ベクターワークスとスケッチアップのCAD活用法・完全マニュアル

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建築やインテリア分野をはじめ、幅広い業種で利用されているベクターワークス(Vectorworks)と、直感的な操作性で人気の高いスケッチアップ(SketchUp)は、いずれも高機能なCADソフトです。それぞれの機能や特徴、選び方のポイント、活用法について知っておくことで、業務効率を大きく向上させることができます。
このページでは、ベクターワークスとスケッチアップの特徴や使い方について解説しています。

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ベクターワークス(Vectorworks)・スケッチアップ(SketchUp)で作成したCADデータ
このページでは、ベクターワークス(Vectorworks)・スケッチアップ(SketchUp)で作成したCADデータがダウンロードできるサイトを紹介しています。  ・ベクターワークス(Vectorworks)で作成したCADデータの紹介  ...

多くのユーザーが使用するベクターワークス(Vectorworks)

汎用CADソフトとして高い人気を誇るソフトのひとつが、エーアンドエー株式会社が製作するVectorworks(ベクターワークス)です。

ベクターワークスは、MiniCADというネーミングでマッキントッシュ用のソフトとして誕生しました。
当初はマッキントッシュでのみ使用できましたが、バージョンアップを重ね、機能追加を行っていく中で、Windowsにも対応し、クロスプラットホーム型のCADとして成長を遂げます。
MiniCADはバージョン8の時に「Object-Based CAD for Professionals」という触れ込みと共に、ベクターワークスとして生まれ変わり、オブジェクト指向型の汎用CADソフトとして広くユーザーに受け入れられることになります。

オブジェクト指向型のベクターワークスは、平面図面、いわゆる2次元の図面を作成している中で、立体的な3Dモデルへと切り替えることができるというのが特徴の一つです。
ベクターワークスで描いた壁や階段などの図面は、2次元で表現されつつも、実際には3次元の表現を行う事ができるのです。
こういった革新的なそして先進的なソフトだからこそ、ベクターワークスはCAD図面の汎用ソフトとして定着していったのです。

ベクターワークはその汎用性の高さから建築はもちろんのこと土木や機械、そして工芸といった分野まで非常に多岐にわたるユーザーを抱えています。また、それぞれの分野にマッチングした拡張機能も数多く配布または販売されているため、使用するユーザーの環境に合わせたチューニングが可能となっています。
なお、上位バージョンについてはより専門的な展開を図っており、BIMやCIMなどのほか、造園や舞台照明向けといった、一部のプロフェッショナルな現場に合わせたシステムを開発しています。

ベクターワークス(Vectorworks)の機能と特徴

ベクターワークスの基本機能と4つのパッケージ化ソフト

ベクターワークス(Vectorworks)のソフトは、機能別に数種類別れていて、最も基本的なソフトが、Vectorworks-Fundamentalsで、2D・3D設計とレンダリング機能というCADの基本機能を備えています。機能ごとに特化しパッケージ化したものが、Architect、Landmark、Spotlight、Designerの4つのパッケージ化ソフトです。

Vectorworks Fundamentalsが2D・3Dの設計とレンダリングの基本ソフトですが、Vectorworks Architectは、この基本ソフトに加え建築設計に特化したソフトで、建築・内装の設計を専門的に強化した機能を有しています。
それらは、建築構造・建築設備・建築施工・BIM・空間を定義する空間計画・室内の4つの展開図を作成する室内展開図などの機能です。

次に、造園土木業界向けに機能を強化したLandmarkでは、都市計画・造園設計・土木設計と花・樹木のデータベースを搭載し、植栽計画に対応する植栽ツール、四季の表現を植栽で描く機能があります。

さらに、Spotlightパッケージソフトは、劇場舞台設計・大規模展示会・コンサート会場など適合した設計で、座席レイアウト機能や照明器具を表現した機能を有しています。

最後のVectorworks Designerは、これまで述べたパッケージソフトの特化した機能を全て有しているソフトです。

ベクターワークスのデータ形式は、VWXを基本としていますが、DXF・DWG・DWF・EPSFなども取り扱うことが可能です。さらに、JPEG・BMP・GIF・PNGなどのイメージファイルを取り扱うこともできます。

そのため、AutoCADなど他のCADソフトを使用している人とデータをやり取りすることが可能です。
ベクターワークスは、毎年、機能を充実させた新バージョンが登場しています。
無償で入手できるVectorworks Viewerがあれば、ベクターワークス未導入のクライアントに作成データを見てもらうことができます。

ベクターワークスは利用環境や運用状況に応じて選択できる

ベクターワークスには、2種類の製品タイプがあり、利用環境や運用状況に応じて選べます。

複数のパソコンでベクターワークスを同時に起動することがない場合は、スタンドアロン版を選択することで導入費用を抑えることが可能です。
スタンドアロン版は、1ライセンスから購入でき、ソフトのインストールは2台できます。
1ライセンスですので、2台のパソコンで同時にベクターワークスを起動することはできません。

ベクターワークスを同時に複数のパソコンで使用する場合は、ネットワーク版の導入が実用的です。
ネットワーク版は、2ライセンスから購入でき、インストールできるパソコンに制限はありません。
ライセンスの追加は、1ライセンスから可能であり、追加するライセンス数が多ければ多いほど、1ライセンスあたりの単価は下がります。

年間契約型保守サービスであるVectorworks Service Selectを契約しておけば、無料で最新バージョンを導入できます。
最新バージョンが登場する度にバージョンアップするよりも、Vectorworks Service Selectを契約した方が、コストを抑えられます。

また、Vectorworks Service Selectの契約者には、専用ポータルサイトにて提供される演習データや機能紹介動画の閲覧、専用電話によるサポートなどの特典があります。

ベクターワークスの種類

ベクターワークスは、さまざまなデータ形式を取り扱うことができます。
インターネット上で公開されているフリー素材のCADデータをダウンロードすれば、Vectorworks Fundamentalでも不便を感じることは少ないでしょう。

フリー素材のCADデータを探す時間が無駄だと思うのであれば、業種に特化したベクターワークスを選択するとよいでしょう。

ベクターワークスには、インテリアなど内装に重きを置いているVectorworks Architect、都市計画や造園などに携わる人向けのVectorworks Landmark、ステージプランニングや舞台照明計画に役立つVectorworks Spotlightがあります。

さまざまな設計に携わるのであれば、上記全ての機能が搭載されいるタイプを導入しましょう。
ベクターワークスの最上位モデルと位置づけられるVectorworks Designerを選択してください。

3次元モデリングソフトウェアのスケッチアップ(SketchUp)

3次元モデリングソフトウェアとして有名なソフトはスケッチアップだと言えます。直感的な操作性を武器に、その技術の習得のしやすさと無償版の提供といった観点から、建築分野のプロはもちろんのこと教育分野などまで普及している3次元モデリングソフトの決定版と言えるでしょう。

Google社が2006年3月に全ての権利を米@Last Softwareから買収することにより引き継ぎ、2012年5月に米Trimbleが買収しています。
現在では、プロ向けの「SketchUp Pro」、DIYなどで使用できる「SketchUp Shop」、そして無償で提供している「SketchUp Free」の3つのバージョンを提供しています。デスクトップ版はSketchUp Proのみで提供されており、Shop版とFree版を含むすべてのバージョンでweb版が提供されています。

なお、無償版にはいくつかの制限が設けられています。例えば、ローカル環境へのファイル保存は独自ファイル形式であるSKPファイルのみといったものや、エクスポートがSTLファイルのみ、商用での利用禁止といったものがあげられます。

スケッチアップ(SketchUp)の機能と特徴

この項では、スケッチアップ(SketchUp)の機能と特徴やソフトとしての使いやすさと強みについて説明していきます。

スケッチアップの機能と特徴1 モデリング

まずはモデリング機能です。独自ツール「プッシュ」および「プル」などを用いて、3次元の空間をそのまま感覚的に表現できる3Dモデリングが特徴です。マウス操作などを充実させることにより、3次元の空間における操作を簡易的なものにすることを実現させています。もちろん、数値を使用する事による正確なモデリングにも対応しています。
ただし、自由な曲面を作成することができるツールである「サンドボックス」は、人間や物体などを正確に表現するには高度な技術が必要となります。

スケッチアップの機能と特徴2 レンダリング

次に特徴的な機能と言えるのが「レンダリング」と言われる機能です。高スペックな3次元CADソフトでは、レンダリングツールはモデリングツールという位置づけとして分離されています。しかしながら、スケッチアップでは、ディスプレイで表現された状態のまま出力をすることが可能となるのです。こうしたことから、多角形が多いモデルを作成したい時には、よりハイエンドなグラフィックボードを必要とします。

スケッチアップの機能と特徴 プラグイン

プラグインはプログラミング言語であるRubyを用いて作成することが可能です。スケッチアップの本体だけでは作るのが困難な螺旋や面フィレットそしてベジェ曲線といった形状のものを、パラメータを入力することにより自動作成させたりすることができます。
なお、プラグイン機能については、商用版はもちろんのこと無償版でも使用する事が可能です。

スケッチアップの機能と特徴4 3D Warehouse

Googleがスケッチアップを買収したことにより、追加された機能が「3D Warehouse」です。当時は「Google 3D ギャラリー」として提供を開始しました。このGoogle 3D ギャラリーにおいて、Google Earth内で閲覧することができる建築物のデータや世界各地のモデル作成者がそれぞれにデータを公開していました。そして、そのデータをスケッチアップに直接ダウンロードすることが可能となっていたのです。Trimble社が買収した際には「Trimble3Dギャラリー」と名称を変更したものの、2014年半ばまではGoogleのドメインを引き継ぐ形で運用していました。その後、名称を「3D Warehouse」に変更し、ドメインもsketchup.comに移転しました。
なお、3D Warehouseに移行した後も、モデルデータを提供する方法や利用ライセンスとった点については、Google 3D ギャラリー時代から大きくは変更されていません。

スケッチアップの機能と特徴5 マテリアル

pngやjpgの画像データを図面に挿入し、モデルの素材として表現する機能を「マテリアル」と言います。マテリアルは、透過度をそれぞれに設定することが可能です。また、png画像に対しては透明を備えています。マテリアルは素材として表現をしているため、拡大や縮小はもちろんのこと、回転や傾斜の操作を行う事も可能です。
一方で表面のデコボコや鏡面、反射といったものを表現する時には、外部プラグインを利用する事によるマテリアルの設定およびレンダリングが必要となります。

スケッチアップの機能と特徴6 カメラとアニメーション

作成した個々のモデルについて、カメラといったものを任意に配置することで、表示および非表示の切り替えや断面カットの位置といったもの、影の設定などのシーン設定を行うといったことなどが可能となっています。そして、シーンを繋ぐ視点をスムーズに移動することでアニメーションを作成することを実現させています。アニメーションはavi方式のファイルに保存できるほか、jpg形式に出力することも可能です。
このアニメーション機能を使用する事で、通常動く事のないモデルを移動させたり回転させることができます。また、外部プラグインを導入することで、さまざまなシミュレーションを行うことができます。