逆T型・L型・重力式など擁壁の種類別設計と安定計算の基本を解説

20.2 - 逆T型・L型・重力式など擁壁の種類別設計と安定計算の基本を解説 構造計算 ソフト

擁壁は、土砂の崩壊を防ぐために欠かせない構造物であり、設計の際には種類ごとの特徴や構造的な安定性を的確に把握することが重要です。重力式、逆T型、L型擁壁のそれぞれに適した安定計算や土圧の考慮、設計時に必要な構造計算のポイントを理解することで、より安全で実用的な擁壁設計が可能になります。本記事では、各種擁壁の種類や設計手法に加え、設計時に注意すべき計算要素や荷重についても詳しく解説します。このページでは、擁壁の設計と安定計算の基本について解説しています。

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擁壁・ブロック塀の構造計算・安定計算のフリーソフト・エクセルテンプレート
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擁壁・重力式擁壁の計算

擁壁計算では設置箇所や構造形式により条件を選択

擁壁には構造によって、重力式、半重力式、もたれ式や、片持ち梁式の逆T型・L型など、様々な形式があります。現地の土質や、用地界などの条件を考慮した上で、設置目的に合った機能と安全性を有し、かつ、経済的な形式を採用する必要があります。重力式擁壁は、擁壁の自重のみで土圧を支持する形式であるため、壁高が大きくなると擁壁規模、特に基礎幅も大きくなり、経済的に不利となります。そのため、壁高5m程度までとし、擁壁の自重に耐えられる基礎工を検討する必要があります。
擁壁の計算ソフトやエクセルテンプレートでは、自重、載荷重、土圧、地震の影響、水圧及び浮力、雪荷重、風荷重、衝突荷重などを設置箇所の諸条件や、構造形式により選択します。逆L型擁壁・もたれ擁壁・t型擁壁・u型擁壁など、擁壁の形状や材料定数、裏込め土砂と基礎地盤の土質定数等を入力します。擁壁の断面形状に対応し、擁壁の安定計算、部材計算、竪壁・底版・突起・張出部などの応力検討、基礎の安定計算などを行います。また、各種準拠指針に従って照査を行います。

長期荷重と同じ様に短期許容応力度が決められています

長期荷重と同じ様に、短期許容応力度が決められています。短期荷重については、常時荷重と一時荷重が組み合わさり影響した時の荷重をいいます。

許容応力度は、荷重を取り去った時に、もとの恰好に還る力の度合で、長期許容応力度はこれに大きめの安全率を設定して定めています。

□ 裏込め工
裏込め工の施工には、盛土との同時進行、裏込めの先行、裏込めの後施工がある。路床面と頂版上面間の土被りが 1m 以下で、背面の盛土の沈下により路面の不陸が考えられる場合、盛土においては、裏込め工を先行して施工するのが望ましい。ただし、裏込め工が先行できない場合は同時に立ち上げるのが良い。裏込め工の材料は購入土等の良質材とする。裏込め先行の場合は、裏込め材にクラッシャランを用い、地下排水溝を設置する。同時進行の場合は、背面5m程度を同時に盛り立てる。

□ 防水処理
地下水位の影響を受けるおそれのある道路構造物は、原則として防水処理を行うこと。防水処理は一般に、底版と側壁の打ち継ぎ目付近、伸縮目地の周囲にうものとするが、市街地、地下水位等で、全面行う必要のある場合はこの限りでない。

□ 排水工
供用後の裏込め部の沈下の原因は、裏込め部の含水比上昇による場合が多い。特に、切盛境や沢部に設置された構造物では、地下排水溝等を十分に設置し排水を行うことが望ましい。なお、この場合地下排水工の流末について考慮すること。

参考文献:「設計便覧(案)道路編」

短期許容応力度は一時的には高い数値に耐えられると判定できます

一般に短期荷重による短期許容応力度は、長期許容応力度よりも安全率を下げることで、一時的には高い数値に耐えられると判定できます。これをもとに構造物の各部材には長期許容応力度が定められます。長期荷重とは、常時荷重だけが影響した時の荷重をいいます。
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□ 擁壁設計に関する一般事項について

擁壁の設計にあたっては、使用目的との適合性、構造物の安全性、耐久性、施工品質の確保、維持管理の容易さ、環境との調和、経済性を考慮しなければならない。 擁壁の設計にあたっては、原則として、想定する作用に対して要求性能を設定し、それを満足することを照査する。 擁壁の設計は、論理的な妥当性を有する方法や実験等による検証がなされた方法、これまでの経験・実績から妥当とみなせる手法等、適切な知見に基づいて行うものとする。 擁壁の設計で想定する作用は、常時の作用、降雨の作用、地震動の作用、その他を基本とする。コンクリート擁壁において、「道路土工-擁壁工指針(5-9 排水工)」に従い適切に排水工を設置する。

擁壁の設計にあたっては、使用目的との適合性、構造物の安全性について、安全性、供用性、修復性の観点から、要求性能を設定することを基本とする。

擁壁の要求性能の水準は、以下を基本とする。
1. 想定する作用によって擁壁としての健全性を損なわない性能
2. 想定する作用による損傷が限定的なものにとどまり、擁壁としての機能回復を速やかに行い得る性能
3. 想定する作用による損傷が擁壁として致命的とならない性能

擁壁の重要度の区分は、以下を基本とする。
1. 万一損傷すると交通機能に著しい影響を与える場合、あるいは隣接する施設に重大な影響を与える場合
2. 上記以外の場合

擁壁の要求性能は、想定する作用と擁壁の重要度に応じて、要求性能の水準から適切に選定する。

参考文献:「道路土工-擁壁工指針」

塵、ドロ、塩化物などが有害量以上含まれていてはいけません

塵、ゴミ、ドロ、有機不純物、塩化物などが有害量以上含まれていてはいけません。細骨材として使用する砂の絶乾比重は、基本的には2.5以上になる必要があります。細骨材の物理的な特性は、いろいろなものがあります。同じ操作を5回行った時の損失質量が、基本的には10%以下である必要があります。
凍害に耐えられる強度が求められるコンクリート細骨材は、JISA 1122の試験、硫酸ナトリウムによる骨材試験により確認します。改良試行くさび法、xcelによる擁壁構造計算ソフト、擁壁安定計算ツール、道路土工擁壁工指針に準拠した擁壁の構造計算など、擁壁の構造計算のフリーソフト集です。道路土工・擁壁工指針に基づいた擁壁の安定計算ソフト、土圧公式は試行くさび法・クーロン公式などの擁壁ソフトやおすすめのエクセルテンプレートが、無料でダウンロードできます。
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重力式擁壁の選定目安、重力式擁壁を片持ばりとして設計するポイントについては、次のように記述されています。

□ 重力式擁壁の構造形式選定上の目安について

重力式擁壁は、擁壁高5m程度以下に適用される。 重力式擁壁の特徴は、自重により水平荷重に抵抗でき、施工が容易で、床付高さの変化に適応が容易なことである。 重力式擁壁の留意点としては、底面反力が大きく基礎地盤の良い場合に適用すること、くい基礎となる場合は不適であること、躯体断面に引張応力を生じさせないようにするのが原則である。

□ 重力式擁壁の安定性の照査について

重力式擁壁の部材の安全性の照査は、次によるものとする。
躯体は、形状変化位置及びつま先版上面を固定端とする片持ばりとして設計してよい。
つま先版は、躯体との接合部を固定端とする片持ばりとして設計してよい。
半重力式擁壁の設計の考え方は、重力式擁壁と同様とするが、躯体幅を薄くすることにより躯体断面に引張応力が生じるため、必要量の鉄筋を配置する必要がある。

参考文献:「道路土工-擁壁工指針」

逆T型擁壁とは

L型擁壁は、片持ち梁式擁壁の一種で、構造的にはつま先版がないので、用地境界等の制限がある場合に有利な擁壁です。

また、逆T型擁壁は、つま先版を有するため、片持ばり式擁壁の中で最もバランスがよく、L型に比べて、かかと版を短くできるという利点があります。逆T型擁壁は、プレキャスト製品も多く、工期短縮による経済効果が期待できます。

 

また、擁壁の安定計算、転倒・滑動・支持力度の検討、基礎の安定計算などを行います。擁壁、底版の寸法や材料定数、荷重条件、土圧、土質条件、地震パラメータなどを入力条件とし、入力した擁壁形状での、応力や変位量を照査します。

照査の結果が各種準拠指針を満たさないような場合は、材料や基礎の形状、擁壁の形状等を変更して、最適な擁壁の設計を行います。

L型擁壁の計算、逆T擁壁の計算、ブロック積・石積擁壁の安定計算

反応抑制機能が実証された、混合セメントを使用します

反応抑制機能が実証された高炉セメントB種・C種や、フライアッシュセメントB種・C種などの混合セメントを使用します。セメント中にNa2OやK2Oの含有量が多いと、コンディションによっては、骨材中の特異ミネラルがアルカリ骨材反応を起こすことがあります。低アルカリ形セメントを使わなければなりません。

□ 水圧と浮力の影響
水圧は、地盤条件や地下水位の変動等を考慮して適切に設定する。構造物が地下水位以
下に設置される場合には、断面設計にあたり水圧を考慮する。ただし全周面に水圧が作用する場合にはそれによる曲げ応力の増加が小さいため省略してもよい。 浮力は、構造物が地下水位以下に設置される場合に、浮上りに対する安定照査において考慮しなければならない。間隙水や地下水位の変動等を考慮して適切に設定するものとする。浮力は上向きに作用するものとし、構造物に最も不利になるように載荷する。

□ コンクリートの乾燥収縮の影響
コンクリート部材から構成される構造物で、乾燥収縮の影響により構造や施工条件等に応じて、コンクリートの乾燥収縮の影響を考慮する。乾燥収縮の影響により構造物の健全性に影響を与えるおそれがある場合には、必要に応じてコンクリートの乾燥収縮の影響を考慮するものとする。この場合、「道路橋示方書・同解説 Ⅰ共通編」に準じる。土被りが 50cm 以上となる場合は、乾燥収縮の影響は考えなくてもよい。土被りが薄いなどの理由により乾燥収縮の影響を考慮する場合は、乾燥収縮度は15×10-5 とする。

□ 温度変化の影響
寒冷地で土被りが薄く、路盤や路床の凍上による変状・損傷が懸念される場合には温度変化の影響を考慮する。温度変化を考慮する場合には「道路橋示方書・同解説 Ⅰ共通編」に準じる。土被りが一般的に50cm 以上となる場合は、温度変化の影響は考えなくてもよい。土被りが薄いなどの理由により温度変化の影響を考慮する場合は、温度差は±15℃とする。

参考文献:「設計便覧(案)道路編」

もたれ式擁壁、大型ブロック積擁壁の転倒に対する安定性が必要になります

もたれ式擁壁の安定性の考察では、転倒に対して、合力作用点が底版中央の底版幅の1/3以内にあるという条什で計画されています。技術指針の検討が重要になります。もたれ式擁壁、大型ブロック積擁壁の転倒に対する安定性が必要になります。既往のブロック積擁壁と比較して剛性が強く、壁面に多くの土圧がかかるため、もたれ式擁壁として計画しなければなりません。

□ 大型ブロック積擁壁について

大型ブロック積擁壁の特徴は施工が容易で施工期間を短縮できることや、工場製品であり品質が一定であることなどがあげられる。使用する箇所はブロック積擁壁または、ブロック積擁壁が使用できない条件の箇所や、もたれ式擁壁で検討する箇所などで、機械施工による省力化や工期短縮の点で有利である。ブロック間の結合にかみ合わせ構造や突起などを用いたり、胴込めコンクリートで練積みにした形式などは、通常の練積みに相当するブロック間の摩擦が確保されているとして、ブロック積みに準じた構造と考えて良い。

また、控え長の大きいブロックで鉄筋コンクリートなどを用いてブロック間の結合を強固にした形式のものは、ブロックが一体となって土圧に抵抗するために、もたれ式擁壁に準じた構造と考えて良い。なお、ブロック間のかみ合わせ抵抗のない空積みによる大型ブロック積み擁壁の構築を行ってはならない。

参考文献:「道路土工-擁壁工指針」

コンクリートの品質について

コンクリートの強度にいては、強度試験を行ったとき、指定した呼び強度の強度値の85%以上でなければならない、試験結果の平均値は呼び強度の強度値以上でなければならない、などの条件を満足しなけれぼなりません。
スランプの測定方法については、所定の方法でコンクリートをスランプコーンに詰めた後、直ちにスランプコーンを鉛直に引き下げ、コンクリートの中央部でのさがりを測り、これをスランプとします。コンクリート中央部の下がりはO.5cm単位で測定し、記録はO.5cm単位で表示します。
空気量および空気量の許容差を確認する必要があります。
塩化物含有量は、塩化物イオン量としてO.30kg/m3以下でなければなりません。
練混ぜについては、フレッシュコンクリートの運搬は、練混ぜを開始してから1.5時間以内に荷卸しができるようにしなければなりません。
フレッシュコンクリートの練混ぜは、固定ミキサとします。

擁壁の設計において主要荷重となる土圧

擁壁の設計において主要荷重となる土圧は、擁壁背面に崩れかかる土塊を支えることが目的であり、一般にこの主働土圧をもとに設計が行われています。また、土圧の計算にはクーロンの土圧公式のほか、あらゆる盛土形状に適用可能なものとして試行くさび土圧が主に用いられており、これらの土圧の概要については以下のとおりです。
クーロン土圧
クーロン土圧は擁壁背面の下端を通る平面のすべり面を仮定し、くさび形の土塊に働く力の釣り合いから土圧を算定していきます。これによる土圧は、一様な長大のり面をもつ盛土においてのり勾配と裏込め土の内部摩擦角が近似してくると過大な土圧力を与えるので注意が必要であり、また、盛土形状が不規則な場合は適用できないことがデメリットとなっています。
試行くさび土圧
試行くさび法はクーロンの土圧理論で解くことができない問題を解くことができます。クーロンの土圧理論は擁壁背面が傾斜していても土圧を求めることができますが、地表面が一様でなければならず、一方、試行くさび法は盛土形状が不規則な場合にも適用できるのがメリットです。
擁壁計算ソフトにおいては、一般に擁壁型式や背面盛土形状に適用する土圧式が組み込まれており、これらについては一部メーカーのサイトのほか、フリーのダウンロードサイトからも無料で入手することができます。また、そのほとんどがエクセルを用いたフォーマットのため、操作性・機能性にすぐれており、おすすめや人気のあるものを気軽に無料でダウンロードして使用できることからおすすめです

擁壁設計における安定計算と部材の構造計算の留意点とは

擁壁の設計は、基礎の安定計算と部材の構造計算の実行により、安全性を有する構造を設定するものであり、安定計算および構造計算における留意点は以下のとおりです。

擁壁の安定計算

擁壁の安定に関しては、一般に滑動に対する安定、転倒に対する安定、支持地盤の支持力に対する安定について検討を行うものですが、支持地盤が軟弱な場合には基礎の検討が重要なものとなります。また、斜面上に擁壁を設置する場合には、背面盛土および支持地盤を含む全体としての安定について円弧すべり法などにより検討が必要となったり、地震時に液状化が発生するおそれがある地盤上に擁壁を設置する場合には、別途安定性の検討を行う必要が生じます。

擁壁部材の構造計算

重力式擁壁は自重によって土圧を支持する形式の擁壁であり、通常は無筋コンクリートとして設計されるため、土圧と自重の合力により躯体の断面に引張応力が生じないように設計を行うことが前提となります。
片持ち梁式擁壁においては、たて壁は底版との結合部を固定単とする片持ちばりとして設計を行います。部材設計で考慮する荷重は、常時では主働土圧の水平分力を、地震時では地震時主働土圧の水平分力とたて壁の地震時慣性力となります。
また、底版は、たて壁との結合部を固定端とする片持ちばりとして設計を行います。
擁壁の安定計算、構造計算に関しては、フリーのダウンロードサイトからも無料でフリーソフトを入手することができます。ネット上の無料ソフトを使用すればコストもかからないうえ、サイトから気軽にダウンロードできるのでおすすめです。また、さまざまなフリーソフトを集めた比較ランキングサイトなど参考に、人気のあるおすすめのソフトやエクセルアプリを使用することで、自分にどのツールが合っているかを見つけることで、円滑な作業が期待でき、さらに客先評価の高い擁壁設計に繋がることでしょう。