廃棄物処理法によって、一般廃棄物処理施設や産業廃棄物処理施設には、廃棄物を技術的に維持管理する廃棄物処理施設技術管理者が置かれる必要があります。この管理者の資格を与える試験が、廃棄物処理施設技術管理者講習の終了後に行われる試験です。試験に合格した人が廃棄物処理施設技術管理者の資格で、管理主任者となります。廃棄物処理施設講習はその用途に応じて、7つのコースがあって、コースごとの講習会を終了し、修了試験に合格すれば、その施設に応じた廃棄物処理施設技術管理者の資格が得られ、施設管理技術士として施設の維持管理業務に当たることができます。廃棄物処理施設の7つのコースとは、ごみ処理施設コース、産業廃棄物焼却施設コース、し尿・汚泥再生処理施設コース、最終処分場コース、破砕・リサイクル施設コース、産業廃棄物中間処理施設コース、有機性廃棄物資源化施設コースの7施設です。
廃棄物処理施設技術管理者とは
廃棄物処理施設技術管理者とは、廃棄物処理法で規定する学歴・経験等の要件を備え、一般廃棄物処理施設または産業廃棄物処理施設における廃棄物の処理及び清掃、維持管理業務を行う者に与えられる資格です。
厚生省生活衛生局水道環境部環境整備課長通知において、「技術管理者等の資質の向上を図ることは、廃棄物の適正処理を推進するために重要であり、かかる観点から、廃棄物処理施設及び事業場の類型ごとに必要な専門的知識及び技能に関する講習等を修了することが望ましいものであること。」と示されています。
廃棄物処理施設技術管理者講習はここで望まれている技術者を養成するための講習です。各受講内容を理解することは、試験対策としてだけでなく、資格獲得後に業務を遂行する上でも大きな力となります。
資格を得るには
廃棄物処理施設技術管理者の資格を得るには、廃棄物処理施設技術管理者講習会を受講して、受講後の修了試験(廃棄物処理施設技術管理者試験)に合格する必要があります。
廃棄物処理施設技術管理者講習
基礎・管理過程 | 管理過程 | |
受験資格 | 受講開催月時点で20歳以上の者 | 学歴に応じた実務経験が必要 |
講習期間 | 8日~10日(受講コースによる) | 4日 |
資格認定 受講コース |
1. ごみ処理施設 2. し尿・汚泥再生処理施設 3. 産業廃棄物中間処理施設 4. 最終処分場 5. 産業廃棄物焼却施設 6. 破砕・リサイクル施設 7. 有機性廃棄物資源化施設 |
|
試験内容 | 40問(マークシート方式) | 20問(マークシート方式) |
合格基準 | 満点の80%以上の得点 |
廃棄物処理施設技術管理者講習は、廃棄物処理施設技術管理者を養成するための講習です。各受講内容を理解することは、試験対策としてだけでなく、資格獲得後に業務を遂行する上でも大きな力となります。
廃棄物処理施設技術管理者講習には「基礎・管理課程コース」と「管理課程コース」の2種類があり、実務経験が不足している方は「基礎・管理課程コース」を受講することになります。また、「管理課程コース」の受講資格を持っている方も、廃棄物処理技術を体系的に理解するために、「基礎・管理課程コース」を受講することも可能です。
廃棄物処理施設技術管理者講習の日数は、破砕・リサイクル施設コースと有機性廃棄物資源化施設コースで8日間43時間、他の5つのコースの場合は10日間55時間です。
受講コース
廃棄物処理施設技術管理者講習には、以下の7つのコースがあります。
- ごみ処理施設コース
- 産業廃棄物焼却施設コース
- し尿・汚泥再生処理施設コース
- 最終処分場コース
- 破砕・リサイクル施設コース
- 産業廃棄物中間処理施設コース
- 有機性廃棄物資源化施設コース
コースごとの講習会を終了し、修了試験に合格すれば、その施設に応じた廃棄物処理施設技術管理者の資格が得られ、施設管理技術士として施設の維持管理業務に当たることができます。
内容
基礎・管理コースを受講したときには、どのコースも、➀廃棄物概論、②廃棄物処理施設の構造と維持管理、③安全と安全衛生管理、④測定分析の実際、について講義を受けます。
管理課程では、①廃棄物処理法・関係法規、②管理監督の理論と実際、③廃棄物処理技術特論、④施設運営管理、⑤施設設備計画・実際、⑥処理機能維持・評価、⑦能力認定試験、についての講義を受けます。
講習会の形式
講習会の形式は、基礎・管理課程と管理課程があり、管理課程でどのコースを選ぶかで、受講日、受講日数、受講料が異なります。
受講資格
基礎・管理課程を受講する場合の受講資格は、20歳以上であれば誰でも受講が可能です。
管理課程だけで廃棄物処理施設技術管理者試験を受けるときは、学歴に応じた実務の経験年数が決まっていて、実務経歴書で経験年数が確認できるようにして受講を申し込めば、受講ができます。
日程・申し込み方法
廃棄物処理施設技術管理者講習は、各コースごとに年に数回実施されています。
受講料と講習場所2> 受講料
廃棄物処理施設技術管理者講習の受講料は、コースによって異なります。
下記の5コースの場合は、121,000円(税込)です。
- ごみ処理施設コース
- し尿・汚泥再生処理施設コース
- 産業廃棄物中間処理施設コース
- 産業廃棄物焼却施設コース
- 最終処分場コース
下記の2コースの場合は、103,400円(税込)です。
- 破砕・リサイクル施設コース
- 有機性廃棄物資源化施設コース
講習場所
北海道・宮城・神奈川・愛知・大阪・広島・福岡
廃棄物処理施設技術管理者試験
廃棄物処理法によって、一般廃棄物処理施設や産業廃棄物処理施設には、廃棄物を技術的に維持管理する廃棄物処理施設技術管理者が置かれる必要があります。この管理者の資格を与える試験が、廃棄物処理施設技術管理者講習の終了後に行われる試験、廃棄物処理施設技術管理者試験です。試験に合格した人は、廃棄物処理施設技術管理者の有資格者として、管理主任者となります。
廃棄物処理施設技術管理者講習がすべて終了した後に、能力認定試験(廃棄物処理施設技術管理者試験)が行われ、40問の問題のうち、80%以上の得点が取れれば合格となります。万一、不合格でも、6か月以内に再試験を2回まで受けることができます。
各課程を修了することで、一般財団法人 日本環境衛生センターから「(各廃棄物処理施設)技術管理士」の認定証が交付されます。
(例)破砕・リサイクル施設試験(課程)を修了→破砕リサイクル技術管理士
合格基準
廃棄物処理施設技術管理者試験は、満点の80%以上の得点で合格となります。
不合格だった場合は、6か月以内に再試験を2回まで受けることができます。
合格率・難易度
廃棄物処理施設技術管理者試験の合格率は公開されていません。90%以上の人が合格しているようです。
廃棄物処理施設技術管理者試験の勉強法
廃棄物処理施設技術管理者試験の勉強方法は、講義をしっかり聴くことです。テキストが講習会数日前に配布されますが、ざっと見程度で詳しく見る必要はありません。廃棄物処理施設技術管理者講習のテキストや問題集は、かなりのページ数があり、また、内容も難しいことが書いてあるため、一夜漬け的にテキストを読んでも、頭に入ることはないでしょう。
講義では、講師の方が重要なポイント、覚えるべきところや語句などを指摘してくれますので、それらはテキストにマークを入れるなり、ノートに記録などして覚えるようにします。講師の方が指摘することのいくつかは、ほぼ終了試験に出ると考えて良いでしょう。
講習は数日行われるので、その日にやった事を、マークやノートへの記述をもとに整理し、覚えるようにします。
廃棄物処理施設技術管理者講習会は、長時間の講義で、なおかつ、テキストの厚さも分厚いです。マークした箇所が徐々に増えて見返しても、重要ポイントが多過ぎることになり、何を忘れないようにすべきか分からなくなるかもしれません。マークを入れると同時に、ノートに覚えることを簡単に書き止め、1日の講義が終了した時や、休憩時などに重要点を整理するようにし、覚えるべきことをはっきりさせるようにしておきましょう。
講義を受けるに当たって注意することは、講義時間が長いと言って居眠りをしないことです。うっかり居眠りをしたときに、覚えるべきポイントを聞き逃してしまい、そこが問題となって出ても対応できず、不合格となる可能性は何としても避けたいものです。
廃棄物処理施設技術管理者試験に落ちる人とは
講習会形式で講義の後で修了試験を行う資格は、数多くあります。そのような資格は、落ちる人が少ないのが一般的です。講師の方から、「真面目に話を聞いていれば落ちることはない」と言われることもあります。
それでも落ちる人がいる理由は、講師の指摘ポイントを聞き逃したためで、その中で多いのが、居眠りです。就職後に、2日間の座学を経験することはまれで、うっかり睡魔に襲われる場合もあります。そこをどう乗り切るかで、資格を得るかどうかが決まってしまいます。
テキストは購入すべき?
廃棄物処理施設技術管理者試験は、講習を真剣聞くだけで十分合格できます。あえて市販のテキストを購入する必要はありません。
市販されているテキスト・問題集については、下記ページで紹介しています。
試験に合格するためのポイント
試験に合格するためのポイントは以下の通りです。
- 講師の説明を真剣に聞き、ポイントをメモする
- 講習中に居眠りしない
- マークシートの記入ミスに注意
当たり前のことばかりですが、合格するためには必要なことです。合格率が高い試験ですが、手を抜かず真剣に取り組みましょう。
過去問と重要事項の解説/廃棄物処理施設技術管理者試験
●本解説に使用した参考文献
環境省「廃棄物の処理及び清掃に関する法律(廃棄物処理法)」
環境省「廃棄物の処理及び清掃に関する法律施行令」
環境省「廃棄物の処理及び清掃に関する法律施行規則」
環境省「建設工事に係る資材の再資源化等に関する法律(建設リサイクル法)」
環境省「特定家庭用機器再商品化法(家電リサイクル法)」
環境省「廃棄物等の処理」http://www.env.go.jp/recycle/waste/index.html
環境省「特別管理廃棄物規制の概要」http://www.env.go.jp/recycle/waste/sp_contr/index.html
国土交通省「建設業法、建設業法施行令、建設業法施行規則」
日本環境衛生センター「廃棄物処理法の解説/廃棄物処理法法令集」http://jescbook.shop-pro.jp/?pid=152191847
全国産業資源循環連合会「各種冊子・いんだすと年間購読」https://www.zensanpairen.or.jp/application/books/