配管継手は、配管同士を確実に接合するために欠かせない部品です。塩ビ管継手やDV継手をはじめ多種多様な種類が存在し、用途や施工条件に合わせた選定が求められます。
塩ビ管継手は耐腐食性と施工性で広く使われ、規格と形状がそろっています。また、支持金物の適切な選択とCAD図面の活用によって、正確な配管設計とスムーズな工事を実現できます。
このページでは、配管継手と支持金物の選定ポイントについて解説しています。

配管継手の役割と用途
配管などの組み立てで欠かせないもの一つ言えば、配管継手といえます。
「配管の接続などに用いる継手」とJISでは定義されており、流体の方向転換や分岐などのほか、集合にも使われます。
塩ビ管継手、DV継手などの配管継手は、管の接続はもちろんのこと、径間の異なる管同士を接続する時にも用いられます。
管と管を接続したり、管とバルブを接続したりするなど、管を任意の経路に引き込むために必要な配管の部品だとこうことです。
このほかにも、配管継手は、計器、バルブの取り付け、誇張や収納などといった場合の吸収、そして、管の回転や曲げなどにも用いられる場合があります。
配管継手にはたくさんの種類があります
配管継手は、使い方や目的によって、材質などパイプの種類が異なります。配管継手の種類は数多く存在します。
材質には鋼製やステンレス、アルミ合金などがあり、用途によっても変わります。この様なそれぞれの材質や用途に対してJIS規格で各種配管継手が定められています。
ベンド
角度を付けて二本の管を繋げる配管継手で、管軸の方向を変更させる時に用います。緩やかな曲がり具合が特徴となる継手で、45度、90度、180度などの曲がり角度で分類されています。
ベンドの外径の曲げ半径により、ロングベンドとショートベンドの、2種類に分けられます。
エルボ
角度を付けて二本の管を繋げる配管継手で、管軸の方向を変更させる時に用います。ベンドと同様に45度、90度、180度などの曲がり角度で分類されています。
エルボの外径の曲げ半径により、ロングエルボとショートエルボの、2種類に分けられます。一般的にはロングエルボが使用されます。
ソケット
管の経が同等な2本の管を接続する際に使用されます。接続方法にはソケット溶接形やねじ込み形などがあります。
クロス
四本の管を十字でつなぐことが出来る継手で、十字形状で四方向から管を接続します。ねじ込み型や差し込み溶接型が主流となっています。装置の配管などで用いられることは少ないです。
45度Y
分岐が一本で、三本の管をY字に接続できる継手です。分岐は45度の角度で二股に分かれています。主に、土の中に埋設される給水管および排水管に使用されます。
チーズ
45度Yと同様に、三本の管を接続できる継手です。45度Yと違い、T字型に分岐しています。経の大きさなどによりさまざまな種類があります。
レデューサー
二本の経が違う直管を真っすぐにつなぐ時に使用されます。直管のサイズ変更に対応する時などにも用いられます。
口径が異なる管に対して、中心線が一直線になるものを「同心レデューサー」、一直線ではなく平行に位置している物を「偏心レデューサー」として区分されます。
ユニオン
ユニオンナット、ユニオンつば、ユニオンねじといった構成の管継手を「ユニオン継手」」といい、別名「ユニオン式」と言います。
管の接続や分離を行う際に、ナットだけを回す事で接続・分離ができるのが特徴です。また、施工後にもナットを緩めるだけで管を取り外すことができます。
プラグ・キャップ
管の末端をふさぐために用いらる資材として、プラグやキャップがあります。
塩ビ管継手は配管継手の最も代表的な資材
塩ビ管継手の基礎知識を把握することで、現場だけではなく、cad図面の作成にも活用できるはずです。
塩ビ管継手の種類
塩ビ管継手は、DV継手、VUDV継手、TS継手、HITS継手に分類されます。
DV継手とVUDV継手は、排水用、無圧力用として使用されます。
TS継手とHITS継手は、給水用、圧力用として使用されます。
高温用の継手として、HT継手は給湯用、HTDV継手は給湯排水用といったものがあります。
DV継手・VUDV継手・TS継手・HITS継手
DV継手とVUDV継手は、主に排水用途で使用されます。接着代が短いDV受口を利用するのが通常とされています。なお、DV継手にはVP管を接続し、VUDV継手にはVU管の肉厚に合わせるといった仕様になります。
TS継手とHITS継手は、給水用に用いられます。接着代が長いTS受口を使用するのが一般的です。
塩ビ管継手に接続する塩ビ管
塩ビ管には大きく分けて2つの種類、VP管、VU管があります。
当初はVP管のみが使用されていましたが、より薄く使用するため、VU管がVP管よりも細い配管として採用されました。
塩ビ継手の用途
塩ビ継手が種類分けされているのは、その用途が異なるためです。
VU管は、排水用途に使用されるのが一般的となります。埋設する際には、自然流下としての用途である下水用や土木用、排水用として使用します。また、住宅で使用される場合は、低層住宅の排水系統で用いられる場合があります。
VP管は、上農水道埋設用や建築給水用といった圧力用として用いられます。VU管に比べるとたわみにくいという特長があるため、埋設して排水用として用いられる場合もあります。また、集合住宅における排水および通気配管にも用いられる場合があります。
塩ビ管の耐衝撃性が向上しているものをHIVP管といいます。主用途としては、水道用途となります。外気温が低温になったとしても、その優れた耐衝撃性を保持しているため、寒冷地などで用いられます。
配管継手だけではなく、支持金物類も重要な材料です
配管支持金物の選定方法
配管工事においては、配管継手だけでなく各配管を支えるための配管支持金具が必要となります。配管支持金具は「パイプサポート」とも呼ばれます。配管継手やバルブ、計器など、配管に係わる全ての部品構成の荷重を支えるための金具や金物、装置を意味しています。
配管に係わる荷重には、パイプ自体の重量のほか、バルブや制御弁などの配管部品の重荷、積雪の荷重、熱による管の伸縮による荷重、振動や地震などに対する荷重などが含まれます。
こうした荷重は、配管や設備の機能を低下させるだけではなく、破損などのトラブルを招く元となります。
配管支持金具を用いるには、まずは金具を用いる位置を決める必要があります。位置の決定には、水平配管と垂直配管のサポート間隔を決定します。また、サポートの方法を決定するため、固定支持にするか自由支持にするかなど、配管支持金具の種類を確定します。
また、配管支持金具でサポートするための荷重計算を行う必要があります。荷重計算には、パイプやフランジ、バルブといった材料のほか、管内の液体などの荷重も考慮します。水圧試験に必要となる短期荷重を考えるほか、地震荷重や積雪荷重、風荷重など、自然災害に対応するための荷重を想定することも重要なポイントです。
こうした想定を行った後に、配管支持金具を配置するための図面を作図します。図面では、標準図への適用のほか、特殊サポートへの対応を考慮します。
さらには、配管図面中に配管支持金具を図式で示します。主な配管図は、配管組立図、配管相立図、アイソメ図などとなります。
その後、使用する配管支持金具の集計や手配を行います。必要に応じて工場での生産を発注したり、現場での製作を採用するかなどを決定します。
このように、配管支持金具は、配管などの荷重を支持するための重要な材料、要素となっています。このような配管図を作成することで、安全で効率的な配管支持金具の施工を行うことができるのです。
配管継手に係わる配管支持金物の種類
配管の材料に合わせて配管支持金具を選ぶ必要があり、cad図面を作成するためには、支持金物類の種類を把握しておくことも重要なポイントです。
吊配管支持金具
配管を天井などから吊り下げる時に、横走り配管で使用するものです。
立配管支持金具
立配管で使用する金具で、振れ止めとして用いられます。
床貫通配管支持金具
床貫通配管で使用する金具で、振れ止めとして用いられます。
吊り金具・ハンガー類
吊ボルトを吊り下げる時に使用する金具で、SEハンガーなどがあります。デッキプレートに穴を開ける必要がないのが特徴です。
より正確な配管cad図面を作成するポイント
配管cad図面作成では各種材料を意識する
配管のcad図面を作成する時に大切なのは、どういった種類の配管継手を使用する必要があるかを把握することです。
配管継手の種類や材料を知らなければ、cad図面で配管図を作成することができません。
配管継手の選択には、配管の種類や材料を把握することが重要で、さらには、支持金具も考慮する必要があります。
配管cad図を作成する時には、これらの情報を掌握しつつ、各場面に適用した種類の配管、配管継手、支持金具を割り当てなければなりません。
また、配管支持金具の配置にも図面作成が必要となります。全ての材料に対して正確な情報を収集する必要があり、それらを確実に図面に反映することが求められます。
どのように材料の情報を集めるか、どのように資材を把握するかというのが、配管のcad図面作成では、最も重要なポイントとなります。
配管cad図面の作成には各種ソフトやネットを利用する
cad図面を作成する時には、記憶している知識だけでは補え場合がほとんどです。全ての規格や種類を覚えられるのであれば問題ありませんが、実際には難しいとも言えます。
配管資材の新たな規格や材料については、サイトから最新の情報を取得するようにしましょう。
ソフトやネットを利用することで、効率の良いcad図面を作成することが可能となります。
配管cad図面を作成する際には、こうしたソフトやサイトを自らのツールとして使用することをおすすめします。
さらに、各企業のサイトでは、資材や材料などのcad図面が提供されていることがあります。こうした図面を上手に活用して、より正確なcad図面を作成するようにしましょう。