足場とは?種類や選定の要件、組立手順、法的規制を解説!

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足場とは、建築工事において作業員の足掛かりとなるものです。足場の種類は、大きく分けるとくさび式足場と枠組足場の2つがあります。足場の選定は、設計図書に基づいて足場計画に必要な図面または仕様書などをよく確認することが重要です。建設作業者の安全確保のため、足場には労働安全衛生法、労働安全衛生規則、労働安全衛生法施行令等が施行されています。

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足場の種類 その1

足場とは、建築工事において作業員の足掛かりとなるものです。

足場の種類は、大きく分けるとくさび式足場と枠組足場の2つがあります。

他にも、材料別・構造別・用途別に分けると、以下のようにさまざま種類があります。

材料別
  • 木製の丸太足場
  • 金属製の鋼製足場
  • 軽金属製の足場
構造別
  • 支柱足場(本足場・一側足場・棚足場)
  • 吊り足場
  • ゴンドラのような機械足場
  • ブランケット足場や脚立足場
用途別 外壁工事用(枠組み足場・単管足場・丸太足場・張出し足場)

内装工事用(枠組み足場・単管足場・脚立・馬・移動式足場)

補修用(一側足場分類・棚足場分類・ゴンドラ・その他分類の足場)

 

くさび式足場(くさび緊結式足場・ビケ足場)

くさび式足場は、くさびをはめ込むだけで組み立て可能な、シンプルな足場です。住宅を中心に多用されています。部材の組み合わせのバリエーションが多く、複雑な形状の建物にも対応できます。

部材を差し込み、金属製のハンマーで叩き込んで組み立てていきます。部材のひとつひとつが軽いため人手で容易に組むことができるため、輸送費・人件費を削減でき、低コストかつ短納期で足場を組むことができます。

一方で、強度上の問題で、ビケ足場を使用するのは地上45メートルの建物までとなっており、高層建築物には使用できません。
また、組立時に金属製のハンマーを使用することから騒音が問題になったりします。

枠組足場

枠組足場とは、鳥居やはしごのような型に、溶接してある建枠を使って組み立てる足場のことです。ビディ足場とも呼ばれています。名前は、足場の考案者の名前が由来です。

高層の建物に使うことが多く、部材のひとつひとつが重いためクレーンを使って組み立てが必要になります。

簡単に組み立て可能で強度が高く、中高層建築においてよく採用され、作業できる足場が広いのが特徴です。ただし、ビケ足場に比べるとコストも工期がかかります。組立時にハンマー等を使用しないため、騒音の問題はありません。

単管足場

パイプを使った足場で、スペースがないときによく使用されます。
滑りやすいため危険度も高いですが、コストが安いというメリットがあります。

本足場

本足場分類の丸太足場や単管足場は、建築物の外壁面に沿い、二行の建地を布材で水平につないで、交点と布材の中間に腕木を架け渡します。その上に足場板を重ねて作業床として組み立てます。

枠組み足場(ビディ足場)は、単管足場と同じように鋼管を使っていますが、ベースにはジャッキベースを使い、足場の各層のスパンを鋼管製建わく・布わく・床付き布わくの部材を、はめ込みながら組み立てます。

張出しわく組足場や張出し単管足場などの張出し足場は、地上から建地材を立てること以外に、建築物の途中階の外壁に、鋼製の張出し材を取り付け、単管や枠組み足場を組み立てます。

一側足場

一側足場は、一列の建地材・布材だけで作られる足場です。一側足場に作業床をもたせた足場が、布板一側足場、ブラケットー側足場、くさび緊結式ブラケットー側足場になります。

布板一側足場

布板一側足場は、建地一列の各スパン間に布板を固定し、外側に手すり、内側に壁つなぎを設けた足場で、軽作業用に使用されます。

ブラケットー側足場

ブラケットー側足場は、足場用鋼管を建地と布材に使い、ブラケットを使って足場板を設けて使用する足場で、軽作業用で使用されます。

くさび緊結式ブラケットー側足場

くさび緊結式ブラケットー側足場は、くさび緊結式支柱とくさび緊結式布材を使い、くさび緊結式ブラケットで足場板を設けた足場で、軽作業用に使われます。なお、くさび緊結式足場は、ビケ足場とも称されます。

足場の種類 その2

棚足場

棚足場は、天井面や上部壁面に作業者の手が届くように水平全面に作業床を仮設した足場です。

天井のような内装工事を施工するために、作業者が足場上に立って使用します。

下側には、わく組・単管・丸太の足場で堅固に組み立てられます。

吊り足場

吊り足場は、躯体工事の鉄骨造で使う吊り棚足場は、鉄骨にチェーンやワイヤロープを取り付け、これに吊りげたに丸太や鋼管を格子状に組んで、その上に足場板を敷いた足場です。

吊り枠足場

吊り枠足場は、吊り棚足場よりも安定度が高く、鋼製の二等辺三角形状や矩形状の枠の頂点部分を、鉄骨梁にボルト接合して固定し、底辺部やその延長部に足場板を固定した上で、手すりを取り付けた足場です。

移動式足場(ローリングタワー)

ローリングタワーは、大規模な建設現場などで用いられる、櫓(やぐら)のような形の移動式足場です。
階段付きで、高さが2~4階建てのものが多いです。

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足場選定の要件

足場の選定は、設計図書に基づいて足場計画に必要な図面または仕様書などをよく確認することが重要です。

例えば、建物の種別・構造・階数・建築面積・延面積などから、建物の概要を把握することができます。また、配置図より、敷地に余裕があるかどうか、隣接建物との間に本足場が設置できるか、ー側足場とするか、あるいは途中の階から、張出し足場にするかなどの外壁工事用の足場の計画がたてられます。

足場選定の要件は以下の3つです。

  • 安全性
  • 作業性
  • 経済性

安全性

1つ目は、足場の破壊・倒壊に対する安全性です。足場で事故が起こると官庁による検証が行われ、作業が止まってしまいます。地震などの揺れに対する安全性、作業員の墜落に対する安全性、仮設足場材の落下に対する安全性などへの対策が重要です。

作業性

作業性の良さは足場作業での条件の1つで、作業床面の広さ、作業・通行を妨害する足場材のない構造、無理のない姿勢で作業を行えるような位置に設置された作業床、などが挙げられます。作業性の良さは、そのまま足場の安全性に直結するため、対応が必要です。

経済性

経済性も条件の1つです。架設・撤去が迅速かつ簡単にできること、現場での仮設足場材の加工がないこと、耐用年数の高い仮設足場材を使用すること、などが低コストで足場が構築できる必要な条件です。

単管足場の組立手順

単管足場の組立手順は以下の通りです。

初めに足場が動いたり沈下しないように、地面の上に敷板を設置し、その上に、単管ベースと言う底が平面になった金具を立て、その上に支柱として縦方向の単管パイプを垂直に組み立てます。

単管ベースの代わりにジャッキベースを使う場合もありますが、ジャッキベースは、枠組み足場のベースとして用いることがほとんどです。支柱と支柱を連結させるために、根がらみと言う布材が必要になります。

それから、パイプサポートとして、単管パイプ同士を直交クランプと言うジョイント金具で、枠を組み上げていきます。このとき、クランプの締め付けトルクは標準値で均一に締めることが重要で、枠組みの安定性が確保できます。

枠の組み上げが終わったら、足場板を渡して単管に固定します。安全上、地上第一段目の足場板は、2m以下に設置します。建物からの距離や手すりの高さには、規定で決まっているため、設置したら確認が必要です。

建物の外壁から足場の単管までは、壁つなぎで固定し、足場が倒壊防止を図ります。また、筋交いの設置も倒壊防止の措置で、枠外へ斜めに固定して補強します。

建設工事で足場を構築する際に、まず初めに必要なことが、足場組立図を使った計画書の作成です。計画書作成後に発注者にプレゼンと承認を得て、官庁への申請となります。

計画書には、足場材の図面やデータを備えた足場組立図の他に、足場の組立手順や工程表、さらに足場を組立てるときの安全への配慮事項が含まれます。例えば、足場組立中に周囲の作業員や通行車両への安全の取組などが必要です。

足場の法的規制 その1

建設作業者の安全確保のため、労働安全衛生法、労働安全衛生規則、労働安全衛生法施行令等が施行されています。クランプ、パイプサポート、ジャッキベースなどの仮設足場材やチェーンなどには規格が制定されています。また、工事現場付近の通行人のような工事関係者以外の安全確保のために、落下物防止対策などについても基準が定められています。

設置届の提出

労働安全衛生法等により、高さ2m以上の場所で作業を行う場合で、墜落の恐れのある時は足場設置等により作業床を設ける必要があります。また、規則で決められたものについては足場設置時に届出を行う必要があります。

足場設置工事の開始の日の30日前までに所轄の労働基準監督署長に、足場の設置箇所、種類および用途、構造・材質ならびに主要寸法等を記載した届書に、足場組立図および配置図を提出します。

届出の必要な足場

・組立から解体までの期間が60日以上の吊り足場、張出し足場等の足場
・組立から解体までの期間が60日以上、かつ高さが10m以上の枠組足場、単管足場、丸太足場、ー側足場、くさび緊結式足場等の足場

計画作成者の資格が必須

一定規模以上の足場に係る工事について、一定の資格を有する者を計画作成に参画させなければならないことになっています。

「足場の組立て等作業主任者」の選任

規則で定められた足場の組立、解体、変更を行う場合は「足場の組立て等作業主任者」を選任する必要があります。

「足場の組立て等作業主任者」とは、足場の組立等作業主任者技能講習を修了した者です。

選任が必要な足場の種類と規模

・吊り足場、ただしゴンドラの吊り足場を除きます。
・張出し足場
・高さが5m以上の枠組足場、単管足場、単管パイプ足場、丸太足場、ー側足場、くさび緊結式足場等の足場

作業主任者の仕事

事業者は、足場の組立等作業主任者に、以下の内容を行わせる必要があります。
・単管パイプ、クランプ、パイプサポート、ジャッキベース等の材料の欠点の有無の点検、不良品の除去。ただし、解体作業の時は不要です。
・器具、工具、命網および保護帽の機能の点検、不良品の除去。
・作業の方法および労働者の配置の決定、作業進行状況の監視。
・命綱および保護帽の使用状況の監視。

足場の共通規制

各足場の共通の規制事項を以下に示します。

足場の強度

クランプ、パイプサポート、ジャッキベース等の仮設足場材は、著しい損傷、変形または腐食のあるものを使用してはならず、特に足場に使用する木材については、強度上著しい欠点となる割れ、虫食い、節、繊維の傾斜等がなく、かつ、木皮を取り除いたものでなければ使用してはなりません。
また、鋼管足場に使用する鋼管、くさび緊結式の附属金具は、日本工業規格の鋼管を使用することが原則ですが、一定の水準以上のものであれば使用して問題ありません。

仮設足場材の品質に問題がなくても、構造的に丈夫でないと、足場を組み立てた時に構造物全体として強度が不足したり、不安定になったりして倒壊等の原因となるため、足場は丈夫な構造のものでなければ使用してはなりません。

最大積載荷重

作業床の最大積載荷重は足場の構造および材料に応じて、最大積載荷重を定め、かつ、これを超えて積載してはなりません。また、最大積載荷重を定めるときは、安全係数を以下の値以上とする必要があります。
・吊り足場のワイヤロープおよび吊り鋼線:10
・吊り鎖およびフック:5
・吊り鋼帯、鋼材の吊り足場上部・下部の支点:2.5
・木材の吊り足場上部・下部の支点:5
なお、最大積載荷重を定めた時は労働者に周知する必要があります。

作業床の設置

一側足場を除く足場で高さ2m以上の作業場所には、作業床を設置する必要があります。作業床は床材の曲げ応力の確認、幅や隙間の規定、手すりの設置等の措置を行う必要があります。

立ち入りの禁止等の措置

ゴンドラを除く吊り足場、張出し足場または高さが5m以上の構造の足場の組立、解体または変更の作業を行うときは、作業の時期、範囲、順序を作業者に周知、関係者以外の労働者の立ち入りの禁止等の措置を行う必要があります。

点検・補修

強風、大雨、大雪等の悪天候もしくは中震以上の地震または足場の組立て、一部解体もしくは変更の後において、足場における作業を行うときは、作業を開始前に、材料の損傷や脱落、損傷の有無等について点検を行い、異常がある場合にはすぐに補修する必要があります。

足場の法的規制 その2

丸太足場の規制

丸太足場の場合は共通の規制以外に、以下の規制に適合する必要があります。
・建地の間隔、地上第一の布の高さ
・建地の脚部の移動、沈下の防止
・建地の継ぎ足し
・丸太足場の緊結方法
・筋かいによる補強
・壁つなぎおよび控えの設置間隔、使用材料および構造

鋼管足場の規制

・移動式足場を除く足場の脚部は、クランプ、パイプサポート、ジャッキベース等で足場の滑動または沈下を防止するための措置を行う必要があります。
・移動式足場は脚輪を確実に固定し、クランプ、パイプサポート、ジャッキベース等で足場の一部を堅固な建設物に固定等します。
・鋼管接続部および交差部は適切なくさび緊結式金物、クランプ等の附属金物を使用して確実に接続します。
・筋かいで補強します。
・一側足場、ブラケット足場、本足場、張出し足場は壁つなぎまたは控えを設置します。
・架空電線に近接するときは、架空電線の移設、絶縁用防護具の設置等を行います。

単管足場・単管傾斜足場の規制

鋼管足場規格に適合した仮設足場材を用いた単管足場・単管傾斜足場は、(1)の規定以外に以下の規定があります。なお、これらの規定は適切な検討、対策が行われた場合にはこの限りではありません。
・建地の間隔は、けた行方向を1.85m以下、はり間方向は1.5m以下とします。
・地上第一の布は、2m以下の位置に設置します。
・建地の最高部から測って31mをこえる部分の建地は、鋼管を2本組とします。
・建地間の積載荷重は、400kgを限度とします。

枠組足場の規制

鋼管足場規格に適合した仮設足場材を用いた枠組足場は、(1)の規定以外に以下の規定があります。
・最上層および5層以内ごとに水平材を設置します。
・はりわくおよび持送りわくは、水平筋かいその他によって横振れを防止します。
・高さ20mを超えるときおよび重量物の積載を伴う作業を行うときは、使用する主わくは高さ2m以下のものとし、かつ、主わく間の間隔は1.85m以下とします。

吊り足場の規制

吊りだな足場、吊りわく足場等は、次の構造上の基準と使用上の基準に適合する必要があります。

  • 吊りワイヤロープは、素線の10%以上が切断していないもの、直径の減少が公称径の7%を超えていないもの、キンク、著しい形崩れ、腐食がないものとします。
  • 吊り鎖は、5%を超える伸びがないもの、断面直径の減少が10%を超えていないもの、亀裂がないものとします。
  • 吊り鋼線および吊り鋼帯は、著しい損傷、変形または腐食のないものとします。
  • 吊り繊維索は、ストランドの切断、著しい損傷、腐食のないものとします。
  • 吊りワイヤロープ、吊り鎖、吊り鋼線、吊り鋼帯または吊り繊維索は、その一端を足場けた、スターラップ等に、他端を突りょう、アンカーボルト、建築物のはり等にそれぞれ確実に取り付けます。
  • 作業床は、幅40cm以上とし、かつ、すき間がないようにします。
  • 床材は、転位し、または脱落しないように、足場けた、スターラップ等に取り付けます。
  • 足場けた、スターラップ、作業床等に控えを設ける等動揺または転位を防止します。
  • 棚足場は、けたの接続部および交差部は、鉄線、継手金具または緊結金具、くさび緊結式金具等を用いて、確実に接続します。

足場を安全に運用するには

足場の種類は鋼管の用い方で決まる

足場は鋼管を組み合わせて作ります。
鋼管の用い方により、ビケ足場や単管足場、ビディ足場があります。
他に、吊り足場や朝顔など用途に応じた種類があります。
クサビ緊結式足場とも呼ばれるビケ足場は、クサビを用いて足場の緊結部分を固定し組み立てます。
ビディ足場は、枠組足場ともいい、建枠やジャッキベース、手すり等の部材を組み合わせる足場です。
比較的大規模な現場で使用頻度が高いのは、ビディ足場です。

足場の防災対策として具体的に求められることは

建設業で発生する事故の20~30%は、転落・墜落災害です。
足場による事故で亡くなる人は、相当な数にのぼります。
建設現場の足場工事は、所轄労基署への足場計画の届出・承認が法律で義務づけらています。
発注者へ説明を行い、安全面を含めた工事計画の承認が必要です。

災害を起こさないために重要なことは
・足場の構築手順や足場上での作業要領を、全作業員に理解させる。
・KYKなどで安全意識を常に高める。
・周囲の作業員への落下物に対する安全確保。
・建築現場周辺を行き交う歩行者や車両への安全配慮。