土留め工の構造・計算方法・施工工法と注意点の完全マニュアル

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土留め工は、掘削作業において周辺の地盤崩壊を防ぐために不可欠な構造です。
特に自立式土留めや腹起こしなどの部材は、安定した施工に大きく関与します。
また、施工におけるトラブルを未然に防ぐには、正確な土留計算や工法の理解が必要です。
支保工の形式ごとの特徴や、計画時の留意点についても把握しておくと安心です。
このページでは、土留め工の構造や工法、土留計算の基礎について解説しています。

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自立式鋼矢板計算、親杭横矢板計算、軽量鋼矢板計算のフリーソフト
このページでは、自立式鋼矢板計算・親杭横矢板計算・軽量鋼矢板計算で活用できるフリーソフトについて紹介しています。 ・自立式鋼矢板・親杭横矢板・軽量鋼矢板計算のフリーソフトについて紹介 ・切梁式土留工の計算に役立つフリーソフトを紹介 ・土留計...

自立式土留めとは

開削工事のアルミ製簡易矢板の安定計算、土留工の計算、河川の締切工の計算、自立式土留工の荷重強度・根入長・応力度の計算などの土留計算・山留計算(山留め計算)のフリーソフトやテンプレート、ひな形(雛形)です。フォーマットはさまざまです。
自立式土留めは、矢板を地中に打込んで、矢板の地中部分の掘削側の地盤のみの抵抗で、壁を留め置く工法です。現場の状況に合わせて、支保工の数や配置を変更することができます。掘削面に支保工などは不要なため、容易に掘削できますが、良質な地盤で浅い掘削にしか適当できません。
簡易土留め工、切梁、H鋼親杭式土留め計算、Changの公式、自立式仮設矢板の許容変位量、ライナープレートなど、土留め設計・鋼矢板のフリーソフトやひな形(雛形)のリンク集です。切ばり式土留めは、掘削面に設置した切ばりと腹おこしなどで、支保工と掘削側の地盤の抵抗で、矢板背面からの土圧に抵抗する方式です。
留め工法の種類と支持方法についての検討が必要になります。偏土圧が作用するケースにも適用でますが、周辺地盤にアンカーを定着できる地盤と、アンカーを設置する作業空間が必要になります。比較的良質な地盤の浅い掘削に適用します。

掘削が容易

掘削面内に支保工などは設置しなくてよいため、掘削が容易にできます。掘削面側の地盤の抵抗で、土留め壁を支持する方法です。山留め計算システム、支保工、自立土留、親杭、土留め設計フリーソフト、抑止杭、鋼管矢板、構造計算などのフリーソフトが、クラウドから無料でダウンロードできます。
控え杭タイロッド式土留めは、壁の背面にH形鋼や鋼矢板などを控え杭として打込み、土留め壁と控え杭とをタイロッドでつなぎます。アンカー式土留めより経済的ですが、背面に控え杭を打設できるスペースが必要になります。掘削面内に支保工があるため、掘削作業の障害になりやすいです。鋼矢板・親杭ソイルセメント・RC連壁の計算、支保工・アンカー・路面覆工の計算、道路土工仮設構造物工指針による自立式土留工の計算ツール、ひな形(雛形)、ボイリング・ヒービング・パイピングの計算など、土留計算・山留計算(山留め計算)のソフトが、クラウドから無料でダウンロードできます。
アンカー式土留めは、掘削背面地盤に打設したアンカーと掘削面側の地盤の抵抗で、壁を留め置く方式です。自立式土留めでは変位が大きくなるケースに使用されます。

場所打ち杭の施工

場所打ち杭の施工について検討します。一本の有効長さは標準6mで、掘削深さに合わせてチューブの長さを調節できます。オールケーシング工法は、ベノト工法とも呼ばれ、ケーシングチューブを地盤に立て込み、ハンマグラブで掘削を行う工法です。
トレミー管は、コンクリートの打ち込みに使用され、内径25~35c mのものが杭径に合わせて使用されます。鋼壁保護材の山留めは、通常施工中は撤去しません。開削工事のアルミ製簡易矢板の安定計算、土留工の計算、河川の締切工の計算システム、自立式土留工の荷重強度・根入長・応力度の計算などの土留計算・山留計算(山留め計算)のフリーソフトです。
鋼矢板・親杭ソイルセメント・RC連壁の計算、支保工・アンカー・路面覆工の計算ツール、道路土工仮設構造物工指針による自立式土留工の計算、ボイリング・ヒービング・パイピングの計算など、土留計算・山留計算(山留め計算)のソフトやひな形(雛形)が、クラウドからダウンロードできます。フォーマットはさまざまです。

腹おこしは、土留め壁からの荷重を切ばりに均等に伝達させるための部材です

腹起しは、部材をできるだけ連続させて、外力を均等に負担しなければならないので、あまり短い間隔で継手を設置するのはよくありません。腹起しは、土留め壁からの荷重を切ばりに均等に伝達させるための部材です。切ばりは、腹起しを経由して土留め壁からの荷重を支える部材です。
片持ち部分が生じるケースでは、十分に剛性のある腹起しを設置するか、切ばりを増設して補強を行います。切ばりと腹起しについて検討します。Changの式による土留め自立矢板・自立式親杭横矢板の計算、横矢板の必要板厚の計算、荷重強度・根入長・応力度の計算、応力・変位・根入れ長より仮設材を決定、換算荷重の計算、矢板壁の計算、タイロッドの計算などの自立式矢板工の計算、切梁式土留工の計算のフリーソフトやテンプレート、ひな形(雛形)です。
切ばりは、腹起しから作用する軸力と自重などの鉛直荷重により座屈しないように、十分な断面と剛性をもつものを採用します。切りばりは、掘削幅が大きい箇所では、安全な強度をもつ突合せ継手を用います。液状化、下部構造、杭基礎、鋼管矢板基礎、地耐力、地盤改良、沈下量、軟弱地盤、薬液注入など、仮設工・基礎工・土木建設設計のフリーソフトです。腹起しの継手は、断面と同じような剛性をもつように設計するとともに、継手の位置は切りばりの近くに配置します。

腹おこし、切ばり

腹おこしは、H-300を最小部材とし、継手間隔は6メートル以上とします。切ばりの資材の搬入条件、設置時の制約などから、ジョイントが必要な場合は、安全な強度をもった突合せ継手とします。切ばりは、支点間長が長くなるほど座屈に対する安全性が低下します。
仮設工、ケーソン、仮締切、型枠支保工、山留め、足場、締切、土留め、基礎工、ウェルポイントなどのフリーソフトが、クラウドからダウンロードできます。切ばりは、圧縮材としての機能をもつため、継手は弱点となりやすいため継手を設けません。腹起しは、片持ちばりにならないように、切ばりを設けなければなりません。
切りばりは、H-300を最小部材とし、水平間隔5メートル以下、垂直間隔3メートル程度に配置します。根入れ長の計算、矢板断面応力の計算、変位量の計算、切梁式鋼矢板・鋼管矢板・切梁式親杭横矢板土留めのタイロッド式矢板護岸の設計計算、腹起こしの計算、控え壁の計算など、自立式矢板工の計算、切梁式土留工の計算のソフトやひな形(雛形)が、クラウドからダウンロードできます。
フォーマットはさまざまなので、便利です。
切ばりは、固定距離を短くするため、水平継材、垂直継材、中間杭で、それぞれの切ばりを緊結に固定します。切りばりは、水平に施工し、腹おこしと密着させて、ジャッキなどにより堅固に締め付けます。

土留計算の重要性

土留めは小さな設計・施工ミスでも重大事故につながる可能性が高いため、土留計算には、十分な配慮が必要です。しかし、施工を進めていくと現場と設計が異なることもありますので、土留め条件と発生するトラブルの関係を理解し、土留め計画時に対策工を検討してください。
万が一、土留め工のトラブル発生時には、以下のような手順で対応してください。

砂地盤の場合

・ボイリング、パイピング、盤ぶくれなどの異常を見つけた場合、関係者に連絡して応援を求めるとともに、直ちに土留め工への立入を禁止してください。
・対策検討の資料として活用するために、現場状況の写真を撮影しておいてください。
・土留め工の崩壊を防止するため、水中ポンプを用意して、土留め内に水を張ってください。

粘性土地盤の場合

・盤ぶくれ、ヒービングなどの異常、鋼矢板の変形、鋼材の軋み音などの兆候を見つけた場合は、関係者に連絡して応援を求めるとともに、直ちに土留め工への立入を禁止してください。
・対策検討の資料として活用するために、鋼矢板の変形量を測定し、現場状況の写真を撮影しておいてください。
・土留め工の崩壊を防止するため、水中ポンプを用意して、土留め内に水を張ってください。

上記のとおり、土留め工崩壊の予兆を察知したら、関係者に連絡して応援を求め、土留め内に水を張ってください。これにより、土留め工の崩壊を防止することができますので、その後、撮影した写真をもとに対策を検討してください。

ネット上には有料、無料合わせて多くの土留計算・山留め計算のアプリやフォーマット・雛形があります。エクセル(excel)を使用したテンプレートなどもあります。
フリーソフトはたくさんあって迷いますが、おすすめ比較ランキングサイトなどでの評判を参考に人気のアプリやツールを選ぶとよいでしょう。

土留め工の施工方法

土留め工は、周辺環境、地下水位、地盤(砂地盤か粘土地盤)、地層の状態(砂層と難透水層が互層に存在)、掘削深さ、施工方法、柱状図のN値と色(褐色は酸化色、地下水位の変動があるところ)などに応じて、採用すべき施工方法が異なります。
下記の点に注意して、事前調査、土留計算を行い、施工方法の詳細検討を行ってください。

事前に周辺環境をよく確認して施工方法を検討しよう

事前調査にて、土留め打設箇所の周辺に架空線・埋設管の有無、近接する構造物・家屋などの有無をよく確認の上、採用する施工方法、詳細計画の立案を行ってください。

仮設工の検討は施工箇所のボーリング柱状図により行う

土留め施工箇所でのボーリング柱状図を用いて、仮設検討を行ってください。施工箇所から1m離れた箇所でのボーリング柱状図であってもデータには違いがありますので、施工箇所から離れた位置のボーリング結果を基に仮設検討をすることのないようにしてください。

土留計算ではボーリング坑口標高と施工基盤高さを確認する

土留め工の仮設設計計算では、柱状図に基づき地盤条件を土留計算ソフトに入力しますが、土留め工を実施する標高とボーリング調査の標高が異なる場合、正確な土留め工の計算結果が得られません。施工箇所のボーリング柱状図であっても、まったく違う計算結果となってしまい、非常に危険です。
したがって、ボーリング坑口標高と施工基盤高さが同じであることを必ず確認してください。

土留め工施工時には地下水位の変動に注意が必要

地下水位は年間を通して一定ではなく、季節により変動しております。また、周辺に構造物などが新設され地下水位の流れが変化していることもあります。ボーリング調査の時期と施工時期が異なる場合や、ボーリング調査後に工事場所周辺に大きなビルが建設された場合などは、地下水位の確認を必ず行ってください。

仮設設計は土質試験結果に基づき行う

施工箇所の土質試験結果がある場合、仮設設計には、必ず試験結果の定数を採用してください。ボーリング柱状図のN値から土質定数を推定することは可能ですが、あくまで土質試験結果がない場合の手法であり、試験結果がある場合は試験結果の定数を採用してください。

粘土地盤ではヒービング対策の検討が必須

軟弱地盤の粘性土層においてはヒービングの発生リスクがありますので、土質試験結果があると、土留め工の仮設設計計算の信頼性が上がります。推定した定数では一般的な結果しか得られないために、危険側の設計計算となることがあります。
土質試験結果がない場合は、必ずヒービング対策工の検討をしておきましょう。計画時であれば、土留め壁の根入と剛性を上げることで対応できますが、施工途中では受動側の地盤改良工法で対応します。土留め工内に基礎杭を先行して施工した場合は、ヒービングは起こらないとされていますが、軟らかい粘性土地盤では注意が必要となります。

土留計算・山留め計算のソフトウェアやシステムは、さまざまな企業からリリースされており、種類が豊富です。
また、有料の製品版だけでなく、無料でダウンロードできるフリーソフトもたくさんあります。製品版のソフトウェアの購入前にフリーソフトをダウンロードし、実際に自立式矢板工の計算、切梁式土留工の計算などに使用してみてください。自分にどのツールがあっているのか、さまざまなツールを比較してから、見つけるのがベストな検討方法です。

土留め工のトラブルを回避する対策

河川の掘削工事では盤ぶくれ対策の検討が重要になる

河川内の土留め工を伴う掘削工事では、盤ぶくれの典型的な地層となっていますので、特に注意が必要です。河川内の掘削を行う工事では、ボーリング柱状図を確認してください。下層に砂層や砂礫層があり、その上に細粒分の多い砂質土層が一般に存在しています。
また、市街地でも山を背負っている裾野などでは、被圧がある場合もありますし、地下水位についても、季節や周辺環境により変動しますので、注意が必要です。

ボイリング対策の検討をするべき砂層

砂層が連続している場合は必ずボイリング対策を検討してください。地下水位が高い地盤を掘削する場合や液状化現象を起こしている地盤など、水圧によって土が押し上げられて流動化し、ボイリングが発生する場合があります。ボイリングが発生すると山留めの安定性が損なわれたり、構築物が倒壊したりといった危険性があります。
土留計算により、土留め壁の長さを決定する際に、地下水位が高い場合は、土圧のバランスよりも、ボイリングで根入長さが決まります。

パイピング対策の検討が必要な施工方法とは

パイピングは、ボイリングが局部的に発生し、鋼矢板の際やオールケーシングによる基礎杭周面などに沿って進行し、パイプ状にボイリングが形成される現象です。ウォータージェット、アースオーガ等で乱された部分で発生します。
硬い砂層に鋼矢板を打設するために、ウォータージェットを補助工法として使用した場合は、必ずパイピングの検討が必要です。特に近接して河川がある場合は、河川の水位が上昇すると地下水位も上昇しますので、根切直前の掘削が完了する時期に大雨が降った場合は、パイピングの危険性が高くなります。
したがって、土留め工の仮設設計計算では、最悪を想定した極限のときの地下水位も検討し、掘削完了時に大雨が降った場合の対策の手順を明確にしておきましょう。

土留め施工箇所で忘れてはならない1日1回の巡視

現場状況を常に把握するためにも、土留め施工箇所には、1日1回必ず巡視を行いましょう。毎日、現場を確認することで、異常を早急に発見し、対策を直ちに実施することが重要です。
土留め工は、トラブル種類に応じて対策方法が確立されておりますので、常にトラブル対策が実行できるように備えておきましょう。

土留め工に異常があったときの対応と山留計算ソフトのすすめ

土留め工の変状などの異常を発見した場合は、土留め内へ地下水位と同じ高さまで水を投入すると土留め工の変状は止まります。まずは、土留め工の変状を止め、その後に対策を検討しましょう。また、土留め工の変状を見つけた場合、その状況の写真と動画を撮影し、その後の対策検討、設計変更に有効活用することが重要です。

土留計算・山留め計算などの計算ソフトの人気アプリやエクセルテンプレートは、フリーソフトでも実務に使用できるものが多くあります。
さまざまな計算機能にも対応しており、自立式矢板工の計算、切梁式土留工の計算、簡易山留め計算、自立式土留計算、自立式鋼矢板計算、軽量鋼矢板計算、鋼矢板根入れ長、親杭横矢板計算、changの式の計算などがあります。
ソフトにより対応する計算機能も異なりますので、比較検討の際には、必要な計算機能が付いているかどうかを確認してみてください。

土留め工法と特徴

土留は、山留とも言われ、陸上で地下構造物を建設する際に、地下水の遮水および土の崩壊防止のために設置される仮設構造物であり、一般にその工法を土留め工法と言います。
土留め工法には、土留め壁の種類(壁体形式)や支保工の形式によって、様々な工法が採用されており、設計手法もそれぞれで異なっています。
土留め工法の選定にあたっては、その構造や特徴を把握した上で山留め計算を行い、工事箇所に見合った最適な工法を採用する必要があります。
インターネット上では、土留計算に関するソフトやエクセルのテンプレートは、無料のフリーソフトでも実務に使用できるものが多く見受けられます。
対象箇所の山留め計算にどのフリーソフトを使ったらいいか迷うところですが、比較ランキングサイトなどでの人気や評判を参考に、自分に合ったベストなものを探してフリーにダウンロードすることをおすすめします。

土留め壁の種類

土留め壁の種類には、親杭横矢板、鋼矢板、ソイルセメント柱列壁やRC連続壁等があり、それぞれの形式および特徴については以下のとおりです。
親杭横矢板壁工法
H形鋼等の親杭を1~2m間隔程度で地中に設置し、掘削に伴い親杭間に土留め板を挿入し土留め壁を構築する工法であり、地中への杭の打設作業が少ないため施工は比較的容易となりますが、土留め板の構造上止水性能がないため、地下水が高い場合には適用性に劣るものとなります。
鋼矢板工法
鋼矢板の継手部をかみ合わせ、地中に連続して土留め壁を構築するものであり、止水性が高い反面、壁体はたわみ性のため変形が大きくなる傾向にあります。
また、鋼矢板は地中に連続して打設するため、矢板打設時の騒音、振動等が周辺環境にもたらす影響が問題となることがあるので注意が必要です。
ソイルセメント柱列壁工法、RC連続壁工法
ソイルセメント柱列壁は、現地盤とセメントミルクを撹拌混合した柱体に形鋼等の芯材を挿入し、地中に連続した土留め壁を構築する工法であり、RC連続壁は、安定液を使用して掘削した壁状の溝の中に鉄筋かごを建て込み、場所打ちコンクリートを打設して連続土留め壁を構築する工法です。
土留計算ソフトに関しては、土留め壁の種類に応じてネット上に有料、無料を合わせて多くのフリーソフトやエクセルテンプレート、ひな形があります。また、小規模な土留めにおける簡易山留め計算や軽量鋼矢板計算も無料で簡単にダウンロードできるサイトもあるため、いろいろ比較を行い導入の参考にすることで実務上有益なものになるでしょう。

支保工の形式により区分される工法とその特徴

支保工は、土留め壁と協働して掘削背面からの土圧に抵抗するものであり、腹起しや切梁、土留めアンカーや控え杭タイロッド等が対象となります。
土留め工法においては、支保工の有無や支保工形式によって様々な工法が採用されており、工法の選定にあたっては、土留め壁の種類(壁体形式)のほかに支保工の形式を踏まえて検討を行う必要があります。
自立式土留工法
切梁、腹起し等の支保工を用いず、主として掘削側の地盤抵抗によって土留め壁を支持する工法であり、掘削面内に支保工がないため掘削が容易となる反面、一般に土留め壁の変形が大きくなります。また、土留め壁の根入れが長くなるため、比較的良質で浅い掘削が適用対象とされています。
切梁式土留工法
切梁、腹起し等の支保工と掘削側の地盤の抵抗によって土留め壁を支持する最も一般的な工法であり、支保工の数や配置等により比較的大きな掘削工事にも適用可能となりますが、支保工が掘削の障害となりやすいのがネックです。
アンカー式土留工法、控え杭タイロッド式土留工法
掘削面内に支保工を設けずに、地盤中に定着した土留めアンカーや背面地盤に設置したタイロッドによる地盤抵抗により、土留め壁を支持する工法であり、これらの工法は掘削面内に切梁を設置しないため内部の掘削作業が容易に行われる反面、地中部や背面に障害物がある場合には施工上困難が生じる可能性があります。
土留計算ソフトに関しては、支保工の形式に応じてフリーでダウンロードできるexcelのテンプレートや雛形ソフトを活用することで簡単に実行することができます。さらに人気のソフトやフォーマットを探すには、比較ランキングサイトなどを利用するとよいでしょう。
土留工法の設計手法と留意点
土留め工法によっては設計手法が多種多様なものとなりますが、計算ソフトの活用により迅速かつ正確な作業が可能となります。土留め工法としてより一般的な自立式土留工、切梁式土留工における計算法の概要について以下のとおりです。
自立式土留計算
自立式土留工は、一般に掘削高さが3m未満の比較的高さが低い場合に採用されています。
計算法としては、自立式鋼矢板計算および親杭横矢板計算ともに、土留め壁の背面に働く主働土圧強度と残留水圧強度の和が受働土圧強度と等しくなる位置を仮想支持面に設定し、仮想地盤より上方を塑性領域、それより下方は弾性領域にあるとして、changの式を適用して計算を行います。
changの式では、矢板や杭を半無限長と考え、先端が変位しないことを前提として鋼矢板の根入れ長や部材に生じる断面力を算出しています。
切梁式土留計算
切梁式土留工は、一般に掘削高が3mを超える場合に採用されており、高さ10m未満は慣用法、10m以上は弾塑性法に基づいて設計が行われます。
土留め壁の断面計算は、主働側に断面決定用土圧と水圧、受働側には受働土圧を作用させ、切梁位置と仮想支持点を支点とする単純梁として断面力を算出して行われます。
土留め壁(鋼矢板)の根入れ長は、フリーアースサポート法によりモーメントのつり合いにより必要長を算出しています。
土留め工の設計法には、慣用法や弾塑性法、changの式やフリーアースサポート法があり、これらについてはメーカーのサイトだけでなく、フリーのダウンロードサイトからも無料で入手することができます。また、簡易山留め計算や軽量鋼矢板計算にも対応可能なフリーソフトもあり、そのほとんどがエクセルを用いたフォーマットのため、操作性・機能性にすぐれており、おすすめや人気のあるものを気軽にダウンロードして使用できることからおすすめです。

支保工部材の計画上の留意点

切梁式土留工における支保工は、腹起しおよび切梁が主な構成部材となります。
腹起しは、土留め壁に対し水平に設置され、土留め壁からの荷重を切梁に均等に伝達させるものであり、最小部材はH-300×300とし、垂直間隔は3m程度に抑えて配置します。また、土留め壁頭部から1m以内に第1段目の腹起しを設置するとともに、継手間隔は6m程度以上とすることが安全上の観点から原則となっています。
切梁は、腹起しを経由して土留め壁からの荷重を支える部材であり、軸力と曲げモーメントが作用する部材として計算されます。最小部材は腹起しと同様にH-300×300とし、設置間隔は水平方向に5m程度以下とすることが原則とされています。
支保工部材については、土留計算ソフトにおける一連の設計計算で決まるスタイルがほとんどですが、支保工単独の部材計算に対応したフリーソフトもあり、ネット上の無料ソフトを使用すればコストもかからないうえ、サイトから気軽にダウンロードできるのでおすすめです。また、さまざまなフリーソフトを集めた比較ランキングサイトなど参考に、人気のあるおすすめのソフトやエクセルアプリを使用することで、自分にどのツールが合っているかを見つけることがベストな支保工の検討方法といえるでしょう。