浄化槽管理士は、浄化槽の点検や保守などの業務に従事することができる国家資格です。 浄化槽設備を行う設備会社などに勤務するケースが多く、保守や点検を行う場所は、会社や事業所といった場所の他に、一般家庭での業務もあります。 水周りの全般についての相談を受けることもありますので、浄化槽や配管、付属機器などの幅が広い知識が必要となります。 幅広く水環境にかかわる仕事として、責任をもって管理しなければならない職業になります。
浄化槽管理士の資格取得の方法は、浄化槽管理士試験に合格するか、浄化槽管理士講習の課程を修了する、方法のいずれかによります。
浄化槽管理士試験の試験科目は、浄化槽概論、浄化槽行政、浄化槽の構造及び機能、浄化槽工事概論、浄化槽の点検と調整及び修理、水質管理、浄化槽清掃概論などについて問われます。
浄化槽管理士とは
浄化槽管理士とは、浄化槽の保守点検の業務に従事する者をいいます。
浄化槽法では浄化槽の保守点検については、浄化槽の点検、調整またはこれらに伴う修理をする作業として定義づけられています。浄化槽管理者より委託され浄化槽の保守点検を実施する者は、環境大臣より浄化槽管理士免状の交付を受けた浄化槽管理士でなければなりません。
資格の目的
公共用水域等の水質の保全等の観点から浄化槽によるし尿及び雑排水の適正な処理を図り、もつて生活環境の保全及び公衆衛生の向上に寄与することを目的として浄化槽設備士及び浄化槽管理士の資格は定められています。浄化槽管理士試験については浄化槽法第46条で規定されており、試験では浄化槽の保守点検に関して必要な知識及び技能が十分に備わっているかが問われます。
浄化槽管理士の資格を得るには
浄化槽管理士資格を得るには、浄化槽管理士試験に合格するか、浄化槽管理士講習を受講し考査(試験)に合格する必要があります。
浄化槽管理士試験のみを受験することも可能ですが、浄化槽管理士講習によって資格を収得する者が圧倒的に多いです。
仕事内容
浄化槽管理士の仕事内容は、浄化槽設備会社などに勤務して、浄化槽管理者の委託を受け、 水質汚濁防止のために、浄化槽の保守・点検業務をおこなうことです。 浄化槽管理士は、責任を持って水環境を管理する必要があります。
関連する資格
浄化槽管理士に関連する資格として、浄化槽設備士・浄化槽技術管理者・浄化槽検査員・浄化槽清掃技術者があります。
浄化槽設備士については、下記の記事で詳しく解説しています。
浄化槽管理士講習
浄化槽管理士講習は、環境省関係浄化槽法施行規則第52条に基づき、環境大臣より当教育センターが指定講習機関として指定され、公益財団法人日本環境整備教育センターが実施しています。
13日間の計80時間の講習が行われ、最終日に全教科目にわたった考査(試験)が行われ、合格することで資格を取得できます。
受講資格
浄化槽管理士講習には、受講資格はありません。学歴・実務経験を問わず、誰でも受講できます。
講習科目
- 浄化槽概論(8時間)
- 浄化槽行政論(4時間)
- 浄化槽の構造及び機能(22時間)、
- 浄化槽工事概論(4時間)
- 浄化槽の点検、調整及び修理(30時間)
- 水質管理(10時間)
- 浄化槽の清掃概論(2時間)
浄化槽設備士資格を取得していて、受講一部免除を選択する場合は、上記科目の(1)及び(4)が免除されます。
日程
浄化槽管理士講習は、年に1・2回実施されています。日程は、講習会場によって異なります。
講習地
宮城、東京、愛知、大阪、徳島、福岡、鹿児島
受講料
129,700円(※浄化槽設備士資格取得者で受講一部免除を選択される方は、120,200円)
考査(試験)
考査(試験)は、浄化槽管理士講習の最終日(13日目)に実施されます。試験時間は2時間です。
不合格になった場合でも、5回までは考査を受けることができます。
浄化槽管理士試験
浄化槽管理士試験は、浄化槽法(昭和58年5月18日法律第43号)第46条第4項の規定に基づき、公益財団法人日本環境整備教育センターが実施しています。
受験資格
浄化槽管理士試験には、受験資格はありません。学歴・実務経験を問わず、誰でも受講できます。
受験料
20,200円
試験地
宮城、東京、愛知、大阪、福岡
試験内容
・午前・・・多岐選択式50問(2時間30分)
・午後・・・多岐選択式50問(2時間30分)
- 浄化槽概論
- 浄化槽行政論
- 浄化槽の構造及び機能
- 浄化槽工事概論
- 浄化槽の点検、調整及び修理
- 水質管理
- 浄化槽の清掃概論
合格基準
総合得点の65点(満点数の65%)。※合格基準点は難易度に合わせて毎年変動する。
合格率・難易度
浄化槽管理士試験の合格率は、20~30%程度です。この合格率は、浄化槽管理士講習の考査の合格率とは異なります。考査の合格率は公開されていませんが、80~90%の人が合格しているようです。
2017年に行われた浄化槽管理士試験では、受験申請者数1,160人、受験者数1,160人、合格者数250人、合格率24.8%でした。
浄化槽管理士に関連する資格として、浄化槽設備士・浄化槽技術管理者・浄化槽検査員・浄化槽清掃技術者がありますが、浄化槽設備士と同程度の合格率となっています。
浄化槽管理士に関連する資格の合格率
- 浄化槽設備士:約30%
- 浄化槽技術管理者:約75%
- 浄化槽検査員:約90%
- 浄化槽清掃技術者:90%
浄化槽管理士試験の勉強方法
浄化槽管理士試験の勉強方法は、試験のみを受験するか、講習を受講するかで大きく異なります。
試験を受験する場合の合格率は20~30%程度、講習を受講する場合は80~90%程度と言われており、難易度に大きな差があります。講習を受講して資格の取得を目指す人がほとんどという状況を考えると、よほど自身がない限り、講習の受講をおすすめします。
ただし、試験のみを受験する場合の費用は20,200円、講習を受講する場合は129,700円と、6倍以上の差がある点に注意が必要です。試験のみを受験する場合はテキスト・過去問を自身で入手する必要があり、独学で勉強する必要があります。一方、講習を受講する場合は、費用はかかるものの、13日間で合格できます。
費用だけでなく勉強時間にも大きな差が出るため、どちらの方法で資格の取得を目指すのかをしっかり検討しておきましょう。
過去問を繰り返し解く
講習を受講せずに、試験のみを受験する場合は、テキストを読み込み、過去問を繰り返し解くことが重要です。
テキストや問題集は公益財団法人日本環境整備教育センターのホームページで販売されています。
テキスト・問題集については、下記ページで紹介しています。
講習を受講する
浄化槽管理士試験と講習後に行われる考査の試験範囲は同じです。しかし、浄化槽管理士試験が50問(2時間30分)であるのに対して、考査では40問(2時間)となっています。試験時間は短くなりますが、設問数が10問少ないのは大きなポイントとなります。
また、講習では講師が考査で出題する箇所を重点的に教えてくれるため、しっかりメモを取っておきましょう。
講習を受講する場合の合格率が80~90%程度であることから考えると、講師の言うことをしっかり聞いていれば、合格できる可能性は高いです。講習中の態度もチェックされているようなので、居眠りしないように対策・準備しておきましょう。