全建統一様式とは、全国建設業協会が定めた統一フォーマットで、安全書類の作成や管理を効率化するために活用されています。適切に作成することで、安全衛生教育の質が向上し、法令遵守にも役立ちます。特に、作業員名簿や施工体制台帳の記入ルールを理解することが重要です。また、帳票の記入ガイドを参考にすることで、より正確な書類作成が可能になります。
このページでは、全建統一様式の安全書類の書き方や活用法について解説しています。

全建統一様式とは
全建統一様式とは、一般社団法人全国建設業協会が、工事の安全管理がしっかりできるように、安全管理に関する書類の様式を定めたものです。
土木工事や電気工事など特定の業種ではなく、すべての業種に適用できておすすめです。また民間工事や公共工事どちらの工事でも採用されています。
この全建統一様式・安全文書には、社会保険未加入問題の解決や、労働災害を減らす為のリスクアセスメントの充実、下請業者を守るためなど、建設業界に関わる問題を解決するための安全管理の書類が含まれます。
全国建設業協会とは
全国建設業協会とは、約2万社の企業が所属している47都道府県建設業協会によって構成された全国組織です。
全建の事業活動は、総合建設企業で組織する各都道府県の建設業団体を結集し、建設業を経済的、社会的及び技術的に向上させ、建設業の健全なる発展を図り、併せて公共の福祉の増進に寄与することを目的としています。
グリーンファイルとは
グリーンファイルとは、建設現場の安全を守るために必要な、労務安全書類のことです。
元請業者が、現場作業者や建設機械を安全面から管理するための書類です。
基本的には、下請業者が作成を行い、それを元に元請業者が管理するシステムです。
グリーンファイルには、例えば、現場作業者の管理書類である、再下請負通知書や下請負業者編成表、作業員名簿などがあります。
また、建設機械の管理書類としては、移動式クレーンや車両建設機械等の重機に対する、持込機械や電気工具・電気溶接機等の、持込機械等使用届や火器使用届などがあります。
グリーンファイルには、発注者毎やゼネコン毎に、様々な様式があります。
また、一般社団法人全国建設業協会が出している、全建統一様式もあります。
これらの様式はそれぞれ異なりますが、記載する内容はほとんど共通しています。
そのため、全建統一様式でグリーンファイルを一度作成しておけば、様々な工事に転用することができるのでおすすめです。
また、大手ゼネコンでは、グリーンファイルを、ネットで管理しているところもあり、大手ゼネコンの入力サイトにて入力が求められることがあります。
作成した書類は、クラウドに保存しておくと複数の人で簡単に共有できます。
全建統一様式の安全書類の書き方
施工主体と連絡先を標示
施工主体は、施工主体とその連絡先を標示します。
作成したデータはクラウドで保存するとよいでしょう。
必要事項を表示した標示板を工事区間の起終点に設置しなければなりません。
工事内容は、工事の内容、目的などを標示します。工事種別は、工事の種類を標示します。
ファイル名の文字数は全角文字で拡張子を含めて64文字以内
ファイル名の文字数は、全文文字で拡張子を含めて64文字以内で表示します。
電子媒体のフォーマットに関連した制限が厳しいときは、電子媒体のフォーマットに関わる規定に準じます。
ウイルスチェックに関する情報、フォーマット形式、発注者の署名欄、受注者の署名欄なども記載します。
ウイルス対策ソフトウェアは、信頼性の高いソフトウェアを使用します。
電子媒体には、工事番号、工事名称、作成年月、発注者の名称、受注者の名称、何枚目/総枚数などを記入します。
受注者は、電子媒体が完成したタイミングで、ツールを使ってウイルスチェックを実施しなければなりません。
工事写真は、他の工事関係資料とは異なった電子媒体に保管して、容易に電子媒体の枚数を数えられるようにします。
必ず改定最新版を使用
「労務安全関係」の第5号の書類としては、「作業員名簿」と第5号-別紙として「社会保険加入状況」が用意されています。
また、第9号には移動式クレーン/車両系建設機械等使用届といった書類が用意されています。
なお、「第5号」と「参考様式第5号」、「第9号」と「参考様式第9号」のように、号数は同じでも取り扱いが違う書類があるので気を付けましょう。
また、第9号は改訂最新版だったが第5号は旧式だったというトラブルも発生する場合があります。
改訂最新版を導入するのであれば、第9号だけを更新したり第9号だけの書類を削除するというのではなく、全てのファイルを同時に改訂最新版に刷新するようにしましょう。
こうした書類は必ず改訂最新版を使用するようにしましょう。改訂最新版は全国建設業協会が改訂の度に公表しています。
改訂最新版を使用しない場合は、法規的に意味をなさない書類も発生してしまう可能性があるのです。
また、第9号などのある意味特殊な届け出は気が回りますが、第5号にある作業員名簿は刷新し忘れがちな書類の一つです。
こうした第5号の作業員名簿などの書類の書き忘れなどもきちんとチェックしましょう。
全建統一様式による安全書類の活用で安全衛生教育はどう変わるのか
安全書類・全建統一様式を使用する教育計画の作成
安全書類・全建統一様式を使用する教育計画の作成においては、まず教育に求められるものを明確にする必要があります。
求められるものを明確にするためには、建設業の作業実施に必要な能力、作業者の能力を検討し、作業者に不足している知識・能力をはっきりさせることで、安全施工サイクルの教育において必要なものが明確になります。
安全衛生の教育に求められるものがはっきりしたら、次に安全書類・全建統一様式を使用する教育計画を実施して、報告する方法を決めます。
教育計画の作成では、経営者や建設業全体に求められるものと各部門が求めるものを調整しなければなりません。
経営者や全社と各部門が納得の上での教育計画の作成が重要になります。
安全書類・全建統一様式を使用する教育計画では、危険有害要因の低減策を検討し、緊急事態に対応するための教育訓練を実施しなければなりません。
特に安全衛生法についての講習と資格取得が重要になります。
建設業の安全施工サイクル、作業手順や管理基準があっても、それを行う人が理解していなければグリーンファイル・全建統一様式を使用することはできません。
安全施工サイクルに沿った教育計画の活用
安全書類・全建統一様式を使用した安全施工サイクルに沿った教育計画の活用方法は、各部署が管理することを基本として、教育訓練の記録を確認し、次回の研修内容を決めるために活用します。
また、建設業の安全衛生教育、作業の担当を選ぶために活用します。
建設業の安全衛生教育は、安全日誌や全建統一様式第5号、全建統一様式第9号などを作成し、対象者と教育内容とともに確実に記録を残しておく必要があります。
また、もし労働災害が生じた場合のために、作業員名簿や施工体制台帳を作成しておき、作業者への安全教育や安全指示書の記録を残し、安全配慮義務を行っていたことを証明する重要なものになります。
グリーンファイルの活用と安全衛生管理能力の向上
発注者は関係請負人 (協力会社)の安全衛生管理能力の高さを求めて評価しています。
評価の項目として安全面を重視して、安全活動が悪い業者に対しては指導を行い、改善対策を提出させます。
安全活動に優秀な協力会社は安全大会で表彰するなど、良い評価・悪い評価の結果を公表することが協力会社の安全管理レベルの向上につながります。
安全大会で高い評価をもらった会社は、発注者からの安全面における信頼を得ることができるため、次回からの仕事も受注しやすくなります。
安全面が高いと評価されるためには、改訂最新版の安全書類であるグリーンファイルを利用し、全建統一様式第5号、全建統一様式第9号、施工体制台帳、作業員名簿をきちんと電子化で作成と管理を行うことで高い評価を得られます。
グリーンファイルを活用して、職長、安全衛生責任者の安全衛生管理能力を向上させる方法には、次のようなものがあります。
- 労働者名簿、点検表、施工要領書などの作成
- 災害防止協会、工程会議、統一清掃などへの参加
- 職長、作業者の安全衛生の認識などの確認
- 送り出し教育、防護具の着用などの支援
安全衛生法上の教育には作業員名簿・施工体制台帳が必要
安全衛生教育では、労働者の無知によって災害にあったり、健康を害したりすることもあるため、万が一の場面に対しても安全面を高めるために十分に教育を行う必要があります。
また、安全衛生教育法で定められた資格を要する作業については、有資格者に従事させることが必要です。
有資格者を効果的な作業現場に配置し、効率良く作業が進むためにも作業員名簿をエクセル(excel)などで作成して、有資格者を整理して管理する必要があります。
また、施工体制台帳もソフト、ソフトウェア、システム、アプリなどで簡単に管理できるようにしておき、監督者が有資格者を確認して従事させることができるようにしておきましょう。
労働者の作業内容を変更したときは、雇入れ時の教育と同様の内容の教育を実施しなければいけません。
多くの作業員を抱える建設業の現場では、作業内容の変更時の教育を忘れてしまう場合があるので注意が必要です。
作業員名簿と新規入場者教育の内容
建設業の労働災害で多く発生している特徴の1つとして、働き始めてから7日間以内の新規入場者による災害です。
新規入場者は建設業の現場状況が良くつかめていないため、重機の運行、荷吊りの場所、開口部などの危険箇所に近づいてしまいます。そのため、新規入場者の教育が必要です。
監督者は、新規入場者を常に管理するために作業員名簿をエクセルアプリ、ソフトウェアなどを活用して、常に簡単に安全書類の管理ができるようにしておきましょう。
また、新規入場者は、初めのうち一人で行動させずに現場に慣れた者と行動をともにさせましょう。
また、現場によっては「新規入場者教育修了シール」を作成し、一定期間ヘルメットにシールを貼り付けて、入場して日が浅く不慣れであることが周りの作業者に分かるようにし、周りの作業者も気づかうことができるようにしたりしています。
作業者名簿は次の点についての確認が必要です。
- 作業者の氏名、年齢、健康診断の状況、資格の有無
- 資格と経験を考慮した人員の配置計画は適切か
- 女性、年少者などの作業者の就業制限
新規入場者教育の内容については、次の点を考慮します。
- 安全衛生管理の基本方針、目標、災害防止計画
- 現場の規律と安全ルール
- 作業内容と労働災害の防止対策
- 避難経路と避難の方法
- 危険場所や立入り禁止区域の周知徹底
- 輻輳した作業になる場所の確認
全建統一様式帳票の記入ガイド
全建統一様式に則った安全書類を、電子化して効率化する「Greenfile.work」のサービスを活用することで、建設業界の書類業務が大幅にスムーズになります。ファイリングや郵送の手間を省き、正確で迅速な情報管理を実現するこのサービスは、多くの現場での利用をお勧めします。
Greenfile.workで効率化する安全書類の管理
現代の建設業界では、効率化と正確な情報管理が求められています。そこで私たち「Greenfile.work」は、安全書類の電子化サービスを提供しています。全建統一様式に対応した書類を電子上で作成・管理できるため、多くの現場でスムーズかつ効率的に業務を進行させることが可能です。
以下に「Greenfile.work」を活用することで得られる主な利点を紹介します。
安全書類の一括管理
Greenfile.workでは、各種安全書類の作成から提出、そして元請のチェックまで、全ての書類業務が一貫して行えます。しかも、これらは全てクラウド上で管理され、過去の書類も簡単に検索・閲覧が可能です。
全建統一様式に完全対応
全建統一様式の書式を採用しているため、国土交通省や関連法律に則った正確な書類作成が可能です。これにより、現場での書類不備による問題を大幅に減少させることができます。
情報の自動反映
一度マスター情報を登録すると、その情報が自動的に各書類に反映されます。これにより、再入力や書類作成の手間を省き、時間を大幅に節約できます。
ペーパーレスの実現
電子化された書類はクラウド上に保存されるため、紙面のファイリングや郵送が不要になります。これにより、物理的なストレージスペースが不要になり、郵送代も削減されます。
簡単な修正と周知
工事情報の変更が発生した場合、一つの箇所を修正するだけで、その情報がすべての関連書類に自動的に反映されます。これにより、修正や周知にかかる手間を大幅に削減できます。
無料で利用可能な協力会社向けサービス
元請けとしての利用は有料ですが、協力会社としての利用はオプションなしで完全無料です。これにより、協力会社が費用をかけずに効率的な書類管理を実現することができます。安全書類の作成や管理に課題を抱えている企業の皆様は、この機会にぜひ一度、当社のサービスをご利用ください。