このページでは、風圧力計算・耐風圧計算・風荷重計算のフリーソフト・エクセルテンプレートをご紹介しています。
記事の後半では、風圧力計算・耐風圧計算・風荷重計算について、知っておくと役立つ情報を掲載しています。
・風圧力計算と風荷重計算
・耐風圧計算、風荷重計算、風圧力計算における必要壁量
・建築基準法による風荷重計算
・屋外に設置された設備機器の風圧力計算
・風荷重計算における各種パラメータの設定
・足場の風荷重計算
・仮囲いの風荷重計算方法
・フェンスの風荷重計算
風圧力・風荷重計算のフリーソフト・エクセル
風圧力とは、風が建物に影響を与える圧力です。風荷重の計算は、速度圧と風力係数を掛け合わせて計算をします。風圧力の計算は、全ての建物に行わないといけない計算です。風圧力のソフトは、建築基準法施行令第87条の、風圧力の計算をします。フェンスや足場などの風圧計算・耐風圧計算・風荷重計算ができるソフトウェアやExcelのシステムツールもあります。
風圧力 Kさん
建築基準法施行令第87条 風圧力の計算を行う、比較ランキング上位の人気ソフトです。壁面、陸・切妻・片流れ・のこぎり・円弧屋根、独立上屋の風圧力の計算が出来ます。分かりやすい入力画面で直感的に操作できます。閉鎖型及び開放型建物のCpi・フェンスや足場などの風圧計算・耐風圧計算・風荷重計算も求めることができます。
QValue
建築基準法施行令第87条 風圧力の計算を行うソフトです。建築基準法改正に対応しています。速度圧の算定用に開発したものがパワーアップされ、風圧力の算定ができるように改良されました。看板等工作物の柱脚モーメントを計算します。フェンスや足場などの風圧計算・耐風圧計算・風荷重計算も可能なおすすめのソフトウェアです。
建築物 風圧力計算
建築物の構造計算時に使用する、風圧力を計算するソフトです。母屋、胴縁、間柱、耐風梁、小梁等の二次部材の計算ができます。建物の大梁、柱等の計算、閉鎖型・開放型建築物の切妻、片流れ屋根、陸屋根、軒先面、独立上屋、板状建造物の計算ができます。また、フェンスや足場などの風圧計算・耐風圧計算・風荷重計算も可能なおすすめのソフトウェアです。
建築物の風圧力計算
建築物の風圧力、風力係数、角度から勾配係数の計算を行います。風圧力は、建築物が風によって受ける風圧力(Kg/m2)です。地盤面からの高さ H(m)を指定して風圧力計算をします。建築物の部分によって決められた風力係数を、角度から求めます。フェンスや足場などの風圧計算・耐風圧計算・風荷重計算も可能なおすすめのソフトウェアです。
風圧力計算と風荷重計算
風圧力Qwと風荷重Wの算定式
Qw=q×Cf
Qw:風圧力[N/m2]
q:速度圧[N/m2]
Cf:風力係数
Ww=Aw×Qw
Ww:風荷重[N]
Aw:建物見付面積[m2]
速度圧qの算定式
速度圧q=0.6×E×Vo2
E=Er2×Gf
Gf:ガスト影響係数。地表面粗度区分と建物高さより算定します。
Er:平均風速の高さ方向の分布を表す係数
H≦Zbのとき、Er=1.7(Zb/ZG)α
H>Zbのとき、Er=1.7(H/ZG)α
Hは建物の最高高さと軒高の平均とし、Zb、ZG、α、Gfは地表面粗度区分に応じて設定します。
Vo:地域区分に応じた基準風速[m/s](30~46m/s)
風力係数Cfの算定式
Cf=Cpe-Cpi
Cpe:閉鎖型および開放型の建物の外圧係数。屋外から当該部分を垂直に押す方向を正とします。屋根勾配に応じて係数で補間します。
Cpi:閉鎖型および開放型の建物の内圧係数。閉鎖型建物の場合、0または-0.2です。また一般的な住宅はCpi=0とします。室内から当該部分を垂直に押す方向を正とします。
④Cpeの算定
平成12年5月31日建設省告示第1454号に記載の図表より方向や建物形状、屋根勾配等により決定します。
耐風圧計算、風荷重計算、風圧力計算における必要壁量
フェンスや足場と違い、木造住宅で耐風圧計算、風荷重計算、風圧力計算、風圧計算をする際、建築基準法施行令46条では、風圧力に対する必要壁量が定められており、建物の見付け面積に対して、最低限確保しなければならない耐力壁の量があります。この数値を見付面積に乗じて、風圧力に対する必要壁量を求めます。
建物の見付面積の大きさによって、台風などの強い風が建物を押そうとする力に抵抗するために必要な耐力壁の量が決まってきます。このとき、梁間方向の面と桁行方向を逆に間違えてしまうことがよくあるため、注意しましょう。特にソフトを利用する場合には注意が必要です。
また、必要壁量は、建築基準法では、梁間方向と桁行方向の各方向に対して算定します。建築基準法では両方向同時に風圧力を受けることは想定されていません。必要壁量は、各階・各方向で地震力に対する必要壁量と風圧力に対する必要壁量を求め、どちらか大きい方の数値を建物として必要な壁量とし、存在壁量と比較して、存在壁量が必要壁量を上回ることを確認します。
耐風圧計算、風圧力計算、風荷重計算に対する必要床倍率
風圧計算で求めた風圧力に対する必要床倍率は、耐力壁線で囲まれた床区画ごとに下式により求めます。
風圧力に対する必要床倍率=α×l/L×Cw
ここで、l:耐力壁線間距離、L:壁線方向距離L、Cw:風圧力の係数
風圧力の係数Cwは地域によって指定された基準風速Voと階数に応じて設定します。
以上より求められた風圧力に対する必要床倍率と存在床倍率を比較し、風圧力に対する存在床倍率が必要床倍率を上回ることを確認します。また、床は構造の観点から剛床と柔床に分けられます。ただし、建築基準法等により具体的な仕様については示されていません。一般的に、剛床とは、水平構面の剛性が十分確保されており、水平力が作用した際に、各階で耐力壁の水平変位が同じであると仮定できるものをいいます。しかし、木造の床は剛性が低いため、完全な剛床とすることは難しいです。フェンスや足場も同様です。
そのため、品確法では必要な剛性を確保するために、水平構面の剛性を床倍率という値で分類して、必要床倍率を上回ればよいとしています。火打ち材を用いた床の床倍率は、構造用合板などの面材を使用した床と比較して、とても小さくなります。建築基準法では耐力壁の計算の際に剛床仮定を成立させるために、火打ち材の設置を義務付けています。しかし、火打ち材だけでは剛性が低く、床倍率が不足する可能性があります。そのため、安全な建物とするためには品確法による計算を行う必要があります。
建築基準法による風荷重計算
建築基準法で規定される風荷重とは、建築物が風による力を受ける際の荷重を指す。特に屋根や外壁などの構造材に作用する風の圧力を正確に計算することが重要である。この風荷重を計算するためには、次のような項目を考慮する必要がある。
風圧力(W)の計算
風圧力(W)は、以下の式により、風荷重の具体的な数値を求めることができる。
W = qH・Cf・A
ここで
W :風荷重(N)
qH:設計用速度圧(N/m2)
Cf:ピーク風力係数
A :対象とする部位に応じた受圧面積(m2)
設計用速度圧(qH)の計算
qH = 0.6・Er^2・Vo^2
ここで
Er:平均風速の高さ方向の分布を表す係数
Vo:基準風速(m/秒)
設計用速度圧(qH)は、[平均風速の高さ方向の分布を表す係数(Er)]×[基準風速(Vo)]×[0.6]で算出する。
平均風速の高さ方向の分布を示す係数(Er)は、建築物の高さや地表面の粗度(地表面粗度区分)に依存する。
地表面粗度区分には、都市計画区域や海岸からの距離、そして建築物の高さに基づいた分類がある。この分類により、風の速度が建築物に対してどのように変化するかが決まる。
基準風速(Vo)は、各地域ごとに「市・郡」単位で定められており、通常30m/sから46m/sの範囲で規定されている。これにより、地域ごとの風環境が反映される。
平均風速の高さ方向の分布を示す係数(Er)
平均風速の高さ方向の分布を示す係数(Er)は、以下の要素から計算する。
・建築物が立地する地域環境
・地表面の粗度区分
・建築物の高さ(建築物の高さと軒の高さの平均の数値)
地表面の粗度区分
「地表面粗度区分」は、建築物の立地する地域が都市計画区域にあるかどうか、海岸からの距離、建築物の高さなどによって変わってくる。
「屋根等」の(Er)を算出する際には、どの地表面粗度区分であっても「Ⅲ」の数値を使用する。
地表面粗度区分 Ⅰ : Er = 1.7(H/250)^0.10
地表面粗度区分 Ⅱ : Er = 1.7(H/350)^0.15
地表面粗度区分 Ⅲ Ⅳ : Er = 1.7(H/450)^0.20
ここで
Er:平均風速の高さ方向の分布を示す係数
H :建築物の高さと軒の高さの平均の数値(m)
建築物の高さの定義は「最高高さ」から「建築物の高さと軒の高さの平均(H)」へと変更されたことにより、計算の精度がさらに向上する。
「建築物の高さと軒の高さの平均の数値(H)」は、高さ5m以下は5mとする。
「平均風速の高さ方向の分布を示す係数(Er)」は、局部的な地形の影響などにより平均風速が割増される恐れがある場合は、その影響を考慮しなければならない。
設計用速度圧(qH)の計算
設計用速度圧(qH)は次式となる。
地表面粗度区分 Ⅰ : qH = 0.6・{1.7(H/250)^0.10}^2・Vo^2
地表面粗度区分 Ⅱ : qH = 0.6・{1.7(H/350)^0.15}^2・Vo^2
地表面粗度区分 Ⅲ Ⅳ : qH = 0.6・{1.7(H/450)^0.20}^2・Vo^2
ここで
qH:設計用速度圧
H :建築物の高さと軒の高さの平均の数値(m)
Vo:基準風速(m/秒)
ピーク風力係数(Cf)の計算
ピーク風力係数(Cf)は、「ピーク外圧係数(Cpe)」-「ピーク内圧係数(Cpi)」で算出する。
Cf = Cpe - Cpi
ここで
Cpe:ピーク外圧係数。外圧係数は正圧と負圧に分けて計算する。
Cpi:ピーク内圧係数。通常の閉鎖型の建築物ではゼロ(0)となる。
負のピーク外圧係数(Cpe)
負圧のピーク外圧係数(Cpe)は、指定された数値を採用する。
特に切妻屋根、円弧屋根、および帳壁に対する数値が規定されている。
これにより、各屋根形状に最適な風荷重計算が可能になる。
建築基準法による風荷重計算の重要性
建築基準法に基づく風荷重の計算は、建築物の安全性を確保するために不可欠である。適切な計算と設計により、風による損害を最小限に抑えることができる。これにより、居住者の安全と建物の耐久性を持続させることが可能にる。また、建築基準法は地震や他の自然災害に対する対策とも連携しており、総合的な防災設計を実現できる。
風荷重の正確な理解と計算は、建築物の設計者や施工者にとって重要なスキルであり、建築基準法を遵守することで、質の高い建築物を提供することが可能となる。
屋外に設置された設備機器の風圧力計算
屋外に設置される設備機器の風圧力計算は、重要な設計要素の一つである。特に、矩形断面を持つ設備機器に対して適用される風圧力を正確に算出することは、構造の安全性と耐久性を確保するために不可欠である。風圧力の算定は、建築基準法や各種規定に基づき、以下のような方法で行う。
屋外に設置された設備機器の風圧力算定に関するガイドラインに従い、設備機器の設計を行うことで、風によるリスクを最小限に抑え、信頼性の高い構造物を実現することができる。
設計用風圧力(W)の計算
屋外に設置された設備機器(矩形断面)の設計用風圧力(W)は、建築基準法やその他の規定によ
る風圧力算定法と同様に次式により求めることとする。
W = C×q×A
ここに、
W:設計用風圧力 (単位:ニュートン N)
C:風力係数(平成12年建設省告示第 1454 号に従って求める)
q:設計用速度圧 (単位:N/m2)
A:設備機器の受風面積(片面、単位:m2)
設計用速度圧(q)の計算
風圧力算定の基礎となる設計用速度圧(q) は、次の式により求める。
q = 0.6×V0^2×E×I
ここに、
V0:設計用基準風速 (単位:m/s)
E:環境係数
I:用途係数(1.0 以上)
設計用基準風速(V0)の決定
設計用基準風速(V0)は、地域ごとの風況を考慮して、平成12年建設省告示第1454号に基づいて決定する。
環境係数(E)の計算
環境係数(E)は、次の式で計算する。
E = Er^2×Gf
ここに、
Er:平均風速の高さ方向の分布を表す係数(平成12年建設省告示第1454号により決定)
Gf:ガスト影響係数(平成12年建設省告示第1454号により決定)
環境係数(E)を構成する要素である地表面粗度区分やその他の関連定数は、詳細な規定に準拠して算出する。例えば、都市部や平野部などの地表面の性質により風速の変動が異なるため、その影響を正確に考慮する必要がある。
遮へい物の影響
ルーバーなどの遮へい物が設備機器の前面に設置されている場合、風圧力算定においてそれがどの程度風の力を減少させるかを評価することも重要である。この条件下では、算出された風圧力を最大で3/4まで低減させることができる。これにより、設計上の安全性とコスト効率が両立できるようになる。
風荷重計算における各種パラメータの設定
風荷重計算は、建物や構造物の設計において非常に重要な要素である。風の影響を正確に評価するためには、さまざまなパラメータを適切に設定する必要がある。
基準風速、台風時割増係数、瞬間風速分布係数、近接高層建築物による割増係数といった要素を適切に設定することで、設計の安全性と信頼性を高めることができる。また、基本風力係数、縦横比、設置位置による補正係数も重要な要因であり、これらを総合的に評価することで、風からの影響を最小限に抑えた建物設計が可能となる。
設計用風速の設定
設計用風速は、風荷重計算の基盤となる重要な要素である。以下のパラメータを設定して、正確な風速を計算する。
基準風速 (Vo)
基準風速(Vo)は、対象地域における基本的な風速を意味する。これには、過去の観測データや気象庁の公開データを基に決定されます。
台風時割増係数 (Ke)
台風時割増係数(Ke)は、台風や強風時の風速の増加を考慮するための係数である。設計の安全性を確保するために、通常の風速に対して一定の割増を行う。
瞬間風速分布係数 (S)
瞬間風速分布係数(S)は、建物の地上高さzにおける風速の変動を示す。高層建築物では特に重要であり、高さに応じた風速の変化を精密に計算する必要がある。
近接高層建築物による割増係数 (Er)
近接高層建築物による割増係数(Er)は、風の流れに与える影響を表す係数である。隣接する高層ビルや障害物が風の流れを乱し、それによって風速が増加する場合がある。これを適切に評価することで、より精度の高い風荷重計算が可能になる。
風力係数の設定
風力係数は、建物が受ける風圧を計算するための基礎となる値である。具体的には、以下のパラメータを考慮する。
基本風力係数 (Co)
基本風力係数(Co)は、建物の形状や断面積に基づき設定される基本的な風力を示す。特に充実率が1の場合は、建物そのものの風力が計算基準となる。
縦横比 (R)
建物の高さと幅の比率を示す縦横比(R)は、風力計算において極めて重要である。建物の形状が風の流れにどう影響を与えるかを考慮し、風圧の分布を確定する。
設置位置による補正係数 (F)
設置位置による補正係数(F)は、沿岸部や山岳地帯など、特定の地理的条件による風の影響を補正する係数である。風の強さや方向がその場所特有の要素により大きく変わるため、これを考慮することで、より実際的な風荷重計算が可能となる。
足場の風荷重計算
風荷重とは、風によって生じる圧力とその風が当たる面積を掛け合わせた荷重のことを指す。
具体的には、風荷重(Qw)は、風圧力(q)に受圧面積(A)を掛けた値であり、下記の計算式になる。
これにより、建物や足場にかかる風の影響を数値化することができる。
Qw = q×A
足場の風荷重計算の基礎式
足場にかかる風荷重を計算する際には、特定の式を使用する。
この計算式は次の通りであり、設計用速度圧と足場の風力係数が重要な要素である。
足場に作用する風圧力(N) = 地上高さZ(m)における設計用速度圧(N/平方メートル) × 足場の風力係数 × 作用面積(平方メートル)
地上高さ(Z)における設計用速度圧の算出
設計用速度圧は、次の計算式で求められる。
地上高さZにおける設計用速度圧 = 0.625 × 地上高さZにおける設計風速(m/s)
使用する設計風速は、
地上高さZにおける設計風速(m/s) = 基準風速(m/s) × 台風時割増係数 × 瞬間風速分布係数 × 近接高層建築物による割増係数
ここで、設計風速の各係数は、
基準風速(m/s) : その地域での基本的な風速値。
台風時割増係数 : 台風などの特殊な気象条件による風速の増加を補正する係数。
瞬間風速分布係数 : 特定の高さにおける瞬間的な風速の変動を補正する係数。
近接高層建築物による割増係数 : 近隣の建物の影響による風速の増加を補正する係数。
基準風速は地域によって異なり、14m/sから20m/sの範囲で指定されている。
各地域の基準風速は、地域ごとの規定を確認することで把握できる。
台風時割増係数や瞬間風速分布係数、近接高層建築物による割増係数などの補正係数も、地域や条件によって定められている。
足場の風力係数の計算
足場の風力係数は、以下のように計算される。
足場の風力係数 = {第1構面(後踏み側)の風力係数 + 第2構面(前踏み側)の風力係数 + シート、ネット、防音パネル等の風力係数} × 建物に併設した足場の設置位置による補正係数
各構面と防護材の風力係数については、足場の風力係数は、足場自体の構造に加え、保護シートやネット、防音パネルなどの設置がどの程度風の影響を受けるかという点も考慮する。さらに、足場の位置が建物に隣接しているかどうかに応じて補正を行う必要がある。
足場の風荷重計算の重要性
足場の風荷重計算は、工事現場や建設現場での安全性を確保するために非常に重要である。適切に設計された足場は、強風に対しても安定性を保つため、作業員の安全を確保し、作業効率を向上させることができる。これを実現するためには、風荷重計算の各要素とその相互関係を正確に理解し、地域ごとの規定に従って計算を行うことが欠かせない。
足場の風荷重計算は、高度な技術と専門知識を要する作業であり、建設業界において不可欠なプロセスである。この計算に基づいた安全な足場設置が、最終的にはプロジェクトの成功に寄与することになる。
仮囲いの風荷重計算方法
仮囲いの風荷重の計算は、(社)仮設工業会が編纂した「風荷重に対する足場の安全技術指針」に示されている計算式を使用する。この計算式には、様々な条件をもとに風圧力を算出するためのステップが含まれている。
仮囲いの風荷重を正確に計算することで、風圧力に対応した安全な仮囲いの設計が可能になる。この仮囲いの風荷重計算方法は多様な仮囲いの配置や設置条件にも適用でき、足場の安全性を確保するための基本的な計算手法となる。
設計用風速の計算
最初に、設計用風速を計算する。
設計用風速(Vz)は、以下の式から求められる。
Vz = Vo・Ke・S・Er
以下にパラメータを仮定する。
Vz:地上高さZにおける設計風速
Vo:基準風速。今回は中間値の18.0 m/sを採用。
基準風速は、16〜20 m/sの範囲で一般的な地域の数値を使用する。
Ke:台風時割増係数。一般的な地方では1.00とする(九州・沖縄を除く)。
S :地上高さzにおける瞬間風速分布係数。
ここでは1.50と仮定(草原や田園など地上からの高さが0〜5m)。
Er:近接高層建築物による割増係数。
高さ50m以上の建築物が近接していない場合は1.00とする。
これらの数値を式に代入し、設計用風速を求めると、
Vz = 18.0 m/s・1.00・1.50・1.00 = 27.0 (m/s)
設計用速度圧の計算
算出した設計用風速を基に、設計用速度圧(qz)を計算する。
計算式は次の通りである。
qz = 5/8・Vz^2
ここで
qz:地上高さZにおける設計用速度圧 (N/m2)
Vz:地上高さzにおける設計風速 (m/s)
この数値を代入して計算を行うと、
qz = 5/8・27.0^2 = 455.6 (N/m2)
風力係数の計算
次に風力係数(C)を計算する。風力係数は、以下の式で計算される。
C = ( 0.11 + 0.945Co・R )・F
以下のパラメータを用いる。
C :風力係数
Co:基本風力係数(充実率=1)。ここでは2.00を仮定
R :縦横比。ここでは0.58(地上から建設する場合)
F :設置位置による補正係数。独立足場では1.00を用いる。
これらの数値を代入し、風力係数を求める。
C = ( 0.11 + 0.945・2.00・0.58 )・1.00 = 1.21
風荷重の計算
最後に、設計用速度圧と風力係数を用いて、風荷重(P)を計算する。
計算式は次の通りである。
P = Qz・C
上項の計算結果を用いて風荷重を求めると、
風荷重 P = 455.6(N/m2)・1.21 = 551.3 (N/m2)
フェンスの風荷重計算
フェンスの設計において、風荷重計算は非常に重要なステップである。特に強風地域では、フェンスが風の抵抗に耐えられるかどうかを確かめることが不可欠である。以下に、風荷重計算の手順を説明する。
建物の高さと風速
設置対象となる建物の高さと風速を確認する。
建物の高さ H = 3 (m) < 5 (m)
風速 Vo = 30 (m/sec)
地表面粗度区分とガスト影響係数(Gf)
設置場所の地表面粗度区分とガスト影響係数(Gf)を確認する。
地表面粗度区分 Ⅲ
ガスト影響係数 Gf = 2.5 (地表面粗度区分Ⅲより)
高さ方向分布係数の計算
建築物の高さと軒の高さの平均の数値(H)は、高さ5m以下の場合は、5mとする。
高さ方向分布係数 Er = 1.7・(H/450)^0.20 = 0.691
速度影響係数の算出
速度影響係数(E)は、高さ方向分布係数(Er)の2乗に、ガスト影響係数(Gf)を乗じて求める。
速度影響係数 E = Er^2 × Gf = 0.691^2 × 2.5 = 1.19
風力係数の決定
風力係数(Cf) は、「金網その他板状の構造物」に対して1.4と設定される。
高さ方向の補正係数 Kz = 1
風力係数 Cf = 1.4 × Kz = 1.4 × 1 = 1.4
速度圧(q)の計算
速度圧 q = 0.6 × E × Vo^2 = 0.6×1.19×30^2 = 642.6 (N/m2)
風圧力の計算
風力係数(Cf)、受圧面積(A)、速度圧(q)を用いて、具体的な受圧面積を考慮し、最終的な風圧力(Pw)を求める。
風力係数 Cf = 1.4
速度圧 q = 642.6 (N/m2)
受圧面積 A (m2)
風圧力 Pw = Cf × q × A = 1.4 × 642.6 × A = 899.6×A (N)