未満の場合は軽作業、20以上39未満の場合は標準作業、40以上の場合は重作業として積算に考慮します。

トラフィカビリティ・コーン指数は、重機の走行性を示す指数です。
水が多量に含まれた軟弱な粘性土などでは重機の走行に支障が出ることがあります。
重機の種類により必要なコーン指数が定められています。

これらの地盤条件により積算の単価表、代価表の内容が異なります。
有料積算ソフトだけでなく、フリーソフトでも地盤条件を反映可能なソフトがありますので、活用しましょう。