地盤支持力とは?基礎形式ごとの計算方法と設計の考え方を解説!

excavator 1178241 1920 - 地盤支持力とは?基礎形式ごとの計算方法と設計の考え方を解説! 基礎工 ソフト

地盤支持力とは、地盤が建物の重さを支える力のことで、建物の安全性や基礎の設計において非常に重要な指標です。
適切な支持力の把握は、不同沈下や倒壊といったリスクの軽減に直結します。
計算方法にはさまざまな手法があり、基礎の種類や地盤改良の有無によっても異なります。
直接基礎やべた基礎などの形式に応じた断面算定の流れや、地盤改良工法ごとの計算の考え方も理解しておく必要があります。
このページでは、地盤支持力の計算方法と基礎形式ごとの設計ポイントについて解説しています。

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地盤支持力計算・地耐力計算・地盤改良計算のフリーソフト・エクセル
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基礎工・地盤支持力の計算や評価の項目

基礎工とは、土木構造物や建築構造物等の基礎の種類、直接基礎や杭基礎などを称することです。また、地盤支持力の計算とは、土木・建築構造物等の建物の荷重によって地盤が破壊しないような強度、許容支持力を求めるものです。
基礎の種類には、直接基礎、べた基礎、杭基礎などがあります。直接基礎では、地盤の上に直接基礎を設けます。べた基礎は、基礎の立上りだけの布基礎と異なり、底板一面が鉄筋コンクリートになっている基礎のことをいいます。杭基礎では、地盤が緩い場合、強固な地盤まで建築構造物を杭で支持することになります。
基礎工・地盤支持力の計算、直接基礎・べた基礎の計算は、このような基礎選定に対して、次のような計算や評価を行います。
・地盤許容応力度、地耐力の計算
・沈下量の計算
・直接基礎の許容鉛直支持力の計算
・地盤改良層厚の検討
・即時沈下、側方変位量の計算
・直接基礎の安定計算
・地盤種別の計算
・直接基礎の支持、滑動、転倒の照査
・建築物べた基礎の接地圧の検討
・基礎スラブ、基礎梁の配筋計算

色々な計算式があるので、ソフトウェアを使って行えば間違いもなく、手計算と比較すれば時間も大幅に短縮できます。
エクセルテンプレートやひな形(雛形)、エクセルフォーマットは比較的簡単に扱えます。
さまざまなソフトウェアがあるので、比較しながら試してみてください。

基礎工・地盤支持力・直接基礎・べた基礎の計算

基礎の安定計算は、支持、転倒、滑動について検討します

基礎の安定計算、地盤支持力計算は、支持、転倒、滑動について検討します。滑動について、直接基礎底面におけるせん断地盤反力は、基礎底面地盤の許容せん断抵抗力を超えてはいけません。安定した支持層が表層近で確認できるケースでは、根入れ部分に水平荷重を分担させてもよいとされています。水平荷重は、基礎底面地盤のせん断地盤反力のみで抵抗させるものとします。直接基礎の根入れ部に水平荷重を分担させる際には、その水平反力は、地盤の許容水平支持力を超えてはいけません。

直接基礎に作用する荷重合力の位置は、地震時には底面幅の1/3以内とします

転倒について、直接基礎に作用する荷重合力の作用する位置は、常時には底面の中心より底面幅の1/6以内、地震時には底面幅の1/3以内とします。鉛直荷重は、基礎底面地盤の鉛直地盤反力のみで抵抗させます。支持について、直接基礎底面における鉛直地盤反力は、基礎底面地盤の許容鉛直支持力を超えないようにします。基礎工の設計と荷重分担について検討が必要です。直接基礎は、構造物の重さが比較的軽いケース、良質な土層が地表近くに確認できるケースに、構造物を直接その上に支持させる基礎をいいます。直接基礎の変位は、許容変位を超えてはいけません。

地盤支持力の計算についての詳細ガイド

地盤の支持力は建築物の安定性を確保するために重要な要素であり、適切な計算が求められます。ここでは、簡易支持力測定器「キャスポル」を用いた地盤支持力の計算方法について、詳細に説明します。

キャスポルを用いた地盤支持力の計算は、簡易かつ正確に地盤特性を評価するのに非常に有効です。適切な測定と計算を通じて、建物の安全性や耐久性を確保するための基礎設計に役立てましょう。

キャスポルを用いた土質の範囲

キャスポルは地盤の支持力を測定するための簡易測定機器です。この測定器を使用できる土質の範囲は、最大粒径が37.5 mm以下で、かつ粒径10 mm以上の礫を30%以上含まない土質材料です。この範囲内であれば、キャスポルで精度の高い測定が可能です。

許容地盤支持力(qa)の算出方法

キャスポルを使用して地盤の許容支持力を算出するには、キャスポルで得られる「せん断抵抗角(φ)」および「粘着力(c)」のデータ、さらに国土交通省告示第1113号および建築基礎構造設計指針に示されている「極限支持力算出式」を利用します。以下に、砂質土地盤と粘性土地盤に分けて、詳細な計算方法を解説します。

砂質土地盤の許容地盤支持力(qa)の計算

砂質土地盤におけるキャスポルの測定データを用いる場合、以下の条件を適用します:

1. 粘着力(c)は、0とする。
2. 地盤面から基礎底面までの土被りがない(Df=0)ものとする。
3. 基礎底面に作用する荷重は、傾斜や偏心がないものとする。

この条件を基に、砂質土地盤の許容支持力を計算します。これにより地盤の強度と安定性について正確な評価が可能となります。

粘性土地盤の許容地盤支持力(qa)の計算

粘性土地盤でキャスポルの測定データを用いる場合、以下の条件を加えます:

1. せん断抵抗角(φ)は、0とする。
2. 地盤面から基礎底面までの土被りがない(Df=0)ものとする。
3. 基礎底面に作用する荷重に関して、傾斜や偏心がないものとする。

これにより、粘性土地盤の許容地盤支持力を具体的に算出することが出来ます。

地盤支持力計算の重要性

地盤支持力の正確な計算は、建物全体の安全性や耐久性に直結します。地盤の種類や状況に応じて適切な測定方法を選択し、それに基づいて正確に算出する必要があります。キャスポルのような測定器を活用することで、迅速かつ正確に地盤の特性を把握し、安全な設計に役立てることが可能です。

地盤設計における他の考慮事項

地盤支持力の計算だけでなく、以下の点も考慮することが重要です:

1. 地盤改良 : 必要に応じて地盤を安定化させるための改良工事を行う。
2. 水分の影響 : 地下水の影響を考慮し、排水対策を講じる。
3. 地震の影響 : 地震時の地盤の動きや液状化のリスクを評価する。

これらの要素を総合的に検討することで、地盤の安全性を高めることができます。

地耐力の計算方法とその確認手順

地耐力は、建築物や構造物を建てる際に非常に重要な要素です。地耐力は地盤の強度を示し、通常はkN/㎡で表されます。この地耐力の値は、現場での検査や試験を通じて確認が必要です。以下では、地耐力の算出方法とその確認の手順、さらに地耐力に影響を与える要素について詳しく説明します。

現場での地耐力の確認

地耐力を確認するためには、平板載荷試験などの現場試験が行われます。平板載荷試験の具体的な手順は以下の通りです。

試験準備
試験を行う地点で想定されている支持層の上に、直径30cmの鉄板を敷設します。

テスト装置の設置
鉄板の上に反力装置やジャッキを取り付け、さらに架台を組み立てます。

重量の設置
架台の上に重量物、主にバックホウなどの重機を載せます。

測定
時間の経過とともに地盤の強度を測定し、地耐力の値を算出します。

この試験により、実際にその場所での地盤の強度、地耐力を確かめることができます。

地耐力の算出要素

地耐力の算定には、主に以下の3つの要素が考慮されます。

荷重の分散効果
荷重の分散効果とは、荷重が地盤にどのように分散されるかを示します。基礎の面積が大きいほど、荷重が広範囲に分散されるため、地耐力も高くなります。特に基礎の形状や幅はこの効果に大きく影響します。大型の基礎ほど地耐力が高くなるのです。

土の粘着力
粘着力(C)は、土の粒子間に働く力で、特に粘性土では重要な要素です。粘着力が大きいほど地耐力も向上します。これは、n値とも関連しており、n値が高い地盤は粘着力も高い傾向があります。n値は地盤調査で得られる地盤の強度を示す指標で、この値が高いほど地耐力は増加します。

土の土被り厚
基礎が地表に置かれている場合と土中に埋められている場合では、地耐力が異なります。土中に基礎が埋められていると、その上に載せられた土が追加の支持力を提供するため、地耐力が向上します。これにより、基礎の埋設深さも重要な要素となります。

地耐力計算の重要性と実務的な対策

建築や構造物の安全性を確保するためには、地耐力の適切な算出が不可欠です。地耐力が不足していると、地盤沈下や構造物の傾きなどの問題が発生する可能性があります。そのため、地盤調査と試験を適切に行い、得られたデータに基づいて設計を行うことが求められます。

新築や改築を考える際には、専門の地盤調査会社や構造設計士に相談することが推奨されます。地耐力の確認とその対応策は、長期的な安全性と安心をもたらす重要なプロセスです。

このように、地耐力の計算とその確認手順について理解することは、建築設計の基本となります。関連する知識を深め、安全で堅固な建築物を実現するための一歩を踏み出しましょう。

地盤改良工法の種類

地盤改良工法にはさまざまな種類があり、その中でも特に知られているのが表層改良工法、柱状改良工法、小口径鋼管工法の3つです。これらの工法はそれぞれ特徴と適用範囲が異なり、特定の地盤条件や建築物の規模に応じて使い分けられます。

地盤改良工法の選択は、地盤の特性や建築物の種類、工期と費用のバランスなど、さまざまな要素を考慮して行われるべきです。適切な工法を選ぶことで、安全かつ効率的な建設が可能となります。例えば、比較的小規模な建築の場合は表層改良工法が適していることが多いですが、高層ビルや重荷重を支える必要がある構造物には、柱状地盤改良工法や小口径鋼管工法が選ばれることが多いです。

地盤改良にはそのほかにも多くの手法が存在し、地域や土地の特性に応じて最善の選択が求められます。このように多岐にわたる地盤改良工法の理解と選定は、安全な建設活動の基盤を築く上で非常に重要です。

表層改良工法

表層改良工法は、主にセメント系の固化材を現地の土と混ぜ合わせて固める手法です。この工法は特に地盤の軟弱層の厚さが2メートル以内の場合に効果的です。具体的には、地表近くの浅い地盤を固化することで、その部分の強度を上げることができます。

メリット
施工が非常に簡単であるため、工期が短くて済む
工事費用が比較的少額で済む
高い効率性を持つ

デメリット
地盤の深層部分には適用できない
軟弱層が厚い場合には効果が限定的

柱状地盤改良工法

柱状地盤改良工法は、小規模から中規模の建築物に適した地盤改良手法で、セメント系固化材をスラリー状にし、土と混合攪拌させて柱状の改良体を地中に築造します。これにより、建物の荷重を支える役割を果たします。

メリット
地盤の支持力を大幅に向上させる
標準的な住宅や中規模の商業施設にも適用可能
特定の地質条件に対して非常に効果的

デメリット
施工には専門的な技術と機材が必要
工期が表層改良工法に比べてやや長くなる

小口径鋼管工法

小口径鋼管工法は、鋼管を地中深くまで(最大で約30メートル)貫入させ、建物の荷重を支える手法です。この工法は特に地質が悪い場合や支持層が深く、他の工法では対応が難しい場合に採用されます。

メリット
砂質土地盤や粘性土地盤にも対応可能
高い支持力を提供し、重荷重を支えることができる
適用範囲が広く、非常に多用途

デメリット
工事費用が高め
深度が深い場合、施工が複雑で工期も長引く

地盤改良計算に関する基準書

地盤改良計算は、建築や土木工事において高い精度が求められる重要な工程です。各分野で使用される基準書やガイドラインが数多く存在し、それらは設計から施工、品質管理までの一連のプロセスをサポートしています。以下、特に深層および浅層混合処理工法に関する主要な基準書について詳述します。

地盤改良計算の基準書は、建築および土木工事における設計と品質管理のための重要なツールです。各分野で多様な基準書が存在し、それらは地盤の安全性と耐久性を高めるための手引きを提供しています。建築および土木の専門家は、これらの基準書を基礎として、精度の高い地盤改良を実現しています。

建築分野の基準(深層・浅層混合処理工法の設計)

建築基準として、主に3つの重要な指針が用いられています。

「2018年版 建築物のための改良地盤の設計および品質管理指針」(日本建築センター)
この指針は、特に2018年にアップデートされたもので、最新の設計及び品質管理の方法を詳しく記述しています。また、改良地盤の設計と施工の実践的な手引きとして、多くの専門家に採用されています。

「改訂版 建築物のための改良地盤の設計及び品質管理指針」(日本建築センター)
改訂版では、建築技術の進展に伴い、さらなる詳述が加えられました。特に品質管理に関する部分は、従来よりも厳格な基準が取り入れられており、より確実な地盤改良が可能となっています。

「建築基礎構造設計指針」(日本建築学会)
日本建築学会が発行しているこの指針は、建物の基礎設計に関する詳細なガイドを提供しており、深層・浅層混合処理工法に特化した内容も含んでいます。

土木分野の基準(深層混合処理工法の設計)

土木工事においては、地盤改良に関する複数の基準が存在します。特に深層混合処理工法に焦点を当てた以下のマニュアルや指針が重要です。

「陸上工事における深層混合処理工法設計・施工マニュアル」
このマニュアルは、陸上工事での適用を前提としており、設計から施工への一貫したガイドラインを提供しています。実際の施工現場での具体的な手法や注意点が詳細に述べられています。

「道路橋示方書・同解説Ⅳ下部構造編」(日本道路協会)
ここでは、道路橋の下部構造に関する基準とその解説が詳述されています。地盤改良の設計や施工における具体的な方法が記載されており、橋梁工事の専門家にとって必携の書です。

「道路橋示方書・同解説 V耐震設計編」(日本道路協会)
耐震設計に特化したこの書は、地震時の地盤の挙動を考慮した設計基準を提供しており、耐震性を重視した地盤改良に関する情報が豊富です。

「道路土工・擁壁工指針」(日本道路協会)
道路土工や擁壁工に関する指針で、特に擁壁設計における地盤改良の重要性と具体的な設計方法が説明されています。

液状化対策に関する基準(深層混合処理工法における液状化対策)

液状化現象に対する地盤改良は、特に震災の影響を受けやすい地域で重要視されています。以下の基準書は、液状化対策に関する重要な情報を提供しています。

「河川堤防の液状化対策の手引き」
河川堤防における液状化対策のための具体的な手引きとして、多くの実践的な例を交えながら説明されています。堤防の安全性を確保するための重要な指針です。

「液状化対策工法設計・施工マニュアル(案)」
こちらのマニュアルは、実際の液状化対策工法に関する設計および施工の具体的な手法を提供しています。暫定段階の案ではありますが、多くの現場での参考資料として利用されています。

表層改良工法の設計と計算手法

表層改良工法は、地盤の安定性や支持力を向上させるために非常に重要な技術です。この手法の効果的な実施には、綿密な設計と詳細な計算が欠かせません。ここでは、いくつかの主要なステップを通じて、表層改良工法の設計計算について説明します。

表層改良工法の設計計算は、多くの複雑な要素が絡み合っており、正確なデータと詳細な計算が必要です。この計算プロセスを通じて、地盤の安定性を確保し、安全で効率的な基礎設計が可能となるのです。

地盤改良深さの決定

地盤改良深さは、地盤内での荷重の分散特性を考慮して設定されます。具体的には、荷重が地盤に与える影響が許容支持力度以下になる深さまで改良を実施する必要があります。このプロセスにより、地盤の持つ支持力が適切に活用されることが期待されます。地盤改良ソフトウェアを使用すると、必要な改良深さを自動的に計算することが可能です。また、手動で特定の改良深さを指定して計算を行うこともできます。

地盤改良幅の決定

地盤改良幅は、基礎底版に作用する荷重の分散角度を考慮し、荷重が及ぶ範囲以上の幅を確保する必要があります。具体的には、計算された改良幅を10㎝単位で切り上げることで、実用的な設計を行います。使用する地盤改良ソフトウェアはこの幅を自動的に計算する機能を持っていますが、設計者が特定の幅を指定して計算することも可能です。

基礎底面の鉛直地盤反力度の計算

基礎の底面における鉛直地盤反力度(p)は、基礎全体に均等に分布する荷重の計算を通じて求められます。これは、有効載荷幅(B-2e)を考慮した上での計算です。この計算結果は、基礎底面に対する具体的な設計に用いられる重要な値となります。

地中での鉛直地盤反力度の計算

地中での鉛直地盤反力度は、直線的な分散を仮定した伝統的な計算手法に基づき求められます。荷重の分散角度θは一般的に30°から35°の範囲で設定されます。これにより、地中でどのように荷重が分散し、地盤に影響を与えるかを正確に予測することができます。

改良底面での鉛直地盤反力度の計算

改良底面での鉛直地盤反力度(q2)は、基礎底面での鉛直荷重合力(V)に改良体上部の土砂重量(V1)と改良体自身の重量(V2)を合計したものから得られます。この合計重量を改良体の有効底面幅Wで除して等分布荷重として算出します。これにより、改良部の底面がどのような荷重に耐える必要があるかを明確にします。

柱状地盤改良工法における設計計算

柱状改良杭、または深層混合改良杭と呼ばれる技術を用いた地盤改良における設計計算方法について詳説します。本解析では「改訂版 建築物のための 改良地盤の設計及び品質管理指針」に基づいて、改良地盤の鉛直支持力を評価します。

地盤改良の許容鉛直支持力の評価

まず初めに、地盤改良の許容鉛直支持力度を計算し、その値が基礎底面における設計接地圧を上回っていることを確認する必要があります。これにより、建物の安定性が確保されます。このプロセスは、地盤改良が所定の基準を満たしていることを保証するための最初のステップです。

改良体に生じる鉛直応力度の評価

次に、改良体にかかる鉛直方向の圧縮応力度を調査します。これは、改良体がその設計許容圧縮応力度を超えないことを確認するための重要な工程です。もし圧縮応力度が許容範囲を超えた場合、改良体が損傷するリスクが高くなります。

地盤改良底面の極限鉛直支持力の計算
改良地盤底面の極限鉛直支持力を算出するためには、スウェーデン式サウンディング試験によるNsw値を使用します。この試験法は、地盤の強度特性を評価するための代表的な方法であり、正確な支持力の算定に不可欠です。

地盤改良の計算深度の仕様
スウェーデン式サウンディング試験の最大深度は10mまでと定められています。これは、地盤の特性が10m以深では大きく変化する可能性があり、そのために信頼性の高いデータを得ることが難しくなるからです。

柱状地盤改良工法における重要な設計要素

柱状地盤改良工法における設計計算は、施工の段階においても慎重に行われなければなりません。施工時の品質管理も含め、適切な材料の選定と施工方法が不可欠です。このため、以下の観点も考慮されるべきです。

地盤改良の設計基準
設計基準は、日本建築学会(AIJ)が制定する「建築物のための 改良地盤の設計及び品質管理指針」に従います。この指針は、改良地盤の設計及び施工品質を適正に保つための基礎資料を提供するものです。

地盤改良の材料特性
改良体に使用される材料の特性も設計計算において不可欠な要素です。使用される材料の圧縮強度や引っ張り強度が十分に評価され、設計に反映されることが重要です。

地盤改良の施工管理

施工管理のプロセスでは、適切な試験とモニタリングが行われ、施工品質が確保されるように取り組むことが必要です。特に、柱状改良杭の直径や深度、配置間隔などが設計通りに施工されることが重要です。

柱状地盤改良工法の設計計算は、ただ数値を算出するだけでなく、現場での実際の施工と密接
に関連し、綿密な計画と管理が求められます。これにより、最終的には建築物の安全性と耐久性が確保されるのです。

小口径鋼管工法の設計と管理ガイドライン

以下の設計と管理ガイドラインを遵守することで、小口径鋼管工法を通じた高品質かつ信頼性の高い施工が実現されます。

地盤改良の設計条件

鋼管の仕様
小口径鋼管工法の設計においては、鋼管の軸径と肉厚が重要な要素です。まず、鋼管の軸径は最低でも14.3 mmとし、肉厚は4.5 mm以上を確保することが推奨されます。加えて、鋼管の長さは2.5 m以上とし、その長さが鋼管軸径の100倍を超えないように設計します。

先端と拡底翼の設計
鋼管の先端部分については、開放型もしくは閉塞型を選択し、その仕様を明確に記入します。また、拡底翼を設ける場合、その直径は鋼管軸径の2倍以内とし、肉厚は12 mm以上を保持します。このようにすることで、鋼管の安定性と耐久性を確保します。

地盤改良の使用材料

鋼管の材質は、JIS G 3444 STK400に準拠した一般構造用炭素鋼鋼管以上の品質を選定します。この材料選定により、耐久性と信頼性の高い工法を実現します。

地盤改良の機械仕様と施工管理

機械の性能
施工に使用する機械の最大トルク値および最大圧入力値が重要です。これらのパラメーターを基に、適切な施工計画を立案します。

記録装置
施工中の管理記録装置については、深度、トルク、給進力などを正確に記録できる機能を持つものを採用します。記録装置が利用できない場合は、打止め管理方法を明確に記述します。

地盤改良の仕上がり品質の確保

許容鉛直支持力の計算
鋼管1本当たりの許容鉛直支持力は、設計計算によって求められた値を適用します。施工後の支持力確認も忘れずに行います。

間隔と打設方法
鋼管の最大間隔は2.0 m前後を目安に設定します。打設方法は回転圧入など、具体的な方法を記入し、使用する手法を明示します。

精度管理
鋼管の鉛直精度を確認するため、管理装置や水平器を利用して厳密な管理を行います。これにより、施工精度が保証されます。

着底管理
着底管理方法として、管理記録装置を用いるほか、杭頭載荷試験や打撃試験も取り入れます。これにより、施工深度が設計基準に達しているかを確認します。

高止まりと芯ずれの対策
設計深度に到達しなかった場合の高止まり対策や、貫入障害物による芯ずれの対応策も明確にしておきます。これにより、予期せぬトラブルに対処できるようになります。

地盤改良・液状化の判定、杭基礎の計算

土砂地盤では、掘削作業に続き、割栗石や砕石で基礎地盤の処理を行います

普通の土砂地盤のケースでは、掘削作業に続いて、割栗石や砕石などを敷き均して基礎地盤の処理を行います。
掘削底面を長時間放置すると、緩みや風化を生じるので、コンクリート打設直前によい基礎底面を出すか、均しコンクリートで被覆を行います。
砂地盤のケースでは、割栗石を砂層に十分たたきつけ、均しコンクリートを打設します。基礎底面の処理について検討を行います。基礎底面は、支持地盤に密着し、十分なせん断抵抗が保持できるように処理します。掘削によって、支持地盤が緩まないように注意します。

基礎底面に設ける突起は、十分に支持地盤に貫入させます。

基礎底面に設ける突起は、割栗石、砕石などを投入した層を貫いて、十分に支持地盤に貫入させます。
締まった砂礫層や岩盤のあるケースでは、割栗石は用いず、地山の緩んだ部分を取り除いて、均しコンクリートを打設します。突起をつける際には、基礎底面における、せん断抵抗が不足するときは、突起を設けて、せん断抵抗力を増大させます。
乱れがあれば、人力で均します。基礎底面の岩盤を掘り過ぎた際には、地山の緩んだ部分を取り除き、きれいに洗浄した後、不陸部分に均しコンクリートを打設します。

場所打ち杭基礎は、コンクリートを打設して杭を造成する工法です

場所打ち杭基礎は、大径の孔を掘削して、鉄筋を建込み、コンクリートを打設して杭を造成する工法です。ケーシングチューブは上下に接続部があり、中間は鋼板製の二重構造になっています。
ボイリングやヒービングの可能性のあるケースでは、孔内に泥水の注水を行います。アースドリル工法では、地表から回転バケット、ドリリングバケットを接続したケリバーを回転させて掘削をスタートします。予想される最大掘削長に6m程度の余裕長さを加えて加工します。
長さは、主に3mで、1~2mの調整管や4~6mの長いものも使用されます。表層ケーシングの設置深さまで掘削し、続いてケーシングを設置します。
ケーシングから下部は、ベントナイト安定液を補給しながら支持層までの掘削を行います。深礎工法は、波形鋼板やライナープレートなどを組み立て、孔壁を保護をしながら人力で掘削を行います。

セメント安定処理工法について

下層路盤のセメント安定処理工法は、現地発生材、地域産材料、これらに補足材を加えたものを骨材とし、これにセメントを添加して処理する工法です。
下層路盤に用いるセメント安定処理路盤材は、中央混合方式により製造することもありますが、一般には路上混合方式によって製造します。
この工法は、セメントの添加により処理した層の強度を高めるとともに、路盤の不透水性を増し、乾燥、湿潤、凍結などの気象作用に対して耐久性を向上させるなどの特長があります。
セメントはポルトランドセメント、高炉セメントなどのいずれを用いてもよいとされています。
骨材のPIがやや大きい場合には、セメント系安定材、固化材を用いた方が効果的な場合もあります。
骨材の粒度範囲は特に規定はないですが、混合や締固めなどの施工性を考慮した場合、ある程度の粗骨材を含む連続した粒度が望ましいです。
PIについても、経済的なセメント量の範囲で所定の強度を得るためには、所要の品質を満たさなければなりません。
骨材の粒度が著しく不良な場合や、PIが大きい場合には、セメント量が多くなり不経済になることがあるので、他の工法も併せて検討するとよいでしょう。

直接基礎、ベタ基礎、置き換え基礎の基礎形式ごとの断面算定の流れ

ベタ基礎

地中梁の配置計画が、ベタ基礎の断面算定で最も重要となり、柱直下に地中梁を設置して耐圧盤を区画するように配置します。大空間があり、1階の柱スパンが大きくなる場合には1枚の耐圧盤面積が大きくなります。耐圧盤面積が過度に大きくなると、耐圧盤の負担荷重が大きくなるため、地中梁を適当に配置し、耐圧盤面積が大きくなりすぎないように注意します。
地中梁の配置計画が完了したら、次に耐圧盤の厚さを検討します。基礎底盤には、建物重量による地反力が作用します。地反力により耐圧盤に曲げモーメントが発生するため、発生曲げモーメントに耐えうるだけの厚さを仮設定します。
耐圧盤の厚さを設定したら、次に地中梁せいの設定をします。地中梁にも耐圧盤と同様に地反力による曲げモーメントが発生します。発生曲げモーメントに耐えうるだけの梁せいを設定します
耐圧盤厚さ、地中梁せいを設定したら、次に発生曲げモーメントに対して必要な鉄筋量を算定します。

布基礎

布基礎の断面算定は、地中梁で耐圧盤を区画すること以外はベタ基礎と共通です。重要なのは、建物重量を支持できるだけの必要なフーチング幅を設定することです。このときには建物重量だけでなく、基礎自重と埋戻し土の重量も考慮します。
フーチング幅を設定したら、次に地中梁せいを設定します。ベタ基礎と同様に発生曲げモーメントに対して設定すれば、通常せん断が問題となることはありません。
地中梁せいを設定したら、次にフーチング厚さを設定します。こちらも発生曲げモーメントに対して設定します。
直接基礎、置き換え基礎の計算は無料でダウンロードできるソフトウェア・アプリやエクセルを利用したフリーソフトのツールを活用すれば、簡単に行うことができておすすめです。
無料でダウンロードできるフリーソフトや、有償で販売されているシステムがあるので、導入前に比較検討する必要があります。おすすめのランキングサイトなどを参考に人気のあるものを選ぶとよいでしょう。

地耐力計算、許容支持力計算、地盤支持力計算と基礎形式の決定

地盤の許容支持力度とは、地盤が支えることができる荷重の許容値のことをいいます。地耐力計算、許容支持力計算、地盤支持力計算で許容支持力度は地盤種別が砂質土か粘性土かによって変わります。砂質地盤の許容支持力度は砂の内部摩擦角より求まる支持力係数により算定し、粘土質地盤の許容支持力度は支持力係数と粘着力により算定します。
また、接地圧とは、建物重量を受けた基礎底面が地面を押す力のことをいいます。この接地圧が支持地盤の許容支持力度以下となっていることを確認する必要があります。接地圧が許容支持力度を上回る場合、基礎形式や基礎底面積、フーチング幅を再度検討する必要があります。
建物重量を受けた基礎の底面により地面を押す力を接地圧といいます。支持層の許容支持力が接地圧以上であることを確認します。NGの場合、基礎形式や基礎幅(フーチング幅)を変更しなければなりません。
内部摩擦角、支持力係数など地盤調査結果を簡単に反映できるエクセルソフト、システム、ツール、アプリがおすすめです。無料でダウンロードできるフリーソフトでも沈下量計算、圧密沈下計算、液状化判定や極限支持力計算ができるものもあります。比較ランキングサイトなどを参考にすると、人気のあるおすすめソフトがわかります。さまざまなexcelシートのテンプレートもあるので比較してみましょう。

ベタ基礎構造計算、標識基礎構造計算、看板基礎計算のベタ基礎設計ポイント

地中梁の配置

ベタ基礎の設計の際には、建物プランを確認しながら、柱直下に地中梁が配置されるように地中梁を耐圧盤に配置していきます。建物内に大空間があり、柱がない場合には耐圧盤の荷重負担面積が大きくなるため注意が必要です。耐圧盤は地中梁で囲まれた区画ごとに荷重を負担するため、負担面積が過大になる場合には、地中梁を適切に配置して負担面積を小さくする必要があります。負担面積の目安は耐圧盤厚さ150mmで15m2、180mmで20m2、200mmで25m2、250mmで35m2程度です。

耐圧盤厚さの算定

地中梁を配置して耐圧盤の区画面積が決まった後、耐圧盤厚さの算定を行います。地反力は耐圧盤底面に支持地盤から等分布荷重として作用します。建物の重量により下向きに作用する力と地面が押し返す力は必ず釣り合うため、地反力と接地圧は同じ値となります。地反力を受ける耐圧盤は等分布荷重が作用する四辺固定スラブとして、地反力による曲げモーメントに対して耐えることのできる耐圧盤厚さを算定します。

地中梁せい算定

地中梁せいの算定は、耐圧盤と同様に地反力による発生曲げモーメントに対して行います。地反力を受ける地中梁は亀の甲の荷重分布を受ける梁として断面算定を行います。地中梁端部の支持条件により曲げモーメントの値が変わるため注意が必要です。断面算定自体は耐圧盤のときと同様です。
ソフトウェアに入力する前にこれらに注意するようにしましょう。ダウンロードできるシステム、ツール、アプリによっては置き換え基礎の沈下量計算、圧密沈下計算、また杭支持力計算での極限支持力計算や液状化判定に基づいて地盤改良計算が行えるものもあり人気です。ランキングにはexcelテンプレートもありますので比較してみましょう。