乾燥設備作業主任者は、乾燥設備を使用する現場での指導、不備のある設備への適切な措置、乾燥設備内部や換気状態の点検、火災防止を行う責任者です。乾燥設備作業主任者の資格を得るには、全国の労働基準協会連合会で開催されている講習を受講し、修了試験に合格する必要があります。
乾燥設備作業主任者技能講習は、年に数回開催されており、乾燥設備の設計・製作検査・取扱作業の実務経験などの受講資格を満たしている人が受講できます。講習の最終日に実施される乾燥設備作業主任者試験の難易度はそれほど高くなく、真面目に講習を聞いていれば合格できる程度です。
この記事では、乾燥設備作業主任者とはどのような資格なのか、乾燥設備作業主任者になるにはどうすれば良いのか、乾燥設備作業主任者講習会・試験の費用や日程、難易度、合格率について解説します。
乾燥設備作業主任者とは
乾燥設備作業主任者とは、乾燥設備を使用する現場での指導、不備のある設備への適切な措置、乾燥設備内部や換気状態の点検、火災防止を行う責任者です。
乾燥設備作業は、乾燥器と乾燥室で加熱乾燥する仕事です。労働安全衛生法に基づき、乾燥設備作業を行うには、乾燥設備作業主任者のもとで乾燥作業を行うことが定められています。乾燥設備作業主任者は、乾燥設備作業主任者試験に合格した人の中から選ばれます。
労働者に①危険物(安衛令別表第一危険物)を乾燥する内容積1m³以上の乾燥設備(乾燥室又は乾燥器)、②熱源として燃料を使用するもので、燃料の最大消費量が固体燃料にあっては毎時10kg以上、液体燃料にあっては毎時10ℓ以上、気体燃料にあっては毎時1m³以上の乾燥設備、電力を熱源として使用するもので、定格消費電力10kW以上の乾燥設備により乾燥作業を行わせる場合は、乾燥設備作業主任者技能講習を修了した者のうちから、乾燥設備作業主任者を選任して作業指揮、その他規則で定められた職務を行わせなければならないことになっています。
主な仕事
乾燥設備作業主任者としての業務は、作業員に対して作業方法を周知させて指導し、設備に異常を感じたら直ちに設備を止めて点検・復旧させることです。また、乾燥設備内の温度や換気状態をチェックし、作業者の安全を守ることも、乾燥設備作業主任者の重要な役目になります。
乾燥設備作業主任者の資格が活かせるのは、食品加工会社、印刷会社、製紙工場などの乾燥設備のある工場です。
資格を得るには
乾燥設備作業主任者の資格は、乾燥設備作業主任者技能講習を受講し、最終日の修了試験に合格することで得られます。乾燥設備作業主任者技能講習は、全国の労働基準協会連合会で、年に数回開催されており、受講資格を満たしている人が受講できます。修了試験の難易度は高いものではなく、2日間の講習を真面目に受講していればほぼすべての人が合格できる程度の難易度です。
乾燥設備作業主任者の資格を得るには一定の実務経験が必要なうえに、乾燥設備を使用した現場の作業での必須資格なので、企業からの安定したニーズがあり、転職でも有利になります。
乾燥設備作業主任者技能講習
乾燥設備作業主任者技能講習は、各地域の労働基準協会連合会で開催されています。
合計2日間の学科講習を受け、最終日の修了試験に合格すれば、乾燥設備作業主任者の資格が得られます。修了試験後すぐに合格発表が行われ、合格者には乾燥設備作業主任者技能講習修了証が与えられます。
講義の内容は、乾燥設備及びその附属設備の構造及び取扱いに関する知識に4時間、乾燥設備とその附属設備等の点検整備及び異常時の処置に関する知識に4時間、乾燥作業の管理に関する知識に5時間、関係法令に2時間、というように各科目ごとに講義の時間が設けられています。
受講資格
乾燥設備作業主任者技能講習を受講できるのは、18歳以上で下記のいずれかに該当する人です。
- 乾燥設備の取扱作業に5年以上従事した者。
- 大学又は高専の理科系卒業者で、乾燥設備の設計・製作検査・取扱作業1年以上の実務経験者
- 高校の理科系卒業者で、乾燥設備の設計・製作検査・取扱作業に2年以上の実務経験者。
2・3の場合には、卒業証明書が必要になります。
受講内容
- 乾燥設備及びその附属設備の構造及び取扱い(4時間)
- 乾燥設備、その附属設備等の点検整備及び異常時の処置に関する知識(4時間)
- 乾燥作業の管理に関する知識(5時間)
- 関係法令(2時間)
- 修了考査(1時間)
日程・申し込み方法
乾燥設備作業主任者技能講習は、1つの会場で年に4,5回行われています。全国的に多数の会場があるため、時間と労力を惜しまなければ、1年に何回も受講できます。
例えば、埼玉労働基準協会連合会で受講する場合だと、2022年の講習会の日程は以下の通りです。
- 2月15・16日
- 5月11・12日
- 7月13・14日
- 9月14・15日
- 11月9・10日
各地域の労働基準協会連合会のホームページで、受付状況が確認できます。申し込みが多ければ締め切りになるため、早めに予約するようにしましょう。
都道府県労働基準協会連合会のホームページは、下記の公益社団法人 全国労働基準関係団体連合会ホームページの関連リンクから簡単に見つけられます。
料金・支払い方法
乾燥設備作業主任者技能講習の費用は、受講料とテキスト合わせて15,000円程度です。受講する地域によって、費用は異なります。
北海道労働基準協会連合会で受講する場合だと、受講料12,100円(税込)、テキスト代1,540円(税込)です。
東京労働基準協会連合会で受講する場合だと、受講料12,580円(税込)、テキスト代1,540円(税込)になります。
支払い方法は、金融機関指定口座に振込、連合会窓口で直接支払いなどが可能です。各地域の労働基準協会連合会によって、可能な支払い方法が異なるので、事前に確認しておきましょう。
乾燥設備作業主任者試験
乾燥設備作業主任者試験は、乾燥設備作業主任者技能講習の2日目の最後に行われます。
試験内容
修了試験では、講習で受講した内容およびテキストの内容が出題され、試験では以下のような内容が問われます。
①爆発・火災災害と乾燥作業の安全
②乾燥設備の構造および取扱い
③乾燥設備の附属設備の構造、機能及び取扱い
④乾燥設備、その附属設備などの点検整備
⑤乾燥設備、その附属設備などの異常時の処置
⑥乾燥作業の管理
⑦火災事例
⑧関係法令
合格基準
乾燥設備作業主任者試験合格の基準は、修了試験でそれぞれの科目で40%以上の得点をとり、総合として60点以上取れば合格です。
合格率・難易度
乾燥設備作業主任者試験は、2日間の講習会を真剣に受講すれば試験に合格できる程度の、難易度が非常に低い試験です。合格率は90%以上と言われています。試験に合格するために、事前に勉強する必要は特にありません。
ただし、学校を卒業した常識的な知識だけでは、合格することは難しいです。講習の座学に飽きて居眠りなどをする人にとっては、難易度は非常に高い試験と言えるでしょう。
乾燥設備作業主任者試験の勉強方法
乾燥設備作業主任者試験の勉強方法は、講義をしっかり聴くことです。テキストが講習会数日前に配布されますが、ざっと見程度で詳しく見る必要はありません。
講義では、講師の方が重要なポイント、覚えるべきところや語句などを指摘してくれますので、それらはテキストにマークを入れるなり、ノートに記録などして覚えるようにします。講師の方が指摘することのいくつかは、ほぼ終了試験に出ると考えて良いでしょう。
1日目の講習会が終了してから、自由な時間が持てますので、その日にやった事を、マークやノートへの記述をもとに整理し、覚えるようにします。
乾燥設備作業主任者試験に落ちる人とは
講習会形式で講義の後で修了試験を行う資格は、数多くあります。そのような資格は、落ちる人が少ないのが一般的です。講師の方から、「真面目に話を聞いていれば落ちることはない」と言われることもあります。
それでも落ちる人がいる理由は、講師の指摘ポイントを聞き逃したためで、その中で多いのが、居眠りです。就職後に、2日間の座学を経験することはまれで、うっかり睡魔に襲われる場合もあります。そこをどう乗り切るかで、資格を得るかどうかが決まってしまいます。
テキストは購入すべき?
乾燥設備作業主任者試験のテキストは、乾燥設備作業主任者技能講習でもらえます。講習で使用するテキストだけで十分合格できるため、あえて市販のテキストを購入する必要はありません。
市販されているテキスト・問題集については、下記ページで紹介しています。
試験に合格するためのポイント
試験に合格するためのポイントは以下の通りです。
- 講師の話を真剣に聞き、ポイントをメモする
- 講習中に居眠りしない
- マークシートの記入ミスに注意
当たり前のことばかりですが、合格するためには必要なことです。合格率が高い試験ですが、手を抜かず真剣に取り組みましょう。
過去問と重要事項の解説/乾燥設備作業主任者試験
●本解説に使用した参考文献
厚生労働省「労働安全衛生法」
厚生労働省「労働安全衛生法施行令」
厚生労働省「労働安全衛生規則」
中央労働災害防止協会 安全衛生情報センター「法令・通達」https://www.jaish.gr.jp/user/anzen/hor/houritsu.html