木造のN値計算のフリーソフト・エクセル

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木造のN値計算のフリーソフト・エクセルテンプレートを紹介するページです。
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また、木造のN値計算のフリーソフト・エクセルなど、知っておくと役立つ情報について解説しています。
 ・木造のN値計算の方法
 ・木造のN値計算の必要性
 ・木造のN値計算から得られるもの
 ・柱頭柱脚金物の種類とその特性
 ・木造のN値計算による柱脚柱頭金物の選定方法
 ・建築基準法の告示に示された表で求める柱脚柱頭金物
 ・木造のN値計算における柱の引抜力と筋交いの向き

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木造のN値計算のフリーソフト・エクセル

N値計算 えぬっち for Excel

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木造在来工法でのN値計算ができます。筋交いおよび構造用合板等を取り付けた柱頭部、柱脚部について算定式を用いた計算法、N値計算法により接合方法を選択するものです。柱と筋交いを入力するだけで、1つの通りの1階と2階の柱のN値計算ができます。木造壁量計算・耐震等級計算・軸組計算にも対応できる、ランキング上位のおすすめソフトウェアです。

N値計算

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木造の金物補強を求めるExcelデータです。筋交いのパターンを選ぶだけで算定式、金物種類が明記されます。このデータのみで確認申請の添付書類に対応できます。建築基準法の改正で、木造建物の金物補強を軽減させる目的で開発されました。積雪荷重や4分割法・jwwにも対応した人気のアプリです。

木造N値計算法

木造N値計算法0 - 木造のN値計算のフリーソフト・エクセル

木造N値計算法を視覚的にわかりやすく表現したエクセルワークシートです。3階建てや4分割法・積雪荷重・jwwにも対応しています。新告示1460号と比較して使うことができます。入力項目にコメントで入っているので、分かりやすく入力を行うことができます。比較ランキング上位のおすすめツールです。

N値計算早わかり

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このシステムは、軸組み形状を選択するだけで、N値計算が簡単に計算できます。エクセルワークシートで計算を行います。書き込みは柱位置のみで、表に自動的に書き込みできます。建築基準法の改正による、木造建物の金物補強を検討する目的としたものです。木造壁量計算・耐震等級計算・軸組計算にも対応したおすすめのテンプレートアプリです。

木造軸組工法の構造計算

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N値法・壁率比・金物選定・水平力精算など、品確法の計算ソフトです。4つのアプリケーションの統合プログラムです。jwwなどの簡易CADによるデータ入力により、部材などのデータを把握できます。JW-CADの外部変形によるデータ入力、伏図・軸組図の出力や4分割法にも対応しています。

木造のN値計算の方法

 木造構造計算や耐震等級計算を行う際は、積雪荷重等による軸組計算の他に、柱頭、柱脚部の接合部の設計が必要です。木造住宅の柱頭、柱脚の接合金物の設計は、2階建て以下の場合、告示1460号の「木造の継手及び仕口の構造方法を定める件」によることができます。同告示の二号に具体的な接合方法が示されていますが、この方法は上下階で同じ仕様の耐力壁が使用されることを前提としているため、実際の架構よりも安全側に評価しています。

 ただし、例外として、同告示には「当該仕口の周囲の軸組の種類及び配置を考慮して、柱頭又は柱脚に必要とされる引張力が、当該部分の引張カを超えないことが確かめられた場合においては、この限りでない」とあります。言い換えると、同告示による仕様でなくても、構造計算にて安全であることを確認できれば、その仕様でよいということになります。しかし、木造住宅のような小さな規模の建物でそのような検討を行うことはあまり一般的ではありません。そのため、より簡単に耐力壁の壁倍率から接合部を設計する方法が、木造N値計算です。

 木造N値計算で接合部を設計すると、先程示した告示1460号の仕様とするよりも、経済的な設計をすることができます。具体的には、ホールダウン金物の数を減らすことができたり、耐力のより小さな接合方法に変更することができます。木造N値計算では、柱に発生する引張力を、その柱の左右に配置されている耐力壁の壁倍率の差から算定します。検討する柱の位置が平屋または2階建ての2階の柱の場合と、2階建ての1階の柱の場合で計算式が異なります。計算においては、柱の両側の壁倍率の差などを考慮し、筋交いを使用する際は補正値を加えます。

 筋交いは、圧縮と引張で効き方が異なるため、補正値を考慮する必要があります。同じ筋交いでも、柱頭部分に接合される筋交いは、柱脚部分に接合される筋交いより高い耐力があるため、柱脚部にはより大きな引張力が発生します。

 一方、木造壁量計算で構造用合板や構造用パネルなどの面材を使用した場合や、たすき掛けの筋交いは、片筋交いのように圧縮と引張での方向性がないため、補正値を考慮する必要はありません。軸組計算では、これらを考慮して算定したN値から、柱頭および柱脚の接合部仕様を決定します。

全ての柱に対する木造のN値計算の意義

 木造建築のN値計算は、その建物の全ての柱に対して行わなければならない。これは、柱頭柱脚金物の適切な選定を行うための基礎的なプロセスであり、柱ごとに詳細な計算を実施することで、建物全体の安定性と耐久性を確保することができるためである。計算方法自体はシンプルで、壁倍率や筋交い、柱の位置(例えば出隅かどうか)を知っていれば容易に算出可能である。

 木造のN値計算を詳細に行うことで、必要最低限の金物で最適な補強が可能となり、不必要な強化を避けつつ、自然な形で柱の強度を高めることができる。

N値の計算:平屋の柱・2階建ての2階の柱の場合

N ≧ A1 × B1 – L
ここで、N:接合部倍率の数値
A1:柱の両側に取り付く軸組の壁倍率の差。筋交いの場合は補正値を考慮。
B1: 出隅の場合0.8、その他の場合0.5
L:出隅の場合0.4、その他の場合0.6

 二階の柱のN値計算式として用いられるのが「N=A1×B1-L」という式である。この式では、A1は該当する耐力壁の壁倍率を指し、B1は周辺部材の押さえ効果係数を示す。Lは垂直荷重の押さえ効果の係数を意味し、重力による垂直方向の荷重が数値化されたものである。また、係数は柱の位置によって異なる。

 出隅の柱は外側に突き出ている部分を指し、その係数は高く設定される。一方、内側に凹んでいる入り隅の場合は係数が低くなる。耐力壁や筋交いの存在を考慮しながら計算を進めることで、最終的なN値を導き出すことができる。

 例えば、出隅の柱は高いN値が得られやすく、ホールダウン金物の使用が推奨される。対照的に、入り隅の柱はN値が低めに出るため、通常は異なる補強方法が選択される。これにより、構造全体の強度分布を最適化し、安全性を確保することができる。

Nの値計算:2階建ての1階の柱の場合

N ≧ A1 × B1 + A2 × B2 – L
ここで、N、A1、B1:①と共通
A2: 柱の直上の2階柱の両側に取り付く軸組の壁倍率の差。筋交いの場合は補正値を考慮。
B2: 出隅の場合0.8、その他の場合0.5
L: 出隅の場合1.0、その他の場合1.6

 一階の柱に関するN値計算式は「N=A1×B1+A2×B2-L」である。ここでのA2とB2は追加の要素で、一階特有の条件を反映している。この計算での重要なポイントはLの数値の違いである。例えば、二階の出隅の柱のLが0.4であった場合、一階の同じ柱ではLが1.0となる。同様に、その他の柱では二階で0.6、一階で1.6と、大きく異なる。この違いは、一階に二階分の荷重が加わるために係数が高くなることによる。

 その結果、係数が大きくなることで、最終的なN値も変動する。一階では二階以上の荷重がかかるため、計算されたN値に基づいて適切な補強が求められる。特定の条件下では、N値がマイナスになることもあり得るが、これは主に壁倍率や筋交いの違いに起因している。

木造のN値計算の必要性

 木造建築のN値計算は、建物の基礎的な強度設計を支える非常に重要なプロセスである。全ての柱に対して実施されるこの計算により、どの部位にどの程度の補強が必要か明確に把握することができる。そして、その結果に基づいて最適な金物を選定し、自然な形で建物の安定性を確保することができる。

 現代の木造建築では、N値計算を通じて効率的かつ確実に構造強化を行うことが求められる。この一連のプロセスをしっかりと理解し、適用することで、安全で耐久性のある木造建築物を実現することが可能となる。また、この計算過程を通じて得られる知識や経験は、今後の建築設計においても大いに役立つことになる。

 木造建築におけるN値計算は、応力の分散と引き抜き力への対策を講じるために不可欠である。木材だけでは対応しきれない力に対抗するために、柱頭柱脚金物の使用が求められる。建築基準法の規定に基づくN値計算により、安全で信頼性の高い木造建築を実現することが可能となる。

柱と梁の応力分散が必要

 木造建築において、大きな応力が発生した場合、その力を適切に柱や梁に分散させることが重要である。特に、柱頭や柱脚に取り付けられる金物は、柱のほぞ抜けを防ぎつつ、耐力壁の性能を最大限に発揮させる役割を果たす。これにより、地震のような横方向の力が加わった際にも建物の耐震性が向上する。

 建物には水平方向の力が加わることが多く、その際には梁が重要な役割を果たす。梁は建物全体を横断して配置されており、地震時にはまず縦揺れが発生し、その後水平揺れが起こる。この水平揺れは建物に大きな影響を及ぼすため、梁がこの揺れを吸収し建物を守る。さらに、柱も梁から伝わる荷重を受け取り、横方向の揺れに対抗する。

 地震時には、建物の各部位に異なる力が加わるため、特定の部分が弱いとその部位が破損し、最悪の場合は建物全体が倒壊するリスクが高まる。これを防ぐためには、柱頭柱脚金物が非常に重要である。この金物は、建物全体が均一に力を分担し、特定の部位に過負荷がかからないようにするために用いられる。結果として、締まりのある結合部が応力を分散し、建物全体の強度を保つことができる。

 このように、柱と梁の応力分散は建物の安全性を確保するために欠かせない要素である。それぞれの部位が適切に力を受け分担することで、建物全体の耐震性が向上し、災害時の被害を最小限に抑えることが可能となる。

引き抜き力への対策が必要

 建物の構造において、柱の接合部に生じる「引き抜き力」は重大な問題となる。この力は地震などの横揺れによって特に顕著に現れ、耐力壁の性能が高いほど強くなる。また、耐力壁の性能が異なる場合、その差異が原因で接合部に大きな負担がかかりやすくなる。

 引き抜き力とは、柱と梁、柱と基礎の接合部分に働く力を指し、この力が大きくなると接合部が引き裂かれる危険性が高まる。そのため、建物の構造を保護するためには、柱頭や柱脚の固定が不可欠である。特に、柱がほぞ抜けしないように対策を講じることが重要となる。

 耐力壁の配置や性能に差がある場合、引き抜き力が増大しやすくなるため、全体のバランスを考慮した設計が求められる。その際には、木造建築のN値計算を行うことで、各接合部分に生じる引き抜き力を定量的に評価し、適切な柱頭柱脚金物を選定することで建物の安全性を向上させることができる。

 また、耐力壁の適切な配置と接合部の強度確保により、建物全体の耐震性能を高め、居住者の安全を守ることができる。引き抜き力への対策は、構造上の安定を維持するための重要な要素であり、しっかりとした設計と施工が求められる。

応力への対応は木材だけでは困難なため

 木造の建物における応力対応は、木材だけでは限界がある。過去の地震では、多くの木造住宅が柱のほぞ抜けを起こし、安全性が大きく損なわれた。耐力壁が弱い場合、それ自身が引き抜き力に耐えきれずに壁が破壊される。新しい耐震基準が導入されたため、この引き抜き力への対応が不完全なものになってしまった。

 木材とわずかな数の金属部品だけでは、このような応力に効果的に対処することは非常に難しい。柱のほぞ抜けを防ぐためには、柱頭柱脚金物の導入が不可欠である。これにより、建物全体の構造が強化され、大きな地震やその他の外部からの力に一体となって耐えることができ、安全性が飛躍的に向上する。

このように、木造建築物の耐震性能を高めるためには、木材だけでなく、適切な補強材料と技術が必要不可欠である。

木造のN値計算から得られるもの

住宅に適した接合方法が明らかになる

 木造住宅のN値計算では、引き抜き力が発生するポイントを計算し、それに基づいた適切な柱頭柱脚金物を選ぶ。例えば、N値が0の場合、かすがいというシンプルな金物で支障はない。一方、N値が1では、かど金物が使用される。

 さらに、N値がそれ以上の場合、羽子板金物、短冊金物、ホールダウン金物などのより強力な金物が必要になる。住宅の各部分において、適切な金物を選定することで、確実な接合作業が可能になる。

 特に重要な接合部には、ホールダウン金物を使用することで高い安全性を確保する。それほど負荷がかからない部分には、かすがいなどの簡易な金物を用いるのが一般的である。また、柱頭と柱脚に関しては、同じ耐力の金物を使用することが基本となる。

 このように、N値計算を行うことで、どの接合金物を用いるべきかが迅速に判断できる。適切な接合方式を選ぶことで、木造住宅の構造的な安定性が確保される。

安全とコストのバランスが取れた補強が実現する

 木造建築における耐震補強は、その妥当性とコスト面での効率が欠かせない。そのため、適切な方法で補強を行うことが重要である。柱頭柱脚金物の選定には、建築基準法の告示に示された表を利用する手段もあるが、これには過剰な補強を引き起こすリスクが伴う。過剰な補強は、建物自体や地盤の状況、老朽化の度合いに応じた最適な対策にはならない。

 一方、木造のN値計算を用いる方法は、必要な補強の具体的な量を明確にできる。この計算手法を通じて、過剰な補強を避けながら、引き抜き力が発生しにくい構造を実現できる。N値計算を取り入れることにより、無駄のない補強が可能となり、コストを抑えつつ、必要な耐震性能を確保することができる。

 また、一概に柱頭柱脚補強を増やすだけで耐震性が十分に担保できるわけではない。建物の劣化、壁の配置や量、地盤の条件など、多くの要素を考慮する必要がある。そのため、総合的な視点で判断することが重要である。

 木造のN値計算を基にした補強は、無駄を省き、コストパフォーマンスを向上させると同時に、安全性を確保する最善の手段と言える。結果として、木造建築の耐震性が適切に強化され、地震時の被害を最小限に抑えることができる。適切な手法を選ぶことで、安全とコストのバランスが取れた耐震工事を実現することができる。

柱頭柱脚金物の種類とその特性

 建築物の構造を安定させるために使用される「柱頭柱脚金物」にはさまざまな種類がある。それぞれ特有の機能と用途があり、適材適所で用いなければならない。耐震性能を向上させ、安全かつ耐久性のある建物を実現するためには、それぞれの金物の特性を理解した上で、最適な部材を選び、施工することが求められる。

かすがい

 かすがいのL字型の金具は、主に柱や梁を接合する際に使用され、木材同士を効果的に結びつける役割を果たす。
 かすがいは、そのシンプルな形状と取り扱いやすさから、簡易的な方法としての接合手段としては優れた性能を持つが、引き抜き力に対する耐久性には注意が必要である。そのため、高いN値を持つ柱や、大きな荷重がかかる部分では使用を避けるべきである。
 特に地震などの大きな外力に対しては、かすがいのみでの耐力確保が難しいとされている。そのため、かすがいは補助的な位置づけとしての利用が一般的である。例えば、小規模で日常的な荷重がかかる部分や補強として使用されることが多い。
 このように、かすがいは木造建築において実用的で価値のあるツールであるが、その限界と特性を理解し、適切に使用することが求められる。

かど金物

 かつてはかすがいが主流であったが、その後、より多機能で強度のあるかど金物が登場し、広く普及するようになった。
 かど金物には、主にL字型やT字型など、多様な形状が用意されている。L字型のかど金物は、主に柱と梁をしっかりと接合するために使用される。T字型のかど金物は、柱と土台を一体化させるのに適している。
 かど金物の接合力と強度については、多くの部材を一箇所でしっかりと固定することができるため、一定の強度を提供することができる。しかし、かど金物だけでは引き抜き力を完全に抑えることは難しく、必要に応じて他の補強材を併用することが推奨されている。
 かど金物の用途は、通常は引き抜き力が生じにくい部分で、柱のほぞ抜けを防ぐために使用される。補強材として使用されることが多く、特に木造建築ではその耐久性と信頼性が評価されている。

羽子板金物

 梁に穴を開けて取り付けられる羽子板金物は、その独特な形状からその名が付けらた。
 羽子板金物は、梁や柱にしっかりと固定され、地震時の揺れにも耐える高い固定力を持っている。
 主に天井部分の梁の接合部に設置され、その形状から一目で確認できるのも特徴である。
 羽子板金物の用途は、主に構造上の要となる部分で使用され、特に地震に対する対策としてその効果が期待されている。

短冊金物

 短冊金物は、その細長い形状から名前が由来している。
 主に垂直または水平に使用され、複数の木材を結びつける役割を持つ。この金物を用いることで、接合部の強度が大幅に向上し、全体の構造が安定する。特に、複雑な接続が必要な部分で威力を発揮する。
 短冊金物は、建築現場や家具製作において、強度と信頼性を確保するために欠かせないアイテムとなっている。

ホールダウン金物

 ホールダウン金物とは、柱と土台を強固に結びつけるための金具である。この装置は、柱、土台および基礎を一体化させることで、建物全体の耐震性能を向上させることができる。
 ホールダウン金物は、引き抜き力を効果的に制御する設計が施されているため、地震などの外力による柱の引き抜きを抑制できる。
 ホールダウン金物は、基礎部分から2階建築の連結部まで幅広く使用され、広範囲の接続用途をもち安定した構造を実現する。特に地震や台風などの自然災害の多い日本では、その信頼性が高まっている。
 2000年以降の建築物では、ホールダウン金物の使用がほぼ標準化された。特に、柱の引き抜きやねじれが懸念される箇所で、その優れた性能を発揮している。この金具の導入によって、より安全で耐久性のある建築が可能となっている。

木造のN値計算による柱脚柱頭金物の選定方法

耐震等級計算では、積雪荷重による軸組計算の他に木造n値計算等により柱の接合金物を選定する必要があります。耐力壁の柱脚・柱頭の接合金物の選定方法は3種類あります。

①告示の表から選定する方法
耐力壁の柱の位置から、告示の表を用いて接合金物を選定します。

②木造N値計算により選定する方法
木造N値計算により壁倍率から簡略的に引抜力を求め、接合金物を選定します。

③構造計算により求める方法
構造計算を行い、柱の軸力を算定し、接合金物を選定します。

①→②→③の順でより詳細な検討となります。従って、計算方法により同じ柱の柱脚・柱頭でも、接合金物の種類が異なります。一般的にはより詳細な検討を行ったほうが、耐力な小さな接合金物を採用することが可能となります。しかし、詳細な検討を行うとその分高度な計算を行う必要があります。そのため、構造計算が不要な2階建て以下かつ延床面積500m2以下の住宅では、①または②の方法により接合金物を選定することが一般的です。

平12建告1460号では、一号に筋かい端部の接合方法、二号に柱脚・柱頭の接合方法、三号にその他の接合方法が規定されています。
柱脚・柱頭の接合金物は、軸組の種類、柱の位置等の組み合わせにより、告示の表から選定します。表以外にも木造n値計算により求めることも可能です。jwwの図面をよく確認して間違いのないようにしましょう。

建築基準法の告示に示された表で求める柱脚柱頭金物

2階建ての建物で壁倍率2.5の構造用合板の面材を用いた耐力壁と、壁倍率2の45×90mmの筋かいをたすき掛けとして壁倍率4とした耐力壁を用いた場合の柱脚・柱頭の接合金物を告示の表により選んでみます。

【A】出隅にある通し柱

①通し柱の柱頭
最上階の出隅にある柱頭に45×90mmの筋かいが取り付く通し柱の接合金物を求めます。告示の表より、短冊金物Sまたは羽子板ボルトSB・Eが採用可能です。短冊金物は外壁側に配置されると下地や仕上材と干渉することがあるため、注意が必要です。

②通し柱の柱脚
2階建ての1階の出隅にある構造用合板耐力壁の取り付く通し柱の柱脚の接合金物を求めます。告示の表より、ホールダウン金物S-HD20が採用可能です。

【B】2階に片筋かい、1階に面材耐力壁とたすき掛け筋かいが取り付く柱

①2階の柱頭
柱の両側に壁倍率2の筋かいが取り付く出隅以外の2階の柱の柱頭の接合金物を求めます。告示の表より、長ホゾ差し込み栓打ちまたはかど金物CP・Lが採用可能です。

②2階の柱脚
①と筋かいの取り付き方以外は同じです。ただし、接合金物を同じ箇所に集中させないためにホールダウン金物S-HD15を採用するとよいでしょう。

③1階の柱頭・柱脚
構造用合板耐力壁とたすき掛け筋かいがとりつきます。構造用合板耐力壁の壁倍率は2.5、たすき掛け筋かいの壁倍率は4.0となります。接合金物は大きい方の壁倍率から選定します。告示の表より、柱頭・柱脚ともホールダウン金物S-HD15が採用可能です。

【C】2階に片筋かい、1階にたすき掛け筋かいが取り付く柱

①2階の柱頭
出隅以外で片筋かいが取り付く2階の柱の柱頭の接合金物を求めます。告示の表より、長ホゾ差し込み栓打ちまたはかど金物CP・Lが採用可能です。

②2階の柱脚
柱頭と同じですが、接合金物を同じ箇所に集中させないためにホールダウン金物S-HD15を採用するとよいでしょう。

③1階の柱頭
出隅以外の1階の柱で壁倍率4のたすき掛け筋かいが取り付きます。告示の表より、ホールダウン金物S-HD15が採用可能です。

④1階の柱脚
告示の表より、2階部分の柱脚金物と同じホールダウン金物S-HD15が採用可能です。

【D】2階と1階で位置が1mずれている柱

①2階の柱
2階と1階の柱の位置のずれが1m以内であれば、2階の柱は1階の柱の直上にあるものとすることができます。告示の表より、かど金物CP・Lが採用可能です。

②1階の柱
2階と同様に直上に柱があるとみなすことができます。告示の表より、柱脚、柱頭ともホールダウン金物S-HD15が採用可能です。

以上に示したような表による選定方法以外にも、木造n値計算により接合金物を選定することができます。金物の選定は手間がかかるため、jwwをよく確認しましょう。

木造のN値計算における柱の引抜力と筋交いの向き

木造構造計算や耐震等級計算では積雪荷重等による軸組計算だけでなく、柱に作用する引抜力と筋交いの向きの関係性を理解することが、木造N値計算を行う上では重要です。

30mm×90mm以上の木材を筋交い材に使用した場合で、通し柱に取り付く筋交いの位置によって、以下の4ケースを考えてみます。
A.筋交いの下端がすべて通し柱に取り付くケース
B.筋交いの上端がすべて通し柱に取り付くケース
C.2階筋交いの下端と1階筋交いの上端が通し柱に取り付くケース
D.2階筋交いの上端と1階筋交いの下端が通し柱に取り付くケース

これらのケースのうち、最もN値が小さくなるのはA.筋交いの下端がすべて通し柱に取り付くケースで、柱脚のN値は0.6となります。
一方、最も大きくなるのはB.筋交いの上端がすべて通し柱に取り付くケースで、2.2となります。
同じ30mm×90mmの筋交いを使用しても、このようにN値が大きく異なるのは、柱に発生する引抜力が、筋交いの向きによって大きく異なるためです。

水平荷重の方向が、柱頭に筋交いの取り付く方向だと、筋交いの引張力によって柱脚には大きな引抜力が発生します。
また、筋交いの上端がすべて通し柱に取り付くケースでは、2つの筋交いによって通し柱に大きな引張力が発生するため、N値は非常に大きくなります。

jwwの図面をよく確認して注意しましょう。4分割法や、偏心率計算以外にも注意する点があります。
管柱は通し柱と比較して、N値は小さくなります。
この理由は、胴差で柱が分断されていることによって、周囲の部材による拘束効果や鉛直荷重による拘束効果が発生するためです。
また、管柱の場合は上下階でN値が異なります。

面材の場合は、水平力の方向による影響が無いため、筋交いと異なり補正値を考慮する必要はありません。
そのため、木造壁量計算では4分割法や、偏心率計算により壁倍率の小さい面材耐力壁をバランス良く配置することで、N値を小さくすることができます。
通し柱に面材耐力壁が取り付く場合、壁倍率の合計を上下階で2.5以下とすることで、N値は1以下となり、経済的な設計ができるとともに、施工性も高まります。

また、N値を0.65以下とすれば、柱頭、柱脚の接合部は長ホゾ差し込み栓打ちとすることができ、接合金物なしとできます。
例えば、柱の両側に取り付く筋交いの向きを全てV型にする、耐力壁の壁倍率を全て2以下とし、柱の両側に取り付く壁倍率の差を小さくする、隅角部など引抜力が大きくなる箇所には壁倍率1.5の筋交い耐力壁を使用するなどの配慮を行えば、使用する接合金物の数を最小限とすることができます。

jwwの図面を見て、このような対策が行えるか確認してみましょう。4分割法や偏心率計算を行うことも建物のバランスに重要です。
なお、通し柱を採用すると、構造計算や施工性において数多くのメリットがあります。
ただし、通し柱は断面欠損があるため、補強を確実に行う必要があります。

建築基準法施行令43条5項には、2階建て以上の建物の隅角部柱や引抜力が大きくなる柱は通し柱とすることとあります。
このような柱を管柱とする場合には、実際に発生する引張力、積雪荷重等による圧縮力を求めて、それに耐えることができる金物を使用した補強を行うことが必要となるため注意が必要です。

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