SXF変換やSFC変換は、CAD図面を異なる形式に変換する際に欠かせない技術です。図面データの互換性を確保し、正確な情報の受け渡しを実現するために、それぞれの変換手順や確認方法を理解しておくことが重要です。変換後の図面表示、エラーチェック、ラスターデータやレイヤ名の確認など、実務で役立つ操作や注意点も多岐にわたります。
このページでは、SXF変換・SFC変換の基本から応用までを解説しています。

SXF変換・SFC変換は、図面データフォーマット
それでは、図面データフォーマットのファイルの種類と用途別のファイル交換の必要性やその注意点について説明しましょう。
SXFは、土木・建築分野の公的図面データ交換フォーマットの標準仕様です。
国土交通省のCAD製図基準では、納品する書類の電子データのフォーマットは、原則としてSXFファイルになっています。
このSXFファイルの規格には、P21とSFCの2つがあり、P21は納品ファイルの標準フォーマットになっていますが、SFCは一部の公共機関での納品企画です。
また、P21は国際規格ISO10303(STEP)に準拠していますので、国際間のファイル交換も可能です。
土木などの図面はDXFやJWWフォーマットで作られることが多く、そのためSXF変換・SFC変換を行って納品することが多いようです。
しかし、SXFの規格が同じでも、データを作るソフトによっては、細かい点で規格からずれることがあり、官庁では納品データが正しいことを納品前にチェックすることを求めています。
そのため、国土交通省ではSXFブラウザを提供していましたが、OSが古くなったなどソフト環境が変化してきたことから2014年にSXFブラウザの提供を廃止しました。
納品するデータが正確であるためには、SXF作成ソフトが規格に適合していることが必要ですが、その正確さを裏付ける仕組みがOCF検定です。
国土交通省も納品前に、OCR検定に合格したSXF対応ソフトで、納品データを確認することを求めています。
OCF検定でSXFファイルが作られると、規格からのズレはないため、納品前のチェックや手直しの手間を省くことができます。
また、SXFビューアソフトが無料でも公開されているため、納品前のチェックが可能です。
2018年現在、OCR検定に合格したCAD、ビューア、SXF変換、DWG変換・エクセル変換・pdf変換・p21変換などのソフトウェアが、多くの会社から提供されています。
ベクターワークス(vectorworks)のVWXに対応したソフトもあるので、まずは無料ダウンロードから試してみてください。
SXF変換の確認方法
SXF変換が終了したときに、図面ファイルの変換が正しく行われたかは、次の①~⑧の方法で確認できます。
・SXFブラウザによる確認方法。
・SXFデータトランスレータによる変換時の出力エラーログによる方法。
①元の図面を表示・印刷するSXFブラウザによる確認方法
SXFブラウザは、SXF交換されたCADデータの、元のCADソフトウェアで作成された図面データを、表示・印刷するソフトウヱアです。SXFブラウザによって、SXF変換した図面ファイル(P21変換、SFC変換)を確認することができます。SXFブラウザは、CADソフトのように、CAD図面を編集する機能はなく図面を表示する機能とチェック機能を持っています。変換したSXFファイルは、変換後、SXFブラウザで確認することになります。
② SXFプラウザの起動はダブルクリックで
SXFブラウザの起動は、プログラムアイコンをダブルクリックすることで起動します。
③ SXFプラウサ表示の確認とダイヤログがある場合の対処方法
「ファイル」-「開く」から、SXFファイル(P21変換、SFC変換)を選択して、SXFブラウザで図面データの確認ができます。このときに次のダイアログが表示される場合あります。
SXFブラウザでSXFファイルを読み込むと、共通ライブラリAPIルールチェックよるエラー検出、表示データの整合性チヱックを、不整合検出時のメッセージ表示がされます。
「txt.shxが見つかりません。ディフォルトフォントに変換しました」のようなエラーメッセージは、SXF変換ファイル図面がTrueTypeフォントを利用していない場合に表示され、SXFブラウザでの確認のため、一時的にデフォルト・フォントに置き換えたことを示します。このようなときは、ファイル自体の修正ではないため、autocadから、文字フォントをTrueTypeフォントに修正する必要があります。
④ エラーログで初期のエラーも確認しよう
SXF変換ファイルを読み込んだ時点で検出したエラーは、ヘルプメニューから、ファイルを読み込んだ時に、最初に表示されるエラーログと同じものを表示できます。
⑤ 図枠のずれ
表示図面の図枠の正確さを、初めに表示されているかどうかを、目で見て確認します。図枠がずれている場合は、DWGに戻ってレイアウトの設定の修正を行います。
⑥ 作図グループをハイライト表示して確認
SXFブラウザでは、図面上に配置された作図グループをハイライト表示することができます。表示メニューからグループ表示を選択し、作図グループを表示させ、リストボックスの作図グループを選択して、グループの定義状況を確認します。
なお、階層構造を持つ作図グループは、選択された作図グループが、他の作図グループを含んでいるときに、この作図グループに含まれる要素も表示します。
⑦ Defpointsなどのレイヤ名の確認
レイヤ表示切り替え、使用レイヤ名の確認を、SXFブラウザでは可能です。表示-レイヤ表示から、表示レイヤ指定の表示がなされ、リストボックス表示レイヤ名を選択して、指定レイヤ所属要素が確認できます。リストボックスからは、全ての図面指定のレイヤ名が表示されるため、CAD製図基準に準拠しているかどうかが分かります。
Defpointsは、autocad特有のレイヤですが、これが表示されるときは、誤って図形をDefpoints画層に作図している可能性があり、図形の作図ミスやレイヤ名誤りの場合は、DWGに戻って修正し、再度SXF変換することで解決します。
⑧ ラスターデータの確認
図面に含まれるラスターデータを表示させるかどうかを、SXFブラウザでできます。表示-ラスタデータ非表示から、ラスターデータが非表示になります。位置図のラスターデータ画像を含んだ図面ファイルでは、SXFブラウザでは画像が表示できないときに、ラスターデータ保存形式・フォルダ保存位置に問題があり、修正すれば表示できます。
CADファイルのSXF変換
これまでのSXF変換ファイルの変換後の確認を、官庁公式のSXFブラウザで行う方法について、autocadのDWGファイルの変換についてご紹介してきました。autocadは、数多くあるCADソフトの1つであり、CADソフトは色々な種類があり、中にはSXF変換できないCADファイルもある可能性があります。
しかし、ほとんどのCADファイルは相互変換が可能になっていますので、例えばDXF変換、JWC変換、JWW変換、DWG変換することで、SXF変換が可能なCADファイルへの変換が可能です。CADは多くの業種で使用され、CADソフトには無料でフリーのソフトも含まれます。CADソフト通しの仕様の違いから文字化けなどが生じる可能性も高いため、CADファイル変換前に、CADソフトの仕様をダウンロードして確認する必要があります。
同じように、エクセルで作った図面や、pdf図面も、CADへ変換するエクセル変換やpdf変換が可能なソフトが、無料のフリーソフトを含め多くありますので、図形仕様に注意してダウンロードして試用することで、SXF変換が可能になる場合もあります。
SXF変換、SFC変換などを使いこなすコツ
SXFファイルをDWG変換する方法について
CADデータには、jwcad、AutoCAD、vectorworks(ベクターワークス)など様々な種類があります。文字化け等の無いよう、SXF変換、SFC変換、DXF変換、JWC変換、JWW変換、エクセル変換、PDF変換、p21変換に対応したフリーソフトが無料でダウンロード可能です。ここでは、SXFファイルをDWG変換する方法について解説します。
SXFファイルをDWG変換していきます。ここでは、AutoCAD2007に対応した「SXFデータトランスレータ2007」を使用して変換を行います。「SXFデータトランスレータ2007」は、オートデスクのHPからフリーダウンロードできます。インストールすると、AutoCAD2007のメニューバーに[SXF変換]メニューが追加されますので確認しましょう。
SXF変換、SFC変換などをするための変換空間
AutoCADには、「モデル空間」と「レイアウト空間」の2種類があります。「SXFデータトランスレータ2007」を使ってSXFからDWG変換を行う場合にどちらに図面を読み込むか、以下の留意事項を確認しましょう。
・SXFファイルには用紙という概念があります。用紙上に配置された部分図面により異なる縮尺の図面を表現することができます。
・AutoCADのモデル空間には用紙の概念はありません。レイアウト空間には用紙サイズが設定でき、さらにビューポートによって異なる尺度の図面を表現することができます。
・SXFデータトランスレータのSXFからDWG変換でレイアウト空間に読み込むと、SXFの部分図面はレイアウト上のビューポートに変換されます。また、部分図面のオブジェクトはモデル空間に実寸法で読み込まれます。
・ SXFデータトランスレータのSXFからDWG変換でモデル空間に読み込むと、SXFの全てのオブジェクトがモデル空間に変換されます。この時、モデル空間には図面が用紙サイズで読み込まれます。また部分図面はブロックとして読み込まれます。
以上より、SXFからDWG変換を行う場合には、「レイアウト空間」に読み込んだほうがAutoCADでの編集が容易にできます。SXFデータトランスレータでは、基本的には「レイアウト空間」に読み込むのがおすすめです。ただし、SXFの部分図面の位置などにより、レイアウトのビューポートに他の部分図面が表示されるなど、レイアウトに思ったとおりの図面が表示されない場合には、「モデル空間」に読み込むことを試してみましょう。
jwcad、vectorworks(ベクターワークス)などのCADデータを変換する際には文字化け等が起こらないよう注意する必要があります。様々なファイル形式の変換に対応したフリーソフトが無料でダウンロードできますのでご自身のCADデータに対応したものを比較検討してみましょう。
SXF変換、SFC変換、p21変換などの一括変換
実際にSXFファイルをDWGファイルに変換してみましょう。「SXFデータトランスレータ2007」の一括変換機能を使うと、複数ファイルをまとめて変換することができるため非常に便利です。
①[SXF変換]メニュー⇒[一括変換]を実行します。
②ダイアログが表示されたら、[SXF→DWG]タブを選択します。
③SXFファイルリストの[参照]ボタンをクリックし、変換するSXFファイルを選択しましょう。
④一括変換ダイアログに戻り、変換設定:「編集優先でレイアウト空間に読み込み」を選択します。
⑤[読み込み]ボタンをクリックしDWG変換を開始します。
⑥変換が終了すると、AutoCAD Drawingリストに変換されたファイルが表示されますので確認しましょう。
CADデータの変換にはフリーソフトを利用すると便利です。jwcadやvectorworks(ベクターワークス)を文字化けなく変換することができるソフトが無料で入手可能ですのでダウンロードしてみましょう。
各種変換でのレイアウトに読み込んだDWG図面を開く方法
続いて、変換してレイアウト空間に読み込んだ図面を開いてAutoCADで編集します。
①[ファイル]メニュー⇒[開く]を実行し、先程読み込んだファイルを開きます。
②[ファイル]メニュー⇒[ページ設定管理]を実行し、AutoCADのレイアウトの用紙サイズを確認します。SXFからDWG変換されたこの図面は、レイアウトに読み込まれているはずですので確認しましょう。
③SXFファイルの部分図面は、SXFデータトランスレータで「レイアウト空間に読み込み」を行うとAutoCADのレイアウトのビューポートに変換されます。また、部分図面内のオブジェクトはモデル空間に実尺度で読み込まれています。
レイアウト空間の「VIEW」画層を表示オンにして、部分図面のビューポート尺度を確認しましょう。
④モデル空間の確認を行います。モデルタブをクリックし、[表示]メニュー⇒[ズーム/オブジェクト範囲]を実行します。モデル空間には、SXFファイルの部分図面が重ならないように読み込まれています。各オブジェクトが実寸法で読み込まれていることを確認しましょう。
無料で使用可能なjwcadやvectorworks(ベクターワークス)を利用している方がCADデータのやり取りを行う際にはフリーでダウンロード可能な変換ソフトを活用しましょう。文字化けの発生しない、ご自身の使用するCADに対応したソフトが見つかるはずです。
SXF変換、SFC変換、p21変換などの長尺図面の変換
図面によっては、A版サイズでない規格外の長尺図面であることがあります。規格外の用紙サイズのSXFデータをレイアウト空間に読み込むためには、あらかじめカスタム用紙の設定を行う必要があります。
①[ファイル]メニュー⇒[プロッタ管理]を実行します。次にPlottersウィンドウ内の「DWF6 ePlot. pc 3」を選択し、プロッタ環境エディタダイアログで「デバイスとドキュメントの設定」タブを表示します。「カスタム用紙サイズ」を選択し[追加]ボタンをクリックします。
②カスタム用紙サイズー開始ダイアログが表示されますので、「ゼロからスタート」を選択し[次へ]をクリックします。
③カスタム用紙サイズー用紙境界ダイアログが表示されますので、幅と高さをそれぞれ合わせたい長尺図面の寸法に設定し、[次へ]をクリックします。
④カスタム用紙サイズー用紙サイズ名ダイアログで用紙サイズ名を確認します。問題なければ[次へ]をクリックします。
⑤カスタム用紙サイズーファイル名ダイアログで設定されたPMPファイルの名前を確認し、[次へ]をクリックします。
⑥カスタム用紙サイズー完了ダイアログで[完了]ボタンをクリックすることで、カスタム用紙が追加となります。プロッタ環境エディタダイアログの[OK]ボタンをクリックして保存を行い、Plottersウィンドウを閉じます。
⑦設定が完了したら変換したい図面ファイルを変換します。
[SXF変換]メニュー⇒[一括変換]を実行します。ダイアログが表示されたら、「SXF[SFC, P 21]⇒ DWG」タブを選択します。SXFファイルリストの[参照]ボタンをクリックし、変換したい図面ファイルを選択します。変換設定を「編集優先でレイアウト空間に読み込み」に設定し、[読み込み]ボタンをクリックします。
変換が完了したら、[閉じる]ボタンをクリックしダイアログを閉じます。
[ファイル]メニュー⇒[開く]を実行し、先程読み込んだ図面を開き、カスタム用紙サイズのレイアウトに読み込まれていることを確認しましょう。
CADデータにはjwcadやvectorworks(ベクターワークス)以外にも様々な種類があります。無料でダウンロード可能なフリーソフトを比較検討して、文字化け等発生しないよう変換できるソフトを活用しましょう。