土木・建設現場に欠かせない土留め・山留計算を効率化できる、エクセル形式のフリーソフトを紹介します。矢板の設計、支保工の検討、設計断面の安定性確認などに活用可能。無料で導入できるため、コストを抑えつつ、現場設計や積算業務の精度とスピードを高められます。初心者からベテラン技術者まで幅広く役立つ実用的な情報をまとめています。

土留計算・山留計算のフリーソフト・エクセルテンプレート
EXCEL ライナープレート立坑の計算 (矩形)
EXCEL ライナープレート立坑の計算 (矩形)
ライナープレート(矩形)による仮設土留めの構造計算を行うことができるシェアウェアです。矩形ライナープレート、補強リング、継手ボルトの計算、継手版の検討を行うことが可能です。ライナープレートと補強リングの組み合せ条件について、限界深さを表示します。プログラム自体はエクセルで作成されていて、随時改良や修正が行われていますので、最新のものを使用するようにしましょう。
RS-Temp.Walls 1 (試用版)
RS-Temp.Walls 1 (試用版)
自立式親杭横矢板土留め壁の設計計算書を作成するための試用版ソフトウェアです。ソフトウェア自体はエクセルのVBAで作成されているため、操作等で戸惑うことが少ない作りとなっています。日本道路協会の「道路土工-仮設構造物工指針(平成11年3月)」に準拠した自立式土留め壁の設計計算となっています。作成された計算書は、章題やフォントなど自由にレイアウトを変更することが可能です。
丸太積み土留工の設計計算
丸太積み土留工の設計計算
丸太積み土留工の設計計算を取り扱うことができるシェアウェアです。入力データや計算結果について、説明図入りで画面に出力されるため、戸惑うことが少ないのが特徴です。また、出力は、説明図入りの計算書形式でA4用紙(縦)にプリントアウトすることが可能です。なお適用範囲は、土留形式が重力式構造、土圧がクーロン式、地震時については計算不可、計算単位は従来単位、SI単位となっています。
エクセルVBAによる土留・山留め(自立)計算
エクセルVBAによる土留・山留め(自立)計算
道路土工指針・建築学会基準による自立土留・山留め計算をエクセルシートへ出力することができるシェアウェアです。「道路土工_仮設構造物工指針_自立式土留めの設計」及び、「日本建築学会_山留め設計施工指針_山留めの設計(自立)」に基づいて作成されています。エクセルのVBAを使用して作成されているソフトウェアのため、知識のあるユーザーの場合はカスタマイズも可能となっています。
木枠詰石構造土留工の設計計算
木枠詰石構造土留工の設計計算
木枠詰石構造土留工の設計計算を取り扱うことができるシェアウェアです。入力データや計算結果は、説明図入りで画面に出力されます。出力された画面を見ながらの確認は非常に簡単になっていると言えるでしょう。また、A4用紙(縦)に出力することもできます。なお適用範囲は、土留形式が木枠詰石構造、土圧がクーロン式、地震時については計算不可、計算単位は従来単位、SI単位となっています。
土留め・山留め計算フリーソフトの機能とメリット
土留構造物の安定計算が可能
設計荷重や支持力をもとに、土留め構造の安定性を手軽に確認でき、計算ミスのリスクを減らせます。
エクセルでカスタマイズが自由
自由に計算式や条件を編集できるため、自社基準や独自設計方針に合わせて柔軟に対応できます。
簡易な操作で初学者でも安心
数式や入力方法が視覚的にわかりやすく設計されており、初めてでも安心して使い始められます。
繰り返し計算で比較検討に便利
条件を少しずつ変えて再計算が容易にできるため、最適な設計案を効率的に見つけることが可能です。
コストをかけずに設計品質を向上
無料で使えるため、ソフト購入費をかけずに基本的な設計業務の品質向上を図れます。
図やグラフで視覚的に出力
一部のソフトでは、計算結果を図やグラフで出力でき、説明資料や検討会にも活用できます。
土留め・山留め計算ソフトの用途と活用例
仮設構造物の安定検討
掘削時の仮設支保工に対する土圧・支持力の確認に活用し、安全性を確保します。
設計案の比較と最適化
異なる断面構成や支持条件で複数の案を計算し、コストと施工性を考慮した最適案を選定できます。
発注前の技術検討資料作成
計算結果を基に、発注書類や工事説明資料に添付する検討資料を作成できます。
施工中の設計変更対応
現場状況の変化に応じた設計変更にも、すぐに再計算ができ、柔軟に対応できます。
技術者のスキルアップに
実際の計算式を使いながら構造設計の理解を深める教材としても利用できます。
建設コンサルや協力会社への資料提供
計算書をエクセルで共有し、他社との協議や承認にもスムーズに対応可能です。
土留め・山留め計算ソフト選びのポイント
使用目的に合った計算項目があるか
支保工や矢板、アンカーなど、必要な構造要素に対応しているかを事前に確認しましょう。
入力項目の柔軟性があるか
現場ごとの条件に応じて、土質や荷重条件を柔軟に設定できる仕様かを確認しておくことが重要です。
計算根拠や参考文献が明示されているか
出典不明のソフトは信頼性に欠けるため、根拠となる設計指針や文献の記載があるかを確認しましょう。
日本語対応・単位系に注意
海外製ソフトの場合は単位系が異なることがあるため、国内仕様に合っているかをチェックしましょう。
カスタマイズのしやすさを確認
エクセル形式の場合、数式やレイアウトが編集可能かどうかで、使い勝手が大きく変わります。
利用規約と商用利用可否の確認
商用プロジェクトで使う場合は、無料ソフトでも商用利用が可能かどうか、必ず確認してください。
土留め・山留め計算フリーソフトで施工計画を効率化しよう
土留めや山留めの設計は、建設現場における安全確保とコスト管理の両面で非常に重要です。しかし、複雑な計算や図面作成は手間も時間もかかり、設計者の大きな負担となることもあります。今回紹介した土留め・山留め計算に特化したフリーソフトやエクセルテンプレートを活用すれば、そうした作業の効率化が図れ、設計精度の向上にもつながります。特に、構造形式や支持力、安定計算などの項目を自動で処理してくれるソフトは、経験の浅い技術者にとっても大きな支えとなるでしょう。また、これらのツールは無料で提供されており、初期投資なしで業務の質を高めることが可能です。もちろん、現場条件や計算条件に合致しているかを確認しながらの活用が前提となりますが、手軽に導入できる点や、Excel形式によるカスタマイズ性の高さも魅力です。安全で信頼性の高い仮設構造物を設計・施工するためには、こうしたツールの活用がますます重要になります。業務効率を高めながら精度の高い計画を立てたい建設技術者の方は、ぜひこれらのフリーソフトを積極的に活用してみてください。