壁量計算とは?やり方や4分割法、筋交い計算のフリーソフト・エクセル

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このページでは、役に立つ、木造の壁量計算のフリーソフト・エクセルについて紹介しています。jwwを含め、木造建築の壁量計算ソフトの種類がも多く、どれを使っていいかわかりにくいです。
木造n値計算・木造壁量計算・木造構造計算・耐震等級計算・偏心率計算・軸組計算・4分割法・筋交い計算などのソフトウェアやExcelのシステムツール、おすすめテンプレートは沢山あります。そこでここでは、便利に使える、木造の壁量計算のフリーソフトを紹介しています。

また後半の記事では、活用できる壁量計算の情報を紹介しています。
 ・壁量計算とは:地震力と風圧力に対する必要壁量の計算
 ・壁量計算の手順:必要壁量の比較から存在壁量が上回ることの確認
 ・木造の耐震等級計算:壁量計算・4分割法・偏心率による計算法
 ・木造壁量計算や耐震等級計算における壁倍率と耐震性能の考え方
 ・筋交いの計算:水平力の割合に応じた応力の割増し
 ・偏心率の計算:偏心距離、重心、剛心、ねじり剛性

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平屋、2階建ての木造建物の建築基準法施行令、壁量の検討、偏心率の計算を行うソフトです。壁の情報と階の範囲を指定するだけで、壁量と偏心率の計算書が作成できます。壁倍率の色分け、数値確認の両方ができ、モノクロ印刷用に壁を黒にすることもできます。ランキング上位のおすすめツールです。

壁量計算とは:地震力と風圧力に対する必要壁量の計算

 木造構造計算や耐震等級計算では、積雪荷重による軸組計算の他に、地震や台風などの水平力に対して建物が安全であるための最低限の基準として、建築基準法では「構造耐力上必要な軸組等」を定めています。建築基準法では、各階の梁間、桁行方向に耐力壁を設けてバランス良く配置することで、建物がすべての方向の水平力に対して安全であるようにするとしています。4分割法や偏心率計算を行うこともあります。

 また、耐力壁が確実に機能するために、床組や小屋組の隅に火打ち材などを配置して、水平構面の剛性を確保するとしています。さらに、建築基準法の木造壁量計算では、地震荷重と風荷重に対して必要な耐力壁量の最低基準を定めています。

 木造壁量計算では、地震力に対して必要な耐力壁の量が建築基準法で定められています。必要壁量は床面積当たりの壁長さとして、数値が定められています。その数値は床面積と建物重量に比例して大きくなります。つまり、床面積が大きくなるにつれて、また建物が重くなるにつれて必要な耐力壁の量は多くなります。階数が多くなるほど建物重量は大きくなるため、床面積が同じであっても階数が多い建物ほど、より大きな地震力が作用します。たとえば、3階建ての建物の1階の必要壁量は平屋の建物の1階の必要壁量の3倍程度となることがあります。

 一方、風圧力に対する必要壁量は、建物の見付面積に対する数値として建築基準法では定められています。台風などの風圧力に抵抗するために必要な耐力壁の量は、建物の見付面積によって決まりますが、梁間方向と桁行方向は勘違いしやすいため注意しましょう。また、地震力と同様に各方向に対して、梁間方向と桁行方向ごとに必要壁量を算定します。両方向同時に風圧力を受けることは、ここでは考慮しません。

 このようにして各階・各方向で求めた地震力に対する必要壁量と風圧力に対する必要壁量を比較して、大きいほうの数値を採用します。さらに、存在壁量と必要壁量を比較して、存在壁量が上回ることを確認します。

 なお、壁倍率の上限値は、建築基準法では5と定められています。壁倍率が5を超える強い耐力壁を使用すると、床が先に破壊したり、耐力壁の周辺部材が破壊したり、想定外の破壊モードとなることがあるため上限値が定められています。

 また、地震力、風圧力以外にも、積雪荷重による軸組計算、木造n値計算を行う必要があります。4分割法や偏心率計算によりバランスにも配慮する必要があります。

壁量計算の手順:必要壁量の比較から存在壁量が上回ることの確認

木造構造計算や耐震等級計算で地震力および風圧力に対する必要壁量を求める手順は、以下のとおりです。
①見付面積の算定
②地震力に対する必要壁量の算定
③風圧力に対する必要壁量の算定
④各階・各方向で②、③で求めた必要壁量を比較して大きい方を採用
⑤平面図より各階の存在壁量を算定
⑥存在壁量が必要壁量を上回っていることを確認

①見付面積の算定

 風圧力に対する必要壁量算定のため、梁間方向、桁行方向それぞれの見付け面積を求めます。見付面積は、風を受ける垂直投影面積であることに注意しましょう。ただし、見付面積は各階の床面より1.35m以内の部分を除いた垂直投影となりますので注意しましょう。

②地震力に対する必要壁量の算定

 建築基準法で定められた数値より、床面積当たりの必要壁量を求めます。この数値は階数および屋根の種類により異なります。地震力は、風圧力と異なり梁間方向と桁行方向の違いはありませんが、各階ごとに必要壁量を求めます。水平投影面積が階の床面積の1/8以上1/2未満の小屋裏物置などがある場合はその面積を考慮する必要がありますので注意が必要です。

 なお、必要壁量算定の際に使用する重い屋根と軽い屋根の区分は、一般的に下地を含む屋根重量が90kg/m2程度のとき重い屋根、60kg/m2程度のとき軽い屋根とされています。

③風圧力に対する必要壁量の算定

 建築基準法で定められた数値より、見付面積当たりの必要壁量を求めます。特定行政庁が特に強い風が吹くとして定めた区域では50~75cm/m2で特定行政庁が定めた数値とし、その他の区域では50cm/m2とします。風圧力に対する必要壁量は、各階で梁間方向と桁行方向の両方向に対して求めます。

④各階・各方向で②、③で求めた必要壁量を比較して大きい方を採用

 ②、③で求めた必要壁量を比較して大きい方の値を各階、各方向の必要壁量とします。

⑤平面図より各階の存在壁量を算定

 平面図を確認して、各階の梁間方向と桁行方向ごとに存在壁量を求めます。存在壁量は耐力壁の長さ×壁倍率で求めます。

 存在壁量は、まず、梁間方向、桁行方向それぞれの耐力壁の枚数を壁倍率ごとに求めます。その後、梁間方向、桁行方向それぞれの壁の長さを求めます。ここで求めた枚数と壁の長さを乗じることで存在壁量が求まります。

⑥存在壁量が必要壁量を上回っていることを確認

 必要壁量は、各階で梁間方向と桁行方向について、地震力に対する必要壁量と風圧力に対する必要壁量の大きい方の値とします。ここで求めた必要壁量を⑤で求めた存在壁量と比較していきます。

 各階で梁間方向、桁行方向で存在壁量が最も大きな必要壁量をすべて上回ることを確認します。各階で梁間方向、桁行方向で存在壁量が必要壁量を上回ることが確認できたら、その建物の耐力壁の壁量は建築基準法で必要な壁量を満足しているということになります。

 ここで存在壁量が必要壁量を満足しない場合、耐力壁の長さや壁倍率などを見直して、必要壁量を満足するよう再設計する必要があります。

木造の耐震等級計算:壁量計算・4分割法・偏心率による計算法

 木造構造計算や耐震等級計算では、積雪荷重などの荷重による軸組計算の他に、木造N値計算、木造壁量計算を行います。木造壁量計算の際は建物のバランスを崩さないよう壁を配置する必要があり、4分割法や偏心率計算により確認します。

耐力壁の量や配置を木造壁量計算・4分割法・偏心率により計算する

 耐力壁とは、地震や台風などの力に抵抗をするための壁です。使用する材料は筋かい、石こうボード、構造用合板などがあります。耐力壁には、抵抗をする力の強さに応じて、いろいろな種類があります。また、この抵抗をする力の強さのことを壁倍率といいます。

 木造住宅に使用する耐力壁の量や配置は、建築基準法で制限値が決められています。耐力壁の量や配置は木造壁量計算や4分割法や偏心率計算により計算し、制限値を満足していることを確認します。また、耐力壁の幅や高さについては特に制限はありませんが、耐力壁の高さを高くしたり幅を狭くするなど縦に細長い形状とすると、柱脚や柱頭に大きな引抜力が発生することがあるため注意が必要です。

 同じ耐力壁でも、筋かいと構造用合板などの面材では、高さと幅の関係が異なります。そのため、(財)日本住宅・木材技術センターの刊行する『木造軸組工法住宅の許容応力度設計』では、筋かいや構造用合板などの面材による耐力壁の必要幅や必要高さが載っています。

 具体的な例で言えば、筋かいの幅はその高さの1/3.5以上としています。つまり、高さが4.0mであれば必要な幅は1.2m以上ということになります。また、面材の場合は、幅は高さの1/5以上としています。高さが4.0mであれば必要な幅は0.8m以上ということになります。

ソフトを利用して木造壁量計算をする際の壁倍率の注意点

 壁倍率とは、耐力壁の強さを表す数値のことです。壁倍率は、建築基準法に定められたものの他、定められた試験方法によって強度の確認を行い、国土交通大臣が認定したもの等があります。具体的な例として、壁倍率が[1]の場合、長さ1mにつき200kgf(1.96kN)の耐力があるということを表しています。言い換えると、壁倍率[1]とは200kgfの水平力を受けたときに、せん断変形角が1/120rad時のものをいいます。壁倍率[5]の耐力壁の場合、壁倍率[1]の壁の5倍の1,000kgf(9.8kN) の強さということになります。

 なお、壁倍率には上限値があり、壁単独でも組合せた場合でも建築基準法施行令46条で壁倍率[5]が上限値です。従って壁倍率[3]の壁を2枚組合せても壁倍率は[5]となります。

筋かい耐力壁の量や配置を木造壁量計算・4分割法・偏心率により計算する

 筋かい耐力壁とは鉄筋や木材等の軸材を使用した耐力壁のことです。建築基準法施行令45条では、筋かいの材料は鉄筋または木材を使用することとされています。また、構造耐力上主要な部分に使用する木材の品質は建築基準法施行令41条で、節、腐れ、繊維の傾斜、丸みなどによる耐力上の欠点がないものするよう規定されています。木材は鉄筋と異なり、品質がバラツキがあるため、設けられた規定です。

一口に木材といってもたくさんの種類があります。一般的に筋かいに使用される樹種には、スギ、ベイツガなどがあります。そのほかに、木から切り出された製材よりも品質や性能が安定している工業製品である構造用集成材や構造用単板積層材(LVL)を使用することもあります。

 筋かいの壁倍率は、断面寸法によって値が異なります。具体的には、厚さ15mm以上、幅90mm以上の木材を使用した筋かいの壁倍率は[1]ですが、厚さ90mm以上、幅90mm以上の木材を使用した筋かいの壁倍率は[3]となり、壁倍率は3倍となります。つまり、厚さ90mm以上、幅90mm以上の木材を使用した筋かいは、厚さ15mm以上、幅90mm以上の木材を使用した筋かいよりも3倍強いということが言えます。

 ただし、筋かいに、どんなに壁倍率の高い大きな断面の木材を使用したとしても、土台や柱と筋かいを釘や接合金物などで確実に固定しないと、本来の強度を発揮する前に接合部が壊れてしまいます。接合金物の接合方法は平成12年建設省告示1460号一号で定められた方法とします。jwwの図面を確認して間違いのないようにしましょう。

 また、柱頭、柱脚の接合金物は告示で定められた接合方法の他に、木造N値計算によって接合方法を求めることもできます。

ソフトに面材耐力壁を入力する際の注意点

 面材耐力壁とは構造用合板等の面材を使用した耐力壁のことです。面材耐力壁の壁倍率は、使用する面材の種類と仕様によって異なります。具体的には、面材に同じ12mm厚以上の石こうボードを使用した場合でも、真壁の受け材タイプは壁倍率[1.5]、真壁の貫タイプは壁倍率[1]ですが、大壁とした場合は壁倍率[0.9]となり、真壁より小さくなります。同じ面材であっても、壁倍率は大壁や真壁の受け材タイプと貫タイプでは異なるため、よく確認する必要があります。

木造構造計算、耐震等級計算における面材耐力壁の張り方

 面材耐力壁の壁倍率の性能を引き出すために、面材の厚さ・品質や使用する釘の種類・間隔は、建築基準法施行令46条および昭和56年建設省告示1100号の規定を守る必要があります。

 大壁の面材の張り方は2種類あります。一つは土台から胴差まで1枚の3×9版を縦張りにします。もう一種類は3×6版の面材を縦と横で張りますが、面材の継目には、45×100mm以上の胴つなぎを入れ、釘を2列打ちます。

 この他にも、大壁で床勝ちとなる耐力壁もあります。使用する面材は構造用石こうボードA種・B種と石こうボードの3種類です。床下地材の仕様は規定されていませんが、一般的には30×45mm以上の受け材をN75釘で間隔300mm以内に打ち付けます。面材はGNF40またはGNC40釘を間隔150mm以内に打ち付けます。

 真壁には、受け材タイプと貫タイプがあります。受け材タイプは、面材を受け材などに釘打ちします。受け材は厚さ30mm以上とし、幅40mm以上の木材を柱・横架材にN75釘を用いて間隔300mm以内に打ち付けます。面材を打ち付けるのに使用する釘の種類は面材によって異なりますが、間隔は釘の種類によらず150mm以内とします。

 貫タイプは、柱と柱の間に厚さ15mm以上、幅90mm以上の本材を用いて610mm以内の間隔で5本以上の貫を設け、そこに面材を張ります。釘の間隔は、受け材タイプと同様にいずれの面材も150mm以内であり、釘の種類は面材によって異なります。

壁量計算における4分割法

 木造構造計算や耐震等級計算、木造壁量計算では積雪荷重による軸組計算の他に、4分割法による計算を行うことがあります。4分割法とは建物に耐力壁がバランスよく配置されているかどうかチェックする方法です。4分割法の計算法は、平12建告1352号の木造建築物の軸組の設置の基準を定める件で定められています。

 4分割法の確認は偏心率計算により各階の偏心率を計算し、0.3以下であることを確認できれば不要ですが、やや高度な構造計算が必要となります。4分割法は以下のように計算します。

①建物の平面を梁間・桁行方向に4等分割し、その両端部分(側端部分)の存在壁量と必要壁量を求めます。

②各側端部分について、存在壁量/必要壁量が1を超えることを確認します。ここで、存在壁量/必要壁量を壁量充足率といいます。各階各方向の4カ所を確認します。なお、側端部分の壁量充足率が両方とも0の場合は、次の確認を行います。

③壁量充足率が1以下の場合は、小さい方の壁量充足率/大きい方の壁量充足率が0.5以上となることを確認します。ここで、小さい方の壁量充足率/大きい方の壁量充足率を壁率比といいます。ただし、壁量充足率がいずれも0で、側端部分に耐力壁がないものも壁率比を満足するものとします。ただし、建物として木造壁量計算により存在壁量が必要壁量を満足していることは確認する必要があります。

壁量計算による4分割法の注意点

また、4分割法の注意点は以下の通りです。

①建物形状が不整形のとき
下屋などで1階の側端部分の上に2階がない場合、壁量充足率は平屋として検討を行います。このように不整形な建物形状の場合は、建物全体の階数ではなく、側端部分の階数により必要壁量を求めるので、注意しましょう。
また、凹凸があるような平面が不整形な場合でも、整形な建物と同じように4分割とします。

②小屋裏物置などがあるとき
床面積算定において、物置は、ほかの部屋と同様、床面積に算入します。しかし、内法高さが1.4m以下で面積がその階の1/2未満の場合の小屋裏、天井裏などにある物置は、床面積に参入しません。
ただし、階の床面積の1/8以上の場合、壁量計算の際に、次式で求めたaを床面積に加えます。
a=(h/2.1)×A
h:物置の内法高さの平均値(m)
A:物置の水平投影面積
ただし、同一階に2以上の物置がある場合は、それぞれのhの最大の値を採用します。

なお、複雑な形状の建物の場合には偏心率計算を行うことがおすすめです。また、4分割線上の耐力壁は壁量充足率の存在壁量に含むことができます。ただし、4分割線上にある壁でも、壁芯が4分割線より外側にある壁は、木造壁量計算と同様に存在壁量として含むことはできません。

壁量計算による4分割法の計算手順

木造構造計算における2階建て建物の4分割法の計算手順を以下に示します。

①各階・各方向の端から1/4部分に線を引きます
側端部分の範囲内にある存在壁量と必要壁量を算定します。4分割線と耐力壁が重なる場合は、壁量として含めます。ただし、木造壁量計算と同様に壁芯が4分割線より内側にあることを確認します。

②各階の桁行方向の側端部分の存在壁量と必要壁量を求めます。

③各階の梁間方向の側端部分の存在壁量と必要壁量を求めます。

④各階・各方向で存在壁量/必要壁量>1となることを確認します。
壁量充足率=存在壁量/必要壁量>1
各階、各方向で壁量充足率が1を超えていれば検討は終了です。1を超えていない場合、次の検討を行います。

⑤各階・各方向で壁率比≧0.5となることを確認します。
壁率比=小さいほうの壁量充足率/大きいほうの壁量充足率≧0.5
各階・各方向の側端部分に配置された耐力壁の壁率比を求めます。壁率比が0.5以上となることを確認し、各階・各方向で壁率比≧0.5となっていれば検討は終了です。

木造の壁量計算ソフト、導入前と導入後の問題点


では実際に、木造の壁量計算ソフトを使用した企業の導入前の課題、そして使用してみて出てきた問題点についても見ていきましょう。

HOUSE-ST1 : 工務店A

・ソフト導入前の課題
経験の浅いスタッフが多いため、初心者にでもミスなく壁量計算ができる仕組みを作りたい。

・使用して感じたメリット・効果
一番良かったのはマニュアル無しで直感的に操作できたことです。
アイコンにカーソルをかざすだけで説明文が出てきます。
画像付きのヘルプ画面があったりと初心者にも安心の操作感でした。
壁量計算まで指導している余裕はないので、ソフトの活用で業務的にも楽になりました。
品確法の耐震等級にも対応しているので、工務店には重宝するソフトです。

・問題点
1. 「見付面積」の入力画面では、自動計算機能はないのでしょうか。
2. 柱接合部の算定計算において、計算結果「柱頭柱脚の接合部」でNGが出て、接合部記号が表示されません。
3. 算定計算と検定計算も違いがわかりません。

KIZUKURI : アトリエ系設計事務所B

・ソフト導入前の課題
複数名で同一物件の壁量計算をすることも多く、他のスタッフとの計算過程の共有方法を模索していました。

・使用して感じたメリット・効果
構造設計事務所に委託するほどでもない木造住宅や小規模店舗の設計に最適の内容です。
操作も非常にわかりやすくスタッフにも好評です。
壁量や部材などの計算過程を画面で確認しながら作業できます。
その場の入力ミス防止やスタッフ間の情報共有に役立てています。
屋根や金物など、複数案件で使う項目については、テンプレート機能を利用して入力の手間がカットできます。

・問題点
斜め壁に対応していないのがネックです。
斜め壁のプランでの壁量計算には、結局無料のエクセルフリーソフトを使ってしまいます。

木造の壁量計算ソフト、問題の解決策


では実際に、それぞれのソフトを実際に使用して浮上した問題点について、解決策を見ていきましょう。

HOUSE-ST1

1. 見付面積の自動計算
見付範囲を入力することで、見付面積の自動計算ができます。
「見付入力」メニューの「X軸方向(Y面)」「Y軸方向(X面)」で投影面の見付面積範囲を指定できます。
そうすると、投影面からの各種面積を自動計算してくれます。
範囲は、基本的に立面図をなぞることで指定が可能です。

2. 柱脚柱頭接合部について
必要引張耐力が30kNを超えている、またはN値による計算では5.6を超えているため、このような現象が起きています。
柱頭柱脚接合部にデータを追加するか、接合部の引き抜き力が小さくなるように、壁の配置を見直す必要があります。

3. 算定計算と検定計算
梁の算定計算では、入力した梁の材や幅、部位をもとに、設計用応力に対しての許容応力以内かつ必要最低限の梁せいを計算しています。
一方で検定計算では、設計用応力に対して許容応力以内におさまります。
さらに「たわみ」が制限値以内となるかをチェックしているのです。
また、柱頭柱脚の接合部計算においては、金物を配置した際にその配置が安全かどうかを検証しています。
金物の配置が無い場合には、入力された金物から必要最低限の金物を選択する算定計算を行う仕組みとなっています。

KIZUKURI

斜め壁プラン時の計算としては、一旦ダミーの柱を立てて、そのダミーにかかる力を実在する柱に振り分けることで可能となります。

例えば、実在する柱が【X3-Y2】【X4-Y1】、
ダミーの柱を【X3-11】【B-Y1】【B-11】
の3つ立てたとします。

ダミーのある状態で一旦計算をして、
計算結果欄、「3.1.2(1) 固定荷重(G)」の数値を確認します。
【X3-11】がx(kN)、【B-Y1】がy(kN)、【B-11】がz(kN)という数値が出たとして、
次はそれらのダミー荷重を使い

ダミー柱にマイナス荷重をかけて荷重ゼロにする

ダミーの荷重の平均値を、実在の柱に均等に「追加荷重」として振り分ける

という作業を行います。
計算用の荷重は以下の通り。
(x+y+z)/2(実在の柱の本数)×1000(kNをNにするため)

このように、一度斜め壁を直線壁の組み合わせと見立てて計算しています。
また、途中地点の仮想の柱への荷重を平均して分散させて計算してみましょう。
そうすれば、デフォルトの機能だけでも十分に壁量計算を行うことができますよ。

木造壁量計算や耐震等級計算における壁倍率と耐震性能の考え方

 日本の木造建築では、建物の耐震性能を評価するために壁倍率を用いる。特に壁量計算や耐震等級計算では、この壁倍率が重要な指標となる。一般的には、木造壁量計算での壁倍率の上限値は5とされている。しかし、面材と筋交いを組み合わせた壁の壁倍率は場合によっては8を超えることがある。

 壁倍率が5を超える場合でも、木造壁量計算では壁倍率を5に制限して計算する。この制限は、壁の耐力が非常に高い場合には、接合部にも同様の高耐力が求められ、設計が過剰になりがちであるためである。

 一方、木造N値計算では、より現実的な耐震性能を反映するため、実際の壁倍率を考慮して計算を行う。これは、接合部に発生する引張力を正確に算定するためである。例えば、壁倍率が8の耐力壁の場合は、その倍率をそのまま使用して引張力を計算することが求められる。これは、安全側の設計を行うために不可欠である。

 木造建築における壁倍率の理解と適切な計算方法の選定は、建物の耐震性能を確保するために非常に重要である。施設の耐震等級計算や壁量計算を行う際には、それぞれの計算方式の特性を理解し、適切な値を用いる必要がある。

筋交いの計算:水平力の割合に応じた応力の割増し

 筋交いを含む建物の階ごとの応力計算において、各階が受ける水平力に対する筋交いの負担割合(β)に応じて応力を割増す必要がある。この計算では具体的な割増係数が重要である。例えば、筋交いが担う水平力比がβ≦5/7の場合、割増係数は1+0.7βとなる。一方で、筋交いが担う水平力比がβ>5/7の場合、割増係数は最大1.5となる。

 この割り増し措置は、筋交いを組み込んだフレームの応力計算だけでなく、施工令第46条および建築基準法告示第1100号に示された壁倍率を元にした許容せん断力の算出にも適用される。そのため、ルート2の許容応力度等設計を行う際には、筋交いが担う水平力の比率に応じて設計外力を最大1.5倍まで増加させることが求められる。

 また、壁量を基に考えると、必要な壁量も最大1.5倍に増加することになる。これにより、筋交いの冷静な計算と適切な配置が建物全体の耐震性能に大きな影響を及ぼすため、特に慎重に検討する必要がある。

偏心率の計算:偏心距離、重心、剛心、ねじり剛性

 偏心率(Re)は、地震や外力が建築物に作用した際の耐震性能を評価する重要な指標である。建築基準法令第86条の6第二号ロに準拠して、各階の偏心距離を弾力半径で除することで算出される。この数値が大きいと、建物が地震時にねじれ振動を引き起こしやすくなる。偏心率は、建築物の階ごとの剛性バランスや耐震性を評価する際の重要な要素である。地震時に安全性を確保するために、偏心率が0.15以下であることが求められる。

 偏心率の計算は、建物の耐震性能を評価するために不可欠であり、正確な計算と適切な設計が求められる。偏心率が0.15以下であることを確保することで、地震時のねじれ振動を最小限に抑え、安全性を高めることができる。

偏心率の計算方法

 建築物の地上部分における偏心率Reの計算には、以下の式が用いられる。
  偏心率 Re = e/re ≦ 0.15
   e :偏心距離(階の重心と剛心との間の水平方向の距離)
   re:弾力半径(ねじり剛性と水平剛性の比から算出)

 具体的には、以下のように計算する。
  re x = √KR/Σkx
  re y = √KR/Σky
   ここで、KRは各階のねじり剛性、kxおよびkyは水平剛性を示す。

偏心距離の計算

 偏心距離とは、建築物の重心と剛心の間の水平方向の距離である。偏心距離が大きいほど、建物の耐震要素の配置が不均衡であり、ねじれ振動が生じやすくなる。ねじれ振動が発生すると、建物が地震時に大きな損傷を受けるリスクが高まる。

重心の計算

 建物の各階の重心は、耐震性能の観点から重要である。重心は各階の主要な荷重(固定荷重、積載荷重、積雪荷重)が集中する点である。具体的には、各部材に生じる長期荷重とその部材の座標から計算される。この重心位置に地震力が作用するため、建物の耐震設計においては重心の正確な位置を把握することが不可欠である。

剛心の計算

 剛心は、各階の水平剛性の中心点を指す。剛心と重心の距離が遠い場合、地震時にねじれ変形が大きくなる。剛心の位置は建物の耐震性能に直結しており、剛心に作用する水平力がどのように建物全体に伝わるかが重要である。

ねじり剛性の計算

 ねじり剛性(KR)は、建物の各階がねじり変形に対してどれだけ抵抗するかを示す指標である。計算方法は、平19国交告第594号第5に規定されている。具体的には以下の式で表される。
 KR = Σ(kx・Y²)+Σ(ky・X²)
  ここで、
   kx:各部材のX方向の水平剛性
   ky:各部材のY方向の水平剛性
   X :剛心から各部材までのX方向の水平距離
   Y :剛心から各部材までのY方向の水平距離